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【115.5話】 リリアと「ちびっこ勇者と荒野の魔女」さん ※少し前の話し※
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「どうも、あなたに神のご加護がありますように」
リリアが図書館長に挨拶する。コトロも一緒にご挨拶。
「あぁ、君がルーダの風の新メンバーのリリア君かい。初めての参加だね。よろしく頼むよ」
優し気な年配の館長が挨拶を返す。
リリアとコトロはボランティアでルーダ・コートの街にある王立図書館の中庭に来ている。
月に二回程子供達を集め、夕刻から物語を読んで聞かせる会が開かれているのだ。
冒険者ギルドが持ち回りのボランティアで子供たちの保護を務める。
もっとも今のところは子供たちの喧嘩の仲裁、紛失物を一緒に探してあげる程度でたいして問題が起きたことはない。
用水路掃除と点検、夜の見回り等と並び各冒険者ギルド持ち回りボランティアの一つ。
入ギルドしたがリリアは外出が多く、今までは物語の会に参加した事なかったが今回はタイミングがあったので参加してみた。
「子供たちの集いを保護するの? いいわ、行くいく!」
今回はルーダの風からリリアとコトロがボランティアする。こういう活動はコトロが自ら参加する主義らしく、リュートを手に二人で図書館までやってきた。
コトロと図書館スタッフが準備をするのでリリアは大事な本を見ていてくれと中庭の一角に一人残された。月光石の台の上に本が一冊置かれてある。この本を見張るようだ。
「図書館の中庭に来て、本一冊盗む人なんていないわよねぇ」
リリアは一人独り言を言いながら本を手に取る。
レザーの表紙に「ちびっこ勇者と荒野の魔女」と題がされている。
「ぅわ、何だこの本… 重い…」
一般的な大きさの本より二回りくらい大きく、分厚く、とても重い。これを持って読み聞かせるのだろうか?とても大変。
まだ、子供たちが来るまでに時間がありそうだ。
午後の日差しが傾く中でリリアはページを少しめくってみた。重くて、何だか赤ちゃんでも抱えるような感じ。
「ふーん、大きいけど子供用ね… 文字は読みやすいのね」呟きながらページを大雑把にめくる。
「だけど大きくて… 重い本ねぇ… 子供じゃ持てないよね」
重さは見た目以上にある気がする。
「………ん? 気のせいかな?」
リリアがページをめくっていると、本がかすかに動いた気がする。
「んん?… …気のせいかな?」
ちょっとプルプルしている気がする。何だろうか?と思いページを撫でていたら
「ぅふぅふ… わっはっはっは! もうだめだ! あっはっはっは! 痛い!!」
本が笑いだしたのでリリアがびっくりして本を落っことした。
「びっくりしたぁ! 妖精?使い魔? 生きてるなら生きてるって言ってよ!驚くじゃない!」驚きのリリア。
「俺は妖精だ、知らないのか?あんまり撫でまわすからくすぐったくて… 本をもっと大切に扱えよ!落っことすなんてもっての他!」本が怒っている。
この図書館に何冊かある本の妖精の一人だそうだ
「一冊?おまえ妖精を馬鹿にしてるのか!人間の分際で物扱いか!」
本の妖精は一人二人で数えるようで、リリアがうっかり本扱いしたら激怒している。
これは妖精パターンBね… リリアは思う。
パターンA
「我は妖精~… そなたにも我が姿が見えておるのか…」
やたらと尊大パターン 声が凄く厳か
パターンB
「おい小娘!俺をただの棒っ切れ扱いしやがって、人間風情が威張り腐るな!」
やたら上からでうるさいパターン ちょっと高い声で舌がよく回る
パターンC
「……………………」
やたら無口で、所有者が教えてくれないと気が付かないパターン うっかりした扱いをしてしまいがちである意味一番いじわる
リリアのかってなカテゴリー分けだが、これはパターンBに入るらしい。
それにしても妖精はなんでこうも極端な態度なのだろうか、対等目線で話せる妖精や使い魔をあまり見たことない。
街中等で動物類に話しかけている人がいるが、ペット愛好家なのか妖精、使い魔類と話しているのかさっぱり見分けがつかない事が多い。リリアも何度か怒られたり恥ずかしい思いをしてからは、物凄く注意するようになった。っと言うよりわからなかったら下手に関わらない方が良い…
小汚い老人がボケてうわ言言っているのかと思えば、千年杉の妖精を宿した杖を所有する高名な賢者だったり、いかにもなルーンマスターが話しかけているので丁寧に挨拶したらただの犬っころだったり、ドロボー猫だと思ってふん捕まえてみれば、高貴な使い魔でお供え物をもらって帰るとこだったり、空間に向かって独り言言ってるやべぇのいると思ったら風の精霊使いとか、意味ありげな動作をしているから何者かと思ったら、本当にいっちゃってるやつだったとか、子供が「魂だけ戻ってきたよ」とか指さすので冗談と思って相手していたら本当に魂だったり、逆に子供ならではの冗談だったり…
先日など、橋から川に飛び込もうとしている男がいるので身投げかと必死にリリアが止めに入ったら、「俺は水の精霊使いで、今川底から呼ばれたんだ!行ってくる」とリリアを振り払って飛び込んでいった。
正直、何がなにやらさっぱりだ。怒られたり恥をかきたく無かったら下手に正義感等出さない方が良い。
最初はリリアも街に来て、村で過ごす一生分以上の恥を三日間でかききった。
完全物理系統女のリリアには違いが全然わからない。
今でこそ慣れてきたが、そんなリリアが街に出ると田舎者扱いだ… 街の人は上手に対応している。
本の… 妖精さんのお名前は「ちびっこ勇者と荒野の魔女」というらしい。タイトルではないのだ。妖精さんの正式名。
また、作者… ではなく名付け親はケルバンテスという人物のようだ。
リリアは子供が集まってきて本の… 妖精「ちびっこ勇者と荒野の魔女」さんの出番までお相手をさせられている。
「本のタイトル」「一冊」「ページをめくる」等の言葉に敏感ですぐに激怒する。
この手の妖精は物扱いに極度の嫌悪感を持っているありがちなパターンだ。
“あぁ、はいはい、この手のタイプね。リリアちゃんも伊達にアーバンギャルをやってるわけじゃぁないのよね”
「でも、内容はファンタジックで字も丁寧に書かれていて読みやすいし、挿し絵も充実しているし、なんたって子供向けの冒険物語として素敵な話しよね。しかもほ… 妖精さん自らの肉声で子供たちの心に直接語りかけ夢と希望を与えられるなんて素敵な仕事よ!どうりでロングセラーになるわけよ!」リリアが褒めちぎる。
「お!おぅ… またぁ、おまえそんなに俺を褒めたって何にも出てきやしないぞぉ」
すっかり機嫌が良くなったらしい。満足そうにページをパタパタしている。
何だかんだでリリアが「ちびっこ勇者と荒野の魔女」さんと話し込んでいると子供たちが中庭に案内されて来た。
「おう!リリア!そろそろだ。そこの台座に俺を置いてくれ」頼まれる。
リリアが言われた場所に「ちびっこ勇者と荒野の魔女」を立てかける。子供たちが輪になって座り目を輝かせて「ちびっこ勇者と荒野の魔女」さんの第一声を待つ。保護者はあちらで井戸端会議。
「よしよし、皆今日もよく来てくれた。ちびっこの冒険活劇の続きだ。今日は魔女の指輪と地獄の門番って話だ。皆耳の穴をかっぽじって良く聞いとけよぉ!」妖精が言うと拍手が沸いた。
リリアも当然拍手。
コトロがポロンポロンと効果音を演奏。
「ちびっこ勇者と荒野の魔女」さん、とっても満足そう。
リリアが図書館長に挨拶する。コトロも一緒にご挨拶。
「あぁ、君がルーダの風の新メンバーのリリア君かい。初めての参加だね。よろしく頼むよ」
優し気な年配の館長が挨拶を返す。
リリアとコトロはボランティアでルーダ・コートの街にある王立図書館の中庭に来ている。
月に二回程子供達を集め、夕刻から物語を読んで聞かせる会が開かれているのだ。
冒険者ギルドが持ち回りのボランティアで子供たちの保護を務める。
もっとも今のところは子供たちの喧嘩の仲裁、紛失物を一緒に探してあげる程度でたいして問題が起きたことはない。
用水路掃除と点検、夜の見回り等と並び各冒険者ギルド持ち回りボランティアの一つ。
入ギルドしたがリリアは外出が多く、今までは物語の会に参加した事なかったが今回はタイミングがあったので参加してみた。
「子供たちの集いを保護するの? いいわ、行くいく!」
今回はルーダの風からリリアとコトロがボランティアする。こういう活動はコトロが自ら参加する主義らしく、リュートを手に二人で図書館までやってきた。
コトロと図書館スタッフが準備をするのでリリアは大事な本を見ていてくれと中庭の一角に一人残された。月光石の台の上に本が一冊置かれてある。この本を見張るようだ。
「図書館の中庭に来て、本一冊盗む人なんていないわよねぇ」
リリアは一人独り言を言いながら本を手に取る。
レザーの表紙に「ちびっこ勇者と荒野の魔女」と題がされている。
「ぅわ、何だこの本… 重い…」
一般的な大きさの本より二回りくらい大きく、分厚く、とても重い。これを持って読み聞かせるのだろうか?とても大変。
まだ、子供たちが来るまでに時間がありそうだ。
午後の日差しが傾く中でリリアはページを少しめくってみた。重くて、何だか赤ちゃんでも抱えるような感じ。
「ふーん、大きいけど子供用ね… 文字は読みやすいのね」呟きながらページを大雑把にめくる。
「だけど大きくて… 重い本ねぇ… 子供じゃ持てないよね」
重さは見た目以上にある気がする。
「………ん? 気のせいかな?」
リリアがページをめくっていると、本がかすかに動いた気がする。
「んん?… …気のせいかな?」
ちょっとプルプルしている気がする。何だろうか?と思いページを撫でていたら
「ぅふぅふ… わっはっはっは! もうだめだ! あっはっはっは! 痛い!!」
本が笑いだしたのでリリアがびっくりして本を落っことした。
「びっくりしたぁ! 妖精?使い魔? 生きてるなら生きてるって言ってよ!驚くじゃない!」驚きのリリア。
「俺は妖精だ、知らないのか?あんまり撫でまわすからくすぐったくて… 本をもっと大切に扱えよ!落っことすなんてもっての他!」本が怒っている。
この図書館に何冊かある本の妖精の一人だそうだ
「一冊?おまえ妖精を馬鹿にしてるのか!人間の分際で物扱いか!」
本の妖精は一人二人で数えるようで、リリアがうっかり本扱いしたら激怒している。
これは妖精パターンBね… リリアは思う。
パターンA
「我は妖精~… そなたにも我が姿が見えておるのか…」
やたらと尊大パターン 声が凄く厳か
パターンB
「おい小娘!俺をただの棒っ切れ扱いしやがって、人間風情が威張り腐るな!」
やたら上からでうるさいパターン ちょっと高い声で舌がよく回る
パターンC
「……………………」
やたら無口で、所有者が教えてくれないと気が付かないパターン うっかりした扱いをしてしまいがちである意味一番いじわる
リリアのかってなカテゴリー分けだが、これはパターンBに入るらしい。
それにしても妖精はなんでこうも極端な態度なのだろうか、対等目線で話せる妖精や使い魔をあまり見たことない。
街中等で動物類に話しかけている人がいるが、ペット愛好家なのか妖精、使い魔類と話しているのかさっぱり見分けがつかない事が多い。リリアも何度か怒られたり恥ずかしい思いをしてからは、物凄く注意するようになった。っと言うよりわからなかったら下手に関わらない方が良い…
小汚い老人がボケてうわ言言っているのかと思えば、千年杉の妖精を宿した杖を所有する高名な賢者だったり、いかにもなルーンマスターが話しかけているので丁寧に挨拶したらただの犬っころだったり、ドロボー猫だと思ってふん捕まえてみれば、高貴な使い魔でお供え物をもらって帰るとこだったり、空間に向かって独り言言ってるやべぇのいると思ったら風の精霊使いとか、意味ありげな動作をしているから何者かと思ったら、本当にいっちゃってるやつだったとか、子供が「魂だけ戻ってきたよ」とか指さすので冗談と思って相手していたら本当に魂だったり、逆に子供ならではの冗談だったり…
先日など、橋から川に飛び込もうとしている男がいるので身投げかと必死にリリアが止めに入ったら、「俺は水の精霊使いで、今川底から呼ばれたんだ!行ってくる」とリリアを振り払って飛び込んでいった。
正直、何がなにやらさっぱりだ。怒られたり恥をかきたく無かったら下手に正義感等出さない方が良い。
最初はリリアも街に来て、村で過ごす一生分以上の恥を三日間でかききった。
完全物理系統女のリリアには違いが全然わからない。
今でこそ慣れてきたが、そんなリリアが街に出ると田舎者扱いだ… 街の人は上手に対応している。
本の… 妖精さんのお名前は「ちびっこ勇者と荒野の魔女」というらしい。タイトルではないのだ。妖精さんの正式名。
また、作者… ではなく名付け親はケルバンテスという人物のようだ。
リリアは子供が集まってきて本の… 妖精「ちびっこ勇者と荒野の魔女」さんの出番までお相手をさせられている。
「本のタイトル」「一冊」「ページをめくる」等の言葉に敏感ですぐに激怒する。
この手の妖精は物扱いに極度の嫌悪感を持っているありがちなパターンだ。
“あぁ、はいはい、この手のタイプね。リリアちゃんも伊達にアーバンギャルをやってるわけじゃぁないのよね”
「でも、内容はファンタジックで字も丁寧に書かれていて読みやすいし、挿し絵も充実しているし、なんたって子供向けの冒険物語として素敵な話しよね。しかもほ… 妖精さん自らの肉声で子供たちの心に直接語りかけ夢と希望を与えられるなんて素敵な仕事よ!どうりでロングセラーになるわけよ!」リリアが褒めちぎる。
「お!おぅ… またぁ、おまえそんなに俺を褒めたって何にも出てきやしないぞぉ」
すっかり機嫌が良くなったらしい。満足そうにページをパタパタしている。
何だかんだでリリアが「ちびっこ勇者と荒野の魔女」さんと話し込んでいると子供たちが中庭に案内されて来た。
「おう!リリア!そろそろだ。そこの台座に俺を置いてくれ」頼まれる。
リリアが言われた場所に「ちびっこ勇者と荒野の魔女」を立てかける。子供たちが輪になって座り目を輝かせて「ちびっこ勇者と荒野の魔女」さんの第一声を待つ。保護者はあちらで井戸端会議。
「よしよし、皆今日もよく来てくれた。ちびっこの冒険活劇の続きだ。今日は魔女の指輪と地獄の門番って話だ。皆耳の穴をかっぽじって良く聞いとけよぉ!」妖精が言うと拍手が沸いた。
リリアも当然拍手。
コトロがポロンポロンと効果音を演奏。
「ちびっこ勇者と荒野の魔女」さん、とっても満足そう。
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