ハッピーエンドを待っている 〜転生したけど前世の記憶を思い出したい〜

真田音夢李

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星と月

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グランディール伯爵夫妻に説明は終えた。
母様が帰ってきた事を心から喜んでいたし、
俺の事も認めてくれた。もちろん父様のことも


あんな吃るとは思わなかったけどな‥


その日、俺達はグランディール伯爵夫妻と食事をした。
その噂はまた瞬く間に広がり、
城にいるのは、マーガレット・グランディールだと
思い通りに進んでいる。


そして、数日後皇太子は神殿へ向かった。
もちろん、母様と俺を連れて。

アリアナが亡くなってから日も浅いのにと、否定的な声も一部上がったが、病であった事、世継ぎがいなかった事もあり、多少の混乱を見せていた。


俺は初めてアレキサンドライト帝国建国時からあるアルテ神殿に足を踏み入れた。

空気が澄んでいて、神官達の服も咲いている花も‥
白いサルビアだし‥

どこも、なんて言うか‥白い‥‥


ホワイト神殿だな
うん、決定‥


「テオドール、こちらへおいで。」
父様に呼ばれ神殿の奥へ向かう、最奥の扉にたどり着いた。
俺はグキッと上を見上げた。


だから‥扉ってこんなデカくないとダメなの?



「中に入ろう。」
「はい‥」
「心配しなくて大丈夫よ?」

両親に囲まれ、俺達は中は入った。




‥‥‥は?



やば‥‥‥‥




中に入った俺は引き返したくなった。

大神官は和やかな笑みを浮かべ、待っていた。


いや、そこじゃない。


うしろ

うしろだって‥‥‥‥


大神官の背景に、見てはいけないものを見てしまった。


天井まで伸びるステンドグラス。
ステンドグラスに描かれた神聖な人物‥…なの?


目を閉じて、両手を広げている。
金髪の髪、エセギリシャ神話服、ホスト‥



アレクシスじゃーん‥‥‥‥‥‥



俺は、目を閉じるしかなかった。

目が腐る‥‥‥



「皇太子殿下、マーガレット・グランディール嬢、テオドール様、
ようこそいらっしゃいました。私はサミュエルと申します。」

「あぁ、宜しく頼む」

「月と星の神、アレクシス様のご加護がありますように」


‥‥‥あーそう‥‥‥



祭壇の上には、銀杯が置いてあった。
その銀杯に注がれている聖水。

「こちらに、皇太子殿下とテオドール様の血を垂らして下さい。」

すっと、小さな銀製のナイフが手渡された。

受け取った父様は自分の人差し指の腹にナイフの先を当てた。小さく傷が出来、その血を銀杯に垂らす。

「テオドール、少し痛むぞ。」

そう言って、同様に俺の指の先に傷をつけた。
ぷくりと溜まった血を銀杯に垂らす。

二つの血を垂らした銀杯の中の聖水。

その聖水は黄金の光を放った。


おぉ‥赤と赤混ぜただけなのに!


「この黄金の光、まさしく、お二人が同じ血筋である事を証明しております。皇太子様、テオドール王子様‥」


大神官サミュエルは、俺達の前で膝をついた。
「アレクシス様の名の下に、この真実を心から祝福申し上げます」


やめとけよ!
サミュエル、あんな奴崇めてちゃダメだって!!


「これで、証明された。サミュエル大神官、私の使いの者が
証明書を受け取りに来る。準備しておいてくれ」

「畏まりました。皇太子殿下。」


よりによってアレクシスに…。

俺達はアルテ神殿を出た。俺はため息しか出なかった。


まさか、神殿のステンドグラスにアレクシスが張り付いてるなんて‥しかも、なんか、後ろに女の女神2人に囲まれてたぞ‥


やっぱホストじゃねぇか、貢がせてあんなことになったんだ。
シャンパンとか入れさせてんだろ。

ぜってーそうだ。

ずっとステンドグラスにへばり付いてりゃいいのに‥


帰り道の馬車の中、移りゆく木々を眺めていた。
仕事の書類に目を通していた父様にふと…問いかけた。

「‥父様‥」
「なんだ?」

「あの‥‥ステンドグラスの、なんとか様って人‥」

「あぁ、アレクシス様の事か?」

「そう‥」


アレくそス様



「父様はその方について何か知っていますか?」
「あぁ、アレクシス様は、月と星を司る神で、夜の神と言われている。」

やっぱホスト‥


「アレクシス様の両腕に、白い宝石と黒い宝石がついていただろう?」


「‥‥‥はい」

「あれは、白い宝石はムーンストーンと言って星の象徴なのだが、月を封印していると言われている。
そして黒い宝石がオニキス、月の象徴で、不幸を運ぶと言われている。
だから両腕にその宝石を持っているアレクシス様は星と月を司る神なのだ。

星が夜空に多く光っているだろう?私達を見守るように、星はいつも輝いている。
だが、月は満ちて欠ける。皆を照らすが欠けたら、人々を闇で包むのだ‥
星が善の象徴で、月が悪の象徴とも言われている。
アレクシス様は夜の神。お前も大切に崇めるのだよ。アレクシス様に嫌われたら黒い宝石に吸い込まれてしまうぞ?」
最後にニヤリと父様は笑った。

「まぁ、オリヴァー様!それは悪い事をした子供に言う脅し文句ではありませんか!テオは悪い事など致しませんよっ」

もぉ!っと母様は頬を膨らませた。

「あぁ、そうだな。テオドールはそんな心配いらないぞ?
既に聡明で優しい子だ。アレクシス様が見守って下っているだうな。」

そう言って、父様は俺の頭を撫でた。それに続き母様も。

「あははっ‥‥吸い込まれない様に‥気を付けます‥」




アレクシス‥‥


アレくそスって言ってごめんなさい。






俺が悪いのなら、吸い込んでくれても構わない‥

でも、今度は、レイラを連れて行かないで

星にも月にも、連れて行かないで‥
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