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【91.5話】 ルド ※過去の話し※
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夕方前リリアは山から戻って来た。辺りはムシムシしている。
村付近まで戻って来て「………なんだろう?」何か村の様子が変だ。
不思議がりながら村の入り口まで来たら後ろから声をかけられた。
「リリア!良かった、戻りを待ってたよ、直ぐに下の川まで行ってくれ」
「リエおばさん、慌ただしいけど何かあったの?」
「ルドだよ!ルドが川に入ったっきり上がって来ないよ、皆で今探しているところだよ。すぐ行っておくれよ」
「ルドが!?」リリアは慌てて川へ走る。
「リリア!よかった、おまえが頼りだよ。クレアのところのルドが…」
リリアが土手を下って川原に駆け下ると村の人が右往左往している。子供達も集まっている。クレアは泣き崩れ、子供達も泣いている。
“ルドが…” リリアと同じ13歳になったばかりだ。今日は教会で一緒に午後まで数人で勉強をしていた。
「今日は弟のために、こんなデッカイ魚獲るんだ!リリアお前も来いよ!」
「雨上がりで川は早いよ、リリアは山で果実獲りたいから」
「早いったって大した事ねぇよ、いつもと変わんねぇよ」
男の子達で川に行くのをリリアは断って山に入ったのだ。
「皆は?」リリアが川原に集まっている村人に聞く。
「総出で川を下って探しているよ。リリア詳しいだろ頼むよ」誰かが答えてくれた。
「スコット、あなた達、教会から戻ってすぐに川に入ったんでしょ?」リリアが男の子達に聞く。
「あぁ… だけどしばらくはルドも一緒に岩場から飛び込んでたんだ。途中まで皆一緒だったけど、一時して気がついたらルドが居なくなっていて…」
スコットは小さく頷くばかりだったがテイルが小さく答える。
リリアが川を見ると、雨の後で水足は速くなっているが、男の子たちが溺れるほどでもないのだが…
「………… わかった……… あたし、池まで下るから……」
リリアはその場を離れる。
「りリア!ちょっと待て」
ジムおじさんが追いかけて来て呼び止めた。
「時間が結構経つ。溺れただけならもう上がって来て見つかっているはずだ。男達は川底探しを始めたぞ。おまえ、池まで下りるんだな」怖い表情をし、声を落としてジムがリリアに問いかける。
「………… リリアは池だと思う…」リリアは小さく答える。
「………… そうか… 人を… 集めるから… すまないがルドをよろしく…」
リリアはジムの声を背に急いで川沿いに下る。
リリアには何となくルドの居場所がわかった。
子供達と川でよく遊ぶ。池は少し離れになるので普段は側の川で遊ぶが、気が向くと池まで行く事もしばしば。
川を下ると池になっていて、水が少し滞り再び川になる。
大雨の後、池に潜ると川に落ちて溺れたウリボウやタヌキが決まった場所に沈んでいるのだ。たぶん流れが溜まる場所なのだろう…
ジムが数名の男を連れて池まで来るとリリアを探した。
ジム達が見つけた時、リリアは池の淵でずぶ濡れになってブルブルと震えて蹲っていた。
「リリア…… ルド…… いたか?… 底にいたんだな…ルド…」
リリアはコクコク頷きながら池の底を指さす。
「ごめん… あたし、引き上げられない…」小さく呟くリリア。
「あぁ… ありがとう、助かった。ルドは俺達が連れて帰る、おまえは村に戻ってろ」ジムがリリアの肩を撫でる。
夕刻、教会ではゼフが葬礼の準備をする。修道女リリアもお手伝い、しなければならないが手が進まない。ゼフもさすがに何も言わず黙々と女達と準備をしている。
壇上には安らかなルド…
「リリア!!おまえルドがわかるんだろ!本当はルドと話せるんだろ!」
礼拝室にいるリリアを見つけてクレアが叫び声をあげた。
「リリア!ルドがわかるんだろ!勇者の子だから力があるんだろ!」
周りの人に取り押さえられる。
「クレアおばさん… リリアにはそんな事無理よ…」リリアが席に座って呟く。
「おまえがルドの居場所を知ってたじゃないか!本当はわかるんだろ!もう一度だけあのこと話をさせとくれよ!勇者だから出来るだろう!」
「無理だよ… ただ、そこに居るって、普段から… 何となく思っただけだよ…」
「リリア!!おまえ出来るんだろ!勇者だから力あるんだろ!」
叫ぶクレアはゼフに慰められ、皆に抱えられながら連れ出されていった。
「リリア、部屋で少し休みなさい、式には呼ぶから」
ゼフがリリアに声をかける。手伝いは要らないらしい… もっとも何も手伝えていない…
リリアは小さく頷くと礼拝室の通路に立ち上がった…
壇上のルドを見ると、ローソクの灯りで今にも起きてきそうな表情をしている。
村付近まで戻って来て「………なんだろう?」何か村の様子が変だ。
不思議がりながら村の入り口まで来たら後ろから声をかけられた。
「リリア!良かった、戻りを待ってたよ、直ぐに下の川まで行ってくれ」
「リエおばさん、慌ただしいけど何かあったの?」
「ルドだよ!ルドが川に入ったっきり上がって来ないよ、皆で今探しているところだよ。すぐ行っておくれよ」
「ルドが!?」リリアは慌てて川へ走る。
「リリア!よかった、おまえが頼りだよ。クレアのところのルドが…」
リリアが土手を下って川原に駆け下ると村の人が右往左往している。子供達も集まっている。クレアは泣き崩れ、子供達も泣いている。
“ルドが…” リリアと同じ13歳になったばかりだ。今日は教会で一緒に午後まで数人で勉強をしていた。
「今日は弟のために、こんなデッカイ魚獲るんだ!リリアお前も来いよ!」
「雨上がりで川は早いよ、リリアは山で果実獲りたいから」
「早いったって大した事ねぇよ、いつもと変わんねぇよ」
男の子達で川に行くのをリリアは断って山に入ったのだ。
「皆は?」リリアが川原に集まっている村人に聞く。
「総出で川を下って探しているよ。リリア詳しいだろ頼むよ」誰かが答えてくれた。
「スコット、あなた達、教会から戻ってすぐに川に入ったんでしょ?」リリアが男の子達に聞く。
「あぁ… だけどしばらくはルドも一緒に岩場から飛び込んでたんだ。途中まで皆一緒だったけど、一時して気がついたらルドが居なくなっていて…」
スコットは小さく頷くばかりだったがテイルが小さく答える。
リリアが川を見ると、雨の後で水足は速くなっているが、男の子たちが溺れるほどでもないのだが…
「………… わかった……… あたし、池まで下るから……」
リリアはその場を離れる。
「りリア!ちょっと待て」
ジムおじさんが追いかけて来て呼び止めた。
「時間が結構経つ。溺れただけならもう上がって来て見つかっているはずだ。男達は川底探しを始めたぞ。おまえ、池まで下りるんだな」怖い表情をし、声を落としてジムがリリアに問いかける。
「………… リリアは池だと思う…」リリアは小さく答える。
「………… そうか… 人を… 集めるから… すまないがルドをよろしく…」
リリアはジムの声を背に急いで川沿いに下る。
リリアには何となくルドの居場所がわかった。
子供達と川でよく遊ぶ。池は少し離れになるので普段は側の川で遊ぶが、気が向くと池まで行く事もしばしば。
川を下ると池になっていて、水が少し滞り再び川になる。
大雨の後、池に潜ると川に落ちて溺れたウリボウやタヌキが決まった場所に沈んでいるのだ。たぶん流れが溜まる場所なのだろう…
ジムが数名の男を連れて池まで来るとリリアを探した。
ジム達が見つけた時、リリアは池の淵でずぶ濡れになってブルブルと震えて蹲っていた。
「リリア…… ルド…… いたか?… 底にいたんだな…ルド…」
リリアはコクコク頷きながら池の底を指さす。
「ごめん… あたし、引き上げられない…」小さく呟くリリア。
「あぁ… ありがとう、助かった。ルドは俺達が連れて帰る、おまえは村に戻ってろ」ジムがリリアの肩を撫でる。
夕刻、教会ではゼフが葬礼の準備をする。修道女リリアもお手伝い、しなければならないが手が進まない。ゼフもさすがに何も言わず黙々と女達と準備をしている。
壇上には安らかなルド…
「リリア!!おまえルドがわかるんだろ!本当はルドと話せるんだろ!」
礼拝室にいるリリアを見つけてクレアが叫び声をあげた。
「リリア!ルドがわかるんだろ!勇者の子だから力があるんだろ!」
周りの人に取り押さえられる。
「クレアおばさん… リリアにはそんな事無理よ…」リリアが席に座って呟く。
「おまえがルドの居場所を知ってたじゃないか!本当はわかるんだろ!もう一度だけあのこと話をさせとくれよ!勇者だから出来るだろう!」
「無理だよ… ただ、そこに居るって、普段から… 何となく思っただけだよ…」
「リリア!!おまえ出来るんだろ!勇者だから力あるんだろ!」
叫ぶクレアはゼフに慰められ、皆に抱えられながら連れ出されていった。
「リリア、部屋で少し休みなさい、式には呼ぶから」
ゼフがリリアに声をかける。手伝いは要らないらしい… もっとも何も手伝えていない…
リリアは小さく頷くと礼拝室の通路に立ち上がった…
壇上のルドを見ると、ローソクの灯りで今にも起きてきそうな表情をしている。
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