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お呼びでない訪問者
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アリアナとロイドは、陽が上がらぬうちに城を出たそうだ。
それを知ったのは、俺が母様と父様と初めて朝食を共にした時だった。
父様と母様は和やかに話をしていたし、まるで離れた時間を感じさせない程だった。そして、これからの事も信じて疑わない様子で、神殿訪問とお披露目式と話をしていた。
そして、2人の結婚式。きっと‥‥
すげぇ‥気合い入れてやるんだろうな‥
アリアナの訃報発表と葬儀をするのは1ヶ月後。
元々身体の調子が悪くなったと広めていたし、
正直、アリアナの生家サフォーク伯爵家は父と兄が居たが、
うまいように利用されていただけ。運び屋のよう存在。
謀反を知らないと言えば知らない。
そうでなければ、皇太子妃が謀反の片棒を担いでいた事になってしまうし、もちろん、アリアナは父様の味方だったので、入った情報はすべて父様の耳に入っていた。
アリアナを処刑する事にならぬ様に、残しておいた。
何よりこれから娘が死んだ事になるのだ。
それだけでも気の毒だから‥
娘は家族よりも恋人と一緒になる為に、国を出た。
それが知らずに手を貸した事になっていたサフォーク伯爵家の罪滅ぼしとなるだろう。
「皇太子殿下、失礼致します」
食後のお茶を楽しんでいた俺達の元へ、1人の男がやってきた。
「扉を開ける前に、ノックぐらいしろ‥
私だけじゃないんだぞ‥?」
その男は不躾にやってきた。
「あっ‥‥‥」
やってきた男は俺の嫌いなコーチ。
に似た俺達を迎えにきた胡散臭い男。
「ははっ、いいじゃないですか。いくら離れ離れになっていた恋人が居たとしても、王子様の前で脱いでる訳ないでしょ?」
「当たり前だ!子供の前でなんて事を!
お前次に不敬な事言ったら‥‥」
蝋人形にしてやろうか
心の中でそう思ってしまった俺は毒されている。
父様が顔を真っ赤にして怒鳴っていた。
「ふふっ」
母様が穏やかに笑っている所を見ると、この人は悪者ではないのか?顔はすごく、胡散臭いけど‥‥
「マーガレット様にはお会い出来ましたが、
テオドール王子にはお連れした時以来でしたので、
ご挨拶に参りました。」
ちょっと茶化した口調で腰を折った男はニコリと俺を見た。
そして、指をパチンっと1つ鳴らした。
そうすると、扉の外でバタンっバタンと崩れ落ちた音がする。
もう1つパチン‥‥
「なっ‥なに?」
面倒臭い気持ちを隠せなかった。
「ちょっとね、指を鳴らしたんです。癖です。
改めて、王子様に再度ご挨拶申し上げます。
私はロスウェル・イーブスと申します。
先日は怖い思いをさせてしまいましたか?
テオドール王子様?」
そんな事聞くくせに、マジで胡散くせぇ‥
「いいえ、ただ‥あの時あなたがへし折った花を哀れんでいます。あと、母様を生きた生花だと言ったこと‥」
俺は忘れてない。一生懸命育てた花。母様への侮辱。
ロスウェルをジッと見つめた。
「ロスウェル‥‥‥今テオドールが言った事は誠か?」
父様の瞳に赤い炎が宿っていた。あぁ、ドス黒いなんかモヤ出てる‥
「あ‥ははっ?そー‥どうだったかな?
‥皇太子様?テオドール様?
もぉ!!そんな似た顔して怖いんだからもぉー‥
あれは、お芝居でしょお??そう計画したでしょお???」
普通の馬車を店先に停めて、俺達を遠回りして裏門から城に連れてきたのは、そう、国民達に隠す計画のうちだった。
まぁ、偉大な魔術師達が、俺達の姿をぼやかしていたのだが、念には念を入れた父様の計画。
「マーガレットにそんな言葉を発するのは計画のうちではない。花を折っただと?お前、未来の皇太子妃に対するこの侮辱、そら‥首を出せ。直々に俺が天に返してやる‥」
父様がゆらりと腰に下げていた剣を抜こうとした。
「皇太子様‥‥ロスウェルは悲しい。
私はあなた方の為に、あんなに頑張ったのに‥」
そう悲しげに俯き呟いたロスウェルは両手を自分の胸に当てた。その胸に、光輝く魔術紋様が出来上がった。
ブチっとなにかがキレる音がした。
「しれっと盾を構えるんじゃない!」
ロスウェルの目の前に透明な盾が浮き出ていた。
「えっ‥‥まさか、この人‥」
こんな胡散臭いのに!!!
父様がふーっと怒りを鎮めようと深呼吸を始めた。
その父様を見て、ロスウェルはニコリと笑顔を浮かべ
目を見開いた俺を見た。
「はい、私は筆頭魔術師のロスウェルです♡」
そう言った瞬間、ロスウェルの身体がモヤに包まれやがて晴れていく。
口髭を生やした中年男性ではない。
ブルーの髪色と、黒真珠のよう瞳の若い男が魔術師特有のローブを羽織り現れた。
「‥‥ねぇ」
驚きを隠せない俺はぽかんとロスウェルを見つめた。
「はい、テオドール様」
「皇帝陛下と皇太子様しか知らないんじゃなかったの?」
「あぁ、‥‥これは、私の独断です。」
「はっ?」
「私は7年間も王子様とマーガレット様を守ってきたのですよ?もう家族のようにこの身を削って魔術を使ってきました。いいではありませんか。もし他の者が私の真の姿を見たら、ははっ‥消してやりましょう。まぁ、禁術ですがね。
あぁもちろん、そんなヘマは致しませんよ?私は優秀ですから。なので、王子様とマーガレット様が黙っていてくれれば良いのです。皇帝陛下にもですよ?陛下に知れたらさすがに
‥‥ははっ、火炙りにされます。それは陛下の権限ですので。」
‥秘密ダダ漏れ‥
脱力感ぱない。俺のHPを返せ。
「まったくお前という奴は‥‥‥俺が皇帝になったら
即火炙りだ!」
父様は呆れた顔で頭を辛うじて手で支えてた
「あー怖い怖い。」
言葉とは反対にニコニコしながら笑うロスウェル。
うわー‥偉大とか言っちゃった。
時間返して。
「これから、アリアナ様の偽の死体を作り上げ、葬儀を行うのですよ。準備が必要なのです。」
「だからどうした‥さっと魔棟に篭って仕上げてしまえ。」
「うーわ死体作れとか平気で言うー‥
皇太子様、忘れてませんよね?血、下さい!」
えっ吸血鬼?
「あーーー‥わかったわかった!すぐやれ、今やれ!
そして私達の時間を今は邪魔するな。」
父様は左手を差し出した。
「父様!なにするの?!」
慌てた俺にロスウェルはニコリと笑って、針を手にした。
「はーい、チクッとしますー。気持ち悪いですねー」
こいつ‥‥‥これから刺すのに‥‥
プスっと父様の指先を針で刺した。
小さく溜まったその血を、針を刺した同じ指でロスウェルが押さえる。
そうすると、ロスウェルの手の甲が暁色に光輝き
紋様となって張り付いていた。
赤い紋様、何やら文字のようだ。
ゲームでよくあるやつ!
「うわっ、なんて書いてあるのっ!」
興味津々の俺に、ロスウェルは、にっこり笑った。
「見ちゃダメって書いてます。」
‥‥‥くそ、こいつムカつく‥‥‥
それを知ったのは、俺が母様と父様と初めて朝食を共にした時だった。
父様と母様は和やかに話をしていたし、まるで離れた時間を感じさせない程だった。そして、これからの事も信じて疑わない様子で、神殿訪問とお披露目式と話をしていた。
そして、2人の結婚式。きっと‥‥
すげぇ‥気合い入れてやるんだろうな‥
アリアナの訃報発表と葬儀をするのは1ヶ月後。
元々身体の調子が悪くなったと広めていたし、
正直、アリアナの生家サフォーク伯爵家は父と兄が居たが、
うまいように利用されていただけ。運び屋のよう存在。
謀反を知らないと言えば知らない。
そうでなければ、皇太子妃が謀反の片棒を担いでいた事になってしまうし、もちろん、アリアナは父様の味方だったので、入った情報はすべて父様の耳に入っていた。
アリアナを処刑する事にならぬ様に、残しておいた。
何よりこれから娘が死んだ事になるのだ。
それだけでも気の毒だから‥
娘は家族よりも恋人と一緒になる為に、国を出た。
それが知らずに手を貸した事になっていたサフォーク伯爵家の罪滅ぼしとなるだろう。
「皇太子殿下、失礼致します」
食後のお茶を楽しんでいた俺達の元へ、1人の男がやってきた。
「扉を開ける前に、ノックぐらいしろ‥
私だけじゃないんだぞ‥?」
その男は不躾にやってきた。
「あっ‥‥‥」
やってきた男は俺の嫌いなコーチ。
に似た俺達を迎えにきた胡散臭い男。
「ははっ、いいじゃないですか。いくら離れ離れになっていた恋人が居たとしても、王子様の前で脱いでる訳ないでしょ?」
「当たり前だ!子供の前でなんて事を!
お前次に不敬な事言ったら‥‥」
蝋人形にしてやろうか
心の中でそう思ってしまった俺は毒されている。
父様が顔を真っ赤にして怒鳴っていた。
「ふふっ」
母様が穏やかに笑っている所を見ると、この人は悪者ではないのか?顔はすごく、胡散臭いけど‥‥
「マーガレット様にはお会い出来ましたが、
テオドール王子にはお連れした時以来でしたので、
ご挨拶に参りました。」
ちょっと茶化した口調で腰を折った男はニコリと俺を見た。
そして、指をパチンっと1つ鳴らした。
そうすると、扉の外でバタンっバタンと崩れ落ちた音がする。
もう1つパチン‥‥
「なっ‥なに?」
面倒臭い気持ちを隠せなかった。
「ちょっとね、指を鳴らしたんです。癖です。
改めて、王子様に再度ご挨拶申し上げます。
私はロスウェル・イーブスと申します。
先日は怖い思いをさせてしまいましたか?
テオドール王子様?」
そんな事聞くくせに、マジで胡散くせぇ‥
「いいえ、ただ‥あの時あなたがへし折った花を哀れんでいます。あと、母様を生きた生花だと言ったこと‥」
俺は忘れてない。一生懸命育てた花。母様への侮辱。
ロスウェルをジッと見つめた。
「ロスウェル‥‥‥今テオドールが言った事は誠か?」
父様の瞳に赤い炎が宿っていた。あぁ、ドス黒いなんかモヤ出てる‥
「あ‥ははっ?そー‥どうだったかな?
‥皇太子様?テオドール様?
もぉ!!そんな似た顔して怖いんだからもぉー‥
あれは、お芝居でしょお??そう計画したでしょお???」
普通の馬車を店先に停めて、俺達を遠回りして裏門から城に連れてきたのは、そう、国民達に隠す計画のうちだった。
まぁ、偉大な魔術師達が、俺達の姿をぼやかしていたのだが、念には念を入れた父様の計画。
「マーガレットにそんな言葉を発するのは計画のうちではない。花を折っただと?お前、未来の皇太子妃に対するこの侮辱、そら‥首を出せ。直々に俺が天に返してやる‥」
父様がゆらりと腰に下げていた剣を抜こうとした。
「皇太子様‥‥ロスウェルは悲しい。
私はあなた方の為に、あんなに頑張ったのに‥」
そう悲しげに俯き呟いたロスウェルは両手を自分の胸に当てた。その胸に、光輝く魔術紋様が出来上がった。
ブチっとなにかがキレる音がした。
「しれっと盾を構えるんじゃない!」
ロスウェルの目の前に透明な盾が浮き出ていた。
「えっ‥‥まさか、この人‥」
こんな胡散臭いのに!!!
父様がふーっと怒りを鎮めようと深呼吸を始めた。
その父様を見て、ロスウェルはニコリと笑顔を浮かべ
目を見開いた俺を見た。
「はい、私は筆頭魔術師のロスウェルです♡」
そう言った瞬間、ロスウェルの身体がモヤに包まれやがて晴れていく。
口髭を生やした中年男性ではない。
ブルーの髪色と、黒真珠のよう瞳の若い男が魔術師特有のローブを羽織り現れた。
「‥‥ねぇ」
驚きを隠せない俺はぽかんとロスウェルを見つめた。
「はい、テオドール様」
「皇帝陛下と皇太子様しか知らないんじゃなかったの?」
「あぁ、‥‥これは、私の独断です。」
「はっ?」
「私は7年間も王子様とマーガレット様を守ってきたのですよ?もう家族のようにこの身を削って魔術を使ってきました。いいではありませんか。もし他の者が私の真の姿を見たら、ははっ‥消してやりましょう。まぁ、禁術ですがね。
あぁもちろん、そんなヘマは致しませんよ?私は優秀ですから。なので、王子様とマーガレット様が黙っていてくれれば良いのです。皇帝陛下にもですよ?陛下に知れたらさすがに
‥‥ははっ、火炙りにされます。それは陛下の権限ですので。」
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時間返して。
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「だからどうした‥さっと魔棟に篭って仕上げてしまえ。」
「うーわ死体作れとか平気で言うー‥
皇太子様、忘れてませんよね?血、下さい!」
えっ吸血鬼?
「あーーー‥わかったわかった!すぐやれ、今やれ!
そして私達の時間を今は邪魔するな。」
父様は左手を差し出した。
「父様!なにするの?!」
慌てた俺にロスウェルはニコリと笑って、針を手にした。
「はーい、チクッとしますー。気持ち悪いですねー」
こいつ‥‥‥これから刺すのに‥‥
プスっと父様の指先を針で刺した。
小さく溜まったその血を、針を刺した同じ指でロスウェルが押さえる。
そうすると、ロスウェルの手の甲が暁色に光輝き
紋様となって張り付いていた。
赤い紋様、何やら文字のようだ。
ゲームでよくあるやつ!
「うわっ、なんて書いてあるのっ!」
興味津々の俺に、ロスウェルは、にっこり笑った。
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‥‥‥くそ、こいつムカつく‥‥‥
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※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
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