157 / 240
初めまして、サーテリア王国
しおりを挟む
「んんっ‥‥」
「テオ‥‥?」
「リリィ、今から俺の腕を離すなよ。」
「え?」
「いいから‥‥」
リリィベルは首を傾げた。
腕に手を添えていたリリィベルの手に更にテオドールは自身の手を重ねる。表情を見れば何やら機嫌が悪そうだ。
「次は‥‥」
リリィベルがポツリと呟く。
「ああ‥‥サーテリア王国だ。」
「サーテリア王国‥‥確か‥‥有名な小説がありますね‥。
私、小さい頃読んだ事があるんです。確か、王子様とお姫様が恋に落ちて国を捨てて‥新たな国を作り‥‥。」
「お前‥‥アレ読んだのか?」
「え?‥‥はい‥‥‥。」
「くそっ‥‥‥。」
テオドールは悪態をついた。得意の舌打ちまで出た。
「とてもロマンチックな小説‥‥。」
「あの国は洋紙の発祥の地ですよね?あの国から羊皮紙から今の洋紙が広まり、今では当たり前の様になりましたが‥。」
「ああ、おかげで技術も発展し、今や胸糞悪い小説も多いな。」
「‥何をそんなに苛立っていらっしゃるの?」
「‥‥会えばわかる。」
城の扉が開かれる。開いた扉から太陽の光と共に現れたのは、サーテリア王国の王女とサーテリア王国公爵家の後継者。
「アレキサンドライト帝国皇太子殿下にご挨拶申し上げます。建国記念にこうして殿下にお会いできた事‥大変光栄で御座います。」
うっとり笑う垂れ目と口元のほくろ。長い黒髪を肩から流した魅惑の美女、ジュエル王女だ。
「テオドール殿下、お久しぶりですね。誕生祭に呼んでいただけなくて私とっても寂しかったのですよ?」
「今回の誕生祭は同盟国は呼んでいない。建国祭で招待する予定であった。道中疲れたであろう。ゆっくり休まれよ。
ザカール・リックラー小公爵も久しぶりだな。」
「はい、皇太子殿下にご挨拶申し上げます。」
「‥‥‥‥。」
美しい美女ジュエル王女。そして冷ややかな表情の焦茶色の髪が目元を隠すザカール・リックラー公子。
リリィベルはゴクっと息を呑んだ。
テオドールは冷たい表情に早替わりし、先ほどのメテオラ王子達とは何もかもが違う。
そして何より、ジュエル・サーテリアの目はテオドールだけを見つめ、腕に絡んでいるこちらは見ようともない。
まるで存在しないかの様な気分だった。
「殿下、今宵の舞踏会、とても楽しみにしておりますの。
今年からダンスをされる様になったとか‥是非とも私と踊って頂けますよね?」
ジュエル王女の言葉にテオドールは一瞬眉間に皺を寄せた。
しかし、リリィベルの手に重ねていた手に力が入った。
「紹介しよう。ジュエル王女。私の婚約者、リリィベル・ブラックウォール嬢だ。‥何か、言うことはないか?」
氷の様な冷気を醸し出しながら微笑むテオドールの顔。
ジュエル王女は垂れ目を細めてスッと隣のリリィベルへやっと目を向けた。
「まぁ、いらしたのね‥‥幻だと思っておりました。まさかテオドール皇太子に婚約者が出来るなんて‥‥ただの噂だと思っておりました‥‥。宜しくどうぞ?ジュエル・サーテリアで御座います。」
ハッキリとした敵意を感じたリリィベル。
そうと分かればリリィベルも黙ってはいなかった。
綺麗な微笑みを浮かべて、ジュエル王女に向き合った。
「初めまして、ジュエル王女。テオドール皇太子の婚約者、リリィベル・ブラックウォールで御座います。ようこそお越しくださいました。どうぞ在城中はごゆっくりとお過ごし下さいませ。」
ジュエル王女の片眉が吊り上がる。
「まぁ‥‥まるでこの城の主人の様におっしゃるのね?」
「ええ、私は皇太子妃の部屋を賜りましたので。お客様がゆっくり過ごして頂ければと思います。」
「本当にいらしたのね?」
「‥‥‥此処におりますわ?ジュエル王女。」
2人から黒いモヤが出たのは気のせいか。
しかしテオドールが口を開いた。
「私がダンスをした事を知っておきながら、婚約者が本当に居たのかなどと、まさかその様な事を言われるとは思わなかったな。私の婚約は同盟国であるそなたらの国へ伝わっているだろう。私は1人で踊った訳でも、1人で婚約パーティーを開いた訳でもないんだが?」
「まさかその様な‥相変わらずなお方ですこと。」
扇子を開いて口許を隠し笑った。
しかし、テオドールはジュエル王女を冷たく見下ろした。
「我が帝国とサーテリア王国は、古くから親交があるのだ。
冗談はその辺にしておいて頂かなければな。ジュエル王女?」
「一時は私達の婚約話もある程の仲ですものね?」
「それは早々に断り最早話にすらなっていない。婚約者の前だ。不快な話はやめろ。」
「あら不快だなんて‥‥悲しいですわね‥‥。私はいつでも、貴方様からの求婚を歓迎致しますわ。ふふふっ‥。」
包み隠そうともしないジュエル王女。テオドールは昔からジュエル王女が嫌いだった。初めて顔を合わせてから嫌いだ。だが、国王は皇帝と友好であった。国王から婚約話が出たが、皇帝はその時ばかりは早々に断ったものの、国王とは裏腹にジュエル王女はいつも舐める様にテオドールを見る。
甘やかされた王女はどこも同じだった。何を言ってもこの調子なのが1番気に食わなかった。一度でも感情を乱す姿を見たならば即座に反論する所だが、するりと聞き流し同じ言葉を繰り返す。
スッと王女から目を背けて従者に声をかけた。
「おい‥‥‥早くサーテリア王国の者達を部屋へ案内しろ。後ろがつっかえてるんだ。」
「ではテオドール殿下。お昼にお会いしましょ?」
「失礼致します。皇太子殿下。」
ジュエル王女は微笑み扇子を仰いで2人の横を通り過ぎた。
それに続き無表情のザカールも続いた。
「‥‥‥‥。」
何の気なしに去っていく2人。ザカール小公爵も何を考えているかわからない存在だった。テオドールからすれば上部だけの同盟だった。テオドールが皇帝となった先は行く末は分からない。
リリィベルも過ぎていく2人を真顔で送ったが、顔が見えなくなりその眉を顰めた。
テオドールを好きな女など山ほど居る。
だが、ジュエル王女はまた違った部類の女だった。
感情を剥き出すことのない徹底された仮面。
王族として育った彼女は、テオドール同様仮面を持つ者だ。
「‥‥あれがサーテリアだ。」
「はい、殿下。」
2人とも瞳を閉じて静かに言葉を交わした。
「皇帝陛下とサーテリア国王は友好でな。俺が突っぱねる訳にはいかないが」
「十分突っぱねていたのでは‥‥?」
「はっ、いつもの事だ。これくらいは何とも思わないだろう。お前も見ただろう?」
「まあ‥そのように思いました。」
「あの女は後継者ではないから、いずれ何処かに嫁ぐだろう。遠いところに行ってくれる事を祈っている。」
「では、サーテリアの後継者は‥?」
「ジュエルの下にはまだ幼い王子がいるんだ。だからザカール小公爵が来たんだ。どうなるかわからねーが、王子が真っ当な王子になる事を祈るばかりだな。」
「祈る事が多いですね‥我が国にとっては‥‥。」
「そうだな。じゃなきゃ俺の御世にはどうなるかわからん。」
「それは、陛下が‥‥。」
「俺があの女を毛嫌いしてるのは知っているからな。心配するな。」
「そうですか‥‥‥。」
「テオは何処にいても‥」
「ん?」
リリィベルは言い留まり首を振った。
「なんだ?」
「なんでもありません‥。」
「なんだよ‥止めんなよ。気になるだろ?」
リリィベルは頬を膨らませてそっぽを向いた。
テオドールの腕を掴んでいた手に、ぎゅっと力が籠った。
「テオが言い寄られるのは‥‥イヤです‥‥。」
「‥‥‥‥。」
「‥‥‥お前がそれを言うのか?」
テオドールは半笑いで頬を掻いた。
「言いますっ、テオは私のテオです‥‥‥。」
ふっとテオドールは微笑みリリィベルのこめかみに口付けた。
「なら、しっかりと俺に近づく毒花をへし折ってくれよ?」
「‥‥‥そんなにかっこいいのが悪いのですっ!」
「ふははっお前が言うなよ。この世で最も高価な女のくせに。」
リリィベルの肩を抱き寄せて頭に頬を預けた。
「あなたはこの帝国で高貴ではありませんか。」
「なら高貴と高価で似合いだな。」
テオドールはニヤリと笑った。リリィベルが珍しくヤキモチを妬いているのが心地良かった。
「テオ‥‥?」
「リリィ、今から俺の腕を離すなよ。」
「え?」
「いいから‥‥」
リリィベルは首を傾げた。
腕に手を添えていたリリィベルの手に更にテオドールは自身の手を重ねる。表情を見れば何やら機嫌が悪そうだ。
「次は‥‥」
リリィベルがポツリと呟く。
「ああ‥‥サーテリア王国だ。」
「サーテリア王国‥‥確か‥‥有名な小説がありますね‥。
私、小さい頃読んだ事があるんです。確か、王子様とお姫様が恋に落ちて国を捨てて‥新たな国を作り‥‥。」
「お前‥‥アレ読んだのか?」
「え?‥‥はい‥‥‥。」
「くそっ‥‥‥。」
テオドールは悪態をついた。得意の舌打ちまで出た。
「とてもロマンチックな小説‥‥。」
「あの国は洋紙の発祥の地ですよね?あの国から羊皮紙から今の洋紙が広まり、今では当たり前の様になりましたが‥。」
「ああ、おかげで技術も発展し、今や胸糞悪い小説も多いな。」
「‥何をそんなに苛立っていらっしゃるの?」
「‥‥会えばわかる。」
城の扉が開かれる。開いた扉から太陽の光と共に現れたのは、サーテリア王国の王女とサーテリア王国公爵家の後継者。
「アレキサンドライト帝国皇太子殿下にご挨拶申し上げます。建国記念にこうして殿下にお会いできた事‥大変光栄で御座います。」
うっとり笑う垂れ目と口元のほくろ。長い黒髪を肩から流した魅惑の美女、ジュエル王女だ。
「テオドール殿下、お久しぶりですね。誕生祭に呼んでいただけなくて私とっても寂しかったのですよ?」
「今回の誕生祭は同盟国は呼んでいない。建国祭で招待する予定であった。道中疲れたであろう。ゆっくり休まれよ。
ザカール・リックラー小公爵も久しぶりだな。」
「はい、皇太子殿下にご挨拶申し上げます。」
「‥‥‥‥。」
美しい美女ジュエル王女。そして冷ややかな表情の焦茶色の髪が目元を隠すザカール・リックラー公子。
リリィベルはゴクっと息を呑んだ。
テオドールは冷たい表情に早替わりし、先ほどのメテオラ王子達とは何もかもが違う。
そして何より、ジュエル・サーテリアの目はテオドールだけを見つめ、腕に絡んでいるこちらは見ようともない。
まるで存在しないかの様な気分だった。
「殿下、今宵の舞踏会、とても楽しみにしておりますの。
今年からダンスをされる様になったとか‥是非とも私と踊って頂けますよね?」
ジュエル王女の言葉にテオドールは一瞬眉間に皺を寄せた。
しかし、リリィベルの手に重ねていた手に力が入った。
「紹介しよう。ジュエル王女。私の婚約者、リリィベル・ブラックウォール嬢だ。‥何か、言うことはないか?」
氷の様な冷気を醸し出しながら微笑むテオドールの顔。
ジュエル王女は垂れ目を細めてスッと隣のリリィベルへやっと目を向けた。
「まぁ、いらしたのね‥‥幻だと思っておりました。まさかテオドール皇太子に婚約者が出来るなんて‥‥ただの噂だと思っておりました‥‥。宜しくどうぞ?ジュエル・サーテリアで御座います。」
ハッキリとした敵意を感じたリリィベル。
そうと分かればリリィベルも黙ってはいなかった。
綺麗な微笑みを浮かべて、ジュエル王女に向き合った。
「初めまして、ジュエル王女。テオドール皇太子の婚約者、リリィベル・ブラックウォールで御座います。ようこそお越しくださいました。どうぞ在城中はごゆっくりとお過ごし下さいませ。」
ジュエル王女の片眉が吊り上がる。
「まぁ‥‥まるでこの城の主人の様におっしゃるのね?」
「ええ、私は皇太子妃の部屋を賜りましたので。お客様がゆっくり過ごして頂ければと思います。」
「本当にいらしたのね?」
「‥‥‥此処におりますわ?ジュエル王女。」
2人から黒いモヤが出たのは気のせいか。
しかしテオドールが口を開いた。
「私がダンスをした事を知っておきながら、婚約者が本当に居たのかなどと、まさかその様な事を言われるとは思わなかったな。私の婚約は同盟国であるそなたらの国へ伝わっているだろう。私は1人で踊った訳でも、1人で婚約パーティーを開いた訳でもないんだが?」
「まさかその様な‥相変わらずなお方ですこと。」
扇子を開いて口許を隠し笑った。
しかし、テオドールはジュエル王女を冷たく見下ろした。
「我が帝国とサーテリア王国は、古くから親交があるのだ。
冗談はその辺にしておいて頂かなければな。ジュエル王女?」
「一時は私達の婚約話もある程の仲ですものね?」
「それは早々に断り最早話にすらなっていない。婚約者の前だ。不快な話はやめろ。」
「あら不快だなんて‥‥悲しいですわね‥‥。私はいつでも、貴方様からの求婚を歓迎致しますわ。ふふふっ‥。」
包み隠そうともしないジュエル王女。テオドールは昔からジュエル王女が嫌いだった。初めて顔を合わせてから嫌いだ。だが、国王は皇帝と友好であった。国王から婚約話が出たが、皇帝はその時ばかりは早々に断ったものの、国王とは裏腹にジュエル王女はいつも舐める様にテオドールを見る。
甘やかされた王女はどこも同じだった。何を言ってもこの調子なのが1番気に食わなかった。一度でも感情を乱す姿を見たならば即座に反論する所だが、するりと聞き流し同じ言葉を繰り返す。
スッと王女から目を背けて従者に声をかけた。
「おい‥‥‥早くサーテリア王国の者達を部屋へ案内しろ。後ろがつっかえてるんだ。」
「ではテオドール殿下。お昼にお会いしましょ?」
「失礼致します。皇太子殿下。」
ジュエル王女は微笑み扇子を仰いで2人の横を通り過ぎた。
それに続き無表情のザカールも続いた。
「‥‥‥‥。」
何の気なしに去っていく2人。ザカール小公爵も何を考えているかわからない存在だった。テオドールからすれば上部だけの同盟だった。テオドールが皇帝となった先は行く末は分からない。
リリィベルも過ぎていく2人を真顔で送ったが、顔が見えなくなりその眉を顰めた。
テオドールを好きな女など山ほど居る。
だが、ジュエル王女はまた違った部類の女だった。
感情を剥き出すことのない徹底された仮面。
王族として育った彼女は、テオドール同様仮面を持つ者だ。
「‥‥あれがサーテリアだ。」
「はい、殿下。」
2人とも瞳を閉じて静かに言葉を交わした。
「皇帝陛下とサーテリア国王は友好でな。俺が突っぱねる訳にはいかないが」
「十分突っぱねていたのでは‥‥?」
「はっ、いつもの事だ。これくらいは何とも思わないだろう。お前も見ただろう?」
「まあ‥そのように思いました。」
「あの女は後継者ではないから、いずれ何処かに嫁ぐだろう。遠いところに行ってくれる事を祈っている。」
「では、サーテリアの後継者は‥?」
「ジュエルの下にはまだ幼い王子がいるんだ。だからザカール小公爵が来たんだ。どうなるかわからねーが、王子が真っ当な王子になる事を祈るばかりだな。」
「祈る事が多いですね‥我が国にとっては‥‥。」
「そうだな。じゃなきゃ俺の御世にはどうなるかわからん。」
「それは、陛下が‥‥。」
「俺があの女を毛嫌いしてるのは知っているからな。心配するな。」
「そうですか‥‥‥。」
「テオは何処にいても‥」
「ん?」
リリィベルは言い留まり首を振った。
「なんだ?」
「なんでもありません‥。」
「なんだよ‥止めんなよ。気になるだろ?」
リリィベルは頬を膨らませてそっぽを向いた。
テオドールの腕を掴んでいた手に、ぎゅっと力が籠った。
「テオが言い寄られるのは‥‥イヤです‥‥。」
「‥‥‥‥。」
「‥‥‥お前がそれを言うのか?」
テオドールは半笑いで頬を掻いた。
「言いますっ、テオは私のテオです‥‥‥。」
ふっとテオドールは微笑みリリィベルのこめかみに口付けた。
「なら、しっかりと俺に近づく毒花をへし折ってくれよ?」
「‥‥‥そんなにかっこいいのが悪いのですっ!」
「ふははっお前が言うなよ。この世で最も高価な女のくせに。」
リリィベルの肩を抱き寄せて頭に頬を預けた。
「あなたはこの帝国で高貴ではありませんか。」
「なら高貴と高価で似合いだな。」
テオドールはニヤリと笑った。リリィベルが珍しくヤキモチを妬いているのが心地良かった。
1
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

真実の愛は、誰のもの?
ふまさ
恋愛
「……悪いと思っているのなら、く、口付け、してください」
妹のコーリーばかり優先する婚約者のエディに、ミアは震える声で、思い切って願いを口に出してみた。顔を赤くし、目をぎゅっと閉じる。
だが、温かいそれがそっと触れたのは、ミアの額だった。
ミアがまぶたを開け、自分の額に触れた。しゅんと肩を落とし「……また、額」と、ぼやいた。エディはそんなミアの頭を撫でながら、柔やかに笑った。
「はじめての口付けは、もっと、ロマンチックなところでしたいんだ」
「……ロマンチック、ですか……?」
「そう。二人ともに、想い出に残るような」
それは、二人が婚約してから、六年が経とうとしていたときのことだった。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。

口は禍の元・・・後悔する王様は王妃様を口説く
ひとみん
恋愛
王命で王太子アルヴィンとの結婚が決まってしまった美しいフィオナ。
逃走すら許さない周囲の鉄壁の護りに諦めた彼女は、偶然王太子の会話を聞いてしまう。
「跡継ぎができれば離縁してもかまわないだろう」「互いの不貞でも理由にすればいい」
誰がこんな奴とやってけるかっ!と怒り炸裂のフィオナ。子供が出来たら即離婚を胸に王太子に言い放った。
「必要最低限の夫婦生活で済ませたいと思います」
だが一目見てフィオナに惚れてしまったアルヴィン。
妻が初恋で絶対に別れたくない夫と、こんなクズ夫とすぐに別れたい妻とのすれ違いラブストーリー。
ご都合主義満載です!

【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる