人生に一度だけ舞い降りた競馬の神様

成功から挫折へ

もしかすると自分は馬券の天才なのではないだろうか,私よりも長いキャリアの馬券生活をしている友人よりも全然上手だと思い込んでしまった私は、競馬のことを一日中考えるようになり明日はどこでレースが開催されているのかということが気になって仕方がなくなり浦和競馬にまで馬券を購入するようになった。仕事の昼休みなどに携帯から気づけば投票していたようだ。

一般的にギャンブルは長期間やればやるほどマイナス収支になると競馬のきっかけを作った父が言っていたが、そんなことはおかまいなしに将来的には馬券で生計を立てたいと考えるようになり競馬の雑誌や単行本、読んでおいて損のない雑誌などは読みあさるような生活が続いた。

いまは現地に行くにしても入場制限がかかり入場できないこともあるが、当時はもう競馬にどっぷりつかっていたせいか毎週土日は中央競馬の馬券を購入するために現地に足を運んでいた。いままでの的中が嘘だったのかというぐらい的中しなくなり短い期間で馬券に使える資金が途絶えてしまった。

その頃の父は「いままで当たっていたのは運がいいだけなんだよ。競馬なんてだれも当たらないし、やったらやっただけ損するんだよ。」ときっかけを作った張本人とは思えないような言葉だった。

現地に行ったら帰りの電車賃やバス代などの交通費は残しておいた方がいいよという友人のアドバイスを聞かなかった私は、最終１２レースで６５０倍の大穴馬券をハナの差で逃してしまい、そこから自宅まで雨の降りしきるなか２時間半もかけて走って帰った苦い思い出がこの時あった。

６５０倍の配当に２００円を賭けていたので１３万は手にしていたはずだが、びしょ濡れになったことと大金をあと一歩のところで逃したことで競馬はもうやりたくないと思うようになり競馬を開始してわずかな期間だったがいったん競馬からは離れるような生活を送っていたようだ。