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どうしてくれんだよ
しおりを挟む「面白い話してるな。」
突然声が聞こえた。
イーノクとアレックスが頭を下げた方向に皇太子が居た。
「テオ!」
リリィベルははっと目を見開いてその姿を目に映した。
テオドールは微笑んでいた。
「リリィ、そろそろ帰る頃かと思って迎えに来たが・・・あんな冷たい声も出るんだな?」
「そっ・・・・。」
リリィベルは言葉に詰まった。テオドールに聞かれてしまった。この会話のやり取りを。
「ふっ・・・俺も悪い事したらそんな風に叱ってくれるのか?」
「やっ・・これは・・・・。」
テオドールはリリィベルの二の腕を優しく掴み引き寄せて、額に口付けをした。
「テオっ・・・。」
リリィベルは焦ったように名を呼んだ。けれど、テオドールは今も尚頭を下げているグレンを見ていた。
「顔を上げろ。許す。」
グレンにそう声を掛けたのた。
スッと頭を上げたグレン。その瞳はリリィベル同様焦った眼をしていた。
「何をそんなに焦っている?騎士団の訓練に参加したいんだろ?願わくば手合わせを。」
「殿下・・・・。」
「元護衛騎士だったそなたには、さぞかし不安なのだろう?いい心がけだな。その忠誠心は。」
「・・・・私には・・・恩師であるダニエル様の、大事なお嬢様で御座います・・・。」
「あぁ、そうだな。13歳で大人たちを負かせた功績がある。そして刺客を捕らえ爵位を与えられる。
そんなそなただ。さぞ不安なのだろう?」
「決して、騎士団の方々を侮辱したつもりは御座いません・・・・。」
「あぁ、分かっている。」
テオドールはニヤリと笑った。グレンの気持ちは少し理解出来た。
礼蘭の為に強くなる事を決意した自分と、リリィベルの幼馴染として強くなろうとした男。
「俺が手合わせしよう。来いよ。」
「えっ!」
リリィベルは口元を覆い驚き声を上げ眉を下げた。
グレンは何も言わずに、皇太子を見つめた。それは嫉妬も入り混じる瞳だ。
「実力が心配なんだろう?俺も最近訓練できなかったし、北部のブラックウォールの騎士の実力を知りたい。さすがに父君に手合わせを願い出る訳にはいかないしな。護衛騎士を任されていたそなただ。
期待してもいいだろう?」
「・・・本当に宜しいのですか?」
グレンは真っすぐに皇太子を見つめた。
その瞳にテオドールは真剣な目で答えた。
「あぁいいぞ。聞いたのだろう?俺に敵う者はこの騎士団には居ないと。
なら、俺と手合わせするのが手っ取り早くないか?まぁ、イーノクとアレックスでも問題ないが、
それ以上に理由があるように見えるが、違うか?」
「っ・・・・。」
それ以上の理由・・・・。
それは、リリィベルへの感情・・・・。
「リリィ、お前も見に来るか?」
「え・・・・。」
「俺の剣を振るう姿が見たいんだろ?」
悪戯に笑ったテオドールに、リリィベルは顔を赤くさせた。
「いっ・・いつから聞いていたのですかっ・・・・・。」
「さぁ?」
すっとぼけてそう言うと、テオドールは歩き出した。だが、足を止めてグレンに振り返った。
人差し指をクイっと曲げ、グレンを呼んだ。
「来いよ。もし俺が負けても、不敬罪になどしない。」
「・・・それは・・・本気の出し甲斐がありますね・・・・・。」
「グレンっ!」
リリィベルはその言葉に更に肝を冷やした。
「殿下からご提案頂いたのです。断る方が不敬でございましょう。」
「あぁ、この誘いに乗らなかったら、もう永遠に機会はこないぞ?」
そう言って歩き出したテオドールの後にグレンは続いて歩いた。
リリィベルとイーノクとアレックスが顔色を変えてその後ろ姿を見ていた。
「・・・・やだっ・・・どうしよう・・・・・・。」
リリィベルが頭を抑えた。こんな事になるなんて‥
そう考えているのはイーノクも同じだ。
だが、テオドールが一度言い始めた事だ。中断されるはずもない。
「とりあえず・・・行きましょう・・・リリィベル様・・・。」
「うぅ・・・っ・・なんてことっ・・・・。」
リリィベルはドレスの裾を上げて足早に二人の後を追いかけた。
訓練場に皇太子が現れ、騎士団の者達は整列する。
「みんな楽にして構わない。俺は今日、ハーニッシュ卿と少し運動するだけだ。下がっていろ。」
「えっ・・・。」
騎士団の一人がポカンと声を漏らした。
後に続いてやってきたグレンにテオドールは向かい合った。
「どうする。模擬戦用の剣か。木刀か、真剣か・・・・。そなたの決意は?」
「・・・・・不敬罪に問わないで頂けるなら・・・・・。
真剣で・・・・・。」
グレンの強い瞳がテオドールに向けられた。
その瞳にテオドールは笑って返した。
「そうか。では・・・・。おい、俺の刀を持ってこい。」
テオドールは騎士団の一人にそう言った。
しばらくして持ってこられたそれは、テオドール専用の刀だ。
それを腰ベルトにつけると、テオドールは足をスッと振った。
その頃、リリィベル達もその場にたどり着く。
舞台には既に2人が向き合っている。
「リリィベル様、危ないのでこちらで・・・。」
「あ・・・っ・・・えぇ・・・・。」
リリィベルは安全な場所へとイーノクに導かれた。だが、その試合がしっかりと見える場所だ。
向き合うテオドールとグレン。
リリィベルは、どうしようもない不安を感じていた。
テオドールは強い。グレンも同じくだ。
長年一緒に居た幼馴染が、何故だか自分の愛する婚約者と剣を取って向かい合っている。
ただグレンは訓練に参加したいと言った。でもイーノクやアレックスを侮辱するような言葉を言ったのは許せなかった。
テオドールへの忠誠心を誰よりも持っている2人に向けられた言葉が、自分の幼馴染から向けられたのだから。
どちらかがケガでもしたら・・・・。どうしたらいいか分からない・・・。
秋風に吹かれ木の葉が2人の間を通り過ぎる。
グレンは真剣な面持ちで向き合っていたが、テオドールに関しては少し笑っていた。
「なぜ・・・笑っておられるのです?」
「さぁ・・・俺は強いと思うやつと戦えると思うと嬉しくて仕方がないんだ。性分だ。」
「・・・・戦いが楽しいと・・・?」
「戦争は好きじゃねぇが、強い奴とはいい試合が出来そうだろ?」
グレンはそのテオドールの笑みが気に入らなかった。
リリィベルを賭けているも同然のグレンだった。
大事な姫を攫って行く男。自分の目的を奪っていく男・・・・。
薄ら笑いを浮かべて、楽しむつもりでいる。
見縊られている・・・。そうとしか思えない。
「・・・殿下。」
「なんだ?」
「私が勝ったら願いをお聞き届け頂けますか?」
「・・・なんだ。願いがあったか。」
「えぇ・・・・。殿下が私に負けると言う事は、騎士団の方々が私より劣るも同然。」
「まぁ、そうだな。」
「私が勝ったら・・・私をリリィベル様の護衛騎士にしてください。」
「・・・それがそなたの願いか?」
「はい・・・。私は、これ以上の願いは御座いません。」
「へぇ・・・・。」
ふっとテオドールの笑みが濃くなった。
グレンが真剣になればなる程、今のテオドールは心が躍っている。
北部で磨かれたその剣術。歴史に名を遺すリリィベルの祖父アドルフの息子、ダニエルから教わった剣術。
一体どんな強さを秘めている事だか・・・。
テオドールは騎士ではない。剣士だ。
ゾクゾクする程、楽しい。この時ばかりはリリィベルの事とは関係なく。
グレンの気迫が、伝わってくる。
久しぶりの緊張感、相手の気迫に飲まれないように高ぶる自分の気合。
テオドールが口を開いた。
「いつでもどうぞ。騎士様?」
その言葉にグレンは一気にテオドールに向かって足を踏み込んだ。
「約束は守って頂きます!!!」
グレンは剣を振り下ろした。
カキン!!!っと音が響いた。グレンの剣をテオドールは一瞬で鞘から刀を抜きそれを受け止めた。
「あぁ、・・・いいぞ?」
受け止めた振動に、テオドールは目を輝かせた。
「負けたら・・・護衛騎士の夢は諦めるんだな・・・?」
ググッっとグレンの剣はテオドールの刀に圧をかける。
「っ・・・負けたら・・・・っ・・・ですよね・・・?」
「ふっ・・・がんばれよ!」
そう言ってテオドールはグレンの剣をグッと押し返した。
その力にグレンは飛び引き下がった。
「・・・・・・・・。」
グレンは、奥歯を噛みしめた。
一瞬で押し戻された剣、その力はどこから引き出されたのか・・・・。
剣で弾き返すでもなく、押し戻された。
そして、見つめる先で、テオドールは刀を中段で構えている。
鋭く刺さるテオドールの真剣な瞳。
構えている姿に隙は見つけられない。
それでも自分も剣を構える。
舌打ちしたい気分だった。王子に産まれ、何不自由もなく育った。何もかも持つ男。
強さまでも持つ。大切な姫を連れ去る男。
憎らしい・・・。
「はぁぁぁ!!!!!!」
グレンは、またテオドールの間合いに飛び込んだ。
それからも、あらゆるこれまでの戦術を使い皇太子に剣を向けた。時は10分以上が過ぎている。
「ぐっ・・・・。」
「・・・・・・。」
グレンの頬を汗が流れた。
何度剣をどこから振ろうとも、皇太子の身体に届く前に、剣より細い刀で受け止められ、押し戻される。
皇太子の足がその間合いで少し移動するだけ・・・。
そして受け止められる度に突き刺さる皇太子の鋭い目。
「・・・・・おい・・・・・。」
「っ・・・・・。」
皇太子の暁色の瞳が黒く見えた。
「・・・・俺を失望させるなよ・・・・気合だけか・・・・・。」
「っぐっ・・・・。」
「俺は強い相手を期待したが、間違いか・・・?
それがお前の限界か?これは真剣だぞ?俺が咄嗟に身を引くほどの剣術は、お前にはないのか?」
「なんっ・・・・だと・・・・?」
グレンの顔は悔しそうに歪んだ。
「まぁ・・・騎士団のフィリップとならいい勝負が出来そうだ。」
「っ・・私がっ・・・あなたには敵わぬと・・・っ?」
「あぁ・・・そうだな。お前は・・・俺の足元にも及ばない事はわかった。どうやらイーノクとアレックスにもお前は勝てないだろう。
だが、訓練すれば、そうだな・・・追いつけるんじゃないか?うちの五番手程度だがな・・・。」
「っ・・・・・。」
「お前の気合を見て、俺はワクワクしてたんだぜ・・・?どうしてくれんだよ・・・。」
ヴォン!!!っと皇太子の刀は風を切る音を鳴らしてグレンの剣を払った。
怒りの色を見せた皇太子は、後退ったグレンの間合いに一気に踏み込んだ。
ハッと気づいた時には、すでに刀が横腹に向かってくる風を感じた。
「くぅっ・・・。」
辛うじて避けた刀が、グレンの横腹の服をかすめ切った。ピラッと布切れとなった端は風に飛ばされた。
また中段に構えられた皇太子の刀。
「・・・・・・・・・・・。」
テオドールは、どす黒い思いに駆られた。
リリィの為に強くなっただと・・・・・?
俺は・・・・同じ幼馴染として竹刀を握り・・・・強くなった・・・・・。
ふざけるな・・・・・・。
この程度で・・・・・リリィを守るだと・・・・・・?
護衛騎士になりたいだと・・・・?
テオドールはグレンを睨みつけた。
「笑わせんじゃねぇよ・・・・・・。」
「っ・・・・。」
何があったかわからない前世。
俺ですら・・・守れなかった礼蘭の人生・・・・・。
てめぇみてぇな弱い男に・・・・・・。
愛する女を任せるなんて出来るかよ・・・・・・・。
「・・・・飽きた。」
顔を俯かせたテオドールはそう呟いて、一気にグレンの間合いに入り剣を振り上げたグレンの首に剣先を付けた。
「うっ・・・・・。」
剣先はグレンの喉に小さな傷をつけた。
カランっとその気迫にグレンの剣が手から擦り落ちる。
間近に迫ったテオドールの感情が消えた瞳がグレンに突き刺さる。
「お前の負けだ・・・・。」
「っ・・・・・。」
「・・・・護衛騎士は諦めろ。お前にリリィを任せる事は出来ない。
それが俺の答えだ。それでも諦められないのなら、死ぬほど鍛えて出直せ・・・・。」
スッと刀を引き、鞘に戻した。
放心したグレンが・・・その場に片膝をついた。
「・・・・・なんで・・・・・。」
そう呟いたグレンをテオドールは見下ろした。
全く歯が立たなかった・・・。
服にかすりもせず・・・。髪一筋斬る事も出来ず・・・・。反撃は最後の一度きり・・・。
俺は・・・何もかも奪われた。
誇りだった強さも、愛する幼馴染も・・・。
「・・・なんで?それはお前が俺より訓練してないからだろ?
北部の騎士団で一時北部を守る話はなかった事にしよう。皇室から騎士団を送って北部を守る。
お前に負ける騎士団なら任せておけない。
悪く思うな。俺が認めた奴じゃないと領土とリリィの護衛は任せない。」
そう言って、グレンから立ち去り、リリィベルの元へ向かった。
確かに、グレンは強かったのだろう。
だが、俺の精鋭達の方が強い。
当然だ。俺の稽古のすべてを毎日毎日叩き込んだのだから。ついてこられただけ、まだマシか。だが、たかが10分程度なら、そのうちボロを出す。
だから、精鋭と呼べる者達は4人。辛うじてフィリップが追いついてきた所。
他の者には通用しても、俺と精鋭達には通用しない。
無駄に自信を折るつもりはなかったが、
リリィベルの護衛をするには、今や力不足だ。
皇太子妃となるリリィベルの護衛には。
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