勇者の血を継ぐ者

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【185話】 ウェン墳墓の午前

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ウェン墳墓の調査の依頼を受けたリリア達、リリア、ペコ、アリス、ロッチと関係者。
実働部隊のリリア達四人に、監督者、ウェン墳墓管理者、学者等若干名が遺跡に入る。
リリア達は最寄りの村から墳墓に向かって出発するところ。馬車に乗り込み準備中。
ここからウェン墳墓まで大した距離は無い、調査自体も問題が無ければ午前中には終わる予定だ。かつては迷路とギミックで犠牲者を続出させたダンジョンも今では通路が解明され泥棒撃退のトラップが仕掛けてあるのみ。マップを見ながらトラップを解除して一通り見回りをすればよいのだ。
ダンジョンより地上の敷地を見まわる方に時間がかかると言っても過言ではない。

道中リリア達はロッチとともに魔物を倒してみた。
魔物を見つけては追いかけて行ってわざわざ倒してみた結果…
「トラップ魔法ってハマれば効果的だけどやっぱり広大に開けた場所ではなかなかトラップにかからないね」と皆の納得した意見。
「そうなんです。建物内のような場所が最適なんです」ロッチが言う。

ゾンビの様に対象に向かって直線的に進んでくる魔物はトラップにかけてボッコボコに出来るが動物的習性がある魔物等はなかなか罠にかからない。
「立て籠もり犯のような建物に籠城して入って来る者を撃退するのが最適ですよ」ロッチが言う。
「自分がどこかに立て籠もるなんて滅多に無い状況だよね」と一同。

「ね、ロッチ、あそこのローパーをスプリングフロアで跳ね飛ばし、着地地点で挟んで、焙って、ほっぽり投げて、最後は落とし穴に落とそうよ」とリリアがロッチに指示を出し始めた。
上手くいくと魔物がビッタンバッチンされてグロッキーになる。それをちょっと遠くから眺めて面白がっている。
「リリア、やるじゃない、ちょっと私も考えるからトラップしかけてよロッチ」とペコとアリス。
動きの遅い魔物をトラップコンボにかけて倒している。
すっかり遊びと化している。
まぁ、トラップ魔法とはそんな感じだ。ロッチは類いまれな才能を有していがいまいち使い道がない。


リリア達一同は宿屋をチェックアウトして馬車に乗り込む。
「ねぇ、朝、食堂で昨日の夜、廊下にミミックが出たとかトイレにたどり着けなかったとか噂になってたよ、あれ絶対リリアの悪戯でしょ」ペコがヒソヒソと話しかけてきた。
「うふ… あれね、面白いなと思って酔っぱらい相手にちょっとやってみたんだよ。えっへっへっへ」リリアは指を口に当てて笑っている。
「やめなよ、バレたら怒られるよ。ロッチもエア勇者に変な事を頼まれても断りなよ。だめだよこんな少年に変な事教えて。どうするのよ魔物が出るから退治するとかって話になったら、迷惑をかけるんだから」ペコがリリアを注意する。
「うん… なんか騒いでいたから昨夜のうちにリリアがミミックを倒したって言っておいたよ。もう大丈夫だよ」リリアはうっふっふと笑っている。
「自作自演の魔物討伐はけっこうな犯罪よ」アリスが微笑んでいる。
リリア達は面倒になる前にさっさとウェン墳墓に出発。

リリア達はウェン墳墓に到着。
そろそろ夏の暑い時期を抜けて雨が多くなってくるがまだまだ汗をかく季節。
墳墓の関係者がリリア達を出迎えてくれた。
早速準備して調査を開始する。

ウェン墓石の調査 午前
地上の文化遺産として指定されているエリアの調査。結構広い土地で、特に柵があるわけでもない。魔物がうろついているので適当に倒していく、いわゆる掃除。
見つけ次第倒すのだがしらみつぶしにやる必要もない。特に凶悪な魔物が居ないか、何か魔物が沸く根源になっている事象がないかを確認。特に注意するのは勝手に施設に住み着いている輩等がいないか。
突発的にエンカウントする魔物に対してロッチのトラップ魔法は有効ではないのでリリア達が掃除をしていく。ロッチと関係者は後方で控えている。
特に変わった事も無く地上調査は終了。
資料館まで戻って来たリリア達は早めのお昼休憩の後に、午後からダンジョンに入る事になった。

「ところどころ壁が崩れたり陥没して通路が露出していたけど修理しないの?文化遺産だから予算あるんでしょ?人や魔物が通路に侵入できちゃう場所があるよね」リリアがサンドイッチを食べながら言う。
「文化遺産に指定されたら遺産保全は行われるけど勝手に新たに壁を作ったりできないのよ。遺産として決定した状態を残すの」ペコ達に説明される。
「ふーん… そうなのかぁ…」納得するようなしないよなリリア。
お昼休憩後、いよいよウェンの墓が祭られているダンジョンに入る。
普段は一般公開されていないセクションに立ち入れるのだ。
「参加した価値あるよね。こんな事でもないと見れない場所だもんね。閉鎖されているから特に危険とも思えないし、トラップ解除して確認して終了。良い仕事だよね」ペコとアリスが話をしている。
「あたしってばお腹いっぱいになったら眠くなったよ。適当に起こして」
リリアはホウキと弓を抱えてお昼寝しだした。


午後からはダンジョンイン
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