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【93.5話】 物理系リリア
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「リターン・トゥ・マイ・ハンド!」
リリアの手にダガーが戻って来る、弓も同様。もちろんオフェリアのダガーも同じ効果だ。
手に戻って来た銀のダガーを眺めニコニコ、いやニヤニヤするリリア。
「飽きずによくやるわねぇ、しかも全然投げるの上手になっていないし…」リリアの姿を魔法練習の手を止めペコが笑う。
「まぁ気持ちはわかるけどね」傍で聖書を読んでいるアリスもダガー投げの練習を続けるリリアとオフェリアを見て笑う。
帝都を出発し村に着いたリリア一行。
四人と藁君で荷馬車の護衛をして村に移動してきた。レンタワゴンは返却、あまりリリアにだけ負担をかけ贅沢はできない。
夕刻、商人達が馬車屋台を出すキャンプサイト周辺で戦技練習をする四人。
リリアはずっとダガー投げの練習をしてはプロテクション魔法のリターン・ハンドを使って草むらに落ちたダガーが自分の手に戻って来るのを繰り返し楽しんでニヤニヤしている。嬉しくって仕方ない様子。
「今までプロテクト付きのアイテム使ったこと無かったの?」ペコがリリアに聞く。
「見たことはあったけど、無いよ。だって、所有者を変更しないとダメなんでしょ?わざわざお試しの為に、やってくれる人いないわよ… ね、オフェリア、物理系女子はやったこと無いよね… ヤッ!… リターン…!」リリアが同意を求める。
「私はあるわよ、仕事でしばらく持ち主共有にしてもらってアイテムを使った事があるわ。 でも、自分の物となると確かに嬉しいわねぇ」
「ぅわ、大きなギルドは違うねぇ、やっぱり」リリアはちょっと同じ物理系女子に裏切られる。
因みに符呪士と店員の話しでは
「リターンは所有者から大体15m離れた辺りから威力が落ちます。20m以上は効果が無いと思ってください。離れすぎた場合はリターンをかけながら、自分で探し歩くしかないです。とりあえず意図的に遠くに隠されでもしない限り紛失はないと思ってください。それと所有者と対象物の空間が完全に遮蔽されてしまっては手に戻りません。あまり複雑な軌道も描けません」
リリアの質問
「リターンって重い石の下敷きになってたら跳ね返せるの?板くらいは貫通して戻るの?」
「難しい質問ですなぁ、さすがルーダリアの勇者様。符呪されたリターン魔法は、その物体固有の重量との関係もありますが… そのアイテム自体の浮遊に働く力は… 加速度としては1秒間に2m程度でして、数値的にこれは加速度の… つまり初速に必要とされる力とアイテム自体の自重を… ですから何かの下敷きになっている状態からその物体を押し上げる力としては… 次に連続飛行している状態において… これは貫通力として…」
リリアには全然良く分からなかったが、とりあえずニコニコ聞いていた。さすがリーダリアの勇者と褒めてもらえたのは気分が良い。
「わかった!無茶をしないよう大切に使うわ!」リリアは説明を聞いて一言。
なのでリリアはさっきからダガー投げをしては時々ウロウロしながらリターンを唱えている。
魔法系女子
「私達あんなこと何気なくやってるけど、あんなに嬉しいものなんだね」
「リターンなんてその辺のホウキで実験する、教科書1ページ目だよね」
「末っ子勇者は蘇生魔法まで使えて、結構凄腕だったけど、リリアは本当に力に全振りされちゃったんだねぇ」
「でも、リリアの道具を大切にする姿勢は感心するわよね」
「そうだね、よっぽどの事がなければ、ほぼ毎晩かならず、道具の手入れしてるし、特に弓の手入れと調整は凄いよね」
リリアはダガーを投げている。木を狙って投げているらしいが当たっていない。
「それにしても藁君だよねぇ…」二人が棒立ちしている藁君を振り返る。藁君だいぶボロくなってきた。
「確かに値段を考えると… でも使い捨てでしょ」
「まぁ、安くないから大切に使うのは賛成だけど」
「道具以上の何かを感じるわ」
「この前ファイアーフラワーの攻撃から藁君を身を挺して守っていたのには驚いたね」
「本末転倒な話だよね」
魔法学校の最初の項目でリターンを習い、動く案山子、藁人形は教材程度にしか思っていない二人には理解し難いリリアの情熱。人によってリターン魔法程度は物心ついた時には習得している。
「あれだけ大切に使うなら銀のダガーも無駄ではないね」ペコとアリスがリリアとオフェリアを見る。
辺りは日が傾き山陰多く、肌寒くなってきた。
「アリスごめん、ちょっと治してよ」リリアが二人の側にやってきた。
見ると、手から血がダラダラ流れている。
「何それ?どこでケガしたの?」アリスが驚きながら治癒魔法をかける。
「受け損ねてダガーが手にぶっ刺さった」リリアが言う。
「投げても当たらないのに自分に当ててどうするのよ!」ペコが呆れている。
リリアの手にダガーが戻って来る、弓も同様。もちろんオフェリアのダガーも同じ効果だ。
手に戻って来た銀のダガーを眺めニコニコ、いやニヤニヤするリリア。
「飽きずによくやるわねぇ、しかも全然投げるの上手になっていないし…」リリアの姿を魔法練習の手を止めペコが笑う。
「まぁ気持ちはわかるけどね」傍で聖書を読んでいるアリスもダガー投げの練習を続けるリリアとオフェリアを見て笑う。
帝都を出発し村に着いたリリア一行。
四人と藁君で荷馬車の護衛をして村に移動してきた。レンタワゴンは返却、あまりリリアにだけ負担をかけ贅沢はできない。
夕刻、商人達が馬車屋台を出すキャンプサイト周辺で戦技練習をする四人。
リリアはずっとダガー投げの練習をしてはプロテクション魔法のリターン・ハンドを使って草むらに落ちたダガーが自分の手に戻って来るのを繰り返し楽しんでニヤニヤしている。嬉しくって仕方ない様子。
「今までプロテクト付きのアイテム使ったこと無かったの?」ペコがリリアに聞く。
「見たことはあったけど、無いよ。だって、所有者を変更しないとダメなんでしょ?わざわざお試しの為に、やってくれる人いないわよ… ね、オフェリア、物理系女子はやったこと無いよね… ヤッ!… リターン…!」リリアが同意を求める。
「私はあるわよ、仕事でしばらく持ち主共有にしてもらってアイテムを使った事があるわ。 でも、自分の物となると確かに嬉しいわねぇ」
「ぅわ、大きなギルドは違うねぇ、やっぱり」リリアはちょっと同じ物理系女子に裏切られる。
因みに符呪士と店員の話しでは
「リターンは所有者から大体15m離れた辺りから威力が落ちます。20m以上は効果が無いと思ってください。離れすぎた場合はリターンをかけながら、自分で探し歩くしかないです。とりあえず意図的に遠くに隠されでもしない限り紛失はないと思ってください。それと所有者と対象物の空間が完全に遮蔽されてしまっては手に戻りません。あまり複雑な軌道も描けません」
リリアの質問
「リターンって重い石の下敷きになってたら跳ね返せるの?板くらいは貫通して戻るの?」
「難しい質問ですなぁ、さすがルーダリアの勇者様。符呪されたリターン魔法は、その物体固有の重量との関係もありますが… そのアイテム自体の浮遊に働く力は… 加速度としては1秒間に2m程度でして、数値的にこれは加速度の… つまり初速に必要とされる力とアイテム自体の自重を… ですから何かの下敷きになっている状態からその物体を押し上げる力としては… 次に連続飛行している状態において… これは貫通力として…」
リリアには全然良く分からなかったが、とりあえずニコニコ聞いていた。さすがリーダリアの勇者と褒めてもらえたのは気分が良い。
「わかった!無茶をしないよう大切に使うわ!」リリアは説明を聞いて一言。
なのでリリアはさっきからダガー投げをしては時々ウロウロしながらリターンを唱えている。
魔法系女子
「私達あんなこと何気なくやってるけど、あんなに嬉しいものなんだね」
「リターンなんてその辺のホウキで実験する、教科書1ページ目だよね」
「末っ子勇者は蘇生魔法まで使えて、結構凄腕だったけど、リリアは本当に力に全振りされちゃったんだねぇ」
「でも、リリアの道具を大切にする姿勢は感心するわよね」
「そうだね、よっぽどの事がなければ、ほぼ毎晩かならず、道具の手入れしてるし、特に弓の手入れと調整は凄いよね」
リリアはダガーを投げている。木を狙って投げているらしいが当たっていない。
「それにしても藁君だよねぇ…」二人が棒立ちしている藁君を振り返る。藁君だいぶボロくなってきた。
「確かに値段を考えると… でも使い捨てでしょ」
「まぁ、安くないから大切に使うのは賛成だけど」
「道具以上の何かを感じるわ」
「この前ファイアーフラワーの攻撃から藁君を身を挺して守っていたのには驚いたね」
「本末転倒な話だよね」
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「あれだけ大切に使うなら銀のダガーも無駄ではないね」ペコとアリスがリリアとオフェリアを見る。
辺りは日が傾き山陰多く、肌寒くなってきた。
「アリスごめん、ちょっと治してよ」リリアが二人の側にやってきた。
見ると、手から血がダラダラ流れている。
「何それ?どこでケガしたの?」アリスが驚きながら治癒魔法をかける。
「受け損ねてダガーが手にぶっ刺さった」リリアが言う。
「投げても当たらないのに自分に当ててどうするのよ!」ペコが呆れている。
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