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【77話】 荷物と命と
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「……… いだだぁ…… 何がどうなったんだっけ……」
芝生の上で気がついたリリア。一瞬気を失っていたようだ。全身が痛む…
「…… あぁ、馬車か… 落車だ… 血の海… いや、これは積み荷のトマトの酢漬けか…」
反射的にベルトポーチからポーションを取り出して飲んでいた。後頭部がぱっくり割れて出血していたるようだが、これで大丈夫だ。
二台の馬車が重なり合うように横転している。他車の馬は立ち上がろうとしているが、こちらの馬は二頭ともダメなようだ。涙を流し喘ぐように呼吸をしているが、安楽死しか道はないだろう。
荷物が散乱している。前方の馬車に乗っていた護衛と馬車手は息があるようだ。
こちらの馬車手は…横転した荷台の陰に倒れている… ダメだ… 見るからに頭が… 何かに押しつぶされたようだ。首もありえない方向に向いている。
「オフェリアよ。リリア、ペコ、大丈夫」通信が入って来た。
「こちらリリア、ポーション飲んだ。馬車手はダメよ。後、もう一台の馬車も助かっている人いるみたい」リリアが答える。
「了解、私とアリスは荷物の上に落ちた。軽傷よ。ペコは?」オフェリアの問いかけにリリアが答えないうちにアリスの通信が会話を遮った。
「賊が来た。襲われるよ!」
「リリア、ペコの面倒みて!皆、馬車二台落車した。賊に襲われる。戻って来て!助けて!」
オフェリアがそれだけ言うと通信が切れた。馬蹄の音が迫ってきている。
「ペコ!ペコ!… しっかり…」
フラフラしながらリリアはペコのところに… 酢漬けトマトの中でひっくり返っている。
「リリア… 私、どうなってる?…」ペコが擦れた声を出す。
「大丈夫。生きてる生きてる。これ飲んで」リリアがポーションを口に流し込む。
「…… ゲッフ…ゲフ… もう大丈夫、1本手に握らせて。後は自分でやる、賊でしょ、リリアも早く戦って」
リリアを遠慮なく怒鳴り散らすだけの事はある。小柄だが凄い根性をしている。
怒号が飛び交いだした。別な馬車からはフレイラを含んだ3人とオフェリア、アリスが交戦する。
リリアは弓を手にするが矢を全て落としていることに気がついて短剣に持ち換える。
剣は短剣とリリアモデルの剣を装備している。
全員落車した直後でフラフラだ。立ち上がって応戦するのも大したものだが、この状態では全く賊に歯が立たない。
「アリス下がって、数が多すぎる」オフェリアは馬を下りた賊を相手に防戦が精いっぱい。
「ダメだ、荷物は捨てよう、引くぞ!」誰かが叫ぶ。
「リリア、ペコは?」アリスはすでに手負いになっている。
「馬車の陰で回復中だよ!アリスが連れて逃げて。あたし抑える!」
オフェリアとリリア、男オークの三人で防戦しながら時間稼ぎ、フレイラと馬車手がバックアップする。
「荷物を奪え!」「女は生け捕れ、男は皆殺しだ」「抵抗するなら殺せ!」
賊どもが叫びながら襲い掛かって来る。
リリア達三人ではとてもかなわなかっただろうが、フレイラの回復が素晴らしく、馬車手のクロスボウが地味に相手の気を削いで役に立っている。
アリスとペコが戦場を離れるのを確認して、全員荷馬車から後退する。
「こいつら手強いぞ」「手を抜くな!殺しちまえ!」
リリア達も傷だらけだ、ゾンビ戦で体力を使っているフレイラの回復力が落ちてきた。退きながら戦う難しさ。賊は三人ほど犠牲が出すとリリア側は強いと踏んで諦め、荷物を確保しだした。
リリア達は小高い丘の上で、全員回復に努めていた。
落車した現場を見ると、賊が荷物をかき集めているのが見える。
「あいつら… あれでいいの?」リリアが呟く。
「戦場荒らしよ… 装備も良かったし、馬もあれ、軍馬でしょ…」アリスが答えた。
「二十人以上いるだろ。こっちは七人、内3人はプリーストと馬車手」オークが悔しそうに言う。
「荷物だけなら… 諦めましょう」フレイラが言うとしばらく皆沈黙した。
「人が生きるために人を殺すなんてねぇ…」オフェリアがポツリと言った。
「馬車と荷物は俺達の命だぜぇ…」馬車手が泣いている。
「荷物と一緒に命もくれてやる覚悟なら、もう一度戻るわよ」ペコが言うと再び沈黙が訪れた。
収穫に歓喜する賊の声が辺りに小さく聞こえていた。
芝生の上で気がついたリリア。一瞬気を失っていたようだ。全身が痛む…
「…… あぁ、馬車か… 落車だ… 血の海… いや、これは積み荷のトマトの酢漬けか…」
反射的にベルトポーチからポーションを取り出して飲んでいた。後頭部がぱっくり割れて出血していたるようだが、これで大丈夫だ。
二台の馬車が重なり合うように横転している。他車の馬は立ち上がろうとしているが、こちらの馬は二頭ともダメなようだ。涙を流し喘ぐように呼吸をしているが、安楽死しか道はないだろう。
荷物が散乱している。前方の馬車に乗っていた護衛と馬車手は息があるようだ。
こちらの馬車手は…横転した荷台の陰に倒れている… ダメだ… 見るからに頭が… 何かに押しつぶされたようだ。首もありえない方向に向いている。
「オフェリアよ。リリア、ペコ、大丈夫」通信が入って来た。
「こちらリリア、ポーション飲んだ。馬車手はダメよ。後、もう一台の馬車も助かっている人いるみたい」リリアが答える。
「了解、私とアリスは荷物の上に落ちた。軽傷よ。ペコは?」オフェリアの問いかけにリリアが答えないうちにアリスの通信が会話を遮った。
「賊が来た。襲われるよ!」
「リリア、ペコの面倒みて!皆、馬車二台落車した。賊に襲われる。戻って来て!助けて!」
オフェリアがそれだけ言うと通信が切れた。馬蹄の音が迫ってきている。
「ペコ!ペコ!… しっかり…」
フラフラしながらリリアはペコのところに… 酢漬けトマトの中でひっくり返っている。
「リリア… 私、どうなってる?…」ペコが擦れた声を出す。
「大丈夫。生きてる生きてる。これ飲んで」リリアがポーションを口に流し込む。
「…… ゲッフ…ゲフ… もう大丈夫、1本手に握らせて。後は自分でやる、賊でしょ、リリアも早く戦って」
リリアを遠慮なく怒鳴り散らすだけの事はある。小柄だが凄い根性をしている。
怒号が飛び交いだした。別な馬車からはフレイラを含んだ3人とオフェリア、アリスが交戦する。
リリアは弓を手にするが矢を全て落としていることに気がついて短剣に持ち換える。
剣は短剣とリリアモデルの剣を装備している。
全員落車した直後でフラフラだ。立ち上がって応戦するのも大したものだが、この状態では全く賊に歯が立たない。
「アリス下がって、数が多すぎる」オフェリアは馬を下りた賊を相手に防戦が精いっぱい。
「ダメだ、荷物は捨てよう、引くぞ!」誰かが叫ぶ。
「リリア、ペコは?」アリスはすでに手負いになっている。
「馬車の陰で回復中だよ!アリスが連れて逃げて。あたし抑える!」
オフェリアとリリア、男オークの三人で防戦しながら時間稼ぎ、フレイラと馬車手がバックアップする。
「荷物を奪え!」「女は生け捕れ、男は皆殺しだ」「抵抗するなら殺せ!」
賊どもが叫びながら襲い掛かって来る。
リリア達三人ではとてもかなわなかっただろうが、フレイラの回復が素晴らしく、馬車手のクロスボウが地味に相手の気を削いで役に立っている。
アリスとペコが戦場を離れるのを確認して、全員荷馬車から後退する。
「こいつら手強いぞ」「手を抜くな!殺しちまえ!」
リリア達も傷だらけだ、ゾンビ戦で体力を使っているフレイラの回復力が落ちてきた。退きながら戦う難しさ。賊は三人ほど犠牲が出すとリリア側は強いと踏んで諦め、荷物を確保しだした。
リリア達は小高い丘の上で、全員回復に努めていた。
落車した現場を見ると、賊が荷物をかき集めているのが見える。
「あいつら… あれでいいの?」リリアが呟く。
「戦場荒らしよ… 装備も良かったし、馬もあれ、軍馬でしょ…」アリスが答えた。
「二十人以上いるだろ。こっちは七人、内3人はプリーストと馬車手」オークが悔しそうに言う。
「荷物だけなら… 諦めましょう」フレイラが言うとしばらく皆沈黙した。
「人が生きるために人を殺すなんてねぇ…」オフェリアがポツリと言った。
「馬車と荷物は俺達の命だぜぇ…」馬車手が泣いている。
「荷物と一緒に命もくれてやる覚悟なら、もう一度戻るわよ」ペコが言うと再び沈黙が訪れた。
収穫に歓喜する賊の声が辺りに小さく聞こえていた。
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