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最高じゃない?

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「へぇ‥‥なかなか面白いわね‥‥」

 深夜の、皇太后の私室、ブリントン公爵家からの使いであるレナードは、膝をついてそこにいた。

 ダークブラウンの髪に緑色の鋭い目付き。彼は幼い頃、奴隷としてブリントン公爵家に買われた。
 そして、その優れた身体能力の活かし悪に染まった仕事を担う陰の実力者となった。

「オリバンダー侯爵‥‥なんて面白い男達‥
 そんなにあの娘が欲しいのか‥‥」

「別邸には、既に5人目の金髪の女が、拘束されています。
 みな‥孤児や身寄りのない娘ですが、金髪だから、でしょうね‥」

「なるほど‥誰も探す事がない子ばかりね‥‥ふふふっ
 やはり、あの娘は魔女の様ね‥卑しい娘‥

 イシニスの件は?オリヴァー達は知っているの?」

「イシニスの件は、どうやら暗殺依頼の為に、帝国の情報を取引に多額の金を。
 皇帝陛下がその事実を知っているかは、すでに暗殺依頼をした貴族三家が死んでいます。
 獄中で死んだそうですが。確認はできません。」

「そう・・・でもヘイドンや我が家よりも多額の金を掛けたのね。
 ふふっ、どうやら暗殺の件については、そやつが裁かれるであろうな。それも、汚らしい理由で‥。
 最高だわ。

 叶うなら、私が直々に奴らにあの娘をくれてやりたいわ。
 さぞ、喜ぶであろう‥。

 やつらを、こちらに付けることは出来そうか?

 オリヴァー達に捕まる前に、奴らを私達の駒にしなければ‥」


「はい‥‥。秘密裏に交渉致しましょう‥。」

「あぁ、成功したら娘が手に入るとなれば必死に働くであろう‥‥。」

「イシニス王国はライディン王太子が我が国を手に入れようとしています。
 ライディン王太子は野心の強いお方。我が国の皇太子の2つ年上です。」

「それは困るわね、こちらが負けたら皇族として首を差し出さなばならない‥‥。
 けれど、あのブラックウォールの娘を消すためには、オリバンダーを通じイシニスに動いてもらわなくては。イシニスの奇襲をカドマン伯爵だけで防げまい・・・。必ず皇太子が援軍に向かうであろう。
 それと同時にお前は戦に紛れてブラックウォール家を奇襲しろ。

 戦の間に皇太子とあの娘を引き離せし、娘が城から連れ出す事が出来たなら、
 あとは、オリバンダーにくれてやれ‥‥。死よりも恐ろしいだろうな・・・・。


 ふふふふふ‥‥‥。」

「はい、皇太后陛下‥」
 レナードは離宮の隠し扉の奥に消えていった。


 その足で、レナードはオリバンダー侯爵邸に向かった。
 眠っているオリバンダーの寝室に忍び込むのは造作もなかった。

 暗殺者を送った者は、自分に忍び寄る者がいるとは夢にも思わなかっただろう。

 音もなく近づいたその枕に、剣を突き刺してやった。

「なっ・・んぐっ」
 声を出してすぐに、その口を塞がれる。
 怯えた目でオリバンダーは手の主の方を見た。ただ暗闇に光るグリーンの眼が見えた。

「・・・・死にたくなければ、言う事を聞くんだ。さすれば、望むものが手に入るだろう。」







 数日後、城の玉座の間にて皇帝の耳に南部の伝令役から、それは届いた。
「イシニス王国から奇襲だと?」
「はい!2日前にイシニスと我が国の国境を、イシニスの騎士たちが押し寄せて
 カドマン伯爵の騎士団達が防衛しています!!」
「戦況は!?」
「・・・・私は急ぎ城に知らせるように言われただけですが・・・。ジェイク様は
 1人たりとも許可なく帝国には足を踏み入れさせないとおっしゃっております。」

 俯いた伝令役に皇帝は険しい表情を浮かべた。

「では・・・どれほどの数かも把握できていないな・・・・。」
「・・ただ深夜に篝火が・・・一面に見えて・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
 側に居る従者に皇帝は耳打ちする。


 程なくして、玉座の間に皇太子が現れた。

「陛下、参りました。」
「あぁ、イシニスからの奇襲だ。私は城を開ける事は出来ない。お前は第二騎士団と共に現地へ。」
「畏まりました。急ぎ準備を致します。」

 皇太子は真剣な面持ちで、玉座の間を出て行った。


 扉の前で待機していたフランクに声をかける。

「フランク、騎士団に伝えてこい、急ぎ南部のカドマンへ向かうと。」
「はっ・・・はい。」

 早足で執務室に向かった。ブレスレットを3回叩く。ハリーが現れる。
「来たな、ハリー。」
「はい殿下、陛下からロスウェル様へ、話は聞いてます。」
「あぁ、小水晶はあるな。」
「はい、いつでも連絡が取れます。」
「よし、城を出るから、リリィを全力で守ってくれ。」
「心得てます。それから・・・。」
「あぁ、俺たちの研究がどれほどか実験だ。」
「ロスウェル様に許可は頂きました。」

「ははっ・・・今でも思い出すな。ロスウェルのあの吃驚した顔。」
 皇太子は笑みを浮かべたが、ハリーは不安そうな顔をしていた。

「殿下、無理なさらないで下さいね。」
 そう言って、ある物を差し出した。それを受け取り皇太子は笑みを浮かべる。

「あぁ、当たり前だ。これが成功したら、お前達の為にもなる。」

 皇太子は、戦闘用の皇族騎士服に着替えた。
「・・・何かあれば、ロスウェル様がお側に行きます。」
「あぁ分かってる。」

 板金の甲冑を装備し、マントを付けた。

「行く前にリリィの所へ行く。」
 穏やかな笑みを浮かべて、皇太子は執務室を出た。


 ちょうど、妃教育の真っ最中。リリィベルには伝わっていないだろう。
「・・・・・・・・」

 コンコンと扉を叩いて、部屋へと入った。
 振り返ったリリィベルは、テオドールの顔を見て嬉しそうな顔をしたが、
 すぐに、その様子に気づき青ざめた。

「・・・テオ・・・?その格好は・・・・。」

 素直に名前を呼べるようになって数日。リリィベルは動揺した。

 リリィベルの顔を見て、テオドールは笑みを浮かべている。
「リリィ、緊急でカドマンへ行くことになった。すぐに耳に入るだろうから言っておく。
 イシニス王国がカドマンの国境から奇襲してきた。カドマン伯爵が防衛している。
 援軍に行ってくるから、いい子で待っててくれ。」

 そう言ってリリィベルの額に口付けた。

「ではっ・・・戦場に行くとおっしゃっているのですかっ・・・?」
「あぁ、俺は皇太子だ。騎士団と共にな。イーノクとアレックスは残しておくから
 心配いらないぞ。心細かったら母上と一緒に居てくれ・・・。」

「テオ・・・・」
「大丈夫だ。必ず、お前の元へ戻るよ・・・・。」
「・・・っ・・・待ってます・・・・。」

 辛うじて涙を我慢したリリィベルだった。
 テオドールの腕に包まれて、その温もりを噛みしめた。


 この先、皇太子妃となるには・・・覚悟しなければならない。
 皇太子は、皇帝の手足となり動く。戦が起こった際には、真っ先に偵察に行かなければならない。

「・・・・・。」
 向き合って見つめ合う。テオドールは安心させるように笑っている。

「リリィ、大丈夫だぞ?」
 そう言ってリリィベルの指輪に口付けた。

「・・・っ・・・信じておりますっ・・・・・。」
「あぁ・・・そうだ。俺を信じろ・・・・。」
 リリィベルの頭を撫でて、皇太子は部屋を出た。

 その背中を見送る。
「・・・・・リリィベル様・・・・・?」

 教育係が、心配そうに顔を覗き込んだ。

「・・・・・・」
 リリィベルは、鼻先を赤くさせながらも、凛とした顔で覚悟を決めていた。

 この国の未来の皇太子妃になるために・・・。



 城の正門に、第二騎士団が待機している。
 そこに皇太子が現れた。

「皆、よく聞け。南部カドマンにてイシニス王国から奇襲があった。カドマン伯爵がこの国を守っている。

 行くぞ!俺に続け!明日の朝には南部へ着くぞ!!」

「ぉぉぉぉおおおおおぇぇぇぇぇえええ?????」

 雄叫びが驚愕の声に変わる。

 南部の伝令役は2日で城についた。
 それをたった1日で行くと言った。

 皇太子は既に馬を走らせた。歯切れ悪く第二騎士団は走り出したのだった。

 南部までの森の中騎士団が駆け抜ける。
「殿下俺達殺す気だな。」
 そんな声が最後尾を走る騎士がぽそりとつぶやいた。
 それは馬の蹄の音で消えていく。


「‥‥‥‥‥」

 騎士団が出て行ったのを城の窓から見送った皇帝と皇后。
「テオ‥大丈夫かしら‥」
「大丈夫だ。」

 皇帝は余裕な顔でニヤリと笑った。




「殿下、今なんと?」
「だから、俺も魔術使いたい!」

 ふっとロスウェルは吹き出して笑った。
「ははっ‥殿下、笑わせてくれるじゃありませんか。
 魔術は、はいどうぞ?とあげられるものじゃありませんよ?
 子供の頃にも仰いましたねー。可愛いんだからー。」

 ニヤニヤしてロスウェルは笑っていた。

 しかしテオドールの隣にハリーが並ぶ。
「ロスウェル様」
「おっ、ハリー?お前も何か?」

 ハリーはいつもの気の抜けた顔ではなく真剣な面持ちだった。
 そんな2人を見て、ロスウェル嫌な汗をかいた。

「‥‥‥お前達・・・・すいません。お前って言っちゃった」
「おう、分かるよ?その気持ち、今は聞き流す。」
 テオドールは、さも気にしていないという顔でそう言った。

「何をなさったのです?2人でこそこそ、私に隠れて‥」
 ロスウェルが真剣に2人に向き合う。

 子供の頃から面識ある2人。一時は距離をおいた事もあったが、
 歳をとるにつれて2人は距離を詰めていた。


「ハリーと、魔術を研究していたんだ。それで、
 魔術師の血で、俺自身が魔術を使えるようにした。」

「は‥‥‥」

 ロスウェルはポカンと口を開けた。けれどテオドールは話を続ける。

「皇族と魔術師は、その血で契約しているだろう。お前達は俺達の血で、自らの魔術の力を最大に生み出して俺達の命令に従い魔術を施す。

 お前達は悪人に狙われないように、この魔術の力を皇族の男子にだけ引き継いできた。

 皇族は魔術を使えない、けど、逆に魔術師から血を貰う事で、すでに魔術印のある皇族も
 魔術を使えるようにハリーと2人で研究したんだ。

 俺は特別にお前達が使う魔術が出来る様になる。お前に刺された剣山の印がな!
 ただ俺が魔術を使うには、強い魔術師、つまり筆頭魔術師ロスウェル、お前の血が必要だ。

 これが、成功したら‥‥‥

 俺は、治療院をこの帝国に作りたい。」


「治療院ですか‥?」

「俺が魔術を使うのは、俺達皇族男子に刻まれるこの特別な魔術印で、魔術師の血で魔術を一時的に使うこと。
 お前達が俺達の血でするのと同じだ。そしてもう一つは治療する新しい魔術印。
 この国は、薬草とかしかそーいう治療しかないだろ?
 寿命には逆らえなくても、せめて‥‥怪我を治したり、毒を解毒したり、
 そういう事ができる治療院を作りたい。

 お前達が初代となり、その心眼でその資格に値する者や、お前達のような魔術を使える者がまた現れた時、城で匿われるだけじゃなくて外の世界で、治療を施す者として生きられる様にしたいんだよ。」


「‥‥‥なっ‥‥‥なんてことを‥‥‥」

「死んだ人間を蘇らせることは出来ない。でも、怪我や病に苦しむ人間を治療出来る魔術をハリーと作ったんだ。

 すでに、ハリーは治癒の魔術印を生み出した。

 見ててくれ‥‥‥。」

 そう言って、テオドールは自身の腕を小さなナイフで傷付けた。

「あっ‥‥‥」
 血が滴るのを見つめるロスウェル。


 ハリーはテオドールの傷に手を当てた。

 すると、その手にロスウェルが見た事がない魔術印が現れる。

 黄金の光が傷に当てた手の隙間から零れる。


 少ししてハリーが手を離した時

「うそだ‥‥‥」
 ロスウェルはテオドールの腕を掴んだ。
「どうだ?傷がなくなっただろ?」
 先程できた切り傷はきれいさっぱりと無くなった。それを見てロスウェルが呟く
「治癒に関する魔術は、魔術書になにも載ってないのに‥」

 ぽかんとするロスウェルが、ハリーをゆっくりと見た。

 ハリーは少し頬を赤くして、ロスウェルを見た。

「あの‥‥殿下が‥‥傷を糸で縫う様なイメージをしろとおっしゃって‥‥。
 人間の身体の構造や、血管や臓器などを詳しく教えて下さって、それを盾の魔術を基に、
 傷を塞ぐ事や縫う事、血を焼き止めるなどのイメージをしてみてはどうかと‥‥‥。
 色々いじってたら‥‥


 なんか、できちゃった。」

 最後はぼそっとハリーは呟いた。

「‥‥‥盾‥‥‥」
 ロスウェルが目を丸くしながらつぶやく。

「ロスウェル、いつも父上に盾の魔術使うだろ?体に受けるダメージを無くす事。
 その魔術で体内の痛みを止め、血管が切れたのならその痛みを止めて、針で縫えと言ったんだ。
 血が止まらないなら、その血が噴き出る場所を魔術印が出来る時のイメージで焼けとな。
 俺がこの手に魔術印をつけた時、焼ける思いだったんだ。だから、それらを組み合わせた。
 まぁ、ハリーが魔術紋様を考えたんだが。」

「殿下が、絵にして教えてくれたんですよ。血管が破れたらこう縫えとか、
 止まらないならここを熱した鉄で焼くんだーとか。なんか、訳わかんない事たくさん。」

 その言葉にテオドールは吹き出した。
「ふっ!お前、訳わかんなかったのかよ」
「わかりませんよ!殿下人間解剖した事あるのかと思いましたっ!あんなの知りませんよ!」
「あーーー‥‥皇太子は、博識でないとな?」
 テオドールは笑って誤魔化した。


 この者、前世は看護師である。


 ロスウェルはポカンとしたまま置き去りだ。

「ロスウェル?」
 テオドールがロスウェルの目の前にヒラヒラ手をかざす。

「っ‥‥‥はっ、‥‥夢?!」
「夢じゃねーし。」

 ロスウェルはうぅーんと頭を混乱させていた。

 皇太子に魔術の付与、新しい治療魔術に、さらには適任者へ治癒魔術の付与‥‥。


「まさか‥‥こんな研究をなさっているとは‥‥」
 呆れた様な、感心した様な顔のロスウェルだった。

「とりあえず成功するか、何かあった時は隠して魔術をやってみる。実戦で出来るかどうか試してみないとな。皇太子が魔術を使ったとしてもそれを狙う奴は居ないだろ?そして、まず俺が魔術を披露出来たら、お前達の登場だ。お前達は城に居てもらう存在となるが、治療院を作り終えたら、治癒魔術を使う者達をお前達で選ぶんだ。付与できる者は城に属する者達のみ。

 俺はお前が姿を変えなくても、ハリーが姿を消さないでも、
 街の中を歩ける様にしてやりたい‥‥‥。

 ロスウェル、どう思う?」

「‥‥‥でんか‥‥‥そんな‥‥事が‥‥‥」

「それに、治療院も守ればいい。お前達は優秀だし、きっと、帝国民はお前達の存在をありがたく思うだろう。

 治療を施す事で助けられる命があれば、助けたいんだよ。

 病は予防も大事だが、傷を負った人がいれば助ける。そんな場所が作りたかった。

 その中心となるのが、お前達魔術師だ。

 お前達の魔術は、人を守る為のものばかりだろう‥

 できると思ったんだ。‥優しいばかりの魔術なんだから‥」

 そう言ってテオドールは微笑んだ。


「‥‥‥‥‥」

 ロスウェルは、そのテオドールがとても逞しく見えた。

 まだまだ、幼い頃に連れてきた子供の頃を鮮明に覚えている。


 今でも問題を起こしては、皇帝に怒られ、時には涙を流して・・・・



 あの幼かった王子は、こんな事を考えていた。

 次期皇帝に成るに相応しい人物へと成長していた。


「ちゃんと、私が分析するまで、お待ちくださるなら‥‥。考えましょう‥‥。
 筆頭魔術師は、私ですから‥‥殿下に危険があってはなりませんので。」

 ロスウェルは穏やかな笑みを浮かべた。



 その日の夜、ロスウェルは皇帝にその事を伝えた。

「ふはっ!!!すごいな!なんて事を考えるんだ!
 皇族のみ使う魔術印を逆手に自ら魔術を使う?そして治癒魔術か!

 全く‥‥テオドールもなかなかだが、ハリーも大した者だ。」
 大いに機嫌良く笑ったオリヴァーだった。

「ハリーもそうですが、殿下も相当ですよ?自分が自ら行い、力を証明したあとは‥」

「あぁ‥‥あいつ、覚えていたんだな‥」
「え?」

 オリヴァーは、懐かしげに笑みを浮かべた。

「テオを城に迎えて、ハリーと初めて会った時の頃、話したんだ。お前達はここから出られないから‥
 ハリーと仲良くしろと。

 そして‥いつか、お前達が自由に街中を歩けるようになれたらいいとな‥‥。
 まさか、新しい魔術まで考えて、
 更にはお前たちが外に出ても、皇族の庇護がある事を示して、帝国に治療院を作り、
 お前達が人々から喜んで受け入れられるようにと‥‥そう考えたんだろう‥‥。まったく‥‥
 うっかり目を離した隙に、子供は成長するな‥。

 ロスウェル、最高じゃないか!」

「はい・・・あの幼かった王子様が、大きくなりましたよ。まったく予想外です。」

 オリヴァーはニヤリと笑った。
「でも、新しい魔術を作り出したのは、やはりお前が最年少だったな?
 ふふっ、お前には敵わないだろうな。懐かしいな。」

 その話にロスウェルも嬉しそうに笑みを浮かべる。

「私の盾魔術とは比べ物になりませんよ。私も気を引き締めてなくては‥‥」
「あぁ、私たちはまだまだ現役だからな。」
「えぇ、まだこの座を渡す気はありませんよ。」 
 そう言って、オリヴァーとロスウェルは笑った。



 次代はとても、明るいと、確信した‥


 ロスウェルが幼き日に作り上げた。
 幼いオリヴァー皇太子と遊びながら作った盾の魔術。
 やんちゃだったオリヴァーの振り回すおもちゃの剣を
 防ごうと考え出した魔術‥‥


 そんな事を、思い出していた。

 あの頃必死で書いた魔術紋様を、尊敬していた筆頭魔術師に見せて、目を丸くさせてやった。



 オリヴァーとロスウェルが築いた今の時代は、
 テオドールとハリーの手で、確実に次の時代に向かって進んでいる。
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