勇者の血を継ぐ者

エコマスク

文字の大きさ
上 下
191 / 517

【96話】 年明けのリリア

しおりを挟む
約束通り年末前に古の勇者の旅から戻ったリリア。
帰ったその日はリリア達四人とルーダの風メンバーで祝杯。
ペコとアリスは自分のギルドに戻り仕事に復帰。
オフェリアは数日リリアの部屋に泊まり、周遊してパウロ・コートに帰って行った。

リリアは…
オフェリアと数日、骨休みがてらノンビリ休息。
その後数日、お土産を持ってウッソ村に帰郷してきた。
リリアは年が変わるまでボチボチ… と思っていたが意外にそうはいかなかった。
リリアが街に戻って来たと知ったら仕事の依頼が入ってきた。

リリアの年末・年始はこんな感じ
・頼まれごと、仕事の依頼をこなす
・リアルゴールドとハンズマンの年末会に呼ばれる
・ルーダ・コートの街の太守に年末、年始の挨拶と新年祝典
・ルーダリア王国で年始の挨拶と新年祝典
・ローゼンに頼まれていた準士官学校を終了

年始までグダっている予定だったリリア。馴染みから狩り、採取を中心に「リリアが戻るの待ってたよ」と声がかかる。

勇者の肩書があるので式関係に出席させられる。移動、滞在、面倒くさい、が初めての経験で面白くもある。

ギルド査定が行われ、冒険者ギルド・ルーダの風は存続決定。
リリアの成績がギルド存続を繋ぎとめる。
※リリアの歴701年スコアシート
リリア 魔物退治、人名救助、拠点防衛、その他治安維持と有益な活動
合計 155pts(ランカシム砦の功績とフリート帝国の活動は除く)
ルーダ・コートに居る130人の冒険者ギルメン中80位

「何なのこれ?あんだけ退治してこれだけ?」リリアがスコアシートを見て不満の声を漏らす。
「スコアに換算されるのは中型以上の魔物からですからね。でも、幽霊ギルメンや私やネーコ達のように、バースタッフやサポート活動しかしていないメンバーを考慮しても冒険者ギルドに所属して半年のリリアが80位なかなかの物ですよ」
「ペコは40位… アリスは50位タイ… あたし、絶対来年は39位になる」

式典関係に出席し、評議会の決定も聞かされた。
ルーダリア王国宮中内の空気が変わった。フリート帝国からマンティコア、ドラゴン・リザード退治のお礼が届いたらしく、ちょっとエア勇者からそよ風勇者的になった。ありがたいが、宮中の扱いはリリアにとってくすぐったい感じ。
評議会でも評判は上がったようだが、全裸事件が足を引っ張り給料は来年まで据え置き。条件付きで勇者活動による金銭負担は後日充当とされた。

「無給?どういう事よ!裸になったくらいで大騒ぎして!評議員だって娼館で遊んだりするでしょ?リリアは裸にされただけよ!アクシデント!何かあたしが脱ぎ散らかしたような言い方して!」リリアが勇者管理室のディルに詰め寄る。
「評議の決定ですから。それより今夜はピエンと三人で新年会です」淡々としているディル。
「勇者管理室ももっと何とかしなさいよ!リリアが存在しているから仕事になってるんでしょ?共存共栄助けなさいよ!」
「勇者家系は他にもおりますから…」ディルの言い方に腹を立てるリリア。

準士官学校に短期入学。
ここを卒業しておけば、戦争でもローゼンの部隊で準士官が出来る。同じような境遇の形だけ入学者ばかりで、難なく卒業。
これで狙撃手が務められる形が整った。


街中は新年っぽい雰囲気も薄れてきた頃…
リリアはざっくり数え年で18歳。歴702年。
街中は少し肌寒く透明感のある天気。大人は忙しぶって通りを行き交い、子供達は忙しく騒いでいる。
「コトロ、買い物終了ならバーに戻ってリリアちゃんがアンチョビとキノコのパスタをお昼に用意よ」
買い物を抱え、リリア、コトロ、ラビ、ネーコが買い物から戻って来た。
「リリたん、今度の旅で新料理覚えたニャン」
「アンチョビだなんて今までと一味違うピョン」
「オフェリアとアリスの料理を見て盗んだのよ… 技術は見て盗め… ね」リリアがニコニコしている。
「… 味は教わって習うべきニャン…」ネーコもニコニコしている。
「どんな物でも残さず食べるピョン」もちろんラビもニコニコ。
「期待してよ!オフェリアが作ってくれたの美味しかったんだから!」
「あれ、何ですかね?」コトロが足を止める。
一同通りで足を止めた。
見るとバー・ルーダの風の前にちょっとした人だかりが出来ている。
「なんだろうね…」
リリア達が人垣を抜け店に近づく。馬車がバーの前に停まっている。立派な馬車。
「そこ、駐禁ですよ」リリアがバーのドア前で、これまた立派な身なりの兵士に注意する。身分からすると相当高い身分の兵士… だが、駐禁は駐禁。

「大変失礼しました。勇者リリア様、ルーダリア国王の命の元お迎えに参りました。ご準備が整い次第馬車にご乗車をお願いします」
厳つい全身鎧の兵士を従えた髭の執務服の男が落ち着いた様子でリリアに声をかけた。シルバーとグレイの鎧が鈍く光り、王家の紋章が揺らめく。

コトロ達と野次馬がリリアの顔を見る。
「… あ、あたしですか? あたし、ただの公認勇者ですけど…」
面食らうリリア。
「勇者リリア様、ルーダリア国王がご指名です」
髭がはっきりと答える。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

女神様の使い、5歳からやってます

めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。 「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」 女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに? 優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕! 基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。 戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。

転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件

桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。 神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。 しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。 ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。 ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。

婚約破棄を申し込まれたので、ちょっと仕返ししてみることにしました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約破棄を申し込まれた令嬢・サトレア。  しかし、その理由とその時の婚約者の物言いに腹が立ったので、ちょっと仕返ししてみることにした。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

処理中です...