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助けてほしい

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 嬉し恥ずかしい朝は、2人がバスローブを羽織った瞬間からまた始まった。

 扉の前で控えていたメイド達が、リリィベルをバスルームへ連れて行き、長めの湯でその身体を癒した。


 ベリーと言えば、その事後をくっきり残したシーツを撤去し、笑顔で通り過ぎた。

 テオドールは1人で湯船に浸かって緩む顔をパチパチと叩いた。


 洗ってしまうのが勿体無いと思う男心。
 それくらい愛しい時間を過ごした。


 次こそはちゃんとしなければ。


 前世ではあんなに必死で計画した初めては、
 今世では衝動と止めきれない愛が溢れ出した。

 だが、それも悪くない。むしろ全然悪くないと思ってしまっている。


 これから激おこであるはずの皇帝と向き合うのだけれど。


 後悔なんて少しもない。チリほどない。


 むしろ、自分本来だとすら思える程だった。



 堅苦しい正装に身を包み、髪をかき上げて簡単なヘアセット。指に光る指輪と、2つを分けたピアス。

 大事な建国祭は、散々な障害を受け、
 今日の朝となった。


 身なりを整えたテオドールは一足先に私室で優雅に紅茶を飲んだ。

 リリィベルが来たら軽く朝食を食べる。
 パレードが終わったらまたパーティーと、

 大問題のポリセイオの乱である。


 そう考えると胸糞悪いが、今は身も心もスッキリしている。
 お気に入りの椅子に頭を預けて瞳を閉じた。



「はぁ~‥‥やっぱ、我慢はよくねぇよな‥‥‥。」
「そうだなぁ~‥‥‥だが、そんな場合ではないんだがな。」


 ビクンっと身体が飛び跳ねた。
 酔いしれ過ぎて何も聞こえなかった。

 横を見れば、煌びやかな皇帝が爽やかに微笑んでいた。

「っ‥‥びっ‥‥‥くりしたぁ‥‥‥。」

「ははっ‥‥浮かれてんじゃねぇぞバカ息子。」
「バカ息子はちょっと‥‥‥。」

「この非常時に何をしてるんだ何を。」
「何って見たんだから分かるでしょ。」

 もう開き直るしかない。この心の問題は、他人には分からない。

「おまっ‥‥‥。」
「俺達はいつだって真剣ですよ。」

 テオドールは、ムスッとした顔で強く告げた。

「こんな非常時で、俺とリリィの気持ちなんか‥‥
 俺達だけのものです‥‥‥いつどんな状況でそうなろうが、

 俺は俺の気持ちのままリリィを抱きます。」

「‥‥‥‥‥。」
 オリヴァーは、真顔でテオドールの横顔を見つめた。



「きっと‥‥‥すごく、不安だったのだろ‥‥‥。」

「‥‥‥‥‥‥。」


「お前達が‥‥‥そう思うのも無理はないよな‥‥‥。

 そう見えるよ‥‥‥。お前達は、いつも切実で、

 とても不安定で、脆くて‥‥‥それでいて、

 愛が重い‥‥‥。」



 オリヴァーは、テオドールの肩にポンと手を当てた。
「‥‥‥皇族として、問題ではあるが‥‥‥

 2人の想いまで、私がどうこう言う問題じゃない。」


「‥‥‥‥‥重いなんて‥もんじゃないですよ‥‥‥。」

 テオドールは、俯きがちに呟いた。


「リリィも‥‥俺も‥‥限界だっただけです‥‥。

 俺達は、もう‥‥うんざりしてるんですよ‥‥‥


 周りに振り回されたくない‥‥‥。



 俺、後悔なんてしてない。



 リリィだって‥‥‥すごく怖かったはずだ‥‥‥



 俺が安心させられるなら俺は何度も同じ事をします‥‥。」


 テオドールの意思は固い。
 オリヴァーは諦めたように眉を下げて笑みを浮かべた。

「ま‥‥‥、程々にしておけよ‥‥。

 孫は歓迎する。」

「あざす。」

 パコンと、後頭部を叩かれた。
 ふっと、親子で笑った。


 これから、新年のパレードは予定通り行われる。
 ポリセイオの思惑には屈しない。

 魔術達が捕らえている間に、建国祭を閉幕しなければならない。


 時を少しだけ遡り、リリィベルは長湯の中瞳を閉じた。
 昨夜は、何故かふと目が覚めた。
 違和感なのか、なんだったのかは分からない。
 隣にマーガレットが寝ていたのを見て、
 いつの間にか寝てしまった事を悟った。

 テオドールの腕の中に包まれてからの記憶がなかった。


 事件の後で、そこにテオドールが居たかは分からないはずだった。でも行かなければならないと思った。
 気が付けば足は床をつき、自分達の部屋へ足を進ませた。

 自分の部屋を通り越して、いつも眠っているテオドールの部屋を開けた。

 ベッドの端に突っ伏して座っているテオドールが見えて、
 吸い込まれる様な感覚に陥った。


 悲しくて、切なくて


 あの背を抱き締めたいとただ思うばかりで。

 気が付いたら、テオドールの下に居て手を繋ぎあっていた。

「‥‥‥‥。」
 湯で温まったからじゃない。昨夜を思い出して頬が赤くなった。


 覚えている限りが頭を駆け巡る。
 テオドールのせつなげな瞳が綺麗で、滴る汗が嬉しくて、
 愛がこぼれて落ちてくる時間に酔いしれた。


 ここにしかない自分の場所。

 ここにしかない愛。



 何にも変えられないあつい熱。


 思う程に弾ける声と身体。



 テオドールが愛しい‥


「リリィベル様、身体をほぐしますね。」
「ありがとう、カタリナ‥‥。」
 にこっと微笑んで身を委ねた。


 ほぐされた身体は更に肌に艶を出した。
 美しいドレスに身を包み、化粧が施される。
 ドレッサーの前で、リリィベルは昨日の事を思い出した。
 ここを訪ねてくる人はもう居ない。

 けれど、一度植え付けられた恐怖は消えなかった。
 自分を忘れてしまうという事は何より耐えがたい恐怖だった。一瞬にして顔が強張り俯いた。

「‥‥‥テオ、呼んでくれる?」
 そう呟いた。


「リリィ、どうした?大丈夫か?」
 テオドールはすぐに続き部屋からやってきてくれた。
 その顔を見てホッとして、ドレッサーの前から立ち上がると、テオドールの両手を掴んだ。

「テオ‥‥ごめんなさい。呼んだりして‥‥。」
 温かな両手は、リリィベルの陰った表情を悟り、
 すぐに身体ごと抱き締めてくれた。

「今日も綺麗だ。リリィ‥‥。」
 安心できるその低い声は、体に染み渡っていく。
「‥‥‥ありがとうございます‥‥。」

 昨日したかった出来事を確認するように、リリィベルはテオドールに身体を預けた。

「下がっていいぞ、終わったんだろ?」
 視線だけで、カタリナ達を下げる。
「はい、失礼致します。」


 カタリナがそう言うと、メイド達は部屋を出て行った。

 ソファーに座ってからも、リリィベルは離れられなかった。
「‥‥‥不安か?」
「‥‥少し‥‥でも、テオの顔見たら安心しました‥。」
「そうか‥‥大丈夫だ。俺が居るから。
 ずっとそばを離れないからな‥‥。」

「はい‥‥‥。」

 指を絡めて手を繋ぎ、布越しで確かめ合う。
 あんなに幸せだったのに、一つの雫で、まだこんなにも不安になるなんて、リリィベルは少し情けない気持ちになった。

「‥‥リリィ、大丈夫だよ‥‥。」

 いつよりも増してテオドールは優しかった。
 優しくて甘くて、胸が熱くなる。


 唇を重ねてその愛を伝えてくれる。


 その不安から解き放たれるのは、まだ少し時間がかかりそうだった。

 パレードを前にリリィベルはマーガレットに抱きしめられた。突然を姿を消した事に驚いたものの、オリヴァーから事情を聞いたマーガレットは、嬉しそうに微笑んで見せた。
 少し恥ずかしい思いをしたが、マーガレットも理解を示してくれた。


 寒空のパレード。2台の豪華な馬車が並び街中を回る。
 その後には3国の王子と王女達も続いた。友好の証だ。
 寒い中頬を赤くして手を振り歓声をあげる帝国民に手を振り進む。

 皇帝と皇后、皇太子と婚約者が通りゆく。
 みんなの嬉しそうな顔に、リリィベルも後に皇族となる身で気を引き締めて笑顔を咲かせた。

 空いた手は、ずっとテオドールと繋がっている。


 帝都を大きく一回りし、また城に戻る。
 昼間のパーティーでは、テオドールとリリィベルは揃って貴族達の挨拶に応じた。それから間も無くダニエルとグレンがやってきた。

「リリィ!」
「お父様、グレンも‥‥‥。」

 ダニエルは人目憚らずリリィベルを抱き締めた。

「大丈夫か?つらい目にあったのだろ?」
 不安そうなダニエルの言葉にリリィベルは瞳を揺らした。

「大丈夫です。お父様‥‥殿下がいるのですから‥‥。」
「あぁっ‥‥だが‥‥‥私はっ‥‥‥悪い夢を見ていたようだった。」

 ダニエルには、ひっそりと皇帝から事の経緯を話してある。側に傀儡のリリィベルがいたダニエルにとっては、恐ろしい事態だ。
「‥‥‥ほんとに‥‥大丈夫ですから‥‥。」


 リリィベルは、自分の偽物がいた事をハリーから聞かされている。あの暗闇にいた事よりも、外では恐ろしいことが起きていた。

 震える手でダニエルの背に手を回した。

 愛する婚約者、愛する父、幼馴染に囲まれてホッとする。

 その様子をテオドールが複雑な顔で見ていた。

「父君、予期せぬ事態とは言え‥リリィに怖い思いをさせてしまった。本当に申し訳なく思っている。」
 テオドールはダニエルに頭を下げた。

 ダニエルは慌ててリリィベルから少し体を離した。
「殿下っ‥‥とんでもございませんっ‥‥殿下ただお一人リリィベルを‥‥助けてくださったのですから‥‥。父親として情けなくて‥悔しくて‥‥。」
 ダニエルの瞳が揺れる。実の父親をも恐怖に陥れたこの出来事。

「俺は決してポリセイオを許さない。どうか自分を責めないでくれ‥‥うちにも優秀な魔術師がいるんだ。今後このような事は決して起きない。必ず‥‥。だから、

 いや‥だからじゃないな‥‥申し訳ない。


 俺はリリィを絶対に守る‥‥。」

「リリィを忘れずにいてくれた殿下です‥‥。
 私は、殿下を信じております。これからも宜しくお願い致します‥‥殿下。毎日、お二人のご無事を祈ります。また、私も侯爵となったこの身です。いつでも、準備は出来ますので‥。」

「ああ、進展があればすぐに伝える。
 グレンも、そのつもりでいてくれ。いつでも皇室の騎士団で訓練する事を許可する。」

「はい、皇太子殿下‥‥ありがたき幸せで御座います。
 両陛下、皇太子殿下とリリィベルお嬢様の為、この命尽きようとも戦う準備は出来ております。」

 グレンも男爵位となった。グレンにとっても今回の事は許せない事態だった。そしてダニエル同様恥じていた。

「ああ、期待している。」
 リリィベルへの守りが一層強くなる。

 テオドールと、父、幼馴染、両陛下、魔術師達。
 皆が必死に守ってくれる‥‥。

 リリィベルは、ダニエルに微笑んだ。、
「お父様、私は皆にこうして思って頂けてとても幸せです。
 ご心配お掛けしましたが、私は大丈夫です。
 テオがいつも守ってくれる‥お父様もグレンも‥‥。

 だから、本当に幸せです‥‥。しばらく城に留まってくれるのでしょう?たくさんお話ししましょうね。」

「リリィ‥‥。」

 愛するアナベルを思わせるその笑みにダニエルは苦しみながらも、笑みを浮かべまた。

「私のお姫様‥‥絶対に、殿下のそばで幸せになるんだよ?」

「もちろんです。私の幸せは、殿下のそばにいあるのですから‥。」

 なんでもない振りでこの時ばかりはリリィベルは笑顔を絶やさなかった。





 パーティーは、皇帝オリヴァーの言葉により予定より少しだけ早く幕を閉じた。

 オリヴァーは地下牢に1人で足を運んだ。
 そして、ロスウェルと合流すると、水晶玉を覗き込んだ。

 その向こうには、ポリセイオ王国の王妃がいた。

「ポリセイオ王国、レティーシャ王妃よ。お初にお目にかかる。そなたの国からきた王女、レリアーナ王女のことで話がある。これを通じて連絡を取れたと言う事は、既に察しがついているだろうが、我が国にも魔術師がいる。そなたの国の王女が、我が息子皇太子と婚約者に悪質な魔術で帝国に災いをもたらした。そなたは知っての事だろうか?私はこの事について徹底的に討論したいのだが、国王は?

 それに、王妃の髪色‥‥その髪色は、魔術師最高位の髪色だろう。それについても、じっくり話したいのだが。」

 確固たる意志と威厳でオリヴァーは王妃と対面した。
 レティーシャ王妃は、眉間に皺を寄せてオリヴァーを見ていた。

「オリヴァー・アレキサンドライト皇帝陛下。

 まずは、今回の事について、大変申し訳なく思っています。私は、王女の思惑を知って尚、それを受け入れた。

 帝国に混乱をもたらした事、誠心誠意謝罪致します‥。


 王女がした事について、ポリセイオは帝国の抗議全てを受け入れます‥‥。」

 レティーシャは眉間に皺を寄せたまま、苦しげに告げた。

「ライカンス・モンターリュを、帝国で拘束していますわね?」

「ああ、彼はポリセイオの王位継承権を持つ事になる予定だった様だが、その件については?レリアーナ王女は、元は我が国の元侯爵家ライリー・ヘイドンである事を王妃は知っていただろうか?その者は、元々帝国の罪人であった。

 父に逃がされ、ポリセイオで公爵に保護され、そなたの国で魔術師となったようだが、その件についても、聞きたい事は山程ある。」

「はい。すべてお話し致します‥。ですが、その前に‥‥

 とても厚かましいことでは御座いますが‥‥

 どうか、ライカンスを拘束している間に、どうか‥‥

 私達を助けて頂きたいのです‥‥‥。」


 水晶玉の向こうで、切なる思いが溢れ出てくる。

「助け、だと?」
 オリヴァーは真剣に問い返した。 

「はい‥ライカンスが我が国にいない間に、どうか‥。
 私はこの城を出られませんっ‥‥その間に、是非お願いしたい事が御座います‥‥。助けて頂けたならて‥ポリセイオは、アレキサンドライト帝国に、生涯の忠誠を誓います。

 もちろん、私も魔術師として‥帝国の為に出来る限りを尽くす事をお約束します‥‥。どうか、この事はライカンスには内密に‥‥。どうか、私と‥‥レオンを助けて下さいませで‥。」


「レオン?」

 レティーシャ王妃の瞳から切実な涙がこぼれ落ちた。


「魔術師がいらっしゃるのでしたら、尚更‥‥アレキサンドライト帝国以外に頼る術が御座いません‥‥。

 どうか‥‥‥お願い致しますっ‥‥‥。」


「‥‥‥‥とにかく、話を聞こう。そなたがその様子では話にならんのでな‥これはあくまで、我が息子と婚約者の為だ‥‥。」

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