44 / 44
㊹旅立ち【 最終話 】
しおりを挟む「レイラ嬢・・・俺は一度国に戻らないといけません。直ぐに迎えに来るので待っていてください。そうしたら、俺の元へ来ていただけますか?」
お城に行った翌日、ミカは一度国へ帰って、わたくしを迎える準備ができたら、直ぐに迎えに来ると言ってくれた。
今度は必ず来てくれるってわかってる。
「分かったわ。待ってるわ。」
わたくしがにっこり笑って言うと、ミカがわたくしを抱きしめる。
「本当はこのまま連れて帰りたいけど・・・暫く待っていてください。」
そう言ってわたくしのおでこにキスを落とすと、ミカはまた行ってしまった。
「レイラお嬢様、ミカエル様・・・皇帝陛下はとても素敵な方ですね!」
ミーナが嬉しそうに話す。
「ええ、そうね、でも、黒髪のミカに慣れなくて、ミカは黒髪の方がもっと素敵だと思わない?」
「ええ!本当にそうですね!」
ミーナが同意して力いっぱい頷く。
「レイラお嬢様が羨ましいです!まさか、ミカエル様が皇帝陛下だったとは・・・」
ミーナの瞳はキラキラしている。やっぱり女の子ね。
わたくしも、まさかミカが皇帝陛下だとは思わなかったわ。
「ミーナ、わたくしは皇帝陛下の元に行く事になるの。異国に行くのだけど、もし、ミーナが大丈夫ならついてきて欲しいのだけど・・・」
わたくしは馴染みのミーナに傍仕えとしてついてきて欲しかったけれど、ここから遠く離れた場所に行くことになるので、戸惑いながらお願いした。
「私などがレイラお嬢様のお付でご一緒させて頂いてよろしいのですか?もちろん!私はご一緒出来るなら何処までもご一緒させて頂きます!」
ミーナが元気よく答えてくれる。
「ありがとう。」
そうしてわたくしはミカの迎えが来るまでの期間に、引越しの用意を進めることになった。
まず、わたくしが、先に帝都に入り、イルザンド王国との仲を知らしめてから、お父様、お母様も帝都に入る予定になっている。
それから二ヶ月、最速で準備をして来たと言うミカが、正式にわたくしを迎えに来てくれた。
「お待たせして申し訳ございません。」
わたくしを見るなり謝るミカに、わたくしはミカの立場で、これだけの期間で準備を整え、自ら迎えに来てくれるのが、どれほど大変だっか思うと、申し訳無くなる。
「とんでもございません。ミカが来てくれるならいつまでも待っていますわ。」
わたくしはにっこり笑う。
「少し長い旅路になりますが、俺と来ていただけますか?」
改まって問いかけるミカに、わたくしは背筋をピンと伸ばして微笑む。
「ええ、喜んで。」
そうして、わたくしはミカと10日間の馬車での旅を経て、ミカの国、ルシリア帝国の帝都へと入った。
「レイラ嬢、こうして慌ただしくこんな所まであなたを連れてきてしまい申し訳ございません。レイラ嬢のことはこれからもずっと俺が守ります。俺と結婚していただけませんか?」
宮廷に入り、わたくしの為に用意して下さった部屋に入ると、改まってミカが膝を付いてわたくしに求婚のポーズを取る。
「はい、わたくしで良ろしければ。」
わたくしは左手をミカに向かって差し出す。
「レイラ嬢でなければ意味が無い。」
そう言ってミカがわたくしの手の甲にキスを落とす。
「これからもよろしくお願いしますわ。」
ーーー第一部[完]ーーーー
ーーーーーあとがきーーーーー
ここまで拙い文章にお付き合い下さりありがとうございました。第一部[完]とさせて頂きましたのは、レイラとミカの物語がもう少し描きたくなりまして、【陛下の溺愛するお嫁様】と言うお話を書かせて頂きます。(続きのお話1話目は一緒にupさせて頂いております。)
レイラがミカエルの国に行ってからのお話です。
相変わらずほのぼのですが、内乱後の大きな国での色んな出来事を乗り越えて、2人の絆が深まっていくお話を描きたいと思っています。
もし宜しければ、続きの物語もご覧いただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
ここまでお付き合い下さりました皆様に感謝です。
月野さらさ
0
お気に入りに追加
1,714
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(9件)
あなたにおすすめの小説
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。
さらさ
恋愛
これはゲームの中の世界だと気が付き、自分がヒロインを貶め、断罪され落ちぶれる悪役令嬢だと気がついた時、悪役令嬢にならないよう生きていこうと決める悪役令嬢が主人公の物語・・・の中のゲームで言うヒロイン(ギャフンされる側)に転生してしまった女の子のお話し。悪役令嬢とは関わらず平凡に暮らしたいだけなのに、何故か王子様が私を狙っています?
※更新について
不定期となります。
暖かく見守って頂ければ幸いです。
コワモテの悪役令嬢に転生した ~ざまあ回避のため、今後は奉仕の精神で生きて参ります~
千堂みくま
恋愛
婚約を6回も断られ、侍女に八つ当たりしてからフテ寝した侯爵令嬢ルシーフェルは、不思議な夢で前世の自分が日本人だったと思い出す。ここ、ゲームの世界だ! しかもコワモテの悪役令嬢って最悪! 見た目の悪さゆえに性格が捻じ曲がったルシーはヒロインに嫌がらせをし、最後に処刑され侯爵家も没落してしまう運命で――よし、今から家族のためにいい子になろう。徳を積んで体から後光が溢れるまで、世のため人のために尽くす所存です! 目指すはざまあ回避。ヒロインと攻略対象は勝手に恋愛するがいい。私は知らん。しかしコワモテを改善しようとするうちに、現実は思わぬ方向へ進みだす。公爵家の次男と知り合いになったり、王太子にからまれたり。ルシーは果たして、平穏な学園生活を送れるのか!?――という、ほとんどギャグのお話です。
陛下の溺愛するお嫁様
さらさ
恋愛
こちらは【悪役令嬢は訳あり執事に溺愛される】の続編です。
前作を読んでいなくても楽しんで頂ける内容となっています。わからない事は前作をお読み頂ければ幸いです。
【内容】
皇帝の元に嫁ぐ事になった相変わらずおっとりなレイラと事件に巻き込まれるレイラを必死に守ろうとする皇帝のお話です。
※基本レイラ目線ですが、目線変わる時はサブタイトルにカッコ書きしています。レイラ目線よりクロード目線の方が多くなるかも知れません(^_^;)
世界を救いし聖女は、聖女を止め、普通の村娘になり、普通の生活をし、普通の恋愛をし、普通に生きていく事を望みます!
光子
恋愛
私の名前は、リーシャ=ルド=マルリレーナ。
前職 聖女。
国を救った聖女として、王子様と結婚し、優雅なお城で暮らすはずでしたーーーが、
聖女としての役割を果たし終えた今、私は、私自身で生活を送る、普通の生活がしたいと、心より思いました!
だから私はーーー聖女から村娘に転職して、自分の事は自分で出来て、常に傍に付きっ切りでお世話をする人達のいない生活をして、普通に恋愛をして、好きな人と結婚するのを夢見る、普通の女の子に、今日からなります!!!
聖女として身の回りの事を一切せず生きてきた生活能力皆無のリーシャが、器用で優しい生活能力抜群の少年イマルに一途に恋しつつ、優しい村人達に囲まれ、成長していく物語ーー。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。
ラディ
恋愛
一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。
家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。
劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。
一人の男が現れる。
彼女の人生は彼の登場により一変する。
この機を逃さぬよう、彼女は。
幸せになることに、決めた。
■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です!
■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました!
■感想や御要望などお気軽にどうぞ!
■エールやいいねも励みになります!
■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。
※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。
強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します
天宮有
恋愛
私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。
その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。
シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。
その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。
それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。
私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
おもしろかったです。
進める→薦めるかなぁ?
お勧め 自分が体験したものを人に促すこと・誘い込むこと
お薦め 人やモノを他人に推薦すること
読んで頂きましてありがとうございますm(_ _)m
そして、ご指摘ありがとうございます!
どの辺でしたでしょう?自分で書いておきながら思い出せないので…>_<…探して修正致しますね!
私もミルクティー大好きです!!
シロ様!
ミルクティーLove仲間ですね!
読んで頂いてありがとうございます(≧∇≦)
いつも楽しく拝見しています
最新話、
「気持ちの生理」→「気持ちの整理」
「黒と青を貴重とした」→「黒と青を基調とした」
ではないでしょうか。
ご確認ください。
いつもご覧頂きましてありがとうございますm(_ _)m
誤字のご指摘ありがとうございます!
修正致しました。
また何かございましたらご指摘よろしくお願い致します(*^_^*)