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思わぬ男の登場に一階にいる一般生徒達から悲鳴のような歓声があがる。

「……なんで、俺の目の前に座るんだよ」

ふんぞり返る加賀美にそう尋ねる。

普段、風紀委員と生徒会は犬猿の仲という暗黙のうちになっている関係のせいでお互い公共の場で話すことは少なく、
役員専用であるこのスペースも、生徒会役員と風紀委員で派閥のようにはっきり分かれて座っていた。

なのに…

「こうしてわざわざ俺がお前に話しかける理由なんて、生徒会のことに決まってんだろ?お前、最近俺を避けてるみたいだしなぁ……もしかして、俺の逞しいアレを目の前にして自分のと比べてショックだったとか?」

ニヤニヤと全く見当はずれなことを言う加賀美に俺はため息をつかざるを得ない。

なんだってこんなやつが風紀委員長なんだよ…。

「そんなわけないだろ…最近こっちも忙しいんで刈谷に任せてただけだ。それでなんだ、生徒会のことって」

「おいおい、真に受けんなよ…ジョークがわからねぇ奴だな」

そう言って目の前の机の備え付いてある菓子袋の中の一つを取って食べ始める。


「……で、なんの話とは恐れ入るなぁ…それ冗談のつもりか?」

さっきまでの緩い空気が一気に張りつめた空気に変わる。
ピーナツを持つ指をこちらに向けながら鋭い目つきで言う加賀美に、背中に嫌な汗が伝う。


「っ…ちっ、なんの話か全く見えてこねぇんだが、話がねぇなら「副会長と転校生について、って言ったらわかるか?」

俺の言葉の上から被せてそう言うと、俺に向けていたピーナッツを乱雑に口に放り込む。

て、もう風紀の耳に入ってやがったのかよ…。

「…それは、俺もさっき知ったとこだ」

「はっ…知らなかったからで通じると思ってんのか?そんなこた聞いてねぇんだよ。お前、どうするつもりなんだ」

「どうするって…どうもこうもしない、あいつのプライベートにまで何か言う筋合いはない」

努めて冷静にしなくては。この話はこっちにかなり分が悪い。

「そりゃそうだろな、でもよ会長さん…もうすぐ、新入生歓迎会があるんだぜ?今までの業務は1人でなんとかやってたみたいだが、今回は流石に無理だろ。それとも何か策でもあんのかよ」

ボリボリとピーナッツを食いながらも俺に厳しい目線を向け続ける男に俺は今すぐここから走って逃げたくなる気持ちを抑えていた


って、ん?


え、ちょっとまてよ…

「しん、にゅうせい…かんげいかい?」

「……お前、もしかして忘れてたんじゃ「ハーイ!!お待たせしましたぁ!会長様Aランチですよ!今日のランチはオムライスとぷりぷりのエビフライです♡」

俺の思考が止まった瞬間、ドンっと置かれたオムライスと笑顔の少年の姿が目の前に広がった。


「って、ぎゃあ!風紀委員長!!会長様に何の用ですか!まさか、また会長様を虐めてるんですね!?会長様はこう見えて繊細なんですやめてください!しっしっ!」

「あーあー、うるせぇのがきやがった…」

由良来のクソデカボイスが遥か遠くに聞こえ、だらだらと冷や汗が全身から噴き出る。

まっずい…忘れてた~~~!!
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