198 / 240
終わりにしよう
しおりを挟む「‥‥‥お前は‥‥。」
ライリーの牢屋から少し離れた牢に、彼は居た。
レオンの長い髪が彼の視界に入る。
「お久しぶりですね。あなたに会うのは‥‥‥約12年ぶり‥と言うところでしょうか‥‥。」
レオンが見下ろす、ライカンスの惨めな姿。
あの頃脅威に見えた強者の手‥‥悪の手‥‥。
それがこの帝国で手枷をして、現実に打ちひしがれている。
「お前が‥‥何故ここに‥‥‥お前の心臓はっ‥‥‥。」
「皇太子殿下が‥‥私の心臓を見つけてくださった。
そして、今回の出来事で、ポリセイオの王は処刑されました。当然ですね。皇太子殿下と、婚約者様に危害を加えたのですから‥‥。僕には、奇跡の様な時でした。
あなたが、この帝国にいる間に訪れた好機ですから‥‥。
おかげで、僕は自由を手に入れました。
皇太子殿下と、帝国の魔術師様には‥‥一生かかっても返しきれない程の恩ができました。」
正気を失った時を過ごしていたとしても、この光景には沸々と怒りが込み上げていたライカンスのだった。
12年前の事なら‥‥まだ鮮明に思い出せる。
魔術師という、特異な存在。
国王をも始末出来ると思っていた。
レティーシャは、レオンがいる限り従順だった。
そんなレオンが、外界に出てきた。
その心臓を手に入れて‥‥。
気色の悪い生き物だ‥‥‥。心臓を取り出しても、レティーシャの術で生き長らえて、今目の前に立っている。
「くそっ‥‥‥っ‥‥。」
成功したライリーを、帝国に連れてくるべきではなかった。
帝国に魔術師がいるのは、考えられなかった。
ましてや、魔術師達があの建国祭で見せた様に、どれだけ皇族達と強い絆で結ばれているか‥。
恐怖ではなく、信頼として結ばれている存在。
彼等は本気で怒りをぶつけてくる。
皇太子と婚約者を害したこと‥‥‥。
ライリーの魔術が解かれさえしなければ‥‥。
だが、帝国に存在したマジョリカブルーの魔術師は、レティーシャやレオンとは比べ物にならない程の力を持っていた。
「‥‥‥ライリーを私達の下に連れてきてくれてありがとうございました。これで、私達は未来に希望を持つ事ができます。」
「っ‥‥‥このっ‥‥化け物が‥‥っ‥‥‥。」
衰弱した身体で精一杯の暴言をレオンに向けた。
しかし、レオンは涼しげに笑って見せた。
「ふふっ‥‥今の僕は何を言われても、痛くも痒くもないですよ。あなたに奪われた時間も、これから取り戻す事が出来ます‥‥‥。あなたは、これから奪われるだけでしょうが‥。
悪い事をすると‥‥ちゃんと罰を受けるのですね。」
そう言って、レオンはライカンスから遠ざかった。
「おかえりなさい、テオドール‥。」
「はい、母上‥‥。」
夕食時、母マーガレットにテオドールはその身体を包まれた。安心した笑みを浮かべるマーガレットに、テオドールも微笑む。
「落ち着かないままポリセイオに行くことになって、あなたも疲れているでしょ‥‥。後は、オリヴァー様が片付けて下さるわ。」
「ふふっ‥‥ええ、少しお休みを頂きますよ。」
「ああ、お前とリリィはしばらく休暇だ。心配するな。」
オリヴァーはリリィベルの肩を抱きにっこり微笑んだ。
その笑みにリリィベルも笑顔を返す。
久しぶりに穏やかな時間が過ごせそうだ。
テオドールが帰還した今夜の夕食はいつもよりも増して豪華だった。
「こんなに気を使って頂かなくても‥‥」
「いやいや、今夜はお前の働きに対する褒美だ。好きなものばかりだから、いっぱい食べろ。すぐに痩せてしまうんだから。」
「ええ、お陰様で父上の命令は厳しいものが多いので。」
「ふふっ、テオ、私が食べさせてもよろしいですか?」
「こりゃあ本当に至れり尽くせりだな。」
隣に座るリリィベルが、テオドールの好物を口に運ぶ。
それを上機嫌で頬張った。
和やかな夕食は、心から楽しく過ごす事が出来た。
優しい両親に、隣に愛する人がいてこれ以上幸せがあるだろうか。
絶えず笑顔があふれる。
テオドールは思っていた。どれもこれも魔術師達のお陰だと。その事を一時も忘れはしなかった。
夕食を終えて4人のプライベートルーム。
食後に紅茶を飲みながら、オリヴァーとテオドールは向き合った。
「‥‥テオ。」
「はい」
「さっき言っていた話だが‥ここで話せる事か?」
ここにはマーガレットもリリィベルもいる。だが、2人は少し離れたテーブル席で仕立て屋のカタログを見て結婚式へと意識が飛んでいる。
テオドールも迷いはした。本来魔術師は皇帝と皇太子のみが知る事が出来る秘密。
「今更でしょ?てか、あれだけ集中してたら聞こえてないかもしれませんし、聞いてるかもしれません。でも貴族達も知ってるんですよ?」
「だが‥。」
「私達4人が知っていればそれでいいです。父上、魔術師が定期的に現れると言いましたよね。」
「ああ‥‥。」
テオドールは真剣な面持ちでオリヴァーを見た。
だが、少し勇気がいる事実だった。
「俺達が帰ってきた時、ロスウェルやレオンからは何も聞いていませんか?」
「いや‥ポリセイオでの話を聞いただけだ。レオンが今までどの様に過ごしていたのか、そういう事だ‥。」
「私はレオンとレティーシャ王妃が生まれ、追い払われた経緯を聞きました。魔術師は人間と精霊が契りを交わし産まれるのだと聞きました‥。」
「精霊だと?」
オリヴァーは目を見開いて、眉を顰めポカンとした。
「レオン達は、兄妹だと言っていましたよね。本来人間同士の夫婦から魔術師が生まれることはないそうです。
それで‥‥何故かと言う話になって‥‥‥。
レオンの両親は、大精霊に‥‥会ったのが原因ではないかと。俺も、正直詳しくわかりません。
そして、俺達が魔術師と繋がった最初の魔術師。
つまり、帝国の皇帝に会いに来た魔術師ですが‥。
その魔術師は魔の森で今も尚生きていて‥魔の森で帝国に送る魔術を操ることのできる者を、ここへ導く審判として存在する‥‥。」
「はっ‥‥?」
「そうなりますよね‥‥‥魔術師が現れたのは‥‥‥。」
「私だって‥‥辿れないぞ‥‥500年以上‥‥それくらいしか‥もっと古いかもしれない‥‥。」
「ロスウェルは‥‥魔術師に託される時に呼ばれる。
でもその存在を見た事はない‥。詳しくはまだ聞いてません‥‥。だが、レオン達は、魔の森に入る事は出来ずにいたけれど、大精霊との接点があるんです‥‥。
でも大魔術師に、嫌われた存在だった‥‥‥。
大魔術師と、大精霊は番(つがい)なんです。
人間から生まれて魔術師なのが、禁忌なのか、
大精霊の存在に触れたのが禁忌なのか‥誰にも分かりません。
レオン達はだから、帝国に来る事はなかった。
大魔術師の選別にそもそも弾かれていたのでしょう‥。」
「‥‥‥‥‥‥」
オリヴァーはとうとう黙った。
大魔術師、大精霊‥‥そんな話は受け継がれていないし、
そもそも最初の魔術師がいた。ロスウェルはそんな話をしてくれた事はない。
語り継がれていない話に、わざわざ話す必要もない。
だが、ロスウェルが定期に連れてきた。
今の魔術師達‥
「そして、もう一つ重要なのが、レオンとレティーシャの子供です‥。」
「ああ、‥‥‥‥ハリーだろ?」
「やっぱ、分かりましたよね?」
その問答はすぐに解けた。
「本人には?」
「いや、伝えていない。まだバタバタしているし、
まぁ、いずれわかるだろう。」
「問題は、ハリーは帝国に来られたという事‥。」
「‥‥そうだな。何故ハリーはここに来れたのだろう‥。」
「分かりません‥‥でも、今も魔の森には最初の魔術師がいて、皇帝との約束を守り続けている‥‥。俺が懸念しているのは、その事です‥‥公にしまって、これが逆鱗に触れないかと言うことです。」
テオドールは、自分の指で唇を抓った。
「俺がもし、その魔術師の意に反する事をした者となれば、
‥‥その魔術師は、どうするのでしょうね‥‥‥。」
「魔術師ならば皇族であるあなた様を害する事など決して御座いません。」
「「うあぁぁ!!」」
テオドールとオリヴァーの間にロスウェルが顔を出した。
2人は後ろにのけ反り胸を抑える。
「まぁた同じ様なカッコしてぇ。面白い親子ですねぇ。」
ローブの袖に両手を隠してにっこり笑うロスウェル。
「ロスウェル!お前っ!急に現れるなよ!」
「だぁって、今はお知らせする術がないのです。お許しくださーい。あ、マーガレット様、リリィベル様、あ、そのお菓子美味しそうですねぇ。」
遠くを見渡すように、2人のテーブルにあるお菓子を眺める。
「殿下が皇太子になった際に申し上げましたでしょう?
殿下が契約違反をした事は何一つありませんよぉ。」
「だが‥‥」
オリヴァーが焦った様に口を開いた。けれど、ロスウェルは穏やかな表情のままだ。
「私達はあなた方の庇護下にあり、何も問題ありません。仮にレオンが帝国に来た事が大魔術師様の意に反するとしても、
私は全力でお守りします‥‥。本当です。」
ロスウェルの決意は固い。
そんなロスウェルにテオドールはふっと笑った。
「お前は、俺らを守ってばかりだな。
‥‥‥父上、やはりあの件は絶対に実行します。」
オリヴァーもソファーにもたれ掛かりしみじみと頷いた。
「それが良さそうだ。私達も、やらねばならない。」
「え?なんですか?」
全く意味が分からないロスウェルはぽかんと口を開けた。
テオドールはその口にポイっと小さな菓子を放り込んだ。
「モグっ‥‥‥おいひいでふ‥‥‥。」
クスッと笑ったテオドールが、満足そうにロスウェルの肩に手を置いた。
「俺達だって、お前らを守るよ。絶対だ‥‥。」
「いや、私達が」
「わかってるわかってる。お前らには敵わねーよ。
でもな、俺達のやり方で、お前達を守る術はあるんだよ。」
「‥‥‥‥ふふっ、私達は無敵の布陣ですからね。」
オリヴァーと目を合わせてロスウェルは嬉しそうに笑った。
オリヴァーと、テオドールが大好きだった。
ここに居ることが、ロスウェルの人生そのもので誇りだ。
絶対的信頼をおける2人だった。
2人の為ならば、どんな事も出来る気がする。
「‥‥‥疲れ‥‥‥たわ‥‥‥。」
「急に飲まず食わずで泣いちゃったからじゃない?」
地下牢でライリーついに横たわった。
何もないただの冷たい床、所々血がこびり付いていて衛生状況は最悪だ。
ライリーを見ていたのはレオンだった。
ロスウェルが不在で、他の魔術師達を休ませる目的、そして罪滅ぼしでもあった。
「‥‥おしゃべりなんかしてないで下さい。
俺は、ポリセイオから来た魔術師なんて、クソ程信頼してません。」
「うぅ~ん‥‥‥。」
レオンの後ろの椅子にどかりと腰を下ろしているのはハリーだった。レオンはこの状況に大いに悩んだ。
実の息子は、仇を見る様な目でレオンの背を睨みつけている。
これは困った‥‥。印象は最悪だ。
けれど、突き刺さるその瞳が嬉しかったのだ‥‥‥。
幼い子は、こうして大きく成長し立派な魔術師になっていた。
いざとなれば自分でなんとか出来ると、自信にも溢れていた。
自然と頬が緩みそうなのを必死で保っていた。
「‥‥‥あなたもその髪色を持つって事は、ロスウェル様と同様っすよね。でも俺負けねぇっすから‥‥陛下と殿下の為なら‥‥俺はなんでも出来ますから。」
その言葉を聞き、レオンは耐えきれず口角を上げた。
ライリーは横たわり何も見ていない。
「大丈夫だよ。陛下と殿下のおかげで、僕はここに居るんだから‥‥‥」
親子の会話とは程遠かったが、嬉しかった。
ハリー‥‥私の息子‥‥‥。
君もね‥‥本当はこの髪色をしていたんだ‥‥‥。
きっと帝国にいる事で、この髪色ではなくても、
なるほど、殿下の言う通り‥‥‥
君は、僕に少し似ているね‥‥‥
少し気が強いのは‥‥レティーシャに似たのだろう‥‥
レティーシャは、怒るととても怖いんだ‥
今怒っている君が‥‥昔のレティーシャに少し似ていて、
僕は、とてつもなく‥‥‥幸せに思うんだ‥‥。
「君は‥‥この帝国で幸せだった?」
ハリーに背を向けたまま、問い掛けた。
ハリーの眉がピクっと吊り上がった。
もちろん、最初のポリセイオとの交信で自分が魔術を展開した。王妃の顔は見なかった。助けたいと言っていた人はこの人のことだ。
これまでの人生を‥‥この人は‥‥‥。
ハリーは、少し吊り気味の目を緩ませた。
テオドールが城に上がった頃、最初から仲が良かった訳じゃない。でも、テオドールは自分が仕え守る存在だ。
「幸せ‥‥です‥‥。殿下も陛下も‥‥みんな‥‥‥
良い人しか、この城には居ませんから‥‥‥。」
その言葉にレオンの瞳はうっすらと涙に滲んだ。
遠く離れた地、幼い我が子、生きていてほしかった。
「帝国は‥‥本当に‥‥素晴らしいところだね‥‥‥。
同じ魔術師として‥‥嬉しく思うよ‥‥。」
涙がこぼれ落ちてしまわない様に、レオンは瞳を閉じた。
今はまだ言えないけど‥‥。
一生伝えられなくても‥‥‥。
君が幸せでいてくれたなら、この上なく幸せだ‥‥。
夜も更けて、テオドールとリリィベルが眠りについた頃。
オリヴァーとロスウェルが、執務室で向き合っていた。
「ロスウェル、地下牢にいる者達の事だが。」
「はい。もう問題ありません。
本当なら‥‥私自身の手で始末したいくらいですが、
私達には出来ませんので、陛下にお願いするしかありません。」
ロスウェルは、真面目な顔でオリヴァーにそう言った。
そして、自身の髪を一房ギュッと握りしめた。
「私は‥‥この髪色は望んでおりません‥‥‥。」
「ロスウェル‥‥‥そんな顔するな‥‥。」
ロスウェルの顔は悲痛に歪んでいる。最高位の魔術師だからできた事は多かった。けれど、皇族との繋がりが切れてしまって心細かったのだ。
こんな事になった自分への不甲斐なさが胸を締め付ける。
オリヴァーは悲しげにロスウェルの肩に手を置いた。
「あの子達の為にも、私達の為にも‥‥終わらせよう。
明日、10時、罪人達の処刑を執行する。」
「殿下には?」
「‥‥まぁ知らせておかなければならないが、あの子はリリィと休息だ。」
2人は今互いを抱きしめ合い、愛に包まって眠っている事だろう。
「あの子にこれ以上自分を責めてほしくないんだ。リリィに被害があったのも、自分のせいだと思っているし‥‥私はあの罪人の前にテオを出したくない‥。」
この数日の中、何度聞いた事だろう。
ライリーがテオドールを求める声。
リリィベルに対する暴言の数々。
きっと、息の根が止まる瞬間まで収まる事はないだろう。
恐ろしい執念で、魔術師となった者。
オリヴァーの暁の瞳がゆらゆらと炎の様に怒りを宿していた。
「‥‥‥終わりにしよう。これからのあの子達には‥幸せな未来だけがある様に‥‥‥。」
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

【完結】不誠実な旦那様、目が覚めたのでさよならです。
完菜
恋愛
王都の端にある森の中に、ひっそりと誰かから隠れるようにしてログハウスが建っていた。
そこには素朴な雰囲気を持つ女性リリーと、金髪で天使のように愛らしい子供、そして中年の女性の三人が暮らしている。この三人どうやら訳ありだ。
ある日リリーは、ケガをした男性を森で見つける。本当は困るのだが、見捨てることもできずに手当をするために自分の家に連れて行くことに……。
その日を境に、何も変わらない日常に少しの変化が生まれる。その森で暮らしていたリリーには、大好きな人から言われる「愛している」という言葉が全てだった。
しかし、あることがきっかけで一瞬にしてその言葉が恐ろしいものに変わってしまう。人を愛するって何なのか? 愛されるって何なのか? リリーが紆余曲折を経て辿り着く愛の形。(全50話)
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる