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その目を凝らして 13
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朝食は、昨晩の様に、賑やかなものだった。
ニコライとアイザックもすっかり孤児院の子供たちと仲良くなっていた。
もう紛れ込んだら訳が分からないほどに。
早朝、王都の城から皇帝陛下からたくさんのおもちゃが届いた。
クーニッツ夫婦は驚いていたが、それを大広間に置いた。
伯爵邸の大広間はあっという間に遊戯場となったのだ。
子供たちは各々で遊びまわって夢中だった。
「父上・・・とんでもない量を送って来たな・・・。」
テオドールはその広げられた遊戯場を見て呟いた。
孤児院での話が余程気にかかったのだろう。
「伯爵、陛下がとんでもない量を送ってきた。すまないな。」
「とんでもございません。ありがたき幸せで御座います。子供たちはとても喜んでおります。
孤児院が出来上がったら、こんなにおもちゃがあれば子供たちも楽しく暮らせる事でしょう。」
クーニッツ伯爵はどこまでも笑顔だった。息子たちもとても仲良く遊んでいる。
そんな子供らをエドガーが慌てて追いかける様子もあった。
それを見た皇太子はふっと笑みをこぼした。
「一日の終わりには、エドガーを労ってやってくれ。」
「はははっ・・・そうですね。彼は頼もしい子です。私の息子まで面倒を見てくれて。」
「ラグロイアには、孤児院出身の者達が働いているそうだな?」
「はい・・・。成人してこの地を離れた子もおりますが、残っている者達は懸命に働いております。」
「そうか、孤児院がもぬけの殻になって彼らは心配しているのでは?」
「そう思って、使用人に伝言を出しております。子供たちは預かっているからと。」
「それは安心した。」
「あと、殿下が今夜ラグロイアに宿泊される事も伝えておりますので、
どうか、彼らにも尊きお言葉を頂戴頂ければ幸いでございます。」
「・・・遅すぎたくらいだと・・・叱ってほしいくらいだがな・・・。」
皇太子は、楽しく遊んでいる子供たちを見つめながら呟いた。
ゲイツが神父についてから20年の間に、虐待を受けた者達がいるだろう・・・。
知らなかったと片付けるのは、あまりに酷だった。
「・・・本当に、伯爵が、目を掛けてくれていたおかげだ。
親がおらず、ただでさえつらい思いをしている子達だ・・・。幸せになってほしい・・・。」
「殿下にそう言って頂ければ、あの子達も喜びます・・・。」
「そんな事はない・・・。なんと安っぽい言葉だと・・・俺は思ってしまう・・・。」
クーニッツ伯爵は、皇太子の顔を見た。その悲しく悔し気な表情を・・・。
「殿下・・・。」
「知らなかったでは・・・それで済ませてはダメなのだ・・・・。
だから、私や陛下に、その正々堂々と正義を意見できる者達が必要だ。」
皇太子は、クーニッツ伯爵を真剣な面持ちで見た。
「これからは、侯爵として、そなたが正しいと思う道を進んでほしい。
そして、意見があれば伝えてほしい。」
「・・・殿下、私は、皇帝陛下と皇太子殿下を信じております・・・。
そんなお二人のお役に立てる様、全力を尽くしますので。」
「あぁ・・・この地を頼んだぞ。」
「はい、皇太子殿下。」
たくさんの笑い声が溢れる広間で、2人はそう誓った。
この未来ある子供たちの顔が曇る事がないように・・・。今からでも幸せであるように・・・。
その傷が癒えるように・・・。
午後になり、ラグロイアへ行く準備が整った。
それはつまり、子供たちとはお別れの時間だと言うことだ。
「えっ・・・おひめさま行っちゃうの?」
ベルがリリィベルにしがみ付き今にも泣きそうだった。
「えぇ・・・。ベル。名残惜しいけれど・・・私たちは他の所へも行かなくてはならないの。」
「まぁ・・・今夜はまだこの地にいるがな・・・。」
うるうるとしたベルが俯いた。
すると、エドガーがひょいっとベルを抱き上げた。
「皇太子殿下、リリィベル様、ベルは僕が言い聞かせますから。どうぞご出発を・・・。」
エドガーは、皇太子と話をしてから、また更に頼もしい子になったようだ。
その顔は自信に満ち溢れていてる。
「エドガー、すまないな。ここには元々一泊の予定だったんだが・・・。
そなた達と同じ孤児院出身の者達と会っていくよ。まだ一日はこの地にいるから。」
「ラグロイアで働くみんなも、殿下とリリィベル様にお会い出来たら嬉しいと思います。」
エドガーは明るく笑った。
リリィベルは静かにベルに近づいて、その髪を撫でた。
「ベル、いつかまた会いましょうね?」
「ほんと・・・?」
ベルの涙に、リリィベルは自分も瞳を揺らしながら笑った。
「えぇ・・・。必ず。」
私に夢を見せてくれた・・・。あなたを特別愛しく思う・・・。
「また、孤児院が出来上がったら・・・会いに来るわ?帝都からは近いもの・・・。
その時はまた一緒に遊びましょうね。」
そう言って、リリィベルは小指を出した。
「約束よ。」
ベルは涙を零して、リリィベルの小指に自身の小指を絡めた。
「ね・・・。ベル、元気で居てね?」
「うん・・・おひめさまも・・・羽を広げて・・・飛んでっちゃだめだよ?」
「・・・・ん?」
リリィベルは首を傾げた。
その様子にテオドールは吹き出した。
「だって、おひめさま、つばさがあるんでしょう?天使様だから・・・。」
「っ・・・テオ?」
頬を染めてリリィベルはテオドールを見た。
「ベル。天使は俺が掴まえておくから大丈夫だ。必ず2人で会いに来るからな?」
「うんっ・・・王子さまも、お姫さま食べないでね?」
「「・・・・ん?」」
今度は二人一緒に固まった。
「だって、王子さま、お姫さま食べちゃいたいって言ってた!」
「・・・・・・・・・」
リリィベルは、腰に手を当ててテオドールを見た。その頬は赤く染まっていた。
テオドールは、あさっての方を向いた。
「子供にどんなお話を・・・?殿下・・・。」
「さっ、お別れだ。ベル、またな?エドガー宜しく頼んだぞ?さぁ!出発だ。」
テオドールはリリィベルの手をとって、すたすたと早足でその場を立ち去ろうとした。
リリィベルは、その慌てた足に引きずられながらもベルに叫んだ。
「またね!ベル!元気でね!!!」
エドガーはベルの耳に何か囁くと、ベルは頷いた。
そして二人で笑って手を振ってくれた。これ以上名残惜しくならないように。
その様子にリリィベルは笑った。
テオドールも振り返ってエドガーを見て微笑んだ。
目を合わせたエドガーは胸に手を当てて頭を下げた。
頭を上げた時には、凛々しい瞳を向けてくれた。
ニコライとアイザックもすっかり孤児院の子供たちと仲良くなっていた。
もう紛れ込んだら訳が分からないほどに。
早朝、王都の城から皇帝陛下からたくさんのおもちゃが届いた。
クーニッツ夫婦は驚いていたが、それを大広間に置いた。
伯爵邸の大広間はあっという間に遊戯場となったのだ。
子供たちは各々で遊びまわって夢中だった。
「父上・・・とんでもない量を送って来たな・・・。」
テオドールはその広げられた遊戯場を見て呟いた。
孤児院での話が余程気にかかったのだろう。
「伯爵、陛下がとんでもない量を送ってきた。すまないな。」
「とんでもございません。ありがたき幸せで御座います。子供たちはとても喜んでおります。
孤児院が出来上がったら、こんなにおもちゃがあれば子供たちも楽しく暮らせる事でしょう。」
クーニッツ伯爵はどこまでも笑顔だった。息子たちもとても仲良く遊んでいる。
そんな子供らをエドガーが慌てて追いかける様子もあった。
それを見た皇太子はふっと笑みをこぼした。
「一日の終わりには、エドガーを労ってやってくれ。」
「はははっ・・・そうですね。彼は頼もしい子です。私の息子まで面倒を見てくれて。」
「ラグロイアには、孤児院出身の者達が働いているそうだな?」
「はい・・・。成人してこの地を離れた子もおりますが、残っている者達は懸命に働いております。」
「そうか、孤児院がもぬけの殻になって彼らは心配しているのでは?」
「そう思って、使用人に伝言を出しております。子供たちは預かっているからと。」
「それは安心した。」
「あと、殿下が今夜ラグロイアに宿泊される事も伝えておりますので、
どうか、彼らにも尊きお言葉を頂戴頂ければ幸いでございます。」
「・・・遅すぎたくらいだと・・・叱ってほしいくらいだがな・・・。」
皇太子は、楽しく遊んでいる子供たちを見つめながら呟いた。
ゲイツが神父についてから20年の間に、虐待を受けた者達がいるだろう・・・。
知らなかったと片付けるのは、あまりに酷だった。
「・・・本当に、伯爵が、目を掛けてくれていたおかげだ。
親がおらず、ただでさえつらい思いをしている子達だ・・・。幸せになってほしい・・・。」
「殿下にそう言って頂ければ、あの子達も喜びます・・・。」
「そんな事はない・・・。なんと安っぽい言葉だと・・・俺は思ってしまう・・・。」
クーニッツ伯爵は、皇太子の顔を見た。その悲しく悔し気な表情を・・・。
「殿下・・・。」
「知らなかったでは・・・それで済ませてはダメなのだ・・・・。
だから、私や陛下に、その正々堂々と正義を意見できる者達が必要だ。」
皇太子は、クーニッツ伯爵を真剣な面持ちで見た。
「これからは、侯爵として、そなたが正しいと思う道を進んでほしい。
そして、意見があれば伝えてほしい。」
「・・・殿下、私は、皇帝陛下と皇太子殿下を信じております・・・。
そんなお二人のお役に立てる様、全力を尽くしますので。」
「あぁ・・・この地を頼んだぞ。」
「はい、皇太子殿下。」
たくさんの笑い声が溢れる広間で、2人はそう誓った。
この未来ある子供たちの顔が曇る事がないように・・・。今からでも幸せであるように・・・。
その傷が癒えるように・・・。
午後になり、ラグロイアへ行く準備が整った。
それはつまり、子供たちとはお別れの時間だと言うことだ。
「えっ・・・おひめさま行っちゃうの?」
ベルがリリィベルにしがみ付き今にも泣きそうだった。
「えぇ・・・。ベル。名残惜しいけれど・・・私たちは他の所へも行かなくてはならないの。」
「まぁ・・・今夜はまだこの地にいるがな・・・。」
うるうるとしたベルが俯いた。
すると、エドガーがひょいっとベルを抱き上げた。
「皇太子殿下、リリィベル様、ベルは僕が言い聞かせますから。どうぞご出発を・・・。」
エドガーは、皇太子と話をしてから、また更に頼もしい子になったようだ。
その顔は自信に満ち溢れていてる。
「エドガー、すまないな。ここには元々一泊の予定だったんだが・・・。
そなた達と同じ孤児院出身の者達と会っていくよ。まだ一日はこの地にいるから。」
「ラグロイアで働くみんなも、殿下とリリィベル様にお会い出来たら嬉しいと思います。」
エドガーは明るく笑った。
リリィベルは静かにベルに近づいて、その髪を撫でた。
「ベル、いつかまた会いましょうね?」
「ほんと・・・?」
ベルの涙に、リリィベルは自分も瞳を揺らしながら笑った。
「えぇ・・・。必ず。」
私に夢を見せてくれた・・・。あなたを特別愛しく思う・・・。
「また、孤児院が出来上がったら・・・会いに来るわ?帝都からは近いもの・・・。
その時はまた一緒に遊びましょうね。」
そう言って、リリィベルは小指を出した。
「約束よ。」
ベルは涙を零して、リリィベルの小指に自身の小指を絡めた。
「ね・・・。ベル、元気で居てね?」
「うん・・・おひめさまも・・・羽を広げて・・・飛んでっちゃだめだよ?」
「・・・・ん?」
リリィベルは首を傾げた。
その様子にテオドールは吹き出した。
「だって、おひめさま、つばさがあるんでしょう?天使様だから・・・。」
「っ・・・テオ?」
頬を染めてリリィベルはテオドールを見た。
「ベル。天使は俺が掴まえておくから大丈夫だ。必ず2人で会いに来るからな?」
「うんっ・・・王子さまも、お姫さま食べないでね?」
「「・・・・ん?」」
今度は二人一緒に固まった。
「だって、王子さま、お姫さま食べちゃいたいって言ってた!」
「・・・・・・・・・」
リリィベルは、腰に手を当ててテオドールを見た。その頬は赤く染まっていた。
テオドールは、あさっての方を向いた。
「子供にどんなお話を・・・?殿下・・・。」
「さっ、お別れだ。ベル、またな?エドガー宜しく頼んだぞ?さぁ!出発だ。」
テオドールはリリィベルの手をとって、すたすたと早足でその場を立ち去ろうとした。
リリィベルは、その慌てた足に引きずられながらもベルに叫んだ。
「またね!ベル!元気でね!!!」
エドガーはベルの耳に何か囁くと、ベルは頷いた。
そして二人で笑って手を振ってくれた。これ以上名残惜しくならないように。
その様子にリリィベルは笑った。
テオドールも振り返ってエドガーを見て微笑んだ。
目を合わせたエドガーは胸に手を当てて頭を下げた。
頭を上げた時には、凛々しい瞳を向けてくれた。
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