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由比への思い その1

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由比は東京でひとり暮らしで仕事をしながら獣医学の勉強をしていた。由比は小さい頃から森山の姿を見て育っていたことで、獣医や医師に憧れを持っていた。

「でもなあ、由比、帰ってきたばかりで明日帰るのも忙しくて寂しいな、せめて今週ぐらいはいろよ由比」

進もすぐには返したくなかった。

「獣医学の勉強をしないといけないから」

Kは由比に魅了されていたことで一日でも一緒にいたいという気持ちでいっぱいだったが、話しかけられずにいた。

いったん気を落ち着けようと階段を下りて一階の自分の部屋に戻った。

しばらくは妄想をしていた。

同じ姉妹だが、明には感じなかった何かがあった。

ことばで表現するのは難しいが、これが相性なのか素直に好きということなのか?

由比は東京に彼氏はいるのだろうか?

東京に帰ってしまったら、次はいつ会えるかわからない。

そもそも勉強の邪魔をしてはいけないのか、いやいやマイナスなことは考えないほうがいい。

進がなんとかしてくれるか、父親だということは揺るがない事実だ。プレハブの家族になれば夢のような生活が待っているはず、人生がさらに大きく変わるぞ、これは

西洋のお姫様というよりは、もの静かな日本の和の娘だ。

(由比、由比)

(あなた)

(あなたって呼んでください!)

Kはひとりで夢の生活を妄想していた。

ちょうどその頃、

階段から2人が降りてきた。

「せっかく来たんだ、寝るのはここだけにして、食事や風呂は外でどうだ」

「森山がいい店予約してあるみたいだ、あいつは顔が利くからな」

「それじゃ夜6時ね」

明日、由比が帰るまでになにかを伝えなければだめだ。

なにかをしなければいけないのはわかるが、そのなにかが難しい。

同じプレハブの進の娘だ、これは絶好のチャンス到来なのか?

帰ってしまってからではもう遅い、食事は森山に連絡し、いくべきか?そのまま、戻るまで由比を待つべきか?

あせりで食事中に変なことを言ってしまったらすべてが終わってしまうかもしれない、でも…

いずれにしてもここで失敗したら、もう訪れることはない幸せなのかもしれない。

長い男子校生活でその後も彼女がいないブランクがあったkにとってこれは難しい課題だった。

これは由比が戻るまで待った方がいいのか?

気が付けば、森山に電話をかけていた

「はい森山です」

ガチャ

「ワンワン!!」

マーブルが右前足を上げて電話を切った

「そうだよな、マーブルありがとう、いきなり行くなってことだよね、ごめんなマーブル」





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