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叶わぬ願いならば
しおりを挟む帝国の広場、ここは時には最大規模の中心地区にもなり、時には、最大の処刑の場にもなる。
ここには長い歴史が存在する。
その日帝国民の前に連れてこられたのは、
かつて侯爵令嬢だった、ライリー・ヘイドン。
しかし、帝国で彼女を知る者は違う容貌に戸惑う者も多い事だろう。
やつれきった姿で、魔術封じの拘束具をジャラジャラとつけられて、裸足の足を引きずっていた。
「‥‥‥‥‥‥。」
ライリーは、久しぶりに見た寒い青空を見上げた。
罪人の彼女は汚れてしまったドレスだった。
この帝国に、レリアーナとして足を踏み入れた時のままのドレスだ。
それが余計に惨めだった。
綺麗な美しいドレスは、こんなにも汚れ悪臭を放ち髪もベタつき絡まり屈辱だった。
けれど、そんな事はどうでもよかった‥‥‥。
特設された皇族席には、皇帝オリヴァーの姿しかない。
皇帝のそばに控えていたのは、ロスウェルとローブ姿となったレオンだ。
どこを見渡しても、愛しい姿はなかった。
目が合うのは、彼に似た父の姿だった。
その似た暁の瞳が、ずっと睨んでいる。
手足の痺れも寒さも‥‥どうでもよかった。
「‥‥‥‥殿下‥‥‥‥」
幻を見る様に皇帝を見つめた。
髪色が違う‥‥。
あぁ‥‥死ぬ間際でも、あなたに会う事も許されない‥‥。
牢の中で何度も聞かされた。
会わせないと‥‥‥。
確かにこの上ない罰だった‥‥。
死んだら、もう2度と会う事も、何も出来ないと言うのに‥‥。
神様は‥‥‥居ないのね‥‥‥‥。
「‥‥‥‥ははっ‥‥‥‥。」
俯いて、乾いた笑みが浮かんだ。
笑う事も、息をするのも、声を出す事も‥‥。
あの人を思う心も‥‥‥
これが最後‥‥‥。
叶わぬ願いだった‥‥
私は‥‥‥‥。
生まれ変わって‥あなたのいない世界なら‥‥
私は、生きていたかしら‥‥
あなたに恋をする事なく‥叶わぬ愛を夢見る事なく‥‥。
いいえ‥きっと、無理ね‥‥‥。
私は何度生まれ変わっても‥‥あなたを見つけてしまうだろう‥‥
ああ、憎らしい‥‥‥‥
死ぬ事でしか‥諦められないなんて‥‥‥。
でも、あなたは私を忘れないだろう‥‥
忘れさせやしないわ‥‥‥
わたしは‥‥‥
断頭台の目の前に立たされた。冷たい風が身体に突き刺さる。
それでも、彼の瞳の方がもっと‥‥冷たかったわ‥‥。
「罪人ライリー・ヘイドン。」
皇帝の凛々しい声が響いた。
冷めた目をして皇帝を見た。
「‥‥‥違う‥‥‥。」
長々と罪名を述べられる間じっと見ていた。
彼と似ている皇帝を。
ライリーは静かに、誰にも悟られない様に呟いた。
〝‥‥絶対に‥‥呪い殺してやる‥‥‥。
リリィベル‥‥ブラックウォール‥‥‥あんたの幸せをぶっ壊してやるわ‥‥私の命に賭けて‥‥‥〟
オリヴァーの隣にいたロスウェルが慌てて身を乗り出した。
「!!!‥‥ダメだっ‥‥。」
グイッとオリヴァーの肩を掴んだ。
「陛下!!早く首を切り落として!!!早くっ!!」
「ロスウェルっ?!」
驚いたオリヴァーだったが、ロスウェルの殺気立つ視線の先を見た。
闇深い黒いモヤが、ライリーを包もうとしている。
ニヤリと笑った気味の悪いその姿。
「早くっ!!!」
切迫するロスウェルの言葉に、オリヴァーはすかさず近くの騎士に剣の振り下ろしの合図を送った。
とても長く感じた、彼女の唇は呪いの言葉を奏でている。
「私の命と引き換えに、リリィベルをこ」
バシュッ!!!!
遮るように喉元を一瞬で切り落とした。
ゴロンっ‥‥と血飛沫をあげて頭が転がった。
バザバサと斬られた髪が冷えた風が吹き飛ばされた。
その顔は、ひどく醜く、斬られた事も感じさせない。
醜い笑みを浮かべていた。
「はぁっ‥‥‥はぁっ‥‥‥っ‥‥‥。」
処刑した騎士が断頭台の前で、混乱しながらも任務を遂行した。
断頭台を目の前に、首を落とされた。その出来事は、この場に来ていた全員が混乱し騒然となった。
「っ‥‥‥おのれっ‥‥‥‥っ‥‥‥。」
「おい!ロスウェル!!」
オリヴァーの隣でロスウェルの髪がゆらゆらと逆立っている。
ロスウェルは怒りで震えている。
ロスウェルの右手が、掲げられると切り落とされたライリーの頭は空中へ飛び上がり、手を握ると一瞬で断頭台の下に置かれその刃が落ち頭が更に真っ二つに斬られた。
その無惨な光景に悲鳴が上がる。斬首される場面は見ても頭を真っ二つにされたモノを見る事は無いだろう。誰しもが顔を青くし、幼子と女達は目を背け震え上がった。
「‥‥‥お‥‥おい‥‥‥‥っ‥‥」
オリヴァーが、ロスウェルの怒り狂った顔を見つめた。
レオンがオリヴァーの背にそっと手を当てた。
「‥‥‥皇帝陛下‥‥‥ライリーが‥‥呪術を唱えたので‥‥‥あのままでは、断頭台にたどり着くまでにリリィベル様が呪われる所でした‥‥。」
「っ‥‥‥なんだとっ‥‥‥?」
「あれは‥命を対価にする魔術です‥‥断頭台で首を切られる前に呪術が完成したら取り返しがつきませんでした。魔術師の命そのものが対価ですから、でも、教えたわけじゃありませんっ‥‥ただ、我々が人を殺すという事は、自分の命を落とす意味で、呪詛も同じ‥‥
それを知らずに呪いを吐いていたのでしょう‥‥
〝命と引き換えに殺す〟という言葉が、言霊の魔術となります‥‥。言い切られたら逃れられません。」
オリヴァーの背筋が凍った‥‥。額に汗が浮かんで頬を伝った。
「‥‥なんてことだ‥‥‥。大丈夫なのかっ?!‥‥
リリィはっ‥‥‥リリィは今っ‥‥‥。ロスウェルはっ‥‥。」
魔術師は人を殺せない。
そして、命を対価とする呪いの魔術は、ちゃんと防ぐ事が出来たのか。
「‥‥すでに事切れたモノをあの様にしたロスウェル殿は‥大丈夫です‥‥殺した事には該当しませんっ‥‥‥。
リリィベル様も‥‥恐らく‥問題ないでしょう‥‥。
あのモヤが、身体から離れて行ったら、リリィベル様の御身が‥‥。けれど失敗に終わったはずです‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥リリィっ‥‥‥‥。」
オリヴァーは悔しげに唇を噛んだ。またしても、この処刑の場で命を捨て殺そうと呪術を掛けようとした。
レオンは、オリヴァーの強張った背を撫でた。
「‥‥人は殺せないと、彼女も知っていました‥‥。
だが、最後に、恨み言で吐いた言葉だったのでしょう‥‥
それがどんな結果をもたらすかも知らずに‥‥‥。」
「あぁぁ‥‥‥っ‥‥‥‥。」
オリヴァーは両手で頭をぐしゃぐしゃに掻き乱した‥。
ここにロスウェルが居なければ、その執念で解き放たれた言葉が呪いとなりリリィベルの命を地獄へと道連れにするところだっただろう‥。
咄嗟に、ロスウェルが自ら手を下したら、ロスウェルの命もなかったかもしれない。
合図一つで、咄嗟に首を切り落とした優秀な騎士が居てくれた事も大きかった。
テオドールの宝が‥‥。帝国の未来を担う皇太子妃が、呪い殺されるなんて事はあってはならない。
建国祭で起きたライリーの魔術以上に、死と引き換えに呪い殺す魔術があることに恐怖を感じた。
恨み言で、普通の人間が放つ言葉とは、重みが違う。
普通の人間は言葉だけで人は殺せない。
だが、魔術は命と引き換えに呪い殺すことが出来る‥‥。
「‥‥‥‥」
レオンはギュッと瞳を閉じた。
「申し訳ありませんっ‥‥あの子は、魔術師にしてはいけなかった‥‥‥。私達のせいで‥‥2度までもっ‥‥‥
本当にっ‥‥‥申し訳ありませんっ‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥」
オリヴァーには、返す言葉がなかった。
ポリセイオに行き、レオンを救ったテオドール。
この国から逃亡され、魔術師となったライリーの思惑により、その失敗でレオンの命は救われた。
だが、この過程で何度リリィベルが狙われた‥‥。
そもそも、誕生祭でテオドールとリリィベルが出会ってから、
何度‥‥‥‥。
「‥‥‥テオに‥‥っ‥‥なんと言えばっ‥‥‥。」
この処刑の場で、危うくリリィベルが呪い殺されるかも知れなかったと。伝えるのも恐ろしい。
テオドールは怒り狂うだろう。
リリィベルは、恐怖にまた駆られるだろう‥‥。
伝えなければわからない。
けれど、伝えない訳にはいかない‥‥。
危険に晒された事を知らせずには居られない‥‥。
グシャッ‥‥‥グシャッ‥‥‥‥
遠くで血飛沫が上がる。
「‥‥‥‥っ‥‥‥」
オリヴァーが、震える瞳で見た。
怒り狂ったロスウェルが、この場所から、何度も何度も
形が無くなるまで罪人の頭を潰した。
こんなロスウェルは、見たことがない。
指先1つで、ロスウェルの魔術は容易く繰り返される。
オリヴァーは、ギリっと奥歯を噛み締めてロスウェルの元へ駆け寄った。
彼の手をギュッと握り締めた。
「もぉやめろ!!っ‥‥‥命令だっ!!!」
「‥‥‥‥‥嫌です‥‥‥。」
グシャッっ‥‥‥‥
「ロスウェルっ!!!」
オリヴァーは、ロスウェルの背後から両腕を掴んだ。
ロスウェルの瞳から一筋涙が流れた。
「私は‥‥‥‥また‥‥‥殿下の宝を‥‥‥。」
「お前のせいじゃないだろ!!!お前は止めたじゃないか!!!!」
「許せません‥‥‥‥自分が‥‥‥‥
あなた方を御守りする私が‥‥‥こんなに非力では‥‥‥
仕える意味が‥‥‥あなた方に顔向け出来ません‥‥。」
グシャッ!
もう余す所もなく、散り散りになり辺りは血の海だった。
「っ‥‥おいっ‥‥‥。」
テオドールが見たら‥‥どんなに悲しむ事だ‥‥‥。
この帝国民達が、どんな目でロスウェル達を見ることか‥‥。
大公にし、ロスウェル達を守ると言ったテオドールが‥‥。
帝国の魔術師は、優しいのだと‥‥。
守りたいのだと‥‥‥
「ロスウェルっ‥‥‥頼むからっ‥‥‥。」
オリヴァーはロスウェルの身体を押さえ込む様にグッと身体を押し付けた。
階段がキシッと鳴る音がした。
「何してるんだ。ロスウェル‥‥‥。」
「‥‥‥‥っ‥‥‥‥‥。」
その時初めて、ロスウェルの身体の力が抜けた。
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