勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【99.5話】 暮れのキャンプ ※年越し前の話し※

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「リリアはどんどん肉と野菜を串にさしてください」
コトロがリリアにBBQの準備を頼む。ネーコとラビはコトロ一緒に、野菜と肉を切って食材を用意。ギルド・正義と自由のダンサー、アマンダはサイドメニューのクラッカーとチーズ料理を準備中。
ここは、山中、湖側の草原地帯になっている場所。

リリアとルーダの風メンバーは他ギルドの登山愛好家達とパウロ・コートから南にある山中に来ている。
年の暮れ、リリア達は登山メンバーに呼ばれて、ルーダの風お疲れ様旅行を含みキャンピング。パーティーメンバーは9人。今夜4名は山頂目指してアタック中。
リリア達はキャンプ居残りのバックアップメンバーとしてやって来て、ついでにお疲れ様パーティーを開催。考えてみればルーダの風メンバー全員と外泊は初めて。
山頂からは樹海、湖、日の出が望める絶景で人気の登山スポットのようだ。
もともとはバックアップとエンターテインメントを兼ねてコトロとアマンダが誘われたのを、リリア、ネーコ、ラビ達もお供させてもらった。
なので、登頂しないリリア達は今夜、居残りのアマンダとキャンプを見張りながらBBQパーティーを開催。

アマンダの職業はダンサー。普段はバースタッフとバックアップをしているらしい。
歌って踊れて、フルートとタンバリン演奏もできる。
それだけと侮ってはいけない。虜の投げキッス、不思議な踊り、魅惑のステップ、困惑の囁き、もっと虜にする〇〇、もっとも虜にする××等芸達者。
そして… 揉め事類の陰の暗躍者だという噂も聞く…
「リリたん、水辺にスライムがまた沸いてたピョン」水汲みから戻って来たラビがリリアに報告した。
「リリアちゃんは今、コーンスープとチリドック作りに忙しいんだけど。ニャン子スライム退治出来るでしょ」リリアが忙しぶっている。
「さっきのはスライムが飛び上がるから思わず手が出ただけニャン。習性が出たニャン。魔物退治はリリたんにお任せニャン」
ネーコも忙しいそうだ、しかたないのでリリアは松明を手にスライムを焼きに行く。
「コーンスープもチリドックも正念場なんだからね!」リリア。
「ミルクのスープにコーンを入れるのとチリを作ったらソーセージとパンは後で焼くだけですよ」コトロがつっこむ。
「軽く言わないでよ、気合と愛情入りまくりなんだか」リリアは松明を振り回しながら歩いて行く。

「… おや?人影だ…」
リリアが松明をもって水辺に行くと、夕日が逆光となり人影が動いている。よく見るとアマンダ。洗い物に来ていたらしい。周囲に結構スライムが沸いている。気がついていないのか?…
「アマンダ、スライムに…」
リリアが声をかけるか否かスライムがシュっとアマンダに飛び掛かった。
“パッ”と夕日の中で銀色にきらめきスライムが空中で半分になった。
続けて3回程、“パッパッ”と閃光が走り、半分にされたスライムは地面でプルプルしている。軽快な身のこなし、凄い切れ味。
「…… リリアも水汲み?… あぁ…これね、切り刃扇よ。これがウチの戦技」
ニコニコしながらそう言うとアマンダは扇子をパチンと閉じた。
リリアは目を丸くしながらコクコク頷く。噂は本当かも…
「戦闘でもベッドでもウチの武器はセ・ン・スよ」
悪戯っぽく笑うアマンダ。
「弓はセンスだけど、ベッドは力技かな?…」リリアもつられて答える。
「うっふっふっふ、リリアとは良い友達になれそう」


日はすっかり暮れ、キャンプファイヤーを囲みリリア達もファイヤーしている。
冬も暖かいルーダリア地方だがさすがにここは寒いが大きな火でBBQするリリア達には心地よい。
皆火を囲んでBBQを楽しむ、お酒も入り良い感じ。
余興はコトロのリュート演奏とアマンダのダンス。ラビは三段跳び。ほろ酔いでやっても凄い距離。ネーコは面倒がって火の側で丸まりながら柔軟体操してみせた。
リリアも弓を披露… と、思ったら「弓ばっかりじゃない」と言われてしかたなく、アマンダの真似をして不思議な踊りを踊る。
「面白過ぎ!」っと大爆笑された。“何よこっちは大真面目よ…”
とにかく、女性四人で大盛り上がり。


「… 何か来た!空よ!」
リリアが不意に声を上げた!酔って騒いで気づくのが遅れた!
「ぅわ!!」
リリア、アマンダ、ネーコは避けたが、コトロとラビは空からの陰に一瞬に押さえつけられてしまった。
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