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【193.5話】 リリアはUターン
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リリアとコムラ、ホックは合流していた。
リリアの予想通りコムラ達の馬車は賊から逃げきっていた。
恐らく賊はリリア達の馬車を襲う前から狙っていたのだろう。女が倒れている場所で馬車を停止させて襲う計画だったはず。
リリアの経験と勘で馬車を一歩早く退避させたことで強襲されずに済んだようだ。
待ち合わせの位置で用心深く待機していたコムラ達を賊が襲ったが、一瞬早く気がつき逃げ切ったようだ。空馬車だったことも幸いしている。
コムラ達もある程度戦闘のたしなみはある。
もっとも行商する者は自分の身は自分で守れて一人前という言葉があるほどだ。商人によっては下手な冒険者より手練れだったりする。
リリアは襲われた場所を離れるとコムラ達の馬車に向かった。
馬車が逃げ切り賊共が道を引き返してくるのを予想して少し道路から外れて道を戻った。
賊とは出会わなかったが約束の地点よりかなりルーダ港方面に戻った場所でコムラ達と合流。
「リリア!リリア!」「リリア殿!こっちじゃ!」
道を急いで引き返していたリリアはコムラとホックに呼び止められた。
「こっちです。馬車は林の中にかくしてあります。すぐルーダ港まで引き返しましょう」コムラが馬車を用意する。
「ワシらもリリア殿を迎えに戻ろうかと思ったんじゃが、賊が危険でな… 様子を見ておったんじゃ。良かった、ひとまず戻るぞい」
コムラもホックもリリアの姿を見て目を見開いた。
背中、脇腹から出血の痕があり装備は赤黒くそまり固まりかけの血液がネトついている。
返り血を浴び髪の毛もところどころボロボロと固まって束になっている。
顔色が真っ青でまるで別人のような表情をしていたリリアだがコムラ達と出会うと少しだけ口元を緩ませてコクコクと頷いてみてせた。
「あ、いや、 リリアは荷台で休んでいてください」
護衛席に上がろうとするリリアにコムラが声をかけた。リリアは少し思案していたが「OK、そうするわ」と短く答えると荷台によじ登る。
とにかく馬車を出発させてルーダ港に急ぐ。
「今日はもう港に帰るぞぃ。リリア殿は少し休んだらよい。荷物を洗うタオルで申し訳ないんじゃが、体をふくならどれでも使ってくれ」
リリアは荷台に膝を抱える様に座ってホウキの柄を確かめている。
「少し戻ると川があったはずね… そこで止まって、体洗いたいの… それから… すれ違う旅人に引き返すように伝えた方がいいよ…」リリアが答える。
「あぁ、ちゃんと注意するわい。 …これ飲むかい?少しは落ち通うじゃろ」
ホックは酒瓶をリリアに見せた。リリアは無言で手を差し出した。
「ドワーフ酒じゃ。やたら強いぞぃ」ホックが笑う。
「何でもいいよ… … ッンブ!! ブフ!」
「わっはっはっは! どうじゃ、強いじゃろ!人間の娘がそんなに一気に口にするものでは無い」ホックが愉快そうに笑う。
「リリア、何かあったら呼びますから横になって休んでいてください。ルーダ港に着いたら数日有給にします。とにかく何も心配せず休んでください」
「こんな時って眠れないんだよね… 遠慮なく横になるから川まできたら教えてね」
リリアは呟くように言うとタオルをかき集めて枕にし、弓とホウキを抱えて荷台に寝転んだ。
震える手で再びお酒に口をつけては蒸せている。
馬車は松林を抜けると潮風の中を港に急いだ
リリアの予想通りコムラ達の馬車は賊から逃げきっていた。
恐らく賊はリリア達の馬車を襲う前から狙っていたのだろう。女が倒れている場所で馬車を停止させて襲う計画だったはず。
リリアの経験と勘で馬車を一歩早く退避させたことで強襲されずに済んだようだ。
待ち合わせの位置で用心深く待機していたコムラ達を賊が襲ったが、一瞬早く気がつき逃げ切ったようだ。空馬車だったことも幸いしている。
コムラ達もある程度戦闘のたしなみはある。
もっとも行商する者は自分の身は自分で守れて一人前という言葉があるほどだ。商人によっては下手な冒険者より手練れだったりする。
リリアは襲われた場所を離れるとコムラ達の馬車に向かった。
馬車が逃げ切り賊共が道を引き返してくるのを予想して少し道路から外れて道を戻った。
賊とは出会わなかったが約束の地点よりかなりルーダ港方面に戻った場所でコムラ達と合流。
「リリア!リリア!」「リリア殿!こっちじゃ!」
道を急いで引き返していたリリアはコムラとホックに呼び止められた。
「こっちです。馬車は林の中にかくしてあります。すぐルーダ港まで引き返しましょう」コムラが馬車を用意する。
「ワシらもリリア殿を迎えに戻ろうかと思ったんじゃが、賊が危険でな… 様子を見ておったんじゃ。良かった、ひとまず戻るぞい」
コムラもホックもリリアの姿を見て目を見開いた。
背中、脇腹から出血の痕があり装備は赤黒くそまり固まりかけの血液がネトついている。
返り血を浴び髪の毛もところどころボロボロと固まって束になっている。
顔色が真っ青でまるで別人のような表情をしていたリリアだがコムラ達と出会うと少しだけ口元を緩ませてコクコクと頷いてみてせた。
「あ、いや、 リリアは荷台で休んでいてください」
護衛席に上がろうとするリリアにコムラが声をかけた。リリアは少し思案していたが「OK、そうするわ」と短く答えると荷台によじ登る。
とにかく馬車を出発させてルーダ港に急ぐ。
「今日はもう港に帰るぞぃ。リリア殿は少し休んだらよい。荷物を洗うタオルで申し訳ないんじゃが、体をふくならどれでも使ってくれ」
リリアは荷台に膝を抱える様に座ってホウキの柄を確かめている。
「少し戻ると川があったはずね… そこで止まって、体洗いたいの… それから… すれ違う旅人に引き返すように伝えた方がいいよ…」リリアが答える。
「あぁ、ちゃんと注意するわい。 …これ飲むかい?少しは落ち通うじゃろ」
ホックは酒瓶をリリアに見せた。リリアは無言で手を差し出した。
「ドワーフ酒じゃ。やたら強いぞぃ」ホックが笑う。
「何でもいいよ… … ッンブ!! ブフ!」
「わっはっはっは! どうじゃ、強いじゃろ!人間の娘がそんなに一気に口にするものでは無い」ホックが愉快そうに笑う。
「リリア、何かあったら呼びますから横になって休んでいてください。ルーダ港に着いたら数日有給にします。とにかく何も心配せず休んでください」
「こんな時って眠れないんだよね… 遠慮なく横になるから川まできたら教えてね」
リリアは呟くように言うとタオルをかき集めて枕にし、弓とホウキを抱えて荷台に寝転んだ。
震える手で再びお酒に口をつけては蒸せている。
馬車は松林を抜けると潮風の中を港に急いだ
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