77 / 240
愛はどんな形にもなる
しおりを挟む皇帝は、皇太子の前に仁王立ちし、見下ろした。
「・・・・テオドール。」
「・・・・・・・・・。」
「お前が何を言ったか、私は既に知っている。」
「・・・だからなんです?・・・。」
「やってくれたな。お前はそうやってまた火種を作ったんだ。」
「・・・リリィを、こんな所へ連れてくるからです。」
「あぁ、お前も反省が必要だ。引き離されたいか?簡単だぞ?」
その言葉にテオドールは父を見上げた。
「リリィが!侮辱されて俺だけ黙っている訳にいくか!!!!」
「そうだ。反省しろ。お前の行動で、リリィがいらぬ侮辱を受けたのだ。」
「っ・・・。」
テオドールは悔しそうに唇を噛んだ。
「陛下っ!!私が悪いのですっ!!!テオ様は悪くありません!!」
「リリィ・・・お前はそう言うが、そなたよりテオドールの行動が一番の問題なのだ。
だからこんな騒ぎになっている。皇太后を侮辱したのは、間違いであった。
これからどんなに厄介になるか、まだ分からないようだ。」
皇帝は皇太子を睨みつけた。
「ロスウェル達がついているからと、自惚れるのも大概にしろ!!!!」
「っ・・・・」
その通りだ。ロスウェル達が、24時間リリィベルを守ってくれていて。
その身が安全だからこそ、落ち着いていられる。
本来なら、毒を盛られようと、暗殺者を向けられようと・・・
すべてから守る事など不可能な事・・・。
「・・・・リリィはここから出してください・・・・。
リリィが反省するべきことなど御座いませんっ・・・・。
すべての責任は私がとります。どうか・・・お願いいたします。」
「そのつもりだ。お前はここに残りなさい。お前の言った通り、
その病は治せまい。リリィ、立ちなさい。」
そう言って皇帝はリリィベルに手を差し出した。
「いやっ・・・嫌ですっ陛下!!私もここに残りますからっ・・・
どうかっ・・・殿下を責めるのはお止めくださいっ・・・。」
涙を浮かべてリリィベルは必死だった。
「私も反省致しますっ・・・だから・・・離れて居たくないのですっ・・
どんな場所でも構いませんっ・・・離れたくありませんっ・・・。
どうか、お許しくださいっ・・・・。」
そう言って、蹲った。
その姿を見て・・・テオドールは、自分の罪をまた痛感したのだ・・・。
泣きながら許しを請う姿に、胸が引き裂かれる。
「お許しくださいっ・・・ごめんなさいっ・・・・。」
「・・・やめろ・・・リリィっ・・・・。」
テオドールは、悲し気にリリィにすり寄った。
「頼むからっ・・・・やめてくれっ・・・・・。」
リリィベルを抱きしめて、テオドールは静かに涙を流した。
「ごめんっ・・・・ごめんっ・・・」
「・・・・・・・・・」
皇帝は、2人を見て胸を痛めていた。
本来ならば・・・こんなに愛し合う二人を引き裂く事などなくて良いはずなのに・・・。
古い執念に憑りつかれて、2人の障害となる。
こんなことは・・・・必要なかったのに・・・・。
導かれる様に出会ったのに・・・その道は茨のようだった。
「二人とも、気が済まないのなら・・・一晩ここで過ごしなさい・・・・。
明日迎えにくる・・・。わかったな・・・。それで対外的に許しを乞うたとしよう・・・。」
本来、許しを請うなどなくてもいいはずなのに・・・・。
皇帝は静かに部屋を出た。
扉の前に立つのは、皇太后の使いの兵士ではなく、テオドールの騎士、イーノク達だ。
「・・・・二人は今日ここで過ごす。不自由のないように、フランクに伝えてくれ。」
「畏まりました。皇帝陛下。」
皇帝は西の塔から出て行った。
「落ち着いて、事を運ばねば‥‥」
皇太后にあらゆる暴言を吐いたのは事実。
だが、不条理な事を言われてるのも事実。
マーガレットの毒殺未遂。毒は既に手の中にある。
給仕も、拘束している。
その口から吐かせた後、ヘイドン侯爵が入手した事を立証しなければ‥
自室に戻り、ロスウェルを呼んだ。
「殿下達は、どうですか?」
「あぁ、可哀想な事をした‥。2人は本来何も悪くない‥」
「はい‥‥」
「あの毒がどこで手に入るか分かったか?」
「時間が掛かりましたが、いくつか分かった事が・・・」
「なんだ?」
「あの毒は‥10年前に皇太后様に盛られたとされる物と同じであると。」
「!!本当かっ?!」
「はい‥‥図鑑に書いてある症状と当時の皇太后に出た症状の記録を見付けました。
めまいがし、高熱が出て、意識障害があると・・・。」
「‥なぜ、同じ物が?」
「あのグラスに入った成分を検証したらオゼリという毒草を粉末にし、水と混ぜ合わせ液体にさせたものでした。その為毒の効果は少し薄くあり少量でしたら死に至る事はありませんが、多量であれば死に至ります。」
「・・・その毒草は、どこにでもあるものか?」
「ヘイドン侯爵家が治める領地の森で見つけました。古い図鑑に載っていたその葉の形を具現化し、私が先日確認して参りました。数が少ないですが、間違いなく手に入ります。
少量だったのはあまり多く生えていないからでしょうね。」
「そうか・・・エレナのアンフォード侯爵家が元治めていた領地には?」
「ございません。ですので・・・。アンフォード家が用意した毒とは考えにくいです。
やはり、エレナ様の皇太后陛下の毒殺未遂は、エレナ様が起こした事ではなさそうです。
領地の薬師などにも聞いて回りましたが、知っている者は少ないです。
知っていた薬師を捕らえた方がよろしいかと・・・。ヘイドン侯爵家と繋がりがあるかもしれません。」」
「よくそんなに調べる事が出来たな?」
「毒草と毒草に似せた草を持ち込んでみたのです。よくこんな珍しい物を持ってきたと言われました。
間違えて口したら大変だと。少々慌てた様子でして、ただ一人だけ、その者は危ないから見つけたら採取していると言いました。裏で毒草を取引した可能性があります。そして、その者の父は当時の事件後亡くなっており、後継ぎが営む薬屋です。消されてしまう前に拘束した方が良いでしょう。」
「わかった。今夜すぐにその者を秘密裏に拘束しよう。」
「はい、陛下。」
皇太后の私室で、ライリーは絶えず涙を流していた。
「・・・・・・・」
皇太后はライリーには目を向けず、険しい顔をして観賞用の花を見つめていた。
このままでは、明日にでも皇帝に2人の身柄は解放されてしまうかもしれない。
魔術師達に守られている彼らを殺すのは難しい。
ヘイドン侯爵家は、毒を盛る計画に失敗した・・・。
ライリーもこの通りだ。皇太子に面と向かって言われて、泣き続けている。
泣き寝入りした所で、欲しい者は手に入らないが・・・。
自分も本当に欲しい者は手に入らなかった。
どうにかして、あの娘を城から出すことが出来れば・・・・。
「あぁ・・・・そうだわ・・・・。」
アドルフの息子がいた・・・。リリィベルの父親だ・・・。
あの者が傷を負えば、きっと娘は城を出ていくだろう・・・。
北部までの道のりを、わざわざ皇太子がついていく訳はない。
護衛はついても・・・隙はある。
そして、暗殺者達もたくさん、あの娘を狙っている。
父親の身に何かあれば、行かざる終えまい・・・・。
城に居た時は何をしても害することは出来なかったが。
今は北部にいる。いくら屈強な北部の守り主でもアドルフには劣る。
アドルフでさえ、死んだのだから・・・・。
「いつまで泣いてるつもりなの?」
「うっ‥‥でも‥殿下がっ‥‥‥」
「あんなもの、気が立っていたからだ。好かれて嫌なわけないだろう?気にするな。結婚してしまえばいい。」
「っぐすっ‥‥っ‥‥」
皇太后はそっと、ライリーの耳元で囁く
「女を殺してしまえばいい、事故に見せかけて‥」
「っ‥‥」
顔を上げて皇太后を見た。ニヤリと笑ったその顔を。
「城にいた方がと思ったが、こうなれば出てしまえばいい。皇太子の手の届かない場所でなら、邪魔は入らないわ。そうだわ‥‥貴族議会でイシニス王国の話をした者が居たわね‥父上に、その者を抱え込めるか話をして?今から私が言う事を聞いて‥‥?」
「‥‥‥‥‥」
ライリーは、涙を流しその囁きを耳にした。
それは、とても魅力的な囁きだった。
愛する者が、手に入らないなら、愛を向けられる者を殺せばいい‥‥‥
転がり落ちてくるのを待てばいい。
ただ手に入れたい‥‥
隣に並ぶのは自分でありたい‥‥
知らずに口元に笑みが浮かんだのに気付かない程‥‥
愛しさは狂気に変わる。
西の塔、暗い部屋の中で、テオドールとリリィベルはその身を寄せ合ってベッドにただ横たわっていた。
「‥‥‥‥‥」
何も、話さないテオドールに、リリィベルは眉を下げていた。
涙を流して、謝る姿を見て
更に傷付けてしまったと思っていた‥‥
皇太子という身分でありながら、自分といるせいでこんな部屋で‥‥
それでも私を抱き締めてくれる‥‥
私と出会い、自身の祖母と言い争うことになってしまった‥
私がブラックウォールの人間だから‥‥
それでも私を離さない‥‥
私も、あなたを離さない‥‥
この愛は‥‥誰にも引き裂けない‥‥‥
「‥‥テオ様‥‥」
「‥どうした?‥つらいか?」
そう言ってまた強く抱きしめた。
「テオ様と一緒なら‥つらくなどありません‥‥」
「‥そうか‥‥俺もだ‥‥」
「はい‥‥‥」
テオドールは、ただ一点を見つめ呟いた。
「俺達は‥何も悪くない‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「悪くないよ‥リリィ‥」
「‥‥皇太后陛下は‥お祖父様がお好きだったのですよね‥‥」
「そうだ‥‥でもお前は悪くないし、
お前を愛する俺も悪くない‥‥俺に愛されるお前も‥‥」
「‥‥‥はい‥‥‥」
「だから‥絶対‥‥気にするな‥‥」
「‥はい‥‥‥」
「俺達は、運命なんだ‥‥この指輪がそうだろう?」
テオドールはそっと、リリィベルと指を絡めた。
「俺達は、巡り合う運命だ‥‥それ以外ないだろ?」
この指輪は道標‥‥
リリィベルは絡んだ手を見つめて涙を浮かべた。
「そうですね‥‥‥私は、あなたと出会う為に産まれました‥‥」
1
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

真実の愛は、誰のもの?
ふまさ
恋愛
「……悪いと思っているのなら、く、口付け、してください」
妹のコーリーばかり優先する婚約者のエディに、ミアは震える声で、思い切って願いを口に出してみた。顔を赤くし、目をぎゅっと閉じる。
だが、温かいそれがそっと触れたのは、ミアの額だった。
ミアがまぶたを開け、自分の額に触れた。しゅんと肩を落とし「……また、額」と、ぼやいた。エディはそんなミアの頭を撫でながら、柔やかに笑った。
「はじめての口付けは、もっと、ロマンチックなところでしたいんだ」
「……ロマンチック、ですか……?」
「そう。二人ともに、想い出に残るような」
それは、二人が婚約してから、六年が経とうとしていたときのことだった。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。

口は禍の元・・・後悔する王様は王妃様を口説く
ひとみん
恋愛
王命で王太子アルヴィンとの結婚が決まってしまった美しいフィオナ。
逃走すら許さない周囲の鉄壁の護りに諦めた彼女は、偶然王太子の会話を聞いてしまう。
「跡継ぎができれば離縁してもかまわないだろう」「互いの不貞でも理由にすればいい」
誰がこんな奴とやってけるかっ!と怒り炸裂のフィオナ。子供が出来たら即離婚を胸に王太子に言い放った。
「必要最低限の夫婦生活で済ませたいと思います」
だが一目見てフィオナに惚れてしまったアルヴィン。
妻が初恋で絶対に別れたくない夫と、こんなクズ夫とすぐに別れたい妻とのすれ違いラブストーリー。
ご都合主義満載です!

【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる