ハッピーエンドを待っている 〜転生したけど前世の記憶を思い出したい〜

真田音夢李

文字の大きさ
上 下
210 / 240

月の記憶 〜崩れ落ちる幸せ〜

しおりを挟む
 
 嘘だと、誰か言ってくれないか‥‥。


 この目の前の光景が‥‥



 横たわった礼蘭に、大量の血が流れていく‥‥


 ああやめてくれ‥‥礼蘭の血が‥‥



 大きな水溜まりになっていく‥‥

「れい‥‥‥礼蘭!!!」


 女の子を隣に座らせて駆け付けた。
 暁のスニーカーがじわじわと真っ赤に染まっていた。

 暁は、礼蘭の手首を手に取った。

「救急車!!!‥‥っ‥‥きゅ‥‥‥きゅう‥‥‥。」

 暁の顔は青ざめた。
 礼蘭の手首から脈を感じなかった。

 きっと気が動転してるんだ‥‥。そう思って、首筋の頸動脈にも手を当てた。

 だが、青白く、べっとりと血がついた礼蘭の茶色味がかった髪が両手について、暁の呼吸はついに激しくなった。

「あぁっ‥‥‥待って待って待って‥‥っ‥‥礼蘭!!

 礼蘭!!!!礼蘭!!!礼蘭!!!!おい!!!!!



 ダメだ!!!起きろ!!!!!!礼蘭!!!!!」


 頭から大量に血を流した礼蘭を動かす事ができない。

 必死で呼んだ。涙が混じった‥‥‥

 今なら‥‥喉から血を吹き出してもいいから、

 名前を呼べば‥‥‥‥。



「返事しろぉぉぉ!!!!れいらぁぁぁ!!!!!」

 ぞろぞろと増えた野次馬と、偶然医療従事者の人が暁と礼蘭に近付いた。

 だが、数人集まった彼等は、礼蘭の状態にすぐに気付いた。




 すでに、出血多量で‥‥礼蘭の命は、尽きたのだと‥‥‥。




 暁は、ついに呼吸が追い付かず、涙を流し続け、血溜まりの礼蘭の顔に近付いた。縋るような思いだった。

「れい‥っ‥‥‥ダメだっ‥‥‥れい‥‥っっう‥‥行くなっ‥‥‥明日はっ‥‥っはぁっ‥‥‥お前がっ‥‥


 世界で1番‥っ‥げほっ‥‥‥‥っ世界でっ‥‥いちばっ‥‥ん‥‥‥。」


 暁の涙声が‥‥弱々しい声が‥‥礼蘭の心に届くように‥‥


「しあわせなっ‥‥おれのっ‥‥お嫁さんにぃ‥‥‥っ‥‥

 なるんだぞ‥‥っ‥‥‥‥たのむよっ‥‥‥おきてって‥‥‥‥



 やだよ礼蘭っ‥‥‥礼蘭ぁっ‥‥‥俺を‥‥俺を置いていくなっ‥‥‥。」



 外の騒がしさにレストランから出てきた楓が、大きな悲鳴をあげ、遠くから救急車とパトカーのサイレンの音がした。






 その後のことは‥‥‥よく覚えていない‥‥‥。


 俺は現実に耐え切れず‥‥‥最後までフラフラとしながら‥‥‥知らない人に支えられて、礼蘭と楓と一緒に救急車へ乗ったそうだ‥‥‥。


 病院での死亡確認は‥‥礼司と真鈴が到着してからだった。


 病院の椅子で、呆然と、瞳の光を失いただ涙を流す真っ赤な服の俺を見て、母が抱きしめてくれた。



 その時感じた温かさは、一瞬で‥‥‥俺の涙は止まらなかった。




 当時の状況は、テレビのニュースで流れたそうだ。
 わずか数秒で流れた礼蘭の死。


 状況を見ていた人々が口にした話は、俺をさらに追い込んだ。

 確かに青信号だった横断歩道。だが、そこに大型トラックが俺と小学生の2人に突っ込んできていたらしい。女の子を連れて横断歩道を渡ろうとした俺を、トラックに気付いた礼蘭が走り寄り、男の子を引き上げ、俺の体を・・・。あの小さな体で突き飛ばした。

 そして、自分は、トラックにぶつかり頭部外傷から即死だった・・・・。


 トラックの運転手は、心臓発作で意識を失いそのまま猛スピードで突っ込み電柱にぶつかった。
 そしてまた、その運転手も命をそのまま落とした・・・・。



 俺があの時、女の子と横断歩道を渡り、礼蘭のところへ行く事に気をとられていたせいで、
 俺は何も周りが見えていなかった・・・。
 青信号だから‥‥って、


 あんなに・・・・必死だった礼蘭の顔・・・・・。


 その前にあの眩しい笑顔に見惚れていた俺は・・・・・・。


 永遠にその笑顔を失った・・・・。




 誰も、俺を責めてくれなかった・・・・。礼蘭の前で泣き崩れるおじさんと、おばさん、真鈴・・・。
 俺の側で・・・放心した俺の側を離れなかった両親。



 俺はあの時の礼蘭の顔がしきりに浮かんだ。



 どうして俺を助けた・・・・・。ぶつかったのが俺だったなら・・・・・


 礼蘭じゃなかったら・・・・・。



 あの女の子が転ばなかったら・・・?



 俺が・・・・・




 俺が・・・・・




 俺が、礼蘭の代わりに・・・・死んであげたのに・・・・・・・。


 いや・・・俺はきっと・・・死ななかったかもしれない・・・・。



 礼蘭を一人にしたくないから・・・・。



 きっと、手足が千切れて・・・格好悪い花婿になってでも、明日の結婚式を・・・・・。



 ああ・・・そうだ・・・・結婚式だ・・・・・・。



 俺の大事な・・・・花嫁は・・・・・




 此処にいるのに・・・・・。



 俺に向かって笑ってはくれない・・・・。俺を・・・・抱きしめてくれない・・・・・。






「・・・・・暁・・・・少し何か食べろ・・・。」

 俺はその日を迎えていた。


 結婚式の12月3日は・・・・あっという間に過ぎていた・・・・。

 検死を拒否した礼蘭の家族は、礼蘭を、実家へと連れ帰り仮通夜となってしまった・・・・。


「・・・・いらね・・・・。」

 行き慣れた礼蘭の自宅。片づけた広い一室で、礼蘭はただ白い布団に横たわっていた。

 俺はただ、礼蘭がいるその部屋の壁に背を預けてただ、礼蘭を見ていた。




 食事を拒否して、ずるずると体を引き摺り・・・ポスン・・・っと礼蘭の側に頭を落とした。
「おい暁っ・・・・・っ・・・頼むからっ・・・何か食べろっ・・・・。

 お前が喪主にならないといけないんだぞっ・・・・。」

 忠にそう言われながらも、何だか、何を言われてるかわからないんだ。喪主?‥‥俺は礼蘭の夫だよ‥‥。

 布をとり、綺麗な横顔を見つめながら・・・・どんどんと瞳には何度も涙があふれてくる。


 この冷たい空気・・・

 どうして・・・こんなにも変わってしまうの・・・・?



 バカみたいな問いを自分の中で繰り返した。


 礼蘭の髪は、まるでお人形の髪になったみたいだった。血の巡らない頬は作り物みたいだった。



 どうして・・・・・。


 どうして・・・・・。



「・・・・・ふっ・・・ぅ・・・・・・。」

 礼蘭のそのいつもと違う長い髪を掬い、握りしめた。



 俺の体温を、礼蘭に分けてあげられたら・・・礼蘭は・・・また笑ってくれないかな・・・?


 この冷たくなった体を・・・俺が温めて眠ったら・・・・。


 明日はおはようと言ってくれないかな・・・・。



 あの眩しい笑顔を・・・・また、向けてくれないかな・・・・・・。



 両親たちは暁の様子が見ていられなくなり・・・目を背けて泣いた。礼司は泣き続ける真鈴を抱きしめて泣いていた。
 悠は楓を支え一緒に涙を流す。楓が言うのだ‥‥
 あのレストランで3人でご飯食べようだなんて言ったから‥
 私が悪かったと‥。


 違うよ‥‥‥悪いのは俺だ‥‥‥‥

 礼蘭を守ってやる事ができず‥‥俺が守られてしまったんだから‥‥‥


「・・・・・・枕・・・間違えてる・・・・。」

 俺は礼蘭の耳元にそう囁いて、固くなった首元に腕を滑り込ませた。


 こうして、いつも俺の腕枕で眠ってたのに・・・・・。


 ダメだって・・・・。




「だめだって・・・・っ・・・・・れい・・っ・・・・・。こんなのだめだ‥‥‥。なんか言ってくれっ‥‥っ‥‥‥」

 涙って・・・枯れないの・・・・?


 ねぇなんで・・・何も言ってくれないの・・・・。


 俺たちは、ずっと一緒だったのに・・・・。



 どうして・・・・俺を置いていくの・・・・?



「っ・・・つめてぇな・・・っ・・・ずっとあっためてやるから・・・っっ・・・」

 礼蘭を抱き寄せて、礼蘭の前髪を濡らした。


 声が聴きたい・・・・。静かな寝息でも聞こえたら・・・。

 俺は・・・・もうこれ以上の事は何もいらない・・・・。。


 生きていてくれたなら‥‥‥


 わずかでも、意識を保っていてくれたなら‥‥‥。

 例え、後遺症が残ったとしても・・・俺は喜んでお前の看護をした・・・・。

 お前が俺の事をわからなくなっても・・・それでも構わないのに・・・・・。





 どうして行っちゃうの・・・・。




 俺を置いて・・・・どこに行こうとしているの・・・・。




 お前が居てくれるそれだけで・・・俺は幸せなのに・・・・・。

 俺がお前を世界で一番・・・幸せにしてあげられたのに・・・・・。





 それから何時間も、礼蘭を抱きしめ続けた。

 葬儀屋と、お坊さんがやってきて引き離された。涙を零しながら、俺の体を引っ張った母の手が初めて憎かった。
 いい大人がしっかりしろと言われたけれど、どうにも出来なかった。だって‥‥‥



 こんなお経なんか・・・礼蘭は聞きたくないよ・・・・。


 礼蘭は・・・俺の声を聴きながら・・・眠るのが好きなんだから・・・・。




 ねぇなんで・・・・・・。





 なんでそんな事するの・・・・・?






 礼蘭が・・・・本当に・・・・・居なくなっちゃうみたいに・・・・・・。





 壁にもたれ掛かり、ぎゅっと両手で顔を覆った。

 こんなリアルは見たくない・・・・。


 ただ礼蘭が眠っているとだけ思えたら、まだこの心は・・・・。



 やめて・・・・・。



 やめて・・・・・。




 やめて・・・・。礼蘭が死んじゃったみたいに・・・・。







 俺はまだ・・・・信じられない・・・・。俺の届く場所に、礼蘭がいるのに・・・・。






 御通夜で、俺は夫のくせに立てなかった。あんなに疑問だった涙はついに干からびた。

 同じ学校だった友達がたくさん来たけど、誰が何を言って、誰が来てくれたのか分からなかった。
 結婚式の招待状を送った友達が、みんな泣いていたけれど、何を言っていただろう‥‥。



 俺は、あんな棺に入れられた礼蘭が心配で・・・・心配で・・・・・。


 礼蘭は花が似合うけど・・・礼蘭の好きな花は違う・・・。



 礼蘭は白無垢は似合うけど・・・死装束は・・・似合わないよ・・・・。




 礼蘭は・・・俺の隣で眠るのが好きなんだ・・・・。


 俺が隣に居なかったら・・・・不安になっちゃうかもしれないだろ・・・・。




「礼蘭‥‥。いつまで寝るんだ?」


 ああ‥‥こんな事になるなら、もっと抱き締めておけば良かった‥‥‥。こんなところにいれられちゃったら‥‥‥。

 抱き締められない‥‥‥。


 一晩中線香の匂いが途切れない‥‥。

 みんなが寝静まった深夜。




 暁は、礼蘭にキスしようと顔を近づけた‥‥‥。


「れい‥‥っ‥‥‥れいっ‥‥‥‥‥っぁはぁっぁぁぁ‥っ」
 礼蘭の顔に、涙の雨が降る。




 冷たくて‥‥‥悲しかった‥‥‥


 こんなに‥‥‥悲しいキスが‥‥‥


 この世に存在するんだって‥‥‥


 俺達には‥‥‥関係ない事だと思っていた‥‥‥。








「はなせぇぇぇ!!!!!!!やめろよ!!!!!!!!!!!!!!」

 眠れていなかった暁の全力の声が出たのは、事故の時以来だった。
 迎えた告別式、向かった火葬場。

 父親たちが、暁の体を押さえつけていた。

 血走った目を大きく開いて叫ぶ。涙は・・・まだ枯れていなかった。

「どこに入れんだよ!!!!やめろぉぉ!!!!!!!!」
「暁っっ・・・・暁っ・・・・礼蘭は死んだんだっっ・・・・・。うっ・・・頼むからっ・・・。」

 忠の涙声と腕の力が全力で暁の体を抑える。添えるような弱弱しい手で礼司が暁に寄りかかっていた。

「あきらっ・・・れいらぁぁ・・・・れいらはっ・・・・もうお別れしなくちゃいけないんだ・・・
 っ・・・お前がそんなだったらっ・・・れいらっ・・は・・・安心してっ・・・天国に行けないっ・・・・。」

 みんながボロボロと泣き続ける。礼司が弱弱しく口を開いた。


「・・・・あきら・・・・っっ・・・ちゃんと・・・見送ってやるんだ・・・・・


 あきら・・・っっ・・・頼むからっ・・・しっかりしてくれっ・・・・

 お前がそんなだったらっ・・・・礼蘭が心配してねむれないだろぉっ・・・・

 れいらがぁっ・・うううっ・・・ぁぁぁっ・・天国にっ・・・いけないっ・・・・。」


「天国なんて行くなっ!!!俺がいないところになんて行かせるなぁぁ!!!!!!

 あぁっ‥‥やめてってぇ‥‥‥っうぅ‥‥やめぇ‥‥‥って、ねぇ!!!‥‥れいら連れてかないでっ‥‥‥

 おれもっ・・・おれもいっしょにっ・・・うぅぅぅっぅうあああああああああああ!!!!!!!


 やめろぉぉっっ・・・あぁぁぁぁぁっ・・・・・・・れいらぁぁぁ!!!!!」



 どんなに願っても・・・どんなに手を伸ばしても・・・・。
 礼蘭の棺は、俺の手の届かない空間へ連れていかれた。


「あぁぁっ‥‥‥やだぁぁぁっ‥‥‥れいらぁぁっっ‥‥‥」


 閉じたその重い扉に・・・・暁は膝から崩れ落ち床に額をこすり付けた。
 ボタボタと涙で床を濡らし、暁の悲しい泣き声は礼蘭が変わり果てた姿で出てくるまで響いていた。


「ぁぁぁぁっ‥‥‥なんでぇぇ‥‥‥うぅぅ~っ‥‥‥れいっ‥‥‥っ‥‥」



 もう‥‥‥触れられない‥‥‥



 俺達の幸せな時間は‥‥‥戻ってこない‥‥‥。




「・・・・・・・・・・・・・。」

 骨になった礼蘭を、暁は目と頬を真っ赤にして出迎えた。
 若く健康だったら礼蘭の骨、その小ささに暁はため息のような泣き声をあげた。

「はぁ~・・ぁ・・・ぁぁああ・・・っっ・・・ちいせぇ・・・っ・・・・。」


 袖で目を覆った。現実から逃げ出したかった・・・。


 初めて・・・礼蘭がもう・・・存在しないのだと・・・諦めに似た感情が生まれた。


 骨じゃ・・・抱きしめてあげられない・・・・。

 手の中で握ってあげられる事しかできない・・・・・・。



 もう・・・・礼蘭は・・・・俺を抱きしめてはくれない・・・・・・。



 同じ時を・・・過ごしていくことはできない・・・・・。




 小さな子供のように泣いて・・・人が呆れるほど・・・引くほど泣いて・・・。
 引き摺られて・・・礼蘭から引き離されて・・・・。


 こんな俺を・・・礼蘭は嫌いになってしまうかな・・・・・。





 みんなの言う天国って・・・・・礼蘭の居る天国って・・・・・。


 どうやったら・・・・行けるの・・・・・・・・?



 なぁ・・・礼蘭は・・・・・俺がいないところで・・・・



 今・・・・どうしてるの・・・・・?




 天国ってところに・・・いけるの・・・・・?

 そこは・・俺といるより・・幸せで居られるの・・・・・?



 だったら・・・・俺も・・・・そっちに行きたい・・・・・。



 礼蘭がいないなんて・・・・俺は・・・耐えきれそうにないよ・・・・・・。



 会いたいよ・・・・・・。



 なぁ礼蘭・・・・・。俺の愛してるは・・・・・あんな電話越しでよかったの・・・・?





 愛してる・・・・。



 愛してるよ・・・・・・。






 俺の愛してるは・・・・・・今も・・・・ちゃんと届くの・・・・・・?


 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

真実の愛は、誰のもの?

ふまさ
恋愛
「……悪いと思っているのなら、く、口付け、してください」  妹のコーリーばかり優先する婚約者のエディに、ミアは震える声で、思い切って願いを口に出してみた。顔を赤くし、目をぎゅっと閉じる。  だが、温かいそれがそっと触れたのは、ミアの額だった。  ミアがまぶたを開け、自分の額に触れた。しゅんと肩を落とし「……また、額」と、ぼやいた。エディはそんなミアの頭を撫でながら、柔やかに笑った。 「はじめての口付けは、もっと、ロマンチックなところでしたいんだ」 「……ロマンチック、ですか……?」 「そう。二人ともに、想い出に残るような」  それは、二人が婚約してから、六年が経とうとしていたときのことだった。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜

鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。 誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。 幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。 ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。 一人の客人をもてなしたのだ。 その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。 【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。 彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。 そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。 そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。 やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。 ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、 「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。 学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。 ☆第2部完結しました☆

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

口は禍の元・・・後悔する王様は王妃様を口説く

ひとみん
恋愛
王命で王太子アルヴィンとの結婚が決まってしまった美しいフィオナ。 逃走すら許さない周囲の鉄壁の護りに諦めた彼女は、偶然王太子の会話を聞いてしまう。 「跡継ぎができれば離縁してもかまわないだろう」「互いの不貞でも理由にすればいい」 誰がこんな奴とやってけるかっ!と怒り炸裂のフィオナ。子供が出来たら即離婚を胸に王太子に言い放った。 「必要最低限の夫婦生活で済ませたいと思います」 だが一目見てフィオナに惚れてしまったアルヴィン。 妻が初恋で絶対に別れたくない夫と、こんなクズ夫とすぐに別れたい妻とのすれ違いラブストーリー。 ご都合主義満載です!

【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!

高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。 7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。 だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。 成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。 そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る 【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます

鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
 一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────  私、この子と生きていきますっ!!  シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。  幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。  時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。  やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。  それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。  けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────  生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。 ※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

処理中です...