188 / 517
【94.5話】 届いた手紙
しおりを挟む
「ただいま、二人共帰っていたんですね」
コトロが買い物を抱え、バー・ルーダの風に戻ると、ネーコとラビは店内の掃除を済ませたところだった。
コトロは知り合いの吟遊詩人仲間のバンドセッションを手伝い、お店の買い物をしてきたところ。
「リリアとペコとハシェックから手紙が届いているニャン」
配達された手紙をネーコがコトロに差し出す。
「全部同時にですか?」
「リリたん、ちゃんと約束通り定期的に手紙書いて来てるピョン」
リリアとペコの手紙が投函された場所はフリートの帝都からのようだ。
ハシェックの手紙には投函場所が無い、“ルーダリア王国軍西方面統括局”とだけ記されている。
「ひとまず、リリア達は伝説の勇者エジンの都には着いたみたいですねぇ」
コトロが先ず、リリアからの手紙を開封する。ネーコもラビも手紙を覗き込む。
“親愛なるコトロ、ネーコ、ラビ様 あなた方に神のご加護がありますように
~要約内容~
昨日、フリートの帝都に到着してます。オフェリア、ペコ、アリス、もちろんあたしも全員、そろって元気。何も心配は要りません。
ここまでの道中、山中の廃寺院を見学しました。
廃寺院の途中、砦に残された骸骨兵士と戦闘になりました。
傷つき倒れるオフェリアの盾になり、リリア必殺の弓で全員ぶちのめしてやったわ。
ペコもアリスも改めてあたしの活躍に感心していたの。
ボッドフォートは緩衝地帯からゾンビだらけで、乗っけからリリアは大活躍。
政治が複雑で領内も治安が悪く、難民を助けながら移動してボッドフォートの都まで無事送り届けました。
フレイラさんってプリーストと共一緒に旅をしました。強烈なターン・アンデットと複数同時治癒が出来る凄い人。
都への途中、オフェリアがトロールにやられたけど、リリアが仕返しにぶちかましてやりました。こっちは勇者よ。
その後、伝説の勇者とメデューサの古戦場を見学して、無事に帝都に入りしています。
ここでは勇者の地位が確立されています。あたしも鼻が高いです。
リリアはオフェリアを支え、ペコ、アリスを助けよくがんばってます。
ご心配なく
~以上~
あなたのリリア“
相変わらず、締めくくりがラブレター様式になっている。
「リリたん大活躍ニャン」
「勇者の旅してるピョン」
ネーコとラビの二人は感心している。
「……… ペコとアリスには読ませられませんねぇ」
コトロは呟きながらペコの手紙を開封。
~要約内容~
道中色々有り、フリートの帝都に到着しました。
ペコ、ギルマスとしてギルメンの教育が全然出来ない。もっとしっかり勉強させなさいよ。
能天気勇者はマイペース、マイルールで自分の身も守れないのに正義感と親切心だけは強く、他国民の困りごとに首をつっこみたがり付き合わされるこっちは皆不必要な危険に晒される。命がいくつあっても足りない思い。
ホイルテッドではゴブリン退治を買って出て、平和的解決を提案して追い出され、ショックでしばらくリリアが寝込んでいた時に私達と合流。
勇者は理想論じゃないっての。
ボッドフォートではいい気になってイケメンと寝て、悪堕ち勇者になった。悪堕ちよ、悪堕ち。実物を見たの始めて、呆れる。
悪堕ちしてもチンケだったから良いような物の、皆でリリアを見張って解呪の為にシャーマンに連れて行って大変な騒ぎだった。
仲間意識が高くて、責任感もあり、サバイブ術、戦闘、冒険者として及第点付けられるけど、プラベートの無茶をもっと何とかするべき。
~以上~
「……ペコたん、辛口ピョン…」
「…同時に受け取った手紙とは思えない違いニャン」
「まぁ、実際のところはリリアとペコの手紙、フィフティフィフティで合わせてちょっとペコ寄りってくらいでしょうか」
「ハシェックの手紙見るニャン」
「これはダメですよ、リリア本人が一番先に読むものです」
「ところで、この部分何て書いてあるニャン?」
コトロと一緒に手紙を読み返すネーコとラビ。二人の公用語の読み書きはそこそこ程度。リリアからの手紙が届くとプチ勉強会が開かれる。
「リリアの手紙の文法はあてになりませんよ」と繰り返しながらコトロが教える。
「カラン!」ベルが小さな音をたててバーの扉が開かれた。コトロ達が振り返る。
「リリアはまだ旅から戻っていないかな?」他ギルドの男女が立っている。
「約束の今月末には戻るはずですけど、まだですね」コトロが答える。
「そっか、週末ギルドで子供教室を開くけど、弓の上手な人に参加して欲しかったんだがねぇ…」
「戻ってきたらよろしく伝えてね」
男女は言い残して帰って行った。
「今朝もエネコさんがリリんに仕事頼みたいって来てたピョン」
「リリたん戻ってきてないかって結構聞かれるニャン」
「何だかんだ、キッチリ仕事してくれますし、頼みやすいですからね」
「リリたん早く帰って来ないかなぁピョン」
「居ると大変ですが、居ないと静か過ぎますねぇ」
コトロが買い物を抱え、バー・ルーダの風に戻ると、ネーコとラビは店内の掃除を済ませたところだった。
コトロは知り合いの吟遊詩人仲間のバンドセッションを手伝い、お店の買い物をしてきたところ。
「リリアとペコとハシェックから手紙が届いているニャン」
配達された手紙をネーコがコトロに差し出す。
「全部同時にですか?」
「リリたん、ちゃんと約束通り定期的に手紙書いて来てるピョン」
リリアとペコの手紙が投函された場所はフリートの帝都からのようだ。
ハシェックの手紙には投函場所が無い、“ルーダリア王国軍西方面統括局”とだけ記されている。
「ひとまず、リリア達は伝説の勇者エジンの都には着いたみたいですねぇ」
コトロが先ず、リリアからの手紙を開封する。ネーコもラビも手紙を覗き込む。
“親愛なるコトロ、ネーコ、ラビ様 あなた方に神のご加護がありますように
~要約内容~
昨日、フリートの帝都に到着してます。オフェリア、ペコ、アリス、もちろんあたしも全員、そろって元気。何も心配は要りません。
ここまでの道中、山中の廃寺院を見学しました。
廃寺院の途中、砦に残された骸骨兵士と戦闘になりました。
傷つき倒れるオフェリアの盾になり、リリア必殺の弓で全員ぶちのめしてやったわ。
ペコもアリスも改めてあたしの活躍に感心していたの。
ボッドフォートは緩衝地帯からゾンビだらけで、乗っけからリリアは大活躍。
政治が複雑で領内も治安が悪く、難民を助けながら移動してボッドフォートの都まで無事送り届けました。
フレイラさんってプリーストと共一緒に旅をしました。強烈なターン・アンデットと複数同時治癒が出来る凄い人。
都への途中、オフェリアがトロールにやられたけど、リリアが仕返しにぶちかましてやりました。こっちは勇者よ。
その後、伝説の勇者とメデューサの古戦場を見学して、無事に帝都に入りしています。
ここでは勇者の地位が確立されています。あたしも鼻が高いです。
リリアはオフェリアを支え、ペコ、アリスを助けよくがんばってます。
ご心配なく
~以上~
あなたのリリア“
相変わらず、締めくくりがラブレター様式になっている。
「リリたん大活躍ニャン」
「勇者の旅してるピョン」
ネーコとラビの二人は感心している。
「……… ペコとアリスには読ませられませんねぇ」
コトロは呟きながらペコの手紙を開封。
~要約内容~
道中色々有り、フリートの帝都に到着しました。
ペコ、ギルマスとしてギルメンの教育が全然出来ない。もっとしっかり勉強させなさいよ。
能天気勇者はマイペース、マイルールで自分の身も守れないのに正義感と親切心だけは強く、他国民の困りごとに首をつっこみたがり付き合わされるこっちは皆不必要な危険に晒される。命がいくつあっても足りない思い。
ホイルテッドではゴブリン退治を買って出て、平和的解決を提案して追い出され、ショックでしばらくリリアが寝込んでいた時に私達と合流。
勇者は理想論じゃないっての。
ボッドフォートではいい気になってイケメンと寝て、悪堕ち勇者になった。悪堕ちよ、悪堕ち。実物を見たの始めて、呆れる。
悪堕ちしてもチンケだったから良いような物の、皆でリリアを見張って解呪の為にシャーマンに連れて行って大変な騒ぎだった。
仲間意識が高くて、責任感もあり、サバイブ術、戦闘、冒険者として及第点付けられるけど、プラベートの無茶をもっと何とかするべき。
~以上~
「……ペコたん、辛口ピョン…」
「…同時に受け取った手紙とは思えない違いニャン」
「まぁ、実際のところはリリアとペコの手紙、フィフティフィフティで合わせてちょっとペコ寄りってくらいでしょうか」
「ハシェックの手紙見るニャン」
「これはダメですよ、リリア本人が一番先に読むものです」
「ところで、この部分何て書いてあるニャン?」
コトロと一緒に手紙を読み返すネーコとラビ。二人の公用語の読み書きはそこそこ程度。リリアからの手紙が届くとプチ勉強会が開かれる。
「リリアの手紙の文法はあてになりませんよ」と繰り返しながらコトロが教える。
「カラン!」ベルが小さな音をたててバーの扉が開かれた。コトロ達が振り返る。
「リリアはまだ旅から戻っていないかな?」他ギルドの男女が立っている。
「約束の今月末には戻るはずですけど、まだですね」コトロが答える。
「そっか、週末ギルドで子供教室を開くけど、弓の上手な人に参加して欲しかったんだがねぇ…」
「戻ってきたらよろしく伝えてね」
男女は言い残して帰って行った。
「今朝もエネコさんがリリんに仕事頼みたいって来てたピョン」
「リリたん戻ってきてないかって結構聞かれるニャン」
「何だかんだ、キッチリ仕事してくれますし、頼みやすいですからね」
「リリたん早く帰って来ないかなぁピョン」
「居ると大変ですが、居ないと静か過ぎますねぇ」
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
女神様の使い、5歳からやってます
めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。
「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」
女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに?
優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕!
基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。
戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。
転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件
桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。
神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。
しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。
ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。
ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。

婚約破棄を申し込まれたので、ちょっと仕返ししてみることにしました。
夢草 蝶
恋愛
婚約破棄を申し込まれた令嬢・サトレア。
しかし、その理由とその時の婚約者の物言いに腹が立ったので、ちょっと仕返ししてみることにした。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる