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【100話】 回収完了
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「保険屋さん、兵士さん、早く逃げて!向こうの岩場へ走って!」
食らいつこうと突進してくるシャーク共相手に必死に剣を振るうリリア。
「勇者様は?」兵士が保険屋を抱え起こしながら叫ぶ。
「いいから!先ずはその人!」
シャークは大口を開け地面ごとさらう様に突撃してくる。
大口開けて一飲みに来る連中は大した知能が無い。知能が無いからワッと口を広げて当たるを幸い何でも丸のみにしようとするのだ。
それだけに捕食本能に火がつくとケガを物ともせず遮二無二飛び込んで来る。
リリアは岩場を転げながら身をかわし、剣でシャークの鼻先を切り続ける。
「っぐ… やっぱり、鎧を着るべきかな」そんなことを呟きながらサメを撃退する。
リリアの体はかすり傷だらけで、サメの返り血を浴びるのでそれにサメ共は寄って来る。詠唱の声がシャークを呼び寄せるらしくプリーストも逃げ回り中。
「プリーストさん!っぐ… とにかく!っわ! あっちに逃れて!」シャークと格闘しながらリリアが叫ぶ。
「勇者様は!!」
「何とかするから!プリーストさん、サメを振り切って隠れて!」
傷つき逃げ出すサメもいるが、執拗に襲ってくる奴が一匹いる。とにかく大口の真正面に入らないように逃げ回りながら剣を振りかざすとザックリとエラを傷つけた。かなりの手応えと共に鮮血がほとばしる。サメは空へと逃げ出す。
プリーストは岩場に隠れたようだが、サメがウロウロ狙っている。
リリアは素早く武器を弓に持ち換える。
「勇者さま、皆、岩場に逃れました、加勢します」兵士がリリアの所に戻って来た。
「あたしの相手はあれよ!矢でハリセンボンにしてやるわ!不意打ちを警戒して」
リリアはプリーストの上空をうろつくシャークにクイックで立て続けに矢を5本打ち込む。痛さで暴れるがあんなデカいやつ外しようがない。
「今よ!プリーストさん走ってぇ!」
サメがリリアに気がつき襲ってきた。鼻っ柱に3ショット決めるが、サメは止まらない。タフ過ぎる!
「兵士さん、こっち来るわよ!備えて!」リリア。
「周囲はクリアです。あれを倒して終わらせましょう」兵士が槍を手に答える。
「切り刻んで練り物にしてやるわ!その前に、リリアのダガー攻撃よ! でやぁ~!!」
説明調なセリフと共に繰り出される、必殺技のダガー投げ!
あれだけデカいやつが直線的に接近してくる。その上だいぶ弱ってきているサメ、今日こそばっちり決めてやる!!
“スカッ!…… あ… 外れた…”どうして外せる… リターンハンド…
「… さぁ、兵士さん、気を取り直していくわよ!!」
「… は、はい!気を取り直しましょう!」
身構えなおす二人。
リリア達は岩陰で治癒を受けている。っと言っても魔物からのダメージはあまり無かった。岩場を転げたので切り傷とかすり傷だらけ。
体に付着した返り血を良く拭き取らないと襲われる。
「皆大丈夫ね?装備に血が付いてるけど、あたし着替えを持ってないの。今のうちに急いで谷を抜けちゃおう」
リリア達は素早く移動開始。
倒したシャークの肉に別のシャーク、大ネズミが群がっている。今なら簡単に見逃して貰えるだろう。
リリア達は荷物と資金の回収中。
シャークの谷を抜けて、ちょっと先の崖に荷物が散らばっているのを発見。
崖を回り込んで下の森からコドモ・ドラゴンの死体を見つけた。
「いやぁ… これは骨が折れる」
物資類はドラゴンの死体近くに落ちていたが、資金はバラ撒かれている。
ある程度資金を回収したら全員で並んで茂みの中等をくまなく探す、ローラー作戦。
もう何度も森のあっちからこっちへ往復しているが、往復する度にいくらか金貨が見つかる。
「また、いくらか落ちてたよ。切りがないわね。地面から湧き出てるんじゃないの?」疲れた声を出すリリア。だが、財産は無駄にできない。
ローラー作戦を展開しながらも保険屋とディルの目が光っている。リリア達が何か見つけたり、屈んだりする度にまとわりつくような視線を送ってくる。
「信用できないなら、頼まなければいいのにね」リリアが愚痴ったらピエンが苦笑いしている。
「トレジャーハンティング専門の冒険者に知られる前で良かったですね」ピエンが言う。
「こんな山奥じゃ、無理でしょ」うつ向いて地面を注視しながら歩くリリア。
「いやぁ、情報屋がいて、結構お礼を出すみたいでどこからか情報を仕入れて山奥でも海の底でも活動していますよ」ピエンも地面を見ながら答える。
「まぁ、ここに落ちてたやつ全部貰えるなら、あたしだって必死になって登ってくるけどねぇ…」リリアが笑いながら答える。
「よもやとは思いますが、絶対ネコババはダメですよ」ディルがすかさず会話に割って入ってきた。
「わかってるわよ。冗談よ!そんなに疑われるならあたし、あっちで休んでるから勝手に探してなさいよ!」
リリアとディルは相変わらずだ。兵士さん達は苦笑いしながら地面を見つめ歩いて行く。
回収終了。
そうとう線をずらしながら往復した。7割か8割程度の回収率のようだが、さすがにディルも保険屋も音を上げた。
「念のため全員チェックです」ディルと、保険屋が全員のボディチェックを行う。
リリアは疑われているみたいで気分良くないが皆責任がかかっている。仕方ないので大の字になってチェックを受ける。
「後はサメから逃げながらこれ全部馬車まで運ぶのね」
リリア達は小休止。ディルと保険屋は回収荷物の価値を査定中。
「サメは一匹退治したけど、まだゴチャゴチャいるし、荷物も回収したけど全部じゃないし… 国王から受けた仕事ってこれで良かったのかな?」
これで戻れば依頼完了だが、いまいち達成感が沸いてこない。
「いや、結構凄い仕事ではないですか。十分取材記事になりましたよ」ピエンがメモを手に答える。
「どうせ勇者だからって凄い量の荷物持たされそうだなぁ…」リリアが水を飲みながら呟く。
空には鷹が舞っている。
食らいつこうと突進してくるシャーク共相手に必死に剣を振るうリリア。
「勇者様は?」兵士が保険屋を抱え起こしながら叫ぶ。
「いいから!先ずはその人!」
シャークは大口を開け地面ごとさらう様に突撃してくる。
大口開けて一飲みに来る連中は大した知能が無い。知能が無いからワッと口を広げて当たるを幸い何でも丸のみにしようとするのだ。
それだけに捕食本能に火がつくとケガを物ともせず遮二無二飛び込んで来る。
リリアは岩場を転げながら身をかわし、剣でシャークの鼻先を切り続ける。
「っぐ… やっぱり、鎧を着るべきかな」そんなことを呟きながらサメを撃退する。
リリアの体はかすり傷だらけで、サメの返り血を浴びるのでそれにサメ共は寄って来る。詠唱の声がシャークを呼び寄せるらしくプリーストも逃げ回り中。
「プリーストさん!っぐ… とにかく!っわ! あっちに逃れて!」シャークと格闘しながらリリアが叫ぶ。
「勇者様は!!」
「何とかするから!プリーストさん、サメを振り切って隠れて!」
傷つき逃げ出すサメもいるが、執拗に襲ってくる奴が一匹いる。とにかく大口の真正面に入らないように逃げ回りながら剣を振りかざすとザックリとエラを傷つけた。かなりの手応えと共に鮮血がほとばしる。サメは空へと逃げ出す。
プリーストは岩場に隠れたようだが、サメがウロウロ狙っている。
リリアは素早く武器を弓に持ち換える。
「勇者さま、皆、岩場に逃れました、加勢します」兵士がリリアの所に戻って来た。
「あたしの相手はあれよ!矢でハリセンボンにしてやるわ!不意打ちを警戒して」
リリアはプリーストの上空をうろつくシャークにクイックで立て続けに矢を5本打ち込む。痛さで暴れるがあんなデカいやつ外しようがない。
「今よ!プリーストさん走ってぇ!」
サメがリリアに気がつき襲ってきた。鼻っ柱に3ショット決めるが、サメは止まらない。タフ過ぎる!
「兵士さん、こっち来るわよ!備えて!」リリア。
「周囲はクリアです。あれを倒して終わらせましょう」兵士が槍を手に答える。
「切り刻んで練り物にしてやるわ!その前に、リリアのダガー攻撃よ! でやぁ~!!」
説明調なセリフと共に繰り出される、必殺技のダガー投げ!
あれだけデカいやつが直線的に接近してくる。その上だいぶ弱ってきているサメ、今日こそばっちり決めてやる!!
“スカッ!…… あ… 外れた…”どうして外せる… リターンハンド…
「… さぁ、兵士さん、気を取り直していくわよ!!」
「… は、はい!気を取り直しましょう!」
身構えなおす二人。
リリア達は岩陰で治癒を受けている。っと言っても魔物からのダメージはあまり無かった。岩場を転げたので切り傷とかすり傷だらけ。
体に付着した返り血を良く拭き取らないと襲われる。
「皆大丈夫ね?装備に血が付いてるけど、あたし着替えを持ってないの。今のうちに急いで谷を抜けちゃおう」
リリア達は素早く移動開始。
倒したシャークの肉に別のシャーク、大ネズミが群がっている。今なら簡単に見逃して貰えるだろう。
リリア達は荷物と資金の回収中。
シャークの谷を抜けて、ちょっと先の崖に荷物が散らばっているのを発見。
崖を回り込んで下の森からコドモ・ドラゴンの死体を見つけた。
「いやぁ… これは骨が折れる」
物資類はドラゴンの死体近くに落ちていたが、資金はバラ撒かれている。
ある程度資金を回収したら全員で並んで茂みの中等をくまなく探す、ローラー作戦。
もう何度も森のあっちからこっちへ往復しているが、往復する度にいくらか金貨が見つかる。
「また、いくらか落ちてたよ。切りがないわね。地面から湧き出てるんじゃないの?」疲れた声を出すリリア。だが、財産は無駄にできない。
ローラー作戦を展開しながらも保険屋とディルの目が光っている。リリア達が何か見つけたり、屈んだりする度にまとわりつくような視線を送ってくる。
「信用できないなら、頼まなければいいのにね」リリアが愚痴ったらピエンが苦笑いしている。
「トレジャーハンティング専門の冒険者に知られる前で良かったですね」ピエンが言う。
「こんな山奥じゃ、無理でしょ」うつ向いて地面を注視しながら歩くリリア。
「いやぁ、情報屋がいて、結構お礼を出すみたいでどこからか情報を仕入れて山奥でも海の底でも活動していますよ」ピエンも地面を見ながら答える。
「まぁ、ここに落ちてたやつ全部貰えるなら、あたしだって必死になって登ってくるけどねぇ…」リリアが笑いながら答える。
「よもやとは思いますが、絶対ネコババはダメですよ」ディルがすかさず会話に割って入ってきた。
「わかってるわよ。冗談よ!そんなに疑われるならあたし、あっちで休んでるから勝手に探してなさいよ!」
リリアとディルは相変わらずだ。兵士さん達は苦笑いしながら地面を見つめ歩いて行く。
回収終了。
そうとう線をずらしながら往復した。7割か8割程度の回収率のようだが、さすがにディルも保険屋も音を上げた。
「念のため全員チェックです」ディルと、保険屋が全員のボディチェックを行う。
リリアは疑われているみたいで気分良くないが皆責任がかかっている。仕方ないので大の字になってチェックを受ける。
「後はサメから逃げながらこれ全部馬車まで運ぶのね」
リリア達は小休止。ディルと保険屋は回収荷物の価値を査定中。
「サメは一匹退治したけど、まだゴチャゴチャいるし、荷物も回収したけど全部じゃないし… 国王から受けた仕事ってこれで良かったのかな?」
これで戻れば依頼完了だが、いまいち達成感が沸いてこない。
「いや、結構凄い仕事ではないですか。十分取材記事になりましたよ」ピエンがメモを手に答える。
「どうせ勇者だからって凄い量の荷物持たされそうだなぁ…」リリアが水を飲みながら呟く。
空には鷹が舞っている。
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