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第九話
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私は本を閉じてからテーブルの上に置いた。既に読んでいたページにはしおりを挟んで。
灰色のローブを着てから胸に、黒と白の羽を一枚ずつ飾り付けられたバッチを取り付ける。
ローブに取り付けられているフードを被ってから、テントを出るとヴァンが番兵として入口近くに立っていた。
「姫様、どちらに行かれるのですか?なるべく出歩かれるのはよろしくないかと」
私を見てから、体ごと振り返って声を掛けてくる。
ヴァンに近づいてから、ローブの中に隠すように携えているサーベルの柄を見せる。
「私はこれがあれば負ける事なんてありませんから。自軍を見て回りたいのです」
そう言うと、小難しい顔をして目をしばらく閉じた。
私が戦場に出ると時は、衛兵達に気づかれない様に密かに出歩いて、どのような兵士達が居るのか見て回る事にしている。
こうする理由は二つの理由がある。
一つ目は兵士達の士気を確認するためだ。戦う兵士のやる気が無ければ勝てる戦いも勝てない。
もう一つの理由は、私が命を持った駒を使用している事を改めて実感するため。どうしても戦場で指揮をすると、その事を忘れてしまいそうになる。
椅子にふんぞり返って座って指揮をするだけでは、無能な指揮官とさほど変わりはない。
「私も姫様とご一緒させてもよろしいですか?」
彼なりに出した答えは、私を一人だけで行動させてはならないと思ったのだろう。
「ヴァンと共に行動すると目立ってしまいます。このままここの護衛を続けてください。陣営の外には出ませんから」
そう言ってからヴァンとすれ違ってテントを後にする。
ヴァンは御意とだけ言って、そのままテントの入口に立っていた。
まずは自分の軍隊である第五騎士団から。私は繁華街の様に賑わう兵士達の宿舎用の大型テントが並ぶ場所を歩く。
衛兵達に何度か声を掛けられたが、私のバッチを見るなりに敬礼をして急ぎ足でその場を立ち去る。
この白と黒の羽があしらわれたバッチは、軍の監査官のみが付けるもの。
逃亡兵や戦争犯罪者を裁くための存在で、好き好んで自分から話しかける兵士はいないだろう。
私は気配を消して、なるべく目立たない様にして歩みを進める。
移動商人達が集まり兵士達相手に商売をしている少し開けた場所に向かってみた。
嗜好品や簡単な保存食の販売に移動鍛冶屋まで、様々な商店があり人種が存在する。
「それとそれを一つもらえますか?」
リンゴや梨などのフルーツを売っている老女と二人の若い男女が商っている。
少し大きめ木箱に盛られていたリンゴと梨をそれぞれ指さした。
老女がそれぞれ一つずつ手に取ってから、ナイフで手際よく果肉だけに切り分けて、三日月の形に整えられた果物を木の器に盛ってくれた。
「銀貨1枚になります。どうぞ」
私は財布の中から銀色のコインを老女の手の上に静かに置いた。
若い茶色の髪をした女性から木の器と串を受け取る。
「私達の畑でとれた果物なんです!とっても美味しいですよ」
満面の笑みを浮かべて、私に声を掛けてくれた。
試しにリンゴを一つだけ串を刺してから口に運んでみる。かじると同時に果肉の中に詰まった果汁が溢れ出た。
果物独特の甘さを口の中で堪能出来る。頬が少し緩んだ。
「ありがとうございます。それでは」
軽く会釈をして私は店の前から立ち去る。老女と若い男女の三人は家族なのだろう。同じ目と髪の色をしていた。
戦場の兵士達相手の商売はとても大きな臨時収入になる。
買った果物を少しずつかじりながら、商店の中を遠目から見てみた。
鉄を撃ち続けて筋肉で膨れ上がった大男。若い男女が二人で兵士達にパンを焼いている店。
それに、女性の兵士達と男性の兵士達でも集まる店に偏りがあるようだ。
男性の兵士達は若い女性が料理を提供している店に集まり、女性兵士達は果物などの甘い物を食べれる店に集まる。
違法行為や今は禁止令を出している酒を売っていなければ問題ないが、どうにも抜け道があるようだ。
店の影で酔い潰れている男が数名だが見える。監査官として後で上層部に注意しておこう。
最後の果肉を口に入れ、果物が盛られていた木皿と串はゴミだまりに放り込んだ。
「それに、規律が緩すぎるのでしょうか」
娼婦の姿がちらほらと見える。どうしても男性兵士に対する措置をしなければ女性兵士に手を出しかねない。
男性女性の混成部隊を作ることがある為、性別間でギクシャクされは作戦に影響がある。
それらを尻目に次の軍隊の陣営へと向かう。
サマル軍師の兵士達は静かだった。戦場の中でも鍛錬を続けられている。
娯楽の用品を売る商人はいないが、鍛冶屋や道具を売る商人は存在していたがそこまでにぎわっては居なかった。
アガット殿の軍は山賊の拠点の様な有様だ。
指揮官クラスの兵士が両腕に娼婦を抱え、一般兵士達は傭兵軍隊と合わさって闘技場や賭場を開いている。
しかし、規律は守られているようだ。
「勝者!ウィルソン!」
闘技場となっているところを遠目から見ていると丁度勝敗が決着したところだった。
勝者が倒れている敗者へと手を差し伸ばして、両者に賛美の声を浴びせている。
ギャンブルでも疑似の通貨を利用しており、実際には金銭のやり取りは起きていない。
簡単に見回ると次に近い陣営へと向かう。最も近いのはイエルハート軍の陣営だ。
丁度、日も傾いてきた。フィオと共に夕食を取るもの良いだろう。かしこまった食事よりも戦場での兵士達が食べる食事に興味がある。
けれど、その前にフィオの兵士達はどんな人が多いのか気になる。
山や森の中での戦いが得意な軍隊とは聞いている。それに、フィオが当主代理として軍隊の指揮権を引き継いでから暫く経つ。
それに父上の騎士としてに仕えていたロイ様の軍隊だ。
今後、私の軍隊に取り入れる事が出来る物があれば、利用させて頂こう。
もちろん生まれついての土地柄という物もある。ほとんどが首都のアテネス出身者ばかりだ。
陣営内を歩き回って、兵士の訓練を見る事が出来た。物陰から身を潜めて、じっと見つめる。
1対1の格闘戦を行っているようだった。武器は無しで素手だけの実践形式で行われている。
指揮官の掛け声で腕を折り曲げて拳を胸の高さで握り、お互いに構えながら円を描くように移動して間合いを確認するようにして動いている。
先に動き出したのは茶髪の小柄な男だった。
左拳を鋭く突き出して、顎の下を狙うが拳は止められた。
相手をしていた黒髪で頭を剃りこんだ中肉中背の男は左手首を掴んで、背中に背負うようにして投げ飛ばした。
茶髪の男が地面に叩きつけられた時点でそこで模擬戦は終わる。次は新しい対戦相手が選ばれて、次の模擬戦相手が選ばれる。
それを確認すると、私は食事場となっている広場へと歩みを進めた。
「あの模擬戦は味方同士で戦う事で、戦闘能力を磨き上げるという目的でしょうか」
武器を持たない戦い方。最も基礎となる戦術。基礎を磨く事は武器を使った戦いへの応用になる。
この鍛錬は軍隊に取り入れさせよう。けれど、強く成りたいという兵士達はどれほどいるのだろうか。
1カ月で半数が抜ける。半年で更に半数が抜けて、前線に立つ兵士達の初陣では9割が死亡してしまう。
残った1割の兵士にも生き残る人は大概二つに分けられる。
頭が良くずる賢い者と純粋に戦闘能力に長けている者のどちらか。
広場に向かうと既にフィオが到着しており、クロウと並んで食事を始めていた。
私も他の兵士達と同じようにトレーを持って、干し肉とソーセージのトマトスープにマッシュポテトに焼きたての黒いパン。
「ありがとうございます。ご苦労様です」
給仕係に礼を言ってから、フィオが座っている席を探す。北側の4人は座れる木製の席についていた。
クロウと向かい合って座り、食事をしながらもっとましな食事をしたいという風な話をしている。
私は静かにフィオの隣に歩みを進めて、隣に座る。
「隣、よろしいですか?」
そう言って頭から被っているフードをずらしてフィオに顔を見せた。驚いた表情をして私の名前を言おうとしたので、私の口に人差し指を伸ばして当てる。
フィオに名前を呼ばれて、周りの人に知られると動きにくい。
それに皇女を一目でも見たいという人で囲まれてしまう。
「味の事を文句言っていたようですけど、これはこれでいい物ですよ」
そう言ってからスープに千切ったパンを付けてから口に運ぶ。
いつも美味しい料理を食べさせてもらってはいるが、毒見とかで冷めた料理ばかりだった。
このスープの様に温かく、いかにも人が作った料理という優しさが伝わる。
反対側に座っているクロウは黙々と食事を続けていた。私のことは見なかったことにするという事だろう。
「それで、こんなところに何しに来たの?」
食事を続けていると、フィオから声を掛けられる。
フィオは私に水の入ったボトルから、コップに水を注いで渡してくれた。
「別に深い意味はありませんよ。ただ、時間が空いたので各陣営を回っているだけです。これが有れば大概の敵には負けませんから」
私は前のローブを少しだけ開いて、サーベルの柄をフィオに見せてから軽く叩いた。
フィオの視線がサーベルの柄に向けてから、私の顔に移動する。
「少しだけ、これからの事を話しませんか?」
フィオに視線を合わせて、微笑み返した。
灰色のローブを着てから胸に、黒と白の羽を一枚ずつ飾り付けられたバッチを取り付ける。
ローブに取り付けられているフードを被ってから、テントを出るとヴァンが番兵として入口近くに立っていた。
「姫様、どちらに行かれるのですか?なるべく出歩かれるのはよろしくないかと」
私を見てから、体ごと振り返って声を掛けてくる。
ヴァンに近づいてから、ローブの中に隠すように携えているサーベルの柄を見せる。
「私はこれがあれば負ける事なんてありませんから。自軍を見て回りたいのです」
そう言うと、小難しい顔をして目をしばらく閉じた。
私が戦場に出ると時は、衛兵達に気づかれない様に密かに出歩いて、どのような兵士達が居るのか見て回る事にしている。
こうする理由は二つの理由がある。
一つ目は兵士達の士気を確認するためだ。戦う兵士のやる気が無ければ勝てる戦いも勝てない。
もう一つの理由は、私が命を持った駒を使用している事を改めて実感するため。どうしても戦場で指揮をすると、その事を忘れてしまいそうになる。
椅子にふんぞり返って座って指揮をするだけでは、無能な指揮官とさほど変わりはない。
「私も姫様とご一緒させてもよろしいですか?」
彼なりに出した答えは、私を一人だけで行動させてはならないと思ったのだろう。
「ヴァンと共に行動すると目立ってしまいます。このままここの護衛を続けてください。陣営の外には出ませんから」
そう言ってからヴァンとすれ違ってテントを後にする。
ヴァンは御意とだけ言って、そのままテントの入口に立っていた。
まずは自分の軍隊である第五騎士団から。私は繁華街の様に賑わう兵士達の宿舎用の大型テントが並ぶ場所を歩く。
衛兵達に何度か声を掛けられたが、私のバッチを見るなりに敬礼をして急ぎ足でその場を立ち去る。
この白と黒の羽があしらわれたバッチは、軍の監査官のみが付けるもの。
逃亡兵や戦争犯罪者を裁くための存在で、好き好んで自分から話しかける兵士はいないだろう。
私は気配を消して、なるべく目立たない様にして歩みを進める。
移動商人達が集まり兵士達相手に商売をしている少し開けた場所に向かってみた。
嗜好品や簡単な保存食の販売に移動鍛冶屋まで、様々な商店があり人種が存在する。
「それとそれを一つもらえますか?」
リンゴや梨などのフルーツを売っている老女と二人の若い男女が商っている。
少し大きめ木箱に盛られていたリンゴと梨をそれぞれ指さした。
老女がそれぞれ一つずつ手に取ってから、ナイフで手際よく果肉だけに切り分けて、三日月の形に整えられた果物を木の器に盛ってくれた。
「銀貨1枚になります。どうぞ」
私は財布の中から銀色のコインを老女の手の上に静かに置いた。
若い茶色の髪をした女性から木の器と串を受け取る。
「私達の畑でとれた果物なんです!とっても美味しいですよ」
満面の笑みを浮かべて、私に声を掛けてくれた。
試しにリンゴを一つだけ串を刺してから口に運んでみる。かじると同時に果肉の中に詰まった果汁が溢れ出た。
果物独特の甘さを口の中で堪能出来る。頬が少し緩んだ。
「ありがとうございます。それでは」
軽く会釈をして私は店の前から立ち去る。老女と若い男女の三人は家族なのだろう。同じ目と髪の色をしていた。
戦場の兵士達相手の商売はとても大きな臨時収入になる。
買った果物を少しずつかじりながら、商店の中を遠目から見てみた。
鉄を撃ち続けて筋肉で膨れ上がった大男。若い男女が二人で兵士達にパンを焼いている店。
それに、女性の兵士達と男性の兵士達でも集まる店に偏りがあるようだ。
男性の兵士達は若い女性が料理を提供している店に集まり、女性兵士達は果物などの甘い物を食べれる店に集まる。
違法行為や今は禁止令を出している酒を売っていなければ問題ないが、どうにも抜け道があるようだ。
店の影で酔い潰れている男が数名だが見える。監査官として後で上層部に注意しておこう。
最後の果肉を口に入れ、果物が盛られていた木皿と串はゴミだまりに放り込んだ。
「それに、規律が緩すぎるのでしょうか」
娼婦の姿がちらほらと見える。どうしても男性兵士に対する措置をしなければ女性兵士に手を出しかねない。
男性女性の混成部隊を作ることがある為、性別間でギクシャクされは作戦に影響がある。
それらを尻目に次の軍隊の陣営へと向かう。
サマル軍師の兵士達は静かだった。戦場の中でも鍛錬を続けられている。
娯楽の用品を売る商人はいないが、鍛冶屋や道具を売る商人は存在していたがそこまでにぎわっては居なかった。
アガット殿の軍は山賊の拠点の様な有様だ。
指揮官クラスの兵士が両腕に娼婦を抱え、一般兵士達は傭兵軍隊と合わさって闘技場や賭場を開いている。
しかし、規律は守られているようだ。
「勝者!ウィルソン!」
闘技場となっているところを遠目から見ていると丁度勝敗が決着したところだった。
勝者が倒れている敗者へと手を差し伸ばして、両者に賛美の声を浴びせている。
ギャンブルでも疑似の通貨を利用しており、実際には金銭のやり取りは起きていない。
簡単に見回ると次に近い陣営へと向かう。最も近いのはイエルハート軍の陣営だ。
丁度、日も傾いてきた。フィオと共に夕食を取るもの良いだろう。かしこまった食事よりも戦場での兵士達が食べる食事に興味がある。
けれど、その前にフィオの兵士達はどんな人が多いのか気になる。
山や森の中での戦いが得意な軍隊とは聞いている。それに、フィオが当主代理として軍隊の指揮権を引き継いでから暫く経つ。
それに父上の騎士としてに仕えていたロイ様の軍隊だ。
今後、私の軍隊に取り入れる事が出来る物があれば、利用させて頂こう。
もちろん生まれついての土地柄という物もある。ほとんどが首都のアテネス出身者ばかりだ。
陣営内を歩き回って、兵士の訓練を見る事が出来た。物陰から身を潜めて、じっと見つめる。
1対1の格闘戦を行っているようだった。武器は無しで素手だけの実践形式で行われている。
指揮官の掛け声で腕を折り曲げて拳を胸の高さで握り、お互いに構えながら円を描くように移動して間合いを確認するようにして動いている。
先に動き出したのは茶髪の小柄な男だった。
左拳を鋭く突き出して、顎の下を狙うが拳は止められた。
相手をしていた黒髪で頭を剃りこんだ中肉中背の男は左手首を掴んで、背中に背負うようにして投げ飛ばした。
茶髪の男が地面に叩きつけられた時点でそこで模擬戦は終わる。次は新しい対戦相手が選ばれて、次の模擬戦相手が選ばれる。
それを確認すると、私は食事場となっている広場へと歩みを進めた。
「あの模擬戦は味方同士で戦う事で、戦闘能力を磨き上げるという目的でしょうか」
武器を持たない戦い方。最も基礎となる戦術。基礎を磨く事は武器を使った戦いへの応用になる。
この鍛錬は軍隊に取り入れさせよう。けれど、強く成りたいという兵士達はどれほどいるのだろうか。
1カ月で半数が抜ける。半年で更に半数が抜けて、前線に立つ兵士達の初陣では9割が死亡してしまう。
残った1割の兵士にも生き残る人は大概二つに分けられる。
頭が良くずる賢い者と純粋に戦闘能力に長けている者のどちらか。
広場に向かうと既にフィオが到着しており、クロウと並んで食事を始めていた。
私も他の兵士達と同じようにトレーを持って、干し肉とソーセージのトマトスープにマッシュポテトに焼きたての黒いパン。
「ありがとうございます。ご苦労様です」
給仕係に礼を言ってから、フィオが座っている席を探す。北側の4人は座れる木製の席についていた。
クロウと向かい合って座り、食事をしながらもっとましな食事をしたいという風な話をしている。
私は静かにフィオの隣に歩みを進めて、隣に座る。
「隣、よろしいですか?」
そう言って頭から被っているフードをずらしてフィオに顔を見せた。驚いた表情をして私の名前を言おうとしたので、私の口に人差し指を伸ばして当てる。
フィオに名前を呼ばれて、周りの人に知られると動きにくい。
それに皇女を一目でも見たいという人で囲まれてしまう。
「味の事を文句言っていたようですけど、これはこれでいい物ですよ」
そう言ってからスープに千切ったパンを付けてから口に運ぶ。
いつも美味しい料理を食べさせてもらってはいるが、毒見とかで冷めた料理ばかりだった。
このスープの様に温かく、いかにも人が作った料理という優しさが伝わる。
反対側に座っているクロウは黙々と食事を続けていた。私のことは見なかったことにするという事だろう。
「それで、こんなところに何しに来たの?」
食事を続けていると、フィオから声を掛けられる。
フィオは私に水の入ったボトルから、コップに水を注いで渡してくれた。
「別に深い意味はありませんよ。ただ、時間が空いたので各陣営を回っているだけです。これが有れば大概の敵には負けませんから」
私は前のローブを少しだけ開いて、サーベルの柄をフィオに見せてから軽く叩いた。
フィオの視線がサーベルの柄に向けてから、私の顔に移動する。
「少しだけ、これからの事を話しませんか?」
フィオに視線を合わせて、微笑み返した。
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