勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【153話】 リリアのバンパイア対策

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リリア達はドラキュラ城に向かっていた…
まぁ、その話を少し置いておいて…

この数日色々あったのだ。ブラックとダカットは大変だった。

「絶対にやらない!村に帰る!」と意地張るリリア。
まぁ、理解は出来る。魔法を食らって、刃を受けて痛い思いをしてポーションで回復するのとわけが違う。下手をすれば自分がバンパイアになるのだ。嫌だ…
「仕方ないです、倒しましょう」と淡々としてリリアをけしかけるディル。
「やりたければ自分でやれば!」「勇者ですから仕事してください」「あたし国から給料もらった覚えありません」「来年は議会で通します」「今現在の話ししていますぅ、なら来年議会でリリアに給料出す決定されてから働きますぅ」「現在の状況では働いている実績を見せないと議会に通りません」「じゃ、やりません、自分でやればぁ?」
こんな会話を延々と繰り返していた。後はリリアが口をきかないか…

貴族育ちのディルは騒ぎこそしないがこれが完了しないとオフィスワークに戻れないので静かにだが、体から妙なオーラを発散しつつリリアを厳しく見張っている。
実際に夜中こっそり村に帰ろうとしたリリアを自ら捕まえた。凄い執念、内勤者には無駄な才能。
で、何だかんだもめてバンパイア対策に必要な対策は全て国から予算を出すことと、リリアをつまみ出した衛兵にクロスチョップのメッチャ痛いのを心行くまでぶちかまして良い条件でリリアは引き受けた。


リアルゴールドの武器・防具店に来たリリア達。

レンタルリスト
・クルセイダーの防具一式(男性用と女性用) 一日398G x 2
・エンチャンテッド・シルバーソード(エバンスメイド)  一日298G
・ホーリーピュアリズムのマント+精神プロテクト付き一日  89G x 2
・アンチバンピレックスの首飾り一日  39G x 2
・シールド・オブ・ビジョン一日 198G
・翳しのクロス一日  59G x 3


・スクロール・オブ・クリエート・スケルトン  998G
・スクロール・オブ・動く案山子    359G
・ポーション・オブ・アンチバンピレックス   49G x 5
・ポーション・オブ・キュアバンピレックス   49G x 5
・ニンニク(1ダース)     12G x 3
・餃子(1人前)     12G x 3
・ピュアリティの十字架サークレット  319G

購入とレンタル。
「え?… はぁ??… バンパイア対策なら予算出すって言ったでしょ!ねぇ、皆約束したの聞いてたのよね?… ほら見なさいよ!許可は出したが高すぎる?… こんなに何重にも対策する必要無い?… ディルにクエストの何がわかるのよ!… リリア達がバンピレックスキャリアーになって王国が全滅してもいいの?何で万全な対策しなかったのか議会で突っ込まれるわよ!国のお金でしょ、何でディルがけちるの?払わないならあたしは帰るから…」
ディルは渋い顔するが国から予算は出る。万全の対策をするリリア。
「リリアちゃん、これも対策になるよ。これも… これも… せっかくだからこのアイテムの効果も勇者として試すべきだよ。この銀剣、魔法符呪の上、エバンスの刻印が入った業物だよ。是非使ってみなよ」
リアルゴールドの店長が自らニコニコとサービスしてくれる。
当然だ、国がバックについた上客リリアなのだ。期限切れギリギリスクロールとアウトレット商品を買いにくる普段のリリアとちょっと違う。
ぶつくさと文句を言うディルにはすっごい美人の女性店員が二人飛んできて、ダブルチームでマークに入った。応接ソファーに座らされ、高級お茶菓子が出され女性店員から高級ホットホウジティーが振舞われる。
「お兄さんお宮務め?さすが素敵だわ!しびれちゃう、ドキがムネムネしちゃう」手をおっぱいにあてがっている。
「高級ホットホウジティーに何か入れてるぞ?あれ、幻想薬じゃないのか?」
リリアはすごい現場を目撃したが知らん顔。
“うるさいのが居なくなった。やれやれ”である。

「ニンニクと餃子も成分的にはバンパイア対策よ!それも買うから。え?… 今回はただでサービス?… いいのいいの一個1Gでぼったくっちゃって。国が払うのよ、儲けよう!3人前お買い上げよ!」
ヘボ勇者リリアは巷では人気な女冒険者なのだ。

「ピュアリティの十字架サークレット?… バンパイア対策とコウモリディジーズに効果?いいじゃない、それもレンタル… ちょっと待って… このサークレット可愛いじゃない!……… ねぇ、これは買っちゃう。 上手い事領収書書いといてね」
ピュアリティの十字架サークレットは見た目も可愛かったのでリリアはちゃっかり購入した。マジカルアイテムちゃっかり入手。
それと、矢の束10本x5をただでお店にストックさせてもらった。

リリアはがぜんクエストにやる気を出して店を後にした。可愛いサークレットを装着してウキウキしているようだ。


そういった経緯があり、リリアとブラックはクルセイダーの鎧をレンタルして装備している。リリアは聖騎士スタイルに弓とホウキを手にしている。ホワイトに輝く鎧に朱のクロスが入っている。背の高いリリアの見かけはかなり聖騎士っぽい。中身はどうかしらんが…
「重装備はやっぱり重いし暑いね。でも装備はばっちり、ヘルメットのバイザーさえ跳ね上げておけば弓の射撃にもほぼ影響なしね。ただ、音が出るから隠密行動は無理よね。何たって女性用はスタイル良いし、胸のアーマープレートがちゃんとリリアちゃんご自慢のバストでもフィットするように大きく作られてるのがいいよね」
正直、この装備で並んであるくリリアとブラックはなかなかの見栄えである。
街の人がどこかの上級騎士団か高貴な兵士様と眩しそうに振り返る。
リリアは何故かホウキを持っている… たいてい町の人は二度見する。


ルーダリアの城下町を出発して最初の村に着いたリリア達。
宿をとり、休憩した後、食堂で夕ご飯。リリア、ブラック、ディルとディルの護衛の四人とプラス、ホウキでテーブルを囲む。
「OK,皆そろったわね。 じゃ、ガーリックブレッド、ガーリックステーキ、マッシュルームとガーリックサラダ、フライドガーリック、ガーリックの丸焼き、ガーリックバター、スパイシーソーセージとカリカリガーリック添え、これをシェアプレート四人分でよろしくね」
リリアが食堂の女の子に注文する。
「なんか… ガーリックだらけすぎないか?」食べないはずのホウキのダカットでも驚く。
「外装、内装、両方から万全対策よ!それにバンパイア対策だから全部王国が払うのよねぇ。約束だものねぇ。ニンニクの摂取は有効なバンパイア対策だってマニュアルに記載されているものねぇ」
リリアはニコニコしながらディルを見る。ニコニコはしているが、目からビームが出ているぞ。
ディルは黙って座っている。表情に出さないのは貴族のたしなみらしい。

「はい、お待たせ、ガーリックブレッドとマッシュルームとガーリックサラダ、オリーブオイルは使います?」
店員が最初のラウンドを運んできた。
「いいっすね!うまそうっす」ブラックが笑顔。
「お客さん達、ニンニク料理だらけですね。これから吸血鬼退治?あっはっは」女の子が笑う。
「吸血鬼退治の前にお姉さんと夜の戦闘っす」ブラックが笑いながら答える。
「これだけ食べたらすごそうね。時間があるなら誘ってね」
女の子は悪戯っぽくウインクするとカウンターに戻っていった。
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