上 下
3 / 9

3.

しおりを挟む

 ほんの少し前まで険悪な状態だった美波と潮の間で、なにがどう、まとまったというのでしょうか。

「うん! じゃあ、これで良し! ってことで!」
「!?」

 これ以上はダメと、大洋の頬を突っぱねていた私の手を取り、大洋は再び私に口づけました。今度は唇をこじ開け、舌をねじ入れてきます。

「んっ、う……!」
「みさきの舌、歯も、小さくて可愛い……」

 私の口内をぞろりと大きな舌で舐め回し、大洋は私の唾液を啜りました。そして代わりとでもいうように自らの唾液を注ぎ、私の喉がごくりと動いてそれを飲む干すのを認めると、満足そうに舌を去らせます。

「好きだよ、みさき。大好き……」

 犬のようにペロペロと、大洋は私の唇を舐めました。

「やっ、大洋! くすぐった……い!」

 やめさせたいのに、私の両手首は大洋に持たれたままです。
 胸に、誰かが手を置きました。背後から伸びてきた筋張ったそれは、潮のものでしょう。

「おまえ、すごくいい匂いがする……」
「やっ……!」

 日焼けした大きな手で、潮は私の胸を円を描くように揉みしだき、その中心をつまみ上げました。

「あっ……!」

 すっかり勃った乳首を刺激されて、全身に電流が走ります。

「服、着てても分かるぞ。こんなに硬くして……。いやらしい女だな」

 カリカリと服の布地の上から胸の頂きを引っかく、潮の声には、興奮の色が滲んでいました。首筋をちゅうっと吸われて、私の腰は震えてしまいます。

「ダメ、だよ……、もう……!」

 声を絞り出して、懇願します。
 こんなことをされるのが嫌なんじゃなくて、こんなことをした結果、友達に戻れなくなるのが嫌だったんです。

「みさき、ごめんね。僕たち、もう無理なんだ。我慢できない……。ずっと君のことが好きで、だから……」

「ごめん」と、美波はもう一度繰り返しました。

「僕たち、これ以上、友達のフリはできない。でも絶対に、君を傷つけるようなことはしないから」
「ん、みさき……。キス気持ちいい……」
「おまえ、柔らかい……。こんな風に、ずっとずっとさわりたかった……」

 大洋に絶え間なく唇を奪われて、潮に胸を弄ばれて。美波はそんな私の太ももに触れました。ぴたりと閉じていたそこを優しくこすられ、こそばゆくて思わず開いてしまった隙間を見逃さず、美波の指は上へ上へと昇ってきます。

「あっ、ああ……っ! やあっ……!」

 遂に一番いやらしくて敏感な場所に、美波の指先が到達する。下着の上から縦の溝をなぞられ、私は体をくねらせました。

「ふふ、ぐっしょり湿ってる……」
「あ、汗、だもん……」
「そう。じゃあ、拭いてあげないとね」

 美波と、大洋、潮は、私を挟んで目配せし合いました。こういうときだけ察し合い、団結するのは、やっぱり彼らが昔、野球部のチームメイトだったからなのでしょうか……。
 三人は、私を持ち上げました。肩から上を潮が、ウエストの辺りを美波が、足を大洋が担当し、私をすぐ近くのソファにわっせわっせと運びます。

「わーっ!? ちょ、ちょっと!」

 私を座らせると、美波は素早く背もたれを倒し、ソファをたいらにしました。
 潮は私のカットソーを捲り上げて、頭から引き抜きます。
 大洋は私が履いていたジーンズと下着を、一息にズリ下ろしてしまいました。
 なんなんですか、このトリプルプレイは。腹立つ!

「や、やめてよ……!」

 ブラ一枚という情けない格好になってしまった体を抱き締め、私は弱々しく彼らに訴えました。

「みさき……」
「可愛い……」
「好きだ……」

 息を荒げながら、三人は私の周りを取り囲んでいます。
 まさに絶体絶命です。
 怖いような、だけどそれだけではなくて――。
 だいたい、ついさっきまで友達だった相手に、この仕打ちはひどくありませんか?
 デリカシーもムードもなくて……。段々怒りが湧いてきた。
 頭に血が上り、気づけば私は説教をするかのように叫んでいました。

「なんで私だけ裸なの!? みんなも脱いでよ! あと、これじゃソファが汚れちゃうよ! なんか敷くものもってきて!」
「えっ……」

 私の語気の荒さに引いた三人は、でもすぐに破顔し、水を得た魚のように動き出します。

「そうだよね! みさきにだけ恥ずかしい想いをさせて、ごめんな!」

 真っ先に服を脱ぎ出したのは、大洋でした。
 次に潮が、着ていたTシャツの裾を捲りながら怒鳴ります。

「おい、美波! タオル! バスタオルだ!」
「了解!」

 美波はさっと奥の部屋へ向かって走り出しました。
 ……………………………。
 だって、ほら、美波のおうちのソファは、本革製だし、いかにも高価そうだし、だから汚しちゃったら申し訳ないし……。
 ――そういう問題じゃないですよね。はい。
 きっと私が泣いたり、本気で嫌がれば、三人はあれ以上のことは決してしないと、分かっていたんです。だから、突っぱねることも十分できた。
 ――でも私は、期待してしまっている。
 大洋の言うとおり、三人まとめてつき合えば、「誰かを傷つけてしまう」という恐れはなくなるでしょう。それもあるけど、それ以上に――。
 はっきり言って、私はスキモノなのでしょう。女の子としては、かなり恥ずかしい性癖だけど。
 だけど、大好きな彼らに身も心も愛されて、いやらしくドロドロに溶けてしまいたい。
 その誘惑に、抗えなかったのです。



つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~

ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。 ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。 一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。 目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!? 「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪

奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」 「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」 AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。 そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。 でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ! 全員美味しくいただいちゃいまーす。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...