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SS1. フォークの公爵様は異世界から訪れたケーキを愛してやまない(※R-18)
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風に揺れる木々のさざめきと、さえずる鳥たちの声が響く静かなオスマンサス公爵邸の執務室。当主のみが座ることを許される執務机は、見た目こそシンプルではあるものの、ウォルナットの美しい色合いと木目を存分に生かしたその堅強たる造りが座る者に凄味にも似た深さを与える。
初代から代々使われてきたその執務机において、当代の当主であるラインハルトは両肘を天板につき、組んだ両手を額に当てながら頭を垂れていた。
そしてその前に立つは、公爵家の筆頭執事であるオットー・シュレーゼマン。彼はラインハルトの祖父である初代当主からオスマンサス公爵家を支える最古参であり、ラインハルトも幼少期から世話になっている。そのせいもあってか、今もラインハルトにとっては頭の上がらない一人だ。
とは言え、あくまでも主人と使用人。オットーも当然それをわきまえたうえで、ラインハルトに仕えてきた。
そんな彼は今、足をそろえて背を伸ばし、執事として正しく美しい姿でラインハルトの前に立っている。しかし、いつも穏やかに微笑むその顔には怒りのにじむ青筋がはっきりとこめかみに浮かぶ。
これまで感じたことのない威圧を背負うオットーを前に、ラインハルトは己の未熟さを猛省するほかなかった。
事の起こりは昨日のこと。
ラインハルトが書類仕事をこなしていると珍しくオットーがやってきた。さらに珍しいことにメイドであるアルマを同伴していたのである。
メイドのアルマは異世界から世界樹の客人としてオスマンサス公爵家に訪れ、今やラインハルトの伴侶でもある蓮見 咲玖の専属メイドだ。
少しお話をよろしいでしょうか、などとかしこまった様子で尋ねられれば、なにかイレギュラーが発生したのではと思っても仕方がない。ラインハルトは焦ったように立ち上がった。
「サクに何かあったのか?!」
「いいえ、サク様のことではございますが、サク様ご本人の問題ではございません」
オットーは至って冷静な顔色で、ラインハルトに再度座るよう促した。
「では、どうしたのだ? 二人そろって」
何やら二人のかしこまった様子にラインハルトが首をかしげると、オットーは、カツンとかかとを踏み鳴らし、姿勢を正した。
「はい、本日お話をさせていただきたいのはサク様と旦那様の閨事に関してでございます」
「ね、閨?!」
予想だにしていなかったオットーの言葉にラインハルトは思わず喉を詰める。
閨、つまり夫婦――正しく言えばラインハルトと咲玖は夫夫であるが――の寝室での情事。それについて話がある、などどう受け止めていいかさっぱりわからない。
オットーにもラインハルトの困惑が伝わったのだろう。オットーはラインハルトに向かって慇懃に腰を折った。
「一使用人であるわたくしめが申し上げるのはおこがましいことと重々承知はしております。ですが、筆頭執事としての立場から、この家に仕える者たちの声を正しく旦那様にお伝えすることもわたくしの役目でございます。どうか寛容なるお心を頂戴したく、お願い申し上げます」
「あ、あぁ、もちろんだ。話してくれ」
そうして聞いたオットーの話は、ラインハルトにとってなんとも耳が痛いものであった。
ラインハルトが咲玖と関係を持つようになってから、それまで抑え込んできた欲望を解き放つようにほとんど毎晩体を重ねている。
それが一度で終わる日はまだいい。だが、咲玖はラインハルトにとって性欲だけならまだしも、食欲までも満たしてくれる至高の存在。本能に刻まれた欲を簡単にはとどめることができず、日に何度も求めてしまうことも少なくない。
そうなれば、当然負担が大きいのは咲玖のほうだ。一晩のうちに貪りつくされた咲玖は翌朝なかなか起き上がることができずにいることも多い。
もちろん、そうなればラインハルトだって反省する。でも、夜になればまた最愛のケーキが無防備に同じベッドに上がるのだ。
今夜はキスだけ、と何とか自制しようとするも、もう少しだけ、あと一度だけ、と語りかける本能を振りほどくことは容易ではない。
もちろん無理を強いるようなことは決してしていない。咲玖も積極的にラインハルトを欲してくれるからこそ歯止めが利かないのだ。そこへ畳み掛けるように「大好き」などと愛をささやかれては、もともと虫の息である理性などあっさりと天に召されてしまう。
なんてあたかも仕方がないといった風に言い訳を重ねたが、要は我慢できない、それに限る。
だが、この問題がラインハルトと咲玖の間だけの話で終わるのであれば、おそらくオットーはラインハルトになにもいわなかっただろう。
それが、さらには使用人の問題にまで波及していてしまったために、こうして直接話をしに来たのだ。
まず、何より影響があったのは専属メイドであるアルマとエリーゼだという。
アルマたちはもとより美しい咲玖をさらに飾り立て、磨き上げることに心血を注いでおり、ラインハルトに上がってくる業務の報告でも、並々ならぬ情熱を語っていた。
しかし、ラインハルトと肌を重ねるようになると、咲玖は前の晩の情事が色濃く残る体をアルマたちに見せるのを恥じらい、肌を見せる必要のある手伝いをすべて拒否するようになってしまったのだという。
「もとよりサク様は、例えそれが難しいことであっても、お一人でなんでもやってしまおうとされるようなお方。だからこそ時間をかけて、少しずつお心を開いていただき、ようやく色々とお任せしていただけるようになってまいりましたのに……」
そこまで言うと、アルマははらはらと涙をこぼし始めた。
もとより咲玖はとても慎み深い。人前でのスキンシップも非常に恥じらうし、使用人たちに情事の後始末を任せることも非常に抵抗があるらしい――だからこそベッドの上だけで見せる大胆な姿にたまらなく興奮してしまうのだが――。
その人の性格は生まれ持ったものでもあるし、思考や感覚には育ってきた環境も大きく影響する。それこそ「気にしなくてもいい」と言って、何とかなるものではない。それを理解した上で、ラインハルトが配慮せねばならないことだったのだ。
「すまない、私の落ち度だ」
素直に謝意を示すと、アルマはあふれる涙をぐっと拭い、強いまなざしをもってラインハルトを見据えた。
「お世話をさせていただけないことはもちろん残念でございますし、寂しゅうございます。ですが、何よりもまずはサク様のお体が心配でなりません。もう少しご配慮いただけませんでしょうか」
アルマの言葉にラインハルトは思わずぐうっと喉を詰まらせたような声をあげた。
専属メイドであるアルマたちは朝の支度をするために毎朝一番に咲玖の私室へと訪れる。その際、なかなか起き上がれず、気だるさをにじませる咲玖を見て、ラインハルトに思うところがあるのは当然だろう。
強い意志のこもる瞳でこちらを見つめるアルマに、世話の件は咲玖と話をすること、そして、しっかりと配慮することを約束すると、アルマはお願いいたします、と深く頭を下げ部屋を出て行った。
ラインハルトは一心地ついてふうと息を漏らしたが、話はこれだけでは終わらない。
他の使用人からも、何とかしてほしいと嘆願が上がっているというのだ。
「内容といたしましては、サク様が寝不足なのではないか、といったことや、お体のご不調を心配する声ではございます。ですが、本筋は違います」
余りに真剣なオットーのまなざしに、ラインハルトはごくりと息をのんだ。
「端的に申し上げますと、サク様の色香にあてられる者が多く出ております」
「はっ?」
こちらの世界に訪れてから、咲玖は庭の手入れや、他の使用人の仕事を手伝っていたが、正式にラインハルトの伴侶となった今では、これまでオットーが担っていた屋敷の管理の仕事などを徐々に引き継いでいる。
それでも咲玖は時間を見つけては使用人の仕事を手伝ったり、公爵家の騎士団に差し入れをしたりと、屋敷全体に気を配っている。
咲玖がこちらの世界に訪れたばかりのころ、体の線は不安になるほど細く、人を警戒し、怯えるさまは同情を禁じえなかった。
しかし、ラインハルトや屋敷の者たちが誠心誠意寄り添ったかいあって、咲玖は少しばかり肉付きもよくなり、今ではよく明るい笑顔を見せる。
儚げな様子も十分に美しかったが、今の艶やかな姿はため息が出るほど美しい。
しかし、残念ながら当の本人はそのことに一切気が付いていない。もともと人懐っこい気質でもあるのだろう、無防備にもその美しい笑顔を分け隔てなく振りまいてしまう。
しかも、近頃ではラインハルト愛されることによって、肉感的な魅力まで加わっている。
本人は全く無意識のほんのちょっとしたしぐさ――例えば、気だるげに息をつく様子とか、腰をさする動作とか、うつらと眠たげに目を擦る姿とか――が、思わず息をのむほど色っぽいのだ。
当然、主人の伴侶に不埒なことを考えるような者はこの屋敷にはいない。だからこそ、『咲玖の体調を心配する声』として上がっているのだ。
でも、そう感じてしまうのは仕方がない。人の感情はコントロールできるようなものではない。特に若い男の多い騎士団の面々に咲玖の美しさは目の毒でしかないだろう。
そして、それは決して咲玖のせいではない。美しさは隠せるものではないし、何より隠させたくない。
つまりはこれも、しっかりとラインハルトが配慮しなければならないこと。
それなのに、なぜ今まで気づかなかったのか。
答えは簡単。ラインハルトも咲玖の色香に酔い、浮かれていたのだ。
「……少し控えたほうがよい、のか……」
「敬愛する旦那様の伴侶であられるサク様は、私共にとっても大切なお方でございます。日々、つつがなくお過ごしいただくことが我らの願いです。何より旦那様にとってもサク様のお体に差し障りがあることは望ましくないのではないでしょうか」
「もちろんだ」
使用人への配慮はもちろんだが、何より咲玖の体にももっと気を配らなければならなかった。それをいわれるまで気が付かないなど、屋敷の主人としてもサクの伴侶としてもなんと未熟なことか。
「忠言、感謝する」
オットーが退出し、一人残された執務室でラインハルトは「しっかりしろ」と両手で自分の頬を打った。
「ということなのだが……私が未熟なばかりに、すまなかった」
オットーとの話をかいつまみ――もちろん色香に中てられる者がいる、というところは割愛して――咲玖に話すと、咲玖は目を丸めた後、しゅんと眉を下げた。
「みんなに心配かけちゃってたなんて…俺も全然気を配ったりできなくて…悪いことしちゃったな」
「サクは悪くない」
うつむく咲玖を抱き寄せて腕の中に囲えば、金木犀の香りがふわりと広がる。
中庭にある金木犀の香りをかいでも、食欲がわくなどということは一切ないのに、サクの香りは美味しそうで堪らない。香りを吸い込めば吸い込んだ分だけ、体が熱くなっていく。
ざわざわと沸き上がってくる欲望に、ラインハルトは慌てて咲玖から体を離した。
「すまない、言った側から」
こらえ性がないにもほどがある。咲玖も呆れただろうと思わず頭を抱えていると、ついっと袖口をひかれた。
「……別にしちゃだめってわけじゃないでしょ?」
「あ、あぁまぁそうだが、連日はやはり咲玖の体に負担が、」
「一回くらいなら全然平気だし……。俺も、その…したいし……」
そう言った咲玖の上目遣いに、くらりとめまいがした。
でも、まだこの時までは自制できると思っていた。
ラインハルトは咲玖の色香――自分自身の理性の脆さも――を完全に甘く見ていた。
いつもならばつながる前に少なくとも一度は咲玖の精を口で受けるが、余り何度も達せさせてはやはり負担がかかる。だから今日は前戯を控えめにし、正常位でゆっくりとつながりながら、必死で理性を働かせる。
そのせいか、余計に咲玖の香りや温度をまざまざと感じてしまう。
まるでぬるま湯につかるようなこの緩やかな快楽をずっと味わっていたいと思ってしまう。
甘い香りに誘われるまま汗を滲ませる咲玖の肌に舌を這わせる。胸の中央にあるつんと尖った小さな赤い果実を食めば、身を悶えさせた咲玖がきゅうっとラインハルトの雄を締め上げた。
つながったところが堪らなく気持ち良くて、口に含んだ小さな果実は脳を溶かすほど甘い。
「んあっ、、いっしょだめぇ」
まだ体を重ね始めたばかりの頃の咲玖は、「そんなところ感じない」と言っていたが、今となっては、こうしてじっくりと味わうように舐ると、甘い嬌声を漏らし、体中から蜜を沸き上がらせる。ここだけで達してしまうこともあるほどだ。
でも、そんなことをすると翌日には赤くはれてしまい、怒らせてしまうこともしばしば――プンプンと怒る様も蕩けるほどにかわいらしい――。
そして、そんな状態をアルマたちにはとても見せられない! となるわけだ。
だから今日は少しだけ性感を高める程にしておかなければ。
仕上げと言わんばかりに音を立てて吸い上げると、咲玖は大きく体を震わせ、さらにきつく中を締めつけた。咲玖のかわいらしい昂りはとろとろと白濁した蜜を零してはいるが、まだ固く反り返っているから、緩やかに達したのだろう。
瞳にたまる涙を舐めとり、小刻みに痙攣する咲玖の両足を持ち上げ、少しだけ律動を早めた。
「あっ! あぁ、まって、いまイって……あぁんっ」
達した後の咲玖は特に敏感になる。
奥を突くたびに震える昂りから蜜を零し、喉をそらして喘ぐ姿に興奮が高められていく。その白く浮き上がる喉元に食らいつきながら、咲玖を穿つ。
「サク、サクっ」
「あぁっライ、あっぅん~~っ」
名を呼びながら一際強く腰を押し付け、同時に射精した。
頭が白みそうになるほどの快感と、その後の満足感を堪能しながらゆっくりと体を離す。その下でぐったりとベッドに体を預けていた咲玖を見下ろして、思わず息をのんだ。
潤んだ黒曜石の瞳からは涙がつたい、食らいついた白い喉にはいくつもの赤い痕が浮かぶ。胸元の小さな果実はぷっくりと赤く膨らみ、唾液に濡れてテラテラと部屋に灯る薄明かりを反射している。腹は咲玖自身が零した蜜にまみれ、先ほどまで飲み込んでいたラインハルトの容のままひくひくと縁を震わせる秘部は、ラインハルトが中に放った白濁を滴らせていた。
そのあられもない姿に、本来ならばラインハルトは反省しなければならなかった。また、やりすぎてしまったと。
でも、肌を重ねた余韻と、実際に甘い香りとなって放たれる咲玖の色香にラインハルトは完全に思考を奪われていた。
そして、トドメの一撃が咲玖から放たれる。
「……今日はもう、おしまい……?」
名残惜しげなその声に、ブツリと理性の糸が焼き切れる音が頭に響いた。
そうして迎えた翌日、場面は冒頭に戻る。
「サク様は本日も起き上がることができない状態だったとアルマから聞いております」
静かな声の中で「も」の部分がいやに強調されていた気がするが、きっと気のせいではない。
今目の前に立つオットーと同じように、アルマも「昨日の今日で!」と憤っているだろう。
だって、昨夜の咲玖もそれはそれは甘く美味で、眩いほど美しかったのだ。それこそ、理性など吹っ飛ばすほどに。今でもその姿を思い浮かべるだけで沸き上がってくる欲望に身震いしてしまう。
「昨日お話しさせていただいたことはご理解いただけたと思っておりましたが」
「い、いや、もちろん理解している。だが……」
愛しい我が伴侶を前にして我慢などできるはずがなかったのだ。なんて恥も外聞もなく言い訳などできるはずもなく。
「……面目ない」
ラインハルトは頭を垂れることしかできない。
そんなラインハルトの様子を見て、オットーはふうっと息を吐いた後、困った顔のまま微笑んだ。
「個人的なことだけを申しますと、主ご夫夫が仲睦まじいご様子をじいは非常に嬉しく思っております」
予想外の言葉にラインハルトは顔を上げた。その先に立つオットーは、さっきとは打って変わって、幼いころ、優しく見守ってくれていた頃のように優しい微笑みでラインハルトを見つめている。
ラインハルトを幼いころから見守り、置かれた境遇もこれまでの葛藤もよく知っているオットーであるからこその想いなのだろう。
オットーの言葉にラインハルトはじんわりと胸が温かくなる心地がした。
「ありがとう、オットー」
「いいえ、滅相もございません。ですが、どうぞ昨日の件もお心にお留めくださいますようお願いいたします」
胸に手を当て、美しく礼をするオットーの姿に、今日こそは、と決意も新たに静かな執務室の中で一人、ラインハルトは書類を手に取った。
今日も風に揺れる木々のさざめきと、さえずる鳥たちの声が響く静かなオスマンサス公爵邸。その廊下を歩きながら、オットーはラインハルトとの先ほどのやり取りを思い起こしていた。
――果たして、旦那様が配慮できるようになるのが先か、はたまた使用人たちが慣れるのが先か。
差し込む日の光に目を細めながら、オットーはふふっと笑みをこぼした。
だって、
『フォークの公爵様は異世界から訪れたケーキを愛してやまない』のだから。
初代から代々使われてきたその執務机において、当代の当主であるラインハルトは両肘を天板につき、組んだ両手を額に当てながら頭を垂れていた。
そしてその前に立つは、公爵家の筆頭執事であるオットー・シュレーゼマン。彼はラインハルトの祖父である初代当主からオスマンサス公爵家を支える最古参であり、ラインハルトも幼少期から世話になっている。そのせいもあってか、今もラインハルトにとっては頭の上がらない一人だ。
とは言え、あくまでも主人と使用人。オットーも当然それをわきまえたうえで、ラインハルトに仕えてきた。
そんな彼は今、足をそろえて背を伸ばし、執事として正しく美しい姿でラインハルトの前に立っている。しかし、いつも穏やかに微笑むその顔には怒りのにじむ青筋がはっきりとこめかみに浮かぶ。
これまで感じたことのない威圧を背負うオットーを前に、ラインハルトは己の未熟さを猛省するほかなかった。
事の起こりは昨日のこと。
ラインハルトが書類仕事をこなしていると珍しくオットーがやってきた。さらに珍しいことにメイドであるアルマを同伴していたのである。
メイドのアルマは異世界から世界樹の客人としてオスマンサス公爵家に訪れ、今やラインハルトの伴侶でもある蓮見 咲玖の専属メイドだ。
少しお話をよろしいでしょうか、などとかしこまった様子で尋ねられれば、なにかイレギュラーが発生したのではと思っても仕方がない。ラインハルトは焦ったように立ち上がった。
「サクに何かあったのか?!」
「いいえ、サク様のことではございますが、サク様ご本人の問題ではございません」
オットーは至って冷静な顔色で、ラインハルトに再度座るよう促した。
「では、どうしたのだ? 二人そろって」
何やら二人のかしこまった様子にラインハルトが首をかしげると、オットーは、カツンとかかとを踏み鳴らし、姿勢を正した。
「はい、本日お話をさせていただきたいのはサク様と旦那様の閨事に関してでございます」
「ね、閨?!」
予想だにしていなかったオットーの言葉にラインハルトは思わず喉を詰める。
閨、つまり夫婦――正しく言えばラインハルトと咲玖は夫夫であるが――の寝室での情事。それについて話がある、などどう受け止めていいかさっぱりわからない。
オットーにもラインハルトの困惑が伝わったのだろう。オットーはラインハルトに向かって慇懃に腰を折った。
「一使用人であるわたくしめが申し上げるのはおこがましいことと重々承知はしております。ですが、筆頭執事としての立場から、この家に仕える者たちの声を正しく旦那様にお伝えすることもわたくしの役目でございます。どうか寛容なるお心を頂戴したく、お願い申し上げます」
「あ、あぁ、もちろんだ。話してくれ」
そうして聞いたオットーの話は、ラインハルトにとってなんとも耳が痛いものであった。
ラインハルトが咲玖と関係を持つようになってから、それまで抑え込んできた欲望を解き放つようにほとんど毎晩体を重ねている。
それが一度で終わる日はまだいい。だが、咲玖はラインハルトにとって性欲だけならまだしも、食欲までも満たしてくれる至高の存在。本能に刻まれた欲を簡単にはとどめることができず、日に何度も求めてしまうことも少なくない。
そうなれば、当然負担が大きいのは咲玖のほうだ。一晩のうちに貪りつくされた咲玖は翌朝なかなか起き上がることができずにいることも多い。
もちろん、そうなればラインハルトだって反省する。でも、夜になればまた最愛のケーキが無防備に同じベッドに上がるのだ。
今夜はキスだけ、と何とか自制しようとするも、もう少しだけ、あと一度だけ、と語りかける本能を振りほどくことは容易ではない。
もちろん無理を強いるようなことは決してしていない。咲玖も積極的にラインハルトを欲してくれるからこそ歯止めが利かないのだ。そこへ畳み掛けるように「大好き」などと愛をささやかれては、もともと虫の息である理性などあっさりと天に召されてしまう。
なんてあたかも仕方がないといった風に言い訳を重ねたが、要は我慢できない、それに限る。
だが、この問題がラインハルトと咲玖の間だけの話で終わるのであれば、おそらくオットーはラインハルトになにもいわなかっただろう。
それが、さらには使用人の問題にまで波及していてしまったために、こうして直接話をしに来たのだ。
まず、何より影響があったのは専属メイドであるアルマとエリーゼだという。
アルマたちはもとより美しい咲玖をさらに飾り立て、磨き上げることに心血を注いでおり、ラインハルトに上がってくる業務の報告でも、並々ならぬ情熱を語っていた。
しかし、ラインハルトと肌を重ねるようになると、咲玖は前の晩の情事が色濃く残る体をアルマたちに見せるのを恥じらい、肌を見せる必要のある手伝いをすべて拒否するようになってしまったのだという。
「もとよりサク様は、例えそれが難しいことであっても、お一人でなんでもやってしまおうとされるようなお方。だからこそ時間をかけて、少しずつお心を開いていただき、ようやく色々とお任せしていただけるようになってまいりましたのに……」
そこまで言うと、アルマははらはらと涙をこぼし始めた。
もとより咲玖はとても慎み深い。人前でのスキンシップも非常に恥じらうし、使用人たちに情事の後始末を任せることも非常に抵抗があるらしい――だからこそベッドの上だけで見せる大胆な姿にたまらなく興奮してしまうのだが――。
その人の性格は生まれ持ったものでもあるし、思考や感覚には育ってきた環境も大きく影響する。それこそ「気にしなくてもいい」と言って、何とかなるものではない。それを理解した上で、ラインハルトが配慮せねばならないことだったのだ。
「すまない、私の落ち度だ」
素直に謝意を示すと、アルマはあふれる涙をぐっと拭い、強いまなざしをもってラインハルトを見据えた。
「お世話をさせていただけないことはもちろん残念でございますし、寂しゅうございます。ですが、何よりもまずはサク様のお体が心配でなりません。もう少しご配慮いただけませんでしょうか」
アルマの言葉にラインハルトは思わずぐうっと喉を詰まらせたような声をあげた。
専属メイドであるアルマたちは朝の支度をするために毎朝一番に咲玖の私室へと訪れる。その際、なかなか起き上がれず、気だるさをにじませる咲玖を見て、ラインハルトに思うところがあるのは当然だろう。
強い意志のこもる瞳でこちらを見つめるアルマに、世話の件は咲玖と話をすること、そして、しっかりと配慮することを約束すると、アルマはお願いいたします、と深く頭を下げ部屋を出て行った。
ラインハルトは一心地ついてふうと息を漏らしたが、話はこれだけでは終わらない。
他の使用人からも、何とかしてほしいと嘆願が上がっているというのだ。
「内容といたしましては、サク様が寝不足なのではないか、といったことや、お体のご不調を心配する声ではございます。ですが、本筋は違います」
余りに真剣なオットーのまなざしに、ラインハルトはごくりと息をのんだ。
「端的に申し上げますと、サク様の色香にあてられる者が多く出ております」
「はっ?」
こちらの世界に訪れてから、咲玖は庭の手入れや、他の使用人の仕事を手伝っていたが、正式にラインハルトの伴侶となった今では、これまでオットーが担っていた屋敷の管理の仕事などを徐々に引き継いでいる。
それでも咲玖は時間を見つけては使用人の仕事を手伝ったり、公爵家の騎士団に差し入れをしたりと、屋敷全体に気を配っている。
咲玖がこちらの世界に訪れたばかりのころ、体の線は不安になるほど細く、人を警戒し、怯えるさまは同情を禁じえなかった。
しかし、ラインハルトや屋敷の者たちが誠心誠意寄り添ったかいあって、咲玖は少しばかり肉付きもよくなり、今ではよく明るい笑顔を見せる。
儚げな様子も十分に美しかったが、今の艶やかな姿はため息が出るほど美しい。
しかし、残念ながら当の本人はそのことに一切気が付いていない。もともと人懐っこい気質でもあるのだろう、無防備にもその美しい笑顔を分け隔てなく振りまいてしまう。
しかも、近頃ではラインハルト愛されることによって、肉感的な魅力まで加わっている。
本人は全く無意識のほんのちょっとしたしぐさ――例えば、気だるげに息をつく様子とか、腰をさする動作とか、うつらと眠たげに目を擦る姿とか――が、思わず息をのむほど色っぽいのだ。
当然、主人の伴侶に不埒なことを考えるような者はこの屋敷にはいない。だからこそ、『咲玖の体調を心配する声』として上がっているのだ。
でも、そう感じてしまうのは仕方がない。人の感情はコントロールできるようなものではない。特に若い男の多い騎士団の面々に咲玖の美しさは目の毒でしかないだろう。
そして、それは決して咲玖のせいではない。美しさは隠せるものではないし、何より隠させたくない。
つまりはこれも、しっかりとラインハルトが配慮しなければならないこと。
それなのに、なぜ今まで気づかなかったのか。
答えは簡単。ラインハルトも咲玖の色香に酔い、浮かれていたのだ。
「……少し控えたほうがよい、のか……」
「敬愛する旦那様の伴侶であられるサク様は、私共にとっても大切なお方でございます。日々、つつがなくお過ごしいただくことが我らの願いです。何より旦那様にとってもサク様のお体に差し障りがあることは望ましくないのではないでしょうか」
「もちろんだ」
使用人への配慮はもちろんだが、何より咲玖の体にももっと気を配らなければならなかった。それをいわれるまで気が付かないなど、屋敷の主人としてもサクの伴侶としてもなんと未熟なことか。
「忠言、感謝する」
オットーが退出し、一人残された執務室でラインハルトは「しっかりしろ」と両手で自分の頬を打った。
「ということなのだが……私が未熟なばかりに、すまなかった」
オットーとの話をかいつまみ――もちろん色香に中てられる者がいる、というところは割愛して――咲玖に話すと、咲玖は目を丸めた後、しゅんと眉を下げた。
「みんなに心配かけちゃってたなんて…俺も全然気を配ったりできなくて…悪いことしちゃったな」
「サクは悪くない」
うつむく咲玖を抱き寄せて腕の中に囲えば、金木犀の香りがふわりと広がる。
中庭にある金木犀の香りをかいでも、食欲がわくなどということは一切ないのに、サクの香りは美味しそうで堪らない。香りを吸い込めば吸い込んだ分だけ、体が熱くなっていく。
ざわざわと沸き上がってくる欲望に、ラインハルトは慌てて咲玖から体を離した。
「すまない、言った側から」
こらえ性がないにもほどがある。咲玖も呆れただろうと思わず頭を抱えていると、ついっと袖口をひかれた。
「……別にしちゃだめってわけじゃないでしょ?」
「あ、あぁまぁそうだが、連日はやはり咲玖の体に負担が、」
「一回くらいなら全然平気だし……。俺も、その…したいし……」
そう言った咲玖の上目遣いに、くらりとめまいがした。
でも、まだこの時までは自制できると思っていた。
ラインハルトは咲玖の色香――自分自身の理性の脆さも――を完全に甘く見ていた。
いつもならばつながる前に少なくとも一度は咲玖の精を口で受けるが、余り何度も達せさせてはやはり負担がかかる。だから今日は前戯を控えめにし、正常位でゆっくりとつながりながら、必死で理性を働かせる。
そのせいか、余計に咲玖の香りや温度をまざまざと感じてしまう。
まるでぬるま湯につかるようなこの緩やかな快楽をずっと味わっていたいと思ってしまう。
甘い香りに誘われるまま汗を滲ませる咲玖の肌に舌を這わせる。胸の中央にあるつんと尖った小さな赤い果実を食めば、身を悶えさせた咲玖がきゅうっとラインハルトの雄を締め上げた。
つながったところが堪らなく気持ち良くて、口に含んだ小さな果実は脳を溶かすほど甘い。
「んあっ、、いっしょだめぇ」
まだ体を重ね始めたばかりの頃の咲玖は、「そんなところ感じない」と言っていたが、今となっては、こうしてじっくりと味わうように舐ると、甘い嬌声を漏らし、体中から蜜を沸き上がらせる。ここだけで達してしまうこともあるほどだ。
でも、そんなことをすると翌日には赤くはれてしまい、怒らせてしまうこともしばしば――プンプンと怒る様も蕩けるほどにかわいらしい――。
そして、そんな状態をアルマたちにはとても見せられない! となるわけだ。
だから今日は少しだけ性感を高める程にしておかなければ。
仕上げと言わんばかりに音を立てて吸い上げると、咲玖は大きく体を震わせ、さらにきつく中を締めつけた。咲玖のかわいらしい昂りはとろとろと白濁した蜜を零してはいるが、まだ固く反り返っているから、緩やかに達したのだろう。
瞳にたまる涙を舐めとり、小刻みに痙攣する咲玖の両足を持ち上げ、少しだけ律動を早めた。
「あっ! あぁ、まって、いまイって……あぁんっ」
達した後の咲玖は特に敏感になる。
奥を突くたびに震える昂りから蜜を零し、喉をそらして喘ぐ姿に興奮が高められていく。その白く浮き上がる喉元に食らいつきながら、咲玖を穿つ。
「サク、サクっ」
「あぁっライ、あっぅん~~っ」
名を呼びながら一際強く腰を押し付け、同時に射精した。
頭が白みそうになるほどの快感と、その後の満足感を堪能しながらゆっくりと体を離す。その下でぐったりとベッドに体を預けていた咲玖を見下ろして、思わず息をのんだ。
潤んだ黒曜石の瞳からは涙がつたい、食らいついた白い喉にはいくつもの赤い痕が浮かぶ。胸元の小さな果実はぷっくりと赤く膨らみ、唾液に濡れてテラテラと部屋に灯る薄明かりを反射している。腹は咲玖自身が零した蜜にまみれ、先ほどまで飲み込んでいたラインハルトの容のままひくひくと縁を震わせる秘部は、ラインハルトが中に放った白濁を滴らせていた。
そのあられもない姿に、本来ならばラインハルトは反省しなければならなかった。また、やりすぎてしまったと。
でも、肌を重ねた余韻と、実際に甘い香りとなって放たれる咲玖の色香にラインハルトは完全に思考を奪われていた。
そして、トドメの一撃が咲玖から放たれる。
「……今日はもう、おしまい……?」
名残惜しげなその声に、ブツリと理性の糸が焼き切れる音が頭に響いた。
そうして迎えた翌日、場面は冒頭に戻る。
「サク様は本日も起き上がることができない状態だったとアルマから聞いております」
静かな声の中で「も」の部分がいやに強調されていた気がするが、きっと気のせいではない。
今目の前に立つオットーと同じように、アルマも「昨日の今日で!」と憤っているだろう。
だって、昨夜の咲玖もそれはそれは甘く美味で、眩いほど美しかったのだ。それこそ、理性など吹っ飛ばすほどに。今でもその姿を思い浮かべるだけで沸き上がってくる欲望に身震いしてしまう。
「昨日お話しさせていただいたことはご理解いただけたと思っておりましたが」
「い、いや、もちろん理解している。だが……」
愛しい我が伴侶を前にして我慢などできるはずがなかったのだ。なんて恥も外聞もなく言い訳などできるはずもなく。
「……面目ない」
ラインハルトは頭を垂れることしかできない。
そんなラインハルトの様子を見て、オットーはふうっと息を吐いた後、困った顔のまま微笑んだ。
「個人的なことだけを申しますと、主ご夫夫が仲睦まじいご様子をじいは非常に嬉しく思っております」
予想外の言葉にラインハルトは顔を上げた。その先に立つオットーは、さっきとは打って変わって、幼いころ、優しく見守ってくれていた頃のように優しい微笑みでラインハルトを見つめている。
ラインハルトを幼いころから見守り、置かれた境遇もこれまでの葛藤もよく知っているオットーであるからこその想いなのだろう。
オットーの言葉にラインハルトはじんわりと胸が温かくなる心地がした。
「ありがとう、オットー」
「いいえ、滅相もございません。ですが、どうぞ昨日の件もお心にお留めくださいますようお願いいたします」
胸に手を当て、美しく礼をするオットーの姿に、今日こそは、と決意も新たに静かな執務室の中で一人、ラインハルトは書類を手に取った。
今日も風に揺れる木々のさざめきと、さえずる鳥たちの声が響く静かなオスマンサス公爵邸。その廊下を歩きながら、オットーはラインハルトとの先ほどのやり取りを思い起こしていた。
――果たして、旦那様が配慮できるようになるのが先か、はたまた使用人たちが慣れるのが先か。
差し込む日の光に目を細めながら、オットーはふふっと笑みをこぼした。
だって、
『フォークの公爵様は異世界から訪れたケーキを愛してやまない』のだから。
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