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「…ま……さま…」
なんだ…?
「…く、さま…」
「っ…あ、」
重い瞼を開くと目の前に、しかもかなり近距離に刈谷の姿があった。
「雫様…全く、なんてとこで寝てるんですか」
「あー…俺寝てた?」
刈谷が呆れるのも無理はない。ここは校舎の中庭の外れにある古ぼけたベンチだからだ
「っ…ぃてて」
体を起こすと、硬いベンチで寝ていたせいか背中がバキバキに悲鳴をあげている。
「全く…こんな所で寝るくらいなら保健室に行ってください。それに、貴方のような立場の人間がこんな所で寝るなんて…もう少し危機感を覚えてもらえませんか?」
始まった。刈谷のマシンガントーク。
こうなったらこいつは延々俺にチクチクチクチク小言を言ってくるので早々に耳をシャットアウトする。
「それより、お前ちゃんと書類提出してきたのかよ?」
「ですから…え?あぁ、はい。今週の分は全て。不備も特にないそうですよ」
あの日以降、俺は直接渡しに行くのは得策ではないなと思い委員長に渡すときだけこいつに任せていたらいつのまにか書類全般の提出をするようになっていた。
「んじゃ、とりあえず山は越えたなぁ…あー腹減った」
「そう言うと思ったので生徒会室にお弁当をご用意しています」
「………お前有能か」
「お褒めの言葉ありがとうございます」
澄ました顔でそう言う刈谷だが、こいつ俺の従者なんかやってなかったらここの生徒会長にもなり得るんじゃないかと思う。
「私の顔になにか?」
「……うぜえ顔だなと思っただけだよ」
ま、本人には言ってやんねえが。
なんだ…?
「…く、さま…」
「っ…あ、」
重い瞼を開くと目の前に、しかもかなり近距離に刈谷の姿があった。
「雫様…全く、なんてとこで寝てるんですか」
「あー…俺寝てた?」
刈谷が呆れるのも無理はない。ここは校舎の中庭の外れにある古ぼけたベンチだからだ
「っ…ぃてて」
体を起こすと、硬いベンチで寝ていたせいか背中がバキバキに悲鳴をあげている。
「全く…こんな所で寝るくらいなら保健室に行ってください。それに、貴方のような立場の人間がこんな所で寝るなんて…もう少し危機感を覚えてもらえませんか?」
始まった。刈谷のマシンガントーク。
こうなったらこいつは延々俺にチクチクチクチク小言を言ってくるので早々に耳をシャットアウトする。
「それより、お前ちゃんと書類提出してきたのかよ?」
「ですから…え?あぁ、はい。今週の分は全て。不備も特にないそうですよ」
あの日以降、俺は直接渡しに行くのは得策ではないなと思い委員長に渡すときだけこいつに任せていたらいつのまにか書類全般の提出をするようになっていた。
「んじゃ、とりあえず山は越えたなぁ…あー腹減った」
「そう言うと思ったので生徒会室にお弁当をご用意しています」
「………お前有能か」
「お褒めの言葉ありがとうございます」
澄ました顔でそう言う刈谷だが、こいつ俺の従者なんかやってなかったらここの生徒会長にもなり得るんじゃないかと思う。
「私の顔になにか?」
「……うぜえ顔だなと思っただけだよ」
ま、本人には言ってやんねえが。
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