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繋いで、心 10
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「ふぅ‥‥‥。」
「殿下、お疲れ様です。」
「おー‥‥お前もな‥‥‥。」
レティーシャ王妃から、ゲストルームに通された2人。
ロスウェルが自ら紅茶を淹れてテオドールに手渡した。
「なんもしなくても‥俺だって出来んだぞ?」
「これは気持ちですよ。殿下。」
メイドをつけないテオドールは紅茶を自分で淹れる。
だが、これはロスウェルの気持ちだ。
テオドールは少し疲れた顔で笑いその紅茶を飲んだ。
温かい紅茶はテオドールを潤し、心を少し緩ませた。
「‥‥‥リリィ‥‥どうしてっかな‥‥‥。」
その独り言にロスウェルも眉を下げて微笑んだ。
「殿下のお帰りをお待ちしている事でしょうね‥‥。」
「‥‥‥泣いてないといいんだがな‥‥‥。
なんとなく、こないだの戦の時の様に中途半端に‥‥顔を見せない方がいいと思ってるんだ‥‥。」
「そうですね‥‥必死にお心を強く保っていられる事でしょう‥‥帰ったら、陛下は休息をとおっしゃっていましたよ。」
ふんっとテオドールは鼻を鳴らした。
「それくらいねーと‥‥やってらんねぇよ‥‥‥。」
「しかし、殿下が此処にきてやはり正解でした。」
「ぶっちゃけ‥‥俺は国民からは石の一つでもぶつけられる覚悟で言ったんだ。国王を殺した帝国の皇太子は暴君だとな‥‥。
混乱するだろうと‥‥だが、この国は思った通り王妃に信頼を寄せている。」
「貴方様に石を投げる者などおりません。」
「いーだろ‥‥別に石ぐらい‥‥他国で好き勝手してる奴に石の一つでも投げたいと思う国民がいるだろう‥‥。」
「殿下のした事は、レティーシャ様を救いました。
なぜ、その様におっしゃるのですか‥‥?」
テオドールはソファーに腰掛けて、コテンと首を傾けた。
少し虚ろな瞳で口を開いた。
「なんとなく‥‥そう思っただけだ‥‥‥2人の事は誰も知らないだろ。ま‥帝国が被害にあったから出来たんだけどな。だが、元は帝国の逃亡者だからな‥。」
その言葉にロスウェルは顔を顰めた。
「仮にそうだとしても、もしも殿下に石を投げる者が居ても、私がその石や砂粒1つも貴方に降り注ぐ事がない様にお守りします‥‥。」
テオドールは、ふにゃりと気が抜けた様に笑った。
「ははっ‥‥‥俺は良いからさ‥‥リリィを守ってくれよ。
期待してるぞ‥‥。」
そういうとテオドールは瞳を閉じていて、そのまま眠ってしまった。
ポリセイオに来てから、ずっと動きっぱなしだったテオドールにも、体力の限界がきていた。
眠ったテオドールの幼く見える寝顔に、ロスウェルはたまらない気持ちになった。
どんなに感情が乱れようとも、彼は心の優しい人だ。
大きな満月の様なのだ。
今回だって、結局レティーシャの為、レオンの為、
いくつもの策をその頭で考え抜いた。
「‥‥‥何手先を考えていた事やら‥‥」
地下牢から帰ってからのこと。会議の休憩中にレティーシャ王妃と話をした。
今後については、帝国に戻ってから同盟国となる準備をすると話をした。監視下のよりは、同盟国としてこれから守ると。
「レティーシャ王妃、レオンの事についてだが。」
「はい‥‥。」
貴賓室へ通されてすぐの事だった。
「レオンを帝国の魔術師としてポリセイオに送るとするのはどうだ?」
「えっ?」
レティーシャ女王は目を見開いた。
「レオンの存在は、誰も知られてないんだろ?
多分国王と公爵家、そして‥‥そなたらを捕まえた騎士団ってところか。」
「‥‥‥はい‥‥‥死んだ者とされております。」
「元々、そなたらは生まれた地を離れて暮らしていた。いくらポリセイオに近かったとしても、ポリセイオの国民になっていた訳でもないんだろ?
そなたら2人を知る者は少ないだろう。レオンを帝国の人間とし、帝国の魔術師としてポリセイオとの同盟の為婚姻する者とする。どの道そなたらは離れる気はないだろ?
だが、国婿を持てと言われるのがオチなら、帝国から国婿を送る事にして文句は言わせないように手を打とう。
帝国に魔術師がいる事は知られているんだ。
俺は魔術師達をただの魔術師にしておくつもりはない。
これはまだ俺だけの考えだ。
‥‥だが、生まれた地を追われたのなら、この王国ごとそなたらの住処として生きれば良い。お前達を追い出した者達への仕返しだと思えば良い。
どうだ?あの家も良かったかも知れないが、
困った事があれば俺達が力になれる。
皇族に文句言う奴はいねぇだろ?」
そう言って、テオドールは笑ったのだった。
レティーシャ王妃は言葉に詰まって、今にも泣き出しそうだった。
そんなやりとりが先程行われていたのだった。
「まったく‥‥誰が優しい貴方に、石を投げると言うんです‥‥。」
ロスウェルはふわりとブランケットをテオドールに掛けた。
テオドールが寝入った頃、ロスウェルは魔術の気を感じた。
その気はゲストルームの扉を何もなかったかの様にすり抜けた。
「勝手に入ってしまって申し訳ない。」
やってきたのは、レオンだった。
その姿にロスウェルは穏やかな笑みを浮かべた。
「お心は、身体に馴染みましたか?」
「お陰様で‥‥自由に姿を消し出歩ける程です‥。
外を見ましたが、時の流れは恐ろしいな‥‥。」
「‥‥‥‥何故、こちらへ?」
ロスウェルの問いにレオンは、切なげに眉を下げて笑った。
「どうしても、ちゃんと会いたかったんだ‥‥。」
「?‥‥殿下に‥?」
キョトンとしたロスウェルだった。だがその問いに首を横に振った。
「あなたにだ。どうしても聞きたい事があった。
私の息子が‥‥帝国にいるのかも知れないと思って‥‥‥。」
その言葉に、ロスウェルは微笑んだ。
「あなたの息子の名は、‥‥‥ハリーでは?」
レオンは目を見開いた。
「!!やはり‥‥ハリーは帝国にいるのか?!」
レオンは慌ててロスウェルの両腕を掴んだ。
それを受け止める様にロスウェルは微笑んだ。
「ええ、居りますよ。私が、魔の森に突然現れた魔術師の子を引き取りに行きましたから。」
ハァっとレオンは息を吐き俯いた。
「良かった‥‥‥っ‥‥本当にっ‥‥成功していた‥‥‥。」
自信はあまりなかった。だが、上手くいけば魔の森へ転移されればと思っていた。
「あなた方の血を引いているのなら、ハリーも本来はこの髪色だったのも頷けます。あの子はまだ3歳でしたが、この髪色をしていた。‥‥まぁ、我々は帝国の皇族と契約を交わすので、私も同様、契約したその瞬間から脅威となる力は封じられるはずです。今回の件で、それを確信致しました。
私も随分昔のことで‥覚えていない‥‥。」
「そうなのか‥‥。」
「あなたはいずれ帝国の魔術師としてその名を残し、ポリセイオに国婿として送ると殿下がおっしゃっています。
一緒に帝国へいらっしゃいますか?」
「えっ‥‥‥。」
「ハリーに‥‥会いたいでしょう?魔術師の中でも、親が誰なのか分かるのは珍しい事ですから‥‥。」
レオンは、瞳に涙を溜めて口元を手で覆った。
胸が高鳴った。息子に会える事などもうないと思っていた。
諦めていた全てが、一つ一つと目の前に並べられていく。
「1つ申し上げるとすれば‥‥きっと、ハリーも戸惑う事でしょう。あの子はいずれ、偉大な魔術師となる‥。
ま、私が生きてるうちは、私の方が上ですよ?」
そう言って微笑むと、ロスウェルは眠っているテオドールに目を向けた。
「ハリーは、殿下と育ちました。あの子は‥‥立派に成長していますよ。だから安心して下さい。」
「っ‥‥‥はぁっ‥‥‥なんと幸せな事だ‥‥‥っ‥‥」
「殿下と共に、新たに魔術を作ることもできました。そのおかげで、私達が日の目を見る事が出来ます‥‥。
どうか、殿下を信じてついてきて下さいますか?
殿下が居なければ、あなたの心臓は見つけられなかった。
あなた方がハリーの親であることも、きっと分からなかった。全ての出来事は繋がっているんですね。」
建国祭でリリィベルを見つけたことも、レオンの心臓を見つけたことも、偶然だと言うが引き寄せた運だ。
自分はあんな所を探るよりは隠し通路やもっと物事を難しく考えていた。要らぬ時間を費やしていたかも知れない。
テオドールの思考回路は読めない。
だからこそ惹かれる。
風変わりな帝国の皇太子は、絡んだ糸を解く力を持っている。
絡まった糸はまだ多いが、テオドールは
いずれすべての糸を解き、結ぶ事が出来るだろう。
「‥‥殿下には私から話しておきます‥‥。
今は、もう少し寝かせてあげて下さい‥‥。」
「殿下、お疲れ様です。」
「おー‥‥お前もな‥‥‥。」
レティーシャ王妃から、ゲストルームに通された2人。
ロスウェルが自ら紅茶を淹れてテオドールに手渡した。
「なんもしなくても‥俺だって出来んだぞ?」
「これは気持ちですよ。殿下。」
メイドをつけないテオドールは紅茶を自分で淹れる。
だが、これはロスウェルの気持ちだ。
テオドールは少し疲れた顔で笑いその紅茶を飲んだ。
温かい紅茶はテオドールを潤し、心を少し緩ませた。
「‥‥‥リリィ‥‥どうしてっかな‥‥‥。」
その独り言にロスウェルも眉を下げて微笑んだ。
「殿下のお帰りをお待ちしている事でしょうね‥‥。」
「‥‥‥泣いてないといいんだがな‥‥‥。
なんとなく、こないだの戦の時の様に中途半端に‥‥顔を見せない方がいいと思ってるんだ‥‥。」
「そうですね‥‥必死にお心を強く保っていられる事でしょう‥‥帰ったら、陛下は休息をとおっしゃっていましたよ。」
ふんっとテオドールは鼻を鳴らした。
「それくらいねーと‥‥やってらんねぇよ‥‥‥。」
「しかし、殿下が此処にきてやはり正解でした。」
「ぶっちゃけ‥‥俺は国民からは石の一つでもぶつけられる覚悟で言ったんだ。国王を殺した帝国の皇太子は暴君だとな‥‥。
混乱するだろうと‥‥だが、この国は思った通り王妃に信頼を寄せている。」
「貴方様に石を投げる者などおりません。」
「いーだろ‥‥別に石ぐらい‥‥他国で好き勝手してる奴に石の一つでも投げたいと思う国民がいるだろう‥‥。」
「殿下のした事は、レティーシャ様を救いました。
なぜ、その様におっしゃるのですか‥‥?」
テオドールはソファーに腰掛けて、コテンと首を傾けた。
少し虚ろな瞳で口を開いた。
「なんとなく‥‥そう思っただけだ‥‥‥2人の事は誰も知らないだろ。ま‥帝国が被害にあったから出来たんだけどな。だが、元は帝国の逃亡者だからな‥。」
その言葉にロスウェルは顔を顰めた。
「仮にそうだとしても、もしも殿下に石を投げる者が居ても、私がその石や砂粒1つも貴方に降り注ぐ事がない様にお守りします‥‥。」
テオドールは、ふにゃりと気が抜けた様に笑った。
「ははっ‥‥‥俺は良いからさ‥‥リリィを守ってくれよ。
期待してるぞ‥‥。」
そういうとテオドールは瞳を閉じていて、そのまま眠ってしまった。
ポリセイオに来てから、ずっと動きっぱなしだったテオドールにも、体力の限界がきていた。
眠ったテオドールの幼く見える寝顔に、ロスウェルはたまらない気持ちになった。
どんなに感情が乱れようとも、彼は心の優しい人だ。
大きな満月の様なのだ。
今回だって、結局レティーシャの為、レオンの為、
いくつもの策をその頭で考え抜いた。
「‥‥‥何手先を考えていた事やら‥‥」
地下牢から帰ってからのこと。会議の休憩中にレティーシャ王妃と話をした。
今後については、帝国に戻ってから同盟国となる準備をすると話をした。監視下のよりは、同盟国としてこれから守ると。
「レティーシャ王妃、レオンの事についてだが。」
「はい‥‥。」
貴賓室へ通されてすぐの事だった。
「レオンを帝国の魔術師としてポリセイオに送るとするのはどうだ?」
「えっ?」
レティーシャ女王は目を見開いた。
「レオンの存在は、誰も知られてないんだろ?
多分国王と公爵家、そして‥‥そなたらを捕まえた騎士団ってところか。」
「‥‥‥はい‥‥‥死んだ者とされております。」
「元々、そなたらは生まれた地を離れて暮らしていた。いくらポリセイオに近かったとしても、ポリセイオの国民になっていた訳でもないんだろ?
そなたら2人を知る者は少ないだろう。レオンを帝国の人間とし、帝国の魔術師としてポリセイオとの同盟の為婚姻する者とする。どの道そなたらは離れる気はないだろ?
だが、国婿を持てと言われるのがオチなら、帝国から国婿を送る事にして文句は言わせないように手を打とう。
帝国に魔術師がいる事は知られているんだ。
俺は魔術師達をただの魔術師にしておくつもりはない。
これはまだ俺だけの考えだ。
‥‥だが、生まれた地を追われたのなら、この王国ごとそなたらの住処として生きれば良い。お前達を追い出した者達への仕返しだと思えば良い。
どうだ?あの家も良かったかも知れないが、
困った事があれば俺達が力になれる。
皇族に文句言う奴はいねぇだろ?」
そう言って、テオドールは笑ったのだった。
レティーシャ王妃は言葉に詰まって、今にも泣き出しそうだった。
そんなやりとりが先程行われていたのだった。
「まったく‥‥誰が優しい貴方に、石を投げると言うんです‥‥。」
ロスウェルはふわりとブランケットをテオドールに掛けた。
テオドールが寝入った頃、ロスウェルは魔術の気を感じた。
その気はゲストルームの扉を何もなかったかの様にすり抜けた。
「勝手に入ってしまって申し訳ない。」
やってきたのは、レオンだった。
その姿にロスウェルは穏やかな笑みを浮かべた。
「お心は、身体に馴染みましたか?」
「お陰様で‥‥自由に姿を消し出歩ける程です‥。
外を見ましたが、時の流れは恐ろしいな‥‥。」
「‥‥‥‥何故、こちらへ?」
ロスウェルの問いにレオンは、切なげに眉を下げて笑った。
「どうしても、ちゃんと会いたかったんだ‥‥。」
「?‥‥殿下に‥?」
キョトンとしたロスウェルだった。だがその問いに首を横に振った。
「あなたにだ。どうしても聞きたい事があった。
私の息子が‥‥帝国にいるのかも知れないと思って‥‥‥。」
その言葉に、ロスウェルは微笑んだ。
「あなたの息子の名は、‥‥‥ハリーでは?」
レオンは目を見開いた。
「!!やはり‥‥ハリーは帝国にいるのか?!」
レオンは慌ててロスウェルの両腕を掴んだ。
それを受け止める様にロスウェルは微笑んだ。
「ええ、居りますよ。私が、魔の森に突然現れた魔術師の子を引き取りに行きましたから。」
ハァっとレオンは息を吐き俯いた。
「良かった‥‥‥っ‥‥本当にっ‥‥成功していた‥‥‥。」
自信はあまりなかった。だが、上手くいけば魔の森へ転移されればと思っていた。
「あなた方の血を引いているのなら、ハリーも本来はこの髪色だったのも頷けます。あの子はまだ3歳でしたが、この髪色をしていた。‥‥まぁ、我々は帝国の皇族と契約を交わすので、私も同様、契約したその瞬間から脅威となる力は封じられるはずです。今回の件で、それを確信致しました。
私も随分昔のことで‥覚えていない‥‥。」
「そうなのか‥‥。」
「あなたはいずれ帝国の魔術師としてその名を残し、ポリセイオに国婿として送ると殿下がおっしゃっています。
一緒に帝国へいらっしゃいますか?」
「えっ‥‥‥。」
「ハリーに‥‥会いたいでしょう?魔術師の中でも、親が誰なのか分かるのは珍しい事ですから‥‥。」
レオンは、瞳に涙を溜めて口元を手で覆った。
胸が高鳴った。息子に会える事などもうないと思っていた。
諦めていた全てが、一つ一つと目の前に並べられていく。
「1つ申し上げるとすれば‥‥きっと、ハリーも戸惑う事でしょう。あの子はいずれ、偉大な魔術師となる‥。
ま、私が生きてるうちは、私の方が上ですよ?」
そう言って微笑むと、ロスウェルは眠っているテオドールに目を向けた。
「ハリーは、殿下と育ちました。あの子は‥‥立派に成長していますよ。だから安心して下さい。」
「っ‥‥‥はぁっ‥‥‥なんと幸せな事だ‥‥‥っ‥‥」
「殿下と共に、新たに魔術を作ることもできました。そのおかげで、私達が日の目を見る事が出来ます‥‥。
どうか、殿下を信じてついてきて下さいますか?
殿下が居なければ、あなたの心臓は見つけられなかった。
あなた方がハリーの親であることも、きっと分からなかった。全ての出来事は繋がっているんですね。」
建国祭でリリィベルを見つけたことも、レオンの心臓を見つけたことも、偶然だと言うが引き寄せた運だ。
自分はあんな所を探るよりは隠し通路やもっと物事を難しく考えていた。要らぬ時間を費やしていたかも知れない。
テオドールの思考回路は読めない。
だからこそ惹かれる。
風変わりな帝国の皇太子は、絡んだ糸を解く力を持っている。
絡まった糸はまだ多いが、テオドールは
いずれすべての糸を解き、結ぶ事が出来るだろう。
「‥‥殿下には私から話しておきます‥‥。
今は、もう少し寝かせてあげて下さい‥‥。」
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