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5. バーデルンの街で
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『世界樹の客人』、蓮見 咲玖がオスマンサス公爵家を訪れてはや一カ月が経った。
この世界へ訪れてすぐ、何か欲しいものや、したいことはないかと尋ねると、少し悩んでから咲玖はこの世界のことが学びたいと言った。そして、「仕事が欲しい」とも。
咲玖は客人なのだから働く必要はないと言ったが、「働かざる者食うべからず」という言葉が咲玖の国にはあるのだと教えてくれた。なんと勤勉で謙虚な国なのか。偉ぶるだけで何もしないこの国の貴族どもにぜひ聞かせてやりたい。
そんな経緯もあり、咲玖は今、庭師のカールと共に庭仕事をしながら、筆頭執事のオットーに付いてこの家や国のことなどを学んでいる。オットーが執事としての業務がある日は他の使用人たちの仕事を手伝ったり、別邸にある図書室で本を読んだりして過ごしていると言っていた。
最初は警戒心の強かった咲玖もすぐにこの家に慣れ、使用人たちとはずいぶんと打ち解けたようだ。何より、咲玖は何事も器用にこなし、かつ優秀だった。カールは咲玖の庭師としてのセンスの良さを興奮気味に語り、オットーは理解力の高さと飲み込みの速さを孫の自慢をするかの如く話した。
それに、咲玖は非常に働き者だった。ほかの使用人からも、一緒に荷物を運んで下さった、とか、窓掃除を手伝って下さった、とか、毎日のように労働にいそしむ様子が報告に上がってくる。
それだけではない。手伝って下さったお礼に飴を差し上げたら、とてもかわいらしく喜んでくださった、とか、シーツの洗濯を一緒にしていたら、滑ってびしょぬれになってしまったけれど、とても楽しそうに笑っていらした、とか、なんとも愛らしい報告までくる。その度に『見たかった』とラインハルトは身もだえた。
もちろん、ラインハルトも咲玖と仲を深めるために、朝食時に今日の予定を聞き、夕食時に今日したことを聞くという日課を作っている。だが、その時間もただの業務報告のようであり、それ以外での接触がほぼないこともあって距離は全く近づいていない。
と言うのも、咲玖は今でもラインハルトと接するとき緊張した様子を見せる。一緒にいても必ず一定以上の距離を取られてしまうため近付けない。物理的にも、心理的にも、だ。
話している時もほとんど目線が合わないし、触れようとするとさりげなく避けられる。最近では、そもそも触れられる距離まで近づいてきてくれない。
呼び方だっていまだに『公爵様』のままだ。
でも、その近づかない距離は、ラインハルトが咲玖に抱く邪な気持と、心の奥底で疼く“欲望”を見透かされているせいかもしれない。そうと思うと、無理に距離を詰めるようなこともできずにいた。
そんな状況を打破するために、今日は視察という名目で咲玖と街に出る約束している。咲玖がこちらの世界に来てから初めての外出になる。
昨夜は楽しみすぎて何度も目が覚めてしまい、休暇にはしゃぐ子供のようだと自分でも苦笑しか出ない。でも、やはり行きたくないと言われたら、ラインハルトと一緒はイヤだ、などと言われたら、なんて不安が今になって立ち始め、味がしないコーヒーの匂いまで感じ取れなくなってきた。
そうこうしている間に食堂のドアが開き、今日は襟がリボンのように結ばれた白いシャツと黒いパンツをはいた咲玖が入ってきた。
「おはよう、サク。体調は問題ないかい?」
「おはよう。大丈夫だよ」
「よかった。朝食を食べたら早速出掛けようか」
「うん」
どうやら出掛けることは出来そうだとラインハルトは密かに胸を撫で下ろした。
今日の朝食は、チーズとハムを乗せたパンと、スクランブルエッグ。そして、この季節によく食べられるカリンのコンポートとヨーグルトだ。
咲玖がこの家に訪れてくれて感謝したことの一つはこの“食事の時間”だ。
ラインハルトは食事をとらない。
そのせいでこの家のシェフはいつもその腕を持て余していた。
もちろん何か食べなければ死んでしまうから生命と体型の維持に必要な“栄養”は摂取しているが、咲玖が訪れるまでは仕事の合間に片手間にすませており、食事の体はとっていなかった。
そうなったのは、ラインハルトが十二歳になった頃のことだった。
高熱に侵され数日間生死をさまよい、目を覚ました後、ラインハルトは『味覚』を失っていた。
もちろん様々な治療を試みたが、結局治ることなく、今もどんなものも味を感じることはない。嗅覚はあるためコーヒーは香りを好んで飲んでいるが、その他のものは口に入れても砂を噛んでいるような不快感すらある。
もともとさほど食に興味が強い方ではなかったが、それでも三大欲求の一つともいわれる“食欲”が満たない飢餓感は精神もすり減らせた。
それをごまかすように仕事に没頭していたが、今は目の前で咲玖がおいしそうに食事をする姿を見ているだけでラインハルトも腹が満たされていくような心地になる。
「……それって何が入ってるの?」
咲玖がチラリと見たラインハルトがコーヒーと共に口にする四角形の塊は、ラインハルトのためにこの家のシェフが研究の末作り上げた特製の“完全栄養食品”なるもの。食感としてはソフトクッキーに近いが、実はラインハルトも詳細は知らない。もう十年近く普段はこれとコーヒーしか口にしていないが、体調には一切問題ないから非常に優れた“食べ物”だと思っている。
「食べてみるかい? オットーはおいしくないと言っていたが」
「や、やめとく」
この家に訪れてすぐ、熱病の後遺症で味覚がないことを伝えると、咲玖は小さく「そっか」とだけ呟いた。哀れみ励ましも口にしなかった咲玖の反応はラインハルトにとっては好ましいものだった。
そこに隠された咲玖の感情を知ったのはもう少し後のことだった。
朝食を終え、早速馬車に乗り屋敷を出た。バーデルンは基本的には治安のよい街であるが、様々な国の船が行きかう港付近は大なり小なり問題が起こりやすい。
『世界樹の客人』である咲玖は特別で、極めて大切な存在であるため、もちろん数人の護衛を同行させている。
馬車の中で咲玖は窓の外を何度も覗いては終始そわそわとしていた。そのかわいらしい様子につい髪を撫でたくなる。でも、ただでさえ二人っきりの空間で咲玖に警戒心を抱かせるわけにはいかない。心の中で悶えるだけに留め、自分を律する。
そうしているうちに、街の入り口に到着した。先に馬車から降りたラインハルトが、すっと咲玖に向かって手を差し出すと、咲玖は顔を赤くして少し狼狽えた後、唇を尖らせたまま、差し出された手を取って馬車を降りた。
そのかわいらしさにこのまま手を引いて抱きしめてしまいたいとすら思う。ラインハルトはこの情動が、自分の持つどの感情から来るのか、若しくは許されない欲望から来るものなのかまだ判断できずにいた。
「サク、何か欲しいものがあれば言いなさい」
港に続く道なりにはその日港に上がった新鮮な魚介類はもちろん、海外の珍しい食べ物や、民芸品、工芸品などを売る店が連なっている。朝は市が開かれ混雑するため、咲玖の安全を第一に少し時間をずらしてきた。それでも街には多くの人々が行きかい、賑わいを見せている。
咲玖はその特徴的な黒髪を隠すために白いローブを頭からかぶっているが、その下に覗く黒い瞳が興奮気味に輝いている様子を見て、『なんでも与えてやりたい』なんて気持ちになる。以前友人が惚れ込んだ相手に贈るものを次々と買い込む様子を呆れ気味に見ていたことがあるが、今ならその気持ちがわかる。
でも、咲玖は非常に謙虚で、これまでに“おねだり”なんてされたことは一度もないし、贈り物なんてした日には顔を青ざめさせそうな気がする。
服だって、もっと咲玖に合うものを新しく仕立てようとしたのに全力で拒まれ、結局は今もラインハルトのお古を着ている。もっと着飾ってやりたいが、咲玖の意思を尊重したほうがいいというオットーの助言のもと、あんな服はどうだろう、こんな服もきっと似合う、などと想像するにとどめている。
――服でも物でも、今日こそは何かよいものを買ってやりたいが……。
横を歩く咲玖をチラリと見ると、キラキラとした瞳で楽しそうにあたりを見回していた。ふうっと小さく息を吐き、そのかわいらしい様子を見守っていると、少し先にある商店から何やらもめるような声が聞こえてきた。
「ダメだね、このままでは買い取れないよ」
「そう言いなや~。ええもんなんは保証するって!」
「あんたに保証されても意味ないわ。ちゃんと訳したやつ持ってきな」
見覚えのある茶色の髪と、訛りのあるベラーブル語。店の買い付け人ともめていたのは、オスマンサス公爵家にも出入りのある商人だった。
ラインハルトは咲玖に少しそばを離れると伝え、その商人に声をかけた。
「ユーリ、どうかしたのか」
「おっ旦那、ちょうどええとこに来よった!」
この商人、ユーリがいうには、ベラーブル王国の東方にあるシンという国の工芸茶が手に入ったため持ってきたが、保証書も説明書もすべてシン語で書かれているためこのままでは買い取れないと言われたとのことだった。
「見るだけでもええもんだってわかるやろ? それでええがなぁ」
「あんたねぇ、こっちだって何かわからないものを買い取るわけにはいかないんだよ」
「だから、茶だって言ってるやないか。このまま湯に入れればえぇんやて!」
シンは東方の大国で、ベラーブル王国から陸路で三カ月、海路でも一カ月近くかかる距離にある遠方の国だ。そのため、シンのものは希少価値が高く、高額で取引をされる。ところが、言語体系がベラーブル王国のものと大きく違うため、通訳や翻訳をできる者の数が少ない。そのせいで、シン国産と偽った物も多く出回っているのが現状だ。
ユーリが持ってきたという品物は、小さな草が丸く固まったような形で、花のような甘い香りがする。見るからに珍しいし、確かに品質もよさそうだ。だが、明確なのは“工芸茶”だということだけで、詳細は不明らしい。ユーリの言い分も買い付け人の言い分もわかるだけに、どうしたものかと考えているとひょっこりと後ろから咲玖が顔を出した。
「花茶?」
その場にいた全員が咲玖をばっと見ると、それに驚いた咲玖はラインハルトの後ろに隠れてしまった。その行動にラインハルトがまた一人で悶えていると、ユーリがラインハルト越しに咲玖をグイッとのぞき込んだ。
「あんた、これが何かわかるんか?」
「えっわかんないけど……、その箱に『花茶』って書いてあるから……」
無意識なのか、ラインハルトの服をぎゅっと握りながらおどおどと話す咲玖がかわいくてかわいくて、とっさに反応できなかったが、咲玖が言った「箱に書いてある」という文字に目を遣る。そこにはシンの文字で何か書かれているが、ラインハルトには読めない。
ここでようやくハッした。咲玖は言語において不便がないよう世界樹に加護を受けている。もしかしたら、と思いユーリが持っていたお茶の説明書を咲玖に手渡した。
「サク、これが読めるかい?」
「えっ? う、うん。読めばいいの? えっと、まず、ポットをお湯ですすいで軽く温めます。次に、茶葉をひとつポットに入れ、沸騰した熱いお湯を注ぎます。ゆっくりと茶葉が開いてお花が咲くのを眺めながら、四~五分待てば飲み頃です。だって」
ほぼできるだろうと確信していたラインハルトでも驚いたが、ユーリたちの驚きはその比ではなかった。二人とも目を丸くして咲玖の方を見ている。
これは、とラインハルトは驚きついでにもう一つ試してみることにした。
「ユーリ、フォレドの言葉で彼に話しかけてみてくれないか?」
「えっなんで?」
「いいから、自己紹介でもして」
ユーリはラインハルトに少し怪訝な顔をして見せたが、すぐに「まぁいいか」と言う顔でコホンと咳払いをし、胸に手を当て咲玖に礼をした。
〚私はフォレド王国の商人、ユーリと申します。以後お見知りおきを、かわいらしいお嬢さん〛
ラインハルトもフォレドの言葉はわかるため、ユーリの言葉にあきれ顔で眉をひそめたが、咲玖は爆ぜたように顔を赤くした。
〚お、お嬢さんじゃないし……!〛
〚フォレドの言葉が話せるのか?!〛
ユーリの出身国、フォレド王国はベラーブル王国から南へ船で二時間ほど行ったところにある島国で、南国のリゾート地として名高い。ベラーブル王国からの観光客や移住者が多いことから、国民の大多数がベラーブルの言葉を使う。そのため、現地民以外でフォレドの言葉を話せるものはほとんどいない。
おそらく、咲玖は世界樹に与えられた加護によって、言語を自動的に相互変換しているのだろう。
「サク、本当にきみは素晴らしいよ!」
ラインハルトは感動のあまり勢いよく咲玖を抱き上げた。あっと思った時にはもう遅く、咲玖は声にならない悲鳴を上げて、顔を赤くしている。
「す、すまない」
慌てて降ろすと、咲玖はすぐにラインハルトからさっと距離を取った。これ以上警戒心を抱かせないように気を付けようとあれほど思っていたのに、やってしまった。ラインハルトはがっくりと肩を落とすしかなかった。
気まずくなってしまったこともあり、その日は結局咲玖に何も買い与えることができず、「おいしそう」と咲玖が呟いた言葉を何とか拾いとった魚やフルーツなどを買って屋敷へ帰ることにした。
戻ってすぐに咲玖は私室へと引きこもってしまい、ラインハルトはすごすごと執務室に戻った。
今日、視察した街の様子をまとめながら、咲玖が世界樹から授かった“言語能力”について考える。ベラーブルは貿易が盛んな国であり、翻訳、通訳と言った仕事の需要が高い。だが、一朝一夕で身に着けられる能力ではないし、専門的な知識も必要となるため、担い手は少なく、ラインハルトもたびたび頭を悩ませていた。
咲玖をラインハルトの専属通訳にして仕事を手伝ってもらうのはどうだろうか、なんてちょっと下心を含めた思い付きにしょぼくれていた気持ちを少し持ち直したところに、ノックの音が鳴った。
「誰だ」
「旦那様、オットーです。ユーリウス様がお越しですが、いかがなさいますか」
「オットー、この格好の時はその名で呼ぶなっていつも言ってるやないか。まぁえぇわ、邪魔するで」
ラインハルトの返事を待たず、勝手にドアを開けて入ってきたのは先ほど街であったフォレド王国の商人、ユーリだった。
「何の用だ」
「おうおう、冷たいなぁ。せっかく遊びに来たったのに」
「私はきみと遊んでいるほど暇ではないんだが」
「相変わらず面白みのないやつやな。でも今日外で会った時のお前さんはなかなかおもろかったで」
ふっとからかうように笑うユーリにラインハルトは思わず眉根を寄せる。ユーリとは商人としてもそれ以外でも長い付き合いになるが、何ものにも縛られず、好きに生きるこの男が少し苦手だ。
「今日、一緒におった“お嬢さん”、あれが『世界樹の客人』やな?」
「女性と一緒にいた覚えはない」
書類に視線を落としたまま、冷ややかな態度のラインハルトにユーリは不満を隠さず唇を尖らせた。
「ほんまに遊び心がないやつや! そないやさかい、未だに懐いてもろてへんのと違うか?」
ユーリの言葉にラインハルトは手を止め、思わずユーリを睨んだ。ラインハルトが視線を上げたことで気をよくしたらしいユーリは、また憎らしげにふふんと笑い、ゆっくりと足を組み替えた。その余裕気な態度がさらにラインハルトをいらだたせる。
「サク、と言うたか? かわいらしい子やな。しかもあれ、言語の自動相互変換。世界樹の加護やろ? えぇなぁ。オレも欲しくなってしもたわ」
「……サクはオスマンサス公爵家の客人だ」
「そやな、でも本人が望んで来たわけやない」
ユーリは世界を回る商人だけあり、非常に口が長けている。こうやって的確に相手の弱いところを突き、自分が優位な状況を作ってから無理やり交渉の壇上に上がらせる。ユーリのこういうところが嫌なのだ。
黙っていると、ユーリは立ち上がってラインハルトが座る執務机にトンと両手をついた。
「オレは二週間後にこの国を発つ。それまでに、お前よりサクと仲良くなってみせる。そしたら、一緒に連れて行くからな」
先ほどまでの少し茶化すような雰囲気をスッと消し、ユーリはその自信をラインハルトに見せつけるように口の端を上げた。
本気だ、と言うことなのだろう。
「……普通に話せるのになぜわざわざいつも地方の言葉を使ってるんだ」
「“普通”なんておもんないからに決まっとるやろ」
つくづく食えないやつだと、ラインハルトは心の中で舌を打った。
世界樹の客人は、お互いに必要とする人と巡り会うためにこちらの世界に招かれると言われている。
“その人”がラインハルトであればいいと咲玖がここへ来た時からずっと思っている。でも、今の状態では咲玖がそう思ってくれることはないだろう。“お互いに”必要としなければ意味がないのだ。
咲玖を連れて行くなど到底許容できることではない。
でも、ダメだと引き留められるほどの関係が築けていないのも確かで、しかもそれを“今はまだ”と言い切れる自信もない。
「まぁそういうことや。よろしゅう頼むで、いとこどの」
ラインハルトは部屋を出て行くユーリに何も言えぬまま、唇を噛むしかなかった。
この世界へ訪れてすぐ、何か欲しいものや、したいことはないかと尋ねると、少し悩んでから咲玖はこの世界のことが学びたいと言った。そして、「仕事が欲しい」とも。
咲玖は客人なのだから働く必要はないと言ったが、「働かざる者食うべからず」という言葉が咲玖の国にはあるのだと教えてくれた。なんと勤勉で謙虚な国なのか。偉ぶるだけで何もしないこの国の貴族どもにぜひ聞かせてやりたい。
そんな経緯もあり、咲玖は今、庭師のカールと共に庭仕事をしながら、筆頭執事のオットーに付いてこの家や国のことなどを学んでいる。オットーが執事としての業務がある日は他の使用人たちの仕事を手伝ったり、別邸にある図書室で本を読んだりして過ごしていると言っていた。
最初は警戒心の強かった咲玖もすぐにこの家に慣れ、使用人たちとはずいぶんと打ち解けたようだ。何より、咲玖は何事も器用にこなし、かつ優秀だった。カールは咲玖の庭師としてのセンスの良さを興奮気味に語り、オットーは理解力の高さと飲み込みの速さを孫の自慢をするかの如く話した。
それに、咲玖は非常に働き者だった。ほかの使用人からも、一緒に荷物を運んで下さった、とか、窓掃除を手伝って下さった、とか、毎日のように労働にいそしむ様子が報告に上がってくる。
それだけではない。手伝って下さったお礼に飴を差し上げたら、とてもかわいらしく喜んでくださった、とか、シーツの洗濯を一緒にしていたら、滑ってびしょぬれになってしまったけれど、とても楽しそうに笑っていらした、とか、なんとも愛らしい報告までくる。その度に『見たかった』とラインハルトは身もだえた。
もちろん、ラインハルトも咲玖と仲を深めるために、朝食時に今日の予定を聞き、夕食時に今日したことを聞くという日課を作っている。だが、その時間もただの業務報告のようであり、それ以外での接触がほぼないこともあって距離は全く近づいていない。
と言うのも、咲玖は今でもラインハルトと接するとき緊張した様子を見せる。一緒にいても必ず一定以上の距離を取られてしまうため近付けない。物理的にも、心理的にも、だ。
話している時もほとんど目線が合わないし、触れようとするとさりげなく避けられる。最近では、そもそも触れられる距離まで近づいてきてくれない。
呼び方だっていまだに『公爵様』のままだ。
でも、その近づかない距離は、ラインハルトが咲玖に抱く邪な気持と、心の奥底で疼く“欲望”を見透かされているせいかもしれない。そうと思うと、無理に距離を詰めるようなこともできずにいた。
そんな状況を打破するために、今日は視察という名目で咲玖と街に出る約束している。咲玖がこちらの世界に来てから初めての外出になる。
昨夜は楽しみすぎて何度も目が覚めてしまい、休暇にはしゃぐ子供のようだと自分でも苦笑しか出ない。でも、やはり行きたくないと言われたら、ラインハルトと一緒はイヤだ、などと言われたら、なんて不安が今になって立ち始め、味がしないコーヒーの匂いまで感じ取れなくなってきた。
そうこうしている間に食堂のドアが開き、今日は襟がリボンのように結ばれた白いシャツと黒いパンツをはいた咲玖が入ってきた。
「おはよう、サク。体調は問題ないかい?」
「おはよう。大丈夫だよ」
「よかった。朝食を食べたら早速出掛けようか」
「うん」
どうやら出掛けることは出来そうだとラインハルトは密かに胸を撫で下ろした。
今日の朝食は、チーズとハムを乗せたパンと、スクランブルエッグ。そして、この季節によく食べられるカリンのコンポートとヨーグルトだ。
咲玖がこの家に訪れてくれて感謝したことの一つはこの“食事の時間”だ。
ラインハルトは食事をとらない。
そのせいでこの家のシェフはいつもその腕を持て余していた。
もちろん何か食べなければ死んでしまうから生命と体型の維持に必要な“栄養”は摂取しているが、咲玖が訪れるまでは仕事の合間に片手間にすませており、食事の体はとっていなかった。
そうなったのは、ラインハルトが十二歳になった頃のことだった。
高熱に侵され数日間生死をさまよい、目を覚ました後、ラインハルトは『味覚』を失っていた。
もちろん様々な治療を試みたが、結局治ることなく、今もどんなものも味を感じることはない。嗅覚はあるためコーヒーは香りを好んで飲んでいるが、その他のものは口に入れても砂を噛んでいるような不快感すらある。
もともとさほど食に興味が強い方ではなかったが、それでも三大欲求の一つともいわれる“食欲”が満たない飢餓感は精神もすり減らせた。
それをごまかすように仕事に没頭していたが、今は目の前で咲玖がおいしそうに食事をする姿を見ているだけでラインハルトも腹が満たされていくような心地になる。
「……それって何が入ってるの?」
咲玖がチラリと見たラインハルトがコーヒーと共に口にする四角形の塊は、ラインハルトのためにこの家のシェフが研究の末作り上げた特製の“完全栄養食品”なるもの。食感としてはソフトクッキーに近いが、実はラインハルトも詳細は知らない。もう十年近く普段はこれとコーヒーしか口にしていないが、体調には一切問題ないから非常に優れた“食べ物”だと思っている。
「食べてみるかい? オットーはおいしくないと言っていたが」
「や、やめとく」
この家に訪れてすぐ、熱病の後遺症で味覚がないことを伝えると、咲玖は小さく「そっか」とだけ呟いた。哀れみ励ましも口にしなかった咲玖の反応はラインハルトにとっては好ましいものだった。
そこに隠された咲玖の感情を知ったのはもう少し後のことだった。
朝食を終え、早速馬車に乗り屋敷を出た。バーデルンは基本的には治安のよい街であるが、様々な国の船が行きかう港付近は大なり小なり問題が起こりやすい。
『世界樹の客人』である咲玖は特別で、極めて大切な存在であるため、もちろん数人の護衛を同行させている。
馬車の中で咲玖は窓の外を何度も覗いては終始そわそわとしていた。そのかわいらしい様子につい髪を撫でたくなる。でも、ただでさえ二人っきりの空間で咲玖に警戒心を抱かせるわけにはいかない。心の中で悶えるだけに留め、自分を律する。
そうしているうちに、街の入り口に到着した。先に馬車から降りたラインハルトが、すっと咲玖に向かって手を差し出すと、咲玖は顔を赤くして少し狼狽えた後、唇を尖らせたまま、差し出された手を取って馬車を降りた。
そのかわいらしさにこのまま手を引いて抱きしめてしまいたいとすら思う。ラインハルトはこの情動が、自分の持つどの感情から来るのか、若しくは許されない欲望から来るものなのかまだ判断できずにいた。
「サク、何か欲しいものがあれば言いなさい」
港に続く道なりにはその日港に上がった新鮮な魚介類はもちろん、海外の珍しい食べ物や、民芸品、工芸品などを売る店が連なっている。朝は市が開かれ混雑するため、咲玖の安全を第一に少し時間をずらしてきた。それでも街には多くの人々が行きかい、賑わいを見せている。
咲玖はその特徴的な黒髪を隠すために白いローブを頭からかぶっているが、その下に覗く黒い瞳が興奮気味に輝いている様子を見て、『なんでも与えてやりたい』なんて気持ちになる。以前友人が惚れ込んだ相手に贈るものを次々と買い込む様子を呆れ気味に見ていたことがあるが、今ならその気持ちがわかる。
でも、咲玖は非常に謙虚で、これまでに“おねだり”なんてされたことは一度もないし、贈り物なんてした日には顔を青ざめさせそうな気がする。
服だって、もっと咲玖に合うものを新しく仕立てようとしたのに全力で拒まれ、結局は今もラインハルトのお古を着ている。もっと着飾ってやりたいが、咲玖の意思を尊重したほうがいいというオットーの助言のもと、あんな服はどうだろう、こんな服もきっと似合う、などと想像するにとどめている。
――服でも物でも、今日こそは何かよいものを買ってやりたいが……。
横を歩く咲玖をチラリと見ると、キラキラとした瞳で楽しそうにあたりを見回していた。ふうっと小さく息を吐き、そのかわいらしい様子を見守っていると、少し先にある商店から何やらもめるような声が聞こえてきた。
「ダメだね、このままでは買い取れないよ」
「そう言いなや~。ええもんなんは保証するって!」
「あんたに保証されても意味ないわ。ちゃんと訳したやつ持ってきな」
見覚えのある茶色の髪と、訛りのあるベラーブル語。店の買い付け人ともめていたのは、オスマンサス公爵家にも出入りのある商人だった。
ラインハルトは咲玖に少しそばを離れると伝え、その商人に声をかけた。
「ユーリ、どうかしたのか」
「おっ旦那、ちょうどええとこに来よった!」
この商人、ユーリがいうには、ベラーブル王国の東方にあるシンという国の工芸茶が手に入ったため持ってきたが、保証書も説明書もすべてシン語で書かれているためこのままでは買い取れないと言われたとのことだった。
「見るだけでもええもんだってわかるやろ? それでええがなぁ」
「あんたねぇ、こっちだって何かわからないものを買い取るわけにはいかないんだよ」
「だから、茶だって言ってるやないか。このまま湯に入れればえぇんやて!」
シンは東方の大国で、ベラーブル王国から陸路で三カ月、海路でも一カ月近くかかる距離にある遠方の国だ。そのため、シンのものは希少価値が高く、高額で取引をされる。ところが、言語体系がベラーブル王国のものと大きく違うため、通訳や翻訳をできる者の数が少ない。そのせいで、シン国産と偽った物も多く出回っているのが現状だ。
ユーリが持ってきたという品物は、小さな草が丸く固まったような形で、花のような甘い香りがする。見るからに珍しいし、確かに品質もよさそうだ。だが、明確なのは“工芸茶”だということだけで、詳細は不明らしい。ユーリの言い分も買い付け人の言い分もわかるだけに、どうしたものかと考えているとひょっこりと後ろから咲玖が顔を出した。
「花茶?」
その場にいた全員が咲玖をばっと見ると、それに驚いた咲玖はラインハルトの後ろに隠れてしまった。その行動にラインハルトがまた一人で悶えていると、ユーリがラインハルト越しに咲玖をグイッとのぞき込んだ。
「あんた、これが何かわかるんか?」
「えっわかんないけど……、その箱に『花茶』って書いてあるから……」
無意識なのか、ラインハルトの服をぎゅっと握りながらおどおどと話す咲玖がかわいくてかわいくて、とっさに反応できなかったが、咲玖が言った「箱に書いてある」という文字に目を遣る。そこにはシンの文字で何か書かれているが、ラインハルトには読めない。
ここでようやくハッした。咲玖は言語において不便がないよう世界樹に加護を受けている。もしかしたら、と思いユーリが持っていたお茶の説明書を咲玖に手渡した。
「サク、これが読めるかい?」
「えっ? う、うん。読めばいいの? えっと、まず、ポットをお湯ですすいで軽く温めます。次に、茶葉をひとつポットに入れ、沸騰した熱いお湯を注ぎます。ゆっくりと茶葉が開いてお花が咲くのを眺めながら、四~五分待てば飲み頃です。だって」
ほぼできるだろうと確信していたラインハルトでも驚いたが、ユーリたちの驚きはその比ではなかった。二人とも目を丸くして咲玖の方を見ている。
これは、とラインハルトは驚きついでにもう一つ試してみることにした。
「ユーリ、フォレドの言葉で彼に話しかけてみてくれないか?」
「えっなんで?」
「いいから、自己紹介でもして」
ユーリはラインハルトに少し怪訝な顔をして見せたが、すぐに「まぁいいか」と言う顔でコホンと咳払いをし、胸に手を当て咲玖に礼をした。
〚私はフォレド王国の商人、ユーリと申します。以後お見知りおきを、かわいらしいお嬢さん〛
ラインハルトもフォレドの言葉はわかるため、ユーリの言葉にあきれ顔で眉をひそめたが、咲玖は爆ぜたように顔を赤くした。
〚お、お嬢さんじゃないし……!〛
〚フォレドの言葉が話せるのか?!〛
ユーリの出身国、フォレド王国はベラーブル王国から南へ船で二時間ほど行ったところにある島国で、南国のリゾート地として名高い。ベラーブル王国からの観光客や移住者が多いことから、国民の大多数がベラーブルの言葉を使う。そのため、現地民以外でフォレドの言葉を話せるものはほとんどいない。
おそらく、咲玖は世界樹に与えられた加護によって、言語を自動的に相互変換しているのだろう。
「サク、本当にきみは素晴らしいよ!」
ラインハルトは感動のあまり勢いよく咲玖を抱き上げた。あっと思った時にはもう遅く、咲玖は声にならない悲鳴を上げて、顔を赤くしている。
「す、すまない」
慌てて降ろすと、咲玖はすぐにラインハルトからさっと距離を取った。これ以上警戒心を抱かせないように気を付けようとあれほど思っていたのに、やってしまった。ラインハルトはがっくりと肩を落とすしかなかった。
気まずくなってしまったこともあり、その日は結局咲玖に何も買い与えることができず、「おいしそう」と咲玖が呟いた言葉を何とか拾いとった魚やフルーツなどを買って屋敷へ帰ることにした。
戻ってすぐに咲玖は私室へと引きこもってしまい、ラインハルトはすごすごと執務室に戻った。
今日、視察した街の様子をまとめながら、咲玖が世界樹から授かった“言語能力”について考える。ベラーブルは貿易が盛んな国であり、翻訳、通訳と言った仕事の需要が高い。だが、一朝一夕で身に着けられる能力ではないし、専門的な知識も必要となるため、担い手は少なく、ラインハルトもたびたび頭を悩ませていた。
咲玖をラインハルトの専属通訳にして仕事を手伝ってもらうのはどうだろうか、なんてちょっと下心を含めた思い付きにしょぼくれていた気持ちを少し持ち直したところに、ノックの音が鳴った。
「誰だ」
「旦那様、オットーです。ユーリウス様がお越しですが、いかがなさいますか」
「オットー、この格好の時はその名で呼ぶなっていつも言ってるやないか。まぁえぇわ、邪魔するで」
ラインハルトの返事を待たず、勝手にドアを開けて入ってきたのは先ほど街であったフォレド王国の商人、ユーリだった。
「何の用だ」
「おうおう、冷たいなぁ。せっかく遊びに来たったのに」
「私はきみと遊んでいるほど暇ではないんだが」
「相変わらず面白みのないやつやな。でも今日外で会った時のお前さんはなかなかおもろかったで」
ふっとからかうように笑うユーリにラインハルトは思わず眉根を寄せる。ユーリとは商人としてもそれ以外でも長い付き合いになるが、何ものにも縛られず、好きに生きるこの男が少し苦手だ。
「今日、一緒におった“お嬢さん”、あれが『世界樹の客人』やな?」
「女性と一緒にいた覚えはない」
書類に視線を落としたまま、冷ややかな態度のラインハルトにユーリは不満を隠さず唇を尖らせた。
「ほんまに遊び心がないやつや! そないやさかい、未だに懐いてもろてへんのと違うか?」
ユーリの言葉にラインハルトは手を止め、思わずユーリを睨んだ。ラインハルトが視線を上げたことで気をよくしたらしいユーリは、また憎らしげにふふんと笑い、ゆっくりと足を組み替えた。その余裕気な態度がさらにラインハルトをいらだたせる。
「サク、と言うたか? かわいらしい子やな。しかもあれ、言語の自動相互変換。世界樹の加護やろ? えぇなぁ。オレも欲しくなってしもたわ」
「……サクはオスマンサス公爵家の客人だ」
「そやな、でも本人が望んで来たわけやない」
ユーリは世界を回る商人だけあり、非常に口が長けている。こうやって的確に相手の弱いところを突き、自分が優位な状況を作ってから無理やり交渉の壇上に上がらせる。ユーリのこういうところが嫌なのだ。
黙っていると、ユーリは立ち上がってラインハルトが座る執務机にトンと両手をついた。
「オレは二週間後にこの国を発つ。それまでに、お前よりサクと仲良くなってみせる。そしたら、一緒に連れて行くからな」
先ほどまでの少し茶化すような雰囲気をスッと消し、ユーリはその自信をラインハルトに見せつけるように口の端を上げた。
本気だ、と言うことなのだろう。
「……普通に話せるのになぜわざわざいつも地方の言葉を使ってるんだ」
「“普通”なんておもんないからに決まっとるやろ」
つくづく食えないやつだと、ラインハルトは心の中で舌を打った。
世界樹の客人は、お互いに必要とする人と巡り会うためにこちらの世界に招かれると言われている。
“その人”がラインハルトであればいいと咲玖がここへ来た時からずっと思っている。でも、今の状態では咲玖がそう思ってくれることはないだろう。“お互いに”必要としなければ意味がないのだ。
咲玖を連れて行くなど到底許容できることではない。
でも、ダメだと引き留められるほどの関係が築けていないのも確かで、しかもそれを“今はまだ”と言い切れる自信もない。
「まぁそういうことや。よろしゅう頼むで、いとこどの」
ラインハルトは部屋を出て行くユーリに何も言えぬまま、唇を噛むしかなかった。
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