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「っ…あっ、ぁっ!…ょ、…よ、しのっ…さまぁっ!もっ…ぁあ、!い、っ…ぁあんっ!」
おいおいおい、すごい喘ぎ声だな。av女優もびっくりだぞ。
目の前の光景に痛くなる頭を抑えて目をそらす。
そうか、ノックをしなかった俺が悪かった。もう書類は置いていこう。
こんな場面に制止をかけてまで渡そうとは思えず、書類だけ置きそこを後にしようと扉に手をかけて
「っは、ぁ…あ?会長様じゃねぇか」
見つかった。
なんでだよ、腰振っとけよなんで気付くんだよ。
「風紀を正すべきやつが風紀を乱してどうすんだ。せめて鍵を閉めろよ」
そいつに背を向けたまま仕方なしに答えると生々しい音が止んだ。
「あー?お前が言えたことかよ。会長様も自室に大量のオメガを連れ込んで乱交したって聞いたけど?なんで俺を呼ばねえんだよ」
きっとニヤニヤと悪どい顔をしているのが声色でわかる。
というか、ちょっとまて。なんだその根も葉もない噂は。
内心ツッコミを入れるがここでそれをそのまま言うわけにもいかない。
「ここは風紀室、公共の場だ。てめえの私物化してんじゃねえよ。それに、俺に同じアルファと、それもクソ野郎と並んでヤる趣味はねえ」
事実無根だが肯定も否定もしない。勝手に噂してくれればいいさ、アルファとしての箔がつくからな。
いまだ背を向け扉を見つめたままそう言い放つ。
「そのクソ野郎ってのは俺のことかぁ?お前、俺より小さいからって僻むなよ…たくいいとこだったのにお前のせいでおあずけだな
で、何の用だよ。セックスを遮るほどの重要事項なんだろうなあ」
この性欲クソ魔人が。ナニがもげてしまえ。
「俺もこれ置いてすぐに出ていくつもりだったわ。ほら、期限には間に合わせたぞ」
俺はようやく奴に向き直り書類を渡し直す。
シャツは全開のままその逞しい肉体を晒す。こいつはここの風紀委員長である加賀美という男だ。
190センチほどあるがたいのよい男で身体だけでもなくその顔立ちも精悍なもので見る人がはっと息を呑むほどの迫力だ。
アルファの中のアルファ、風貌、この不遜な態度を見ると明らかで。
だから俺はこいつが少し、いや、かなり苦手だ。
「ふぅん、間に合ったのか。お前のことだから間に合わせるとは思ったが、内容も完璧だ特に不備もねえからこのまま上に上げる」
そう言って俺の仕上げた書類をパラパラと見て隣のシャツ一枚を羽織っただけの青年に手渡す
「会長様、貴方のとこの役員達がまた、問題を起こしたのですけど?頭の悪い部下の手綱を握るのは貴方の務めですよね。私の仕事を増やさないでください。」
さっきまであんあん喘いでいたくせに
そう喉まで出かかった言葉を飲みこむ。
副委員長の葛城は美しい艶々とした肩までの黒髪を鬱陶しそうにかきあげて、そう言い放つ。
委員長とは対照的に副委員長の葛城は華奢なオメガの男だ。
「じゃじゃ馬を手懐けるのには苦労すんだよ」
「だったらさっさとリコールすればいいだろうが、お前はそう言ってあいつらを放置している。お前が何を躊躇ってるのかしらねえが、これ以上あいつらが好き勝手するようならこっちがお前らをまとめてリコールするだけだからな」
少し怒気を孕んだ声に、僅かに足がすくむ
だから苦手なんだこいつは…
「はっ、俺だって考えなしにこんなこと言ってるわけじゃない。あいつらは俺がなんとかする。リコールはしないし勝手にてめえらにもさせねえよクソ野郎」
これ以上ここにいるべきじゃないと思い、部屋から出るために二人に背を向け扉に向かう。
「おい」
「っ…!」
扉を開けようとドアに手をかけると上から太い腕が伸びてきて開きかけた扉が押さえつけられた
「お前が何企んでんのか、それとも考えなしに言ってんのか、そんなのはどっちでもいいが…口の利き方には気を付けろよ、会長様?」
上から響く声と、さっきまでの情事を感じさせる強い匂いが俺にまとわりつく。
「…お前に言われたくねぇよクソ委員長」
バタン
「……っはぁ…」
心臓がドッドッと強く脈打つ。
正直部屋に入った瞬間、一瞬、俺は自分の性に従順したくなった
部屋に充満していた加賀美の強いフェロモンの香り。
ただでさえ周期が近いというのにアルファの、それも極上のアルファの匂いについ、征服されたいというオメガの欲に駆られてしまった。
だから苦手なんだ、ただでさえアルファなんて嫌いなのに。
クソッと悪態をついて俺は歩き出した。
それでも、俺はこの自分の決められた性に屈する気はない、だからここの生徒会長になったのだから。
拳を白くなるまで握りしめてそう何度も心に決めた気持ちを思い起こした。
おいおいおい、すごい喘ぎ声だな。av女優もびっくりだぞ。
目の前の光景に痛くなる頭を抑えて目をそらす。
そうか、ノックをしなかった俺が悪かった。もう書類は置いていこう。
こんな場面に制止をかけてまで渡そうとは思えず、書類だけ置きそこを後にしようと扉に手をかけて
「っは、ぁ…あ?会長様じゃねぇか」
見つかった。
なんでだよ、腰振っとけよなんで気付くんだよ。
「風紀を正すべきやつが風紀を乱してどうすんだ。せめて鍵を閉めろよ」
そいつに背を向けたまま仕方なしに答えると生々しい音が止んだ。
「あー?お前が言えたことかよ。会長様も自室に大量のオメガを連れ込んで乱交したって聞いたけど?なんで俺を呼ばねえんだよ」
きっとニヤニヤと悪どい顔をしているのが声色でわかる。
というか、ちょっとまて。なんだその根も葉もない噂は。
内心ツッコミを入れるがここでそれをそのまま言うわけにもいかない。
「ここは風紀室、公共の場だ。てめえの私物化してんじゃねえよ。それに、俺に同じアルファと、それもクソ野郎と並んでヤる趣味はねえ」
事実無根だが肯定も否定もしない。勝手に噂してくれればいいさ、アルファとしての箔がつくからな。
いまだ背を向け扉を見つめたままそう言い放つ。
「そのクソ野郎ってのは俺のことかぁ?お前、俺より小さいからって僻むなよ…たくいいとこだったのにお前のせいでおあずけだな
で、何の用だよ。セックスを遮るほどの重要事項なんだろうなあ」
この性欲クソ魔人が。ナニがもげてしまえ。
「俺もこれ置いてすぐに出ていくつもりだったわ。ほら、期限には間に合わせたぞ」
俺はようやく奴に向き直り書類を渡し直す。
シャツは全開のままその逞しい肉体を晒す。こいつはここの風紀委員長である加賀美という男だ。
190センチほどあるがたいのよい男で身体だけでもなくその顔立ちも精悍なもので見る人がはっと息を呑むほどの迫力だ。
アルファの中のアルファ、風貌、この不遜な態度を見ると明らかで。
だから俺はこいつが少し、いや、かなり苦手だ。
「ふぅん、間に合ったのか。お前のことだから間に合わせるとは思ったが、内容も完璧だ特に不備もねえからこのまま上に上げる」
そう言って俺の仕上げた書類をパラパラと見て隣のシャツ一枚を羽織っただけの青年に手渡す
「会長様、貴方のとこの役員達がまた、問題を起こしたのですけど?頭の悪い部下の手綱を握るのは貴方の務めですよね。私の仕事を増やさないでください。」
さっきまであんあん喘いでいたくせに
そう喉まで出かかった言葉を飲みこむ。
副委員長の葛城は美しい艶々とした肩までの黒髪を鬱陶しそうにかきあげて、そう言い放つ。
委員長とは対照的に副委員長の葛城は華奢なオメガの男だ。
「じゃじゃ馬を手懐けるのには苦労すんだよ」
「だったらさっさとリコールすればいいだろうが、お前はそう言ってあいつらを放置している。お前が何を躊躇ってるのかしらねえが、これ以上あいつらが好き勝手するようならこっちがお前らをまとめてリコールするだけだからな」
少し怒気を孕んだ声に、僅かに足がすくむ
だから苦手なんだこいつは…
「はっ、俺だって考えなしにこんなこと言ってるわけじゃない。あいつらは俺がなんとかする。リコールはしないし勝手にてめえらにもさせねえよクソ野郎」
これ以上ここにいるべきじゃないと思い、部屋から出るために二人に背を向け扉に向かう。
「おい」
「っ…!」
扉を開けようとドアに手をかけると上から太い腕が伸びてきて開きかけた扉が押さえつけられた
「お前が何企んでんのか、それとも考えなしに言ってんのか、そんなのはどっちでもいいが…口の利き方には気を付けろよ、会長様?」
上から響く声と、さっきまでの情事を感じさせる強い匂いが俺にまとわりつく。
「…お前に言われたくねぇよクソ委員長」
バタン
「……っはぁ…」
心臓がドッドッと強く脈打つ。
正直部屋に入った瞬間、一瞬、俺は自分の性に従順したくなった
部屋に充満していた加賀美の強いフェロモンの香り。
ただでさえ周期が近いというのにアルファの、それも極上のアルファの匂いについ、征服されたいというオメガの欲に駆られてしまった。
だから苦手なんだ、ただでさえアルファなんて嫌いなのに。
クソッと悪態をついて俺は歩き出した。
それでも、俺はこの自分の決められた性に屈する気はない、だからここの生徒会長になったのだから。
拳を白くなるまで握りしめてそう何度も心に決めた気持ちを思い起こした。
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