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【75話】 緩衝地帯のゾンビ群
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接待が功を奏して、キャラバンの護衛に着いたリリア達。緩衝地帯監視所の業務が再開と同時にスムーズに出国し、緩衝地帯に入り込んだ。
が、ここが大問題。
周辺で軍の衝突があったので、アンデッドの類が多い予想はしていた。
協力して緩衝地帯を抜けるため十数両から成る混成キャラバンだったが、道端でうろつくゾンビ、スケルトンを退治し始めると、たちまち四方の丘からゾンビ仲間がにじり寄り始めた。
小高い丘が連続する地形、丘からワラワラとゾンビ、ソールイーターが襲って来る。
先頭の馬車が足止めされ、キャラバンは道の上で長く伸びきった状態で交戦開始。
通信イヤリングからは混成護衛達の声が耳に届くが、好き勝手に指示を出し合うのでわけがわからない状態が続く。
「通信は無視して自分達で何とかするわよ」オフェリアが剣を振り抜きながら指示を出す。
「次から次に沸いてるじゃない、国民の危機よ、軍は何やってるの!」リリアは馬車の上から弓を射る。
「この地形では見えてないんじゃないの?見えてても軍が緩衝地帯に入ったら戦争になるわよ」ペコはファイアーボールで攻撃。
「オフェリア、沢山いるからあまり前に出ないで」アリスはターンアンデッドを使用。
こういった場合、馬車手等は扱いの簡易なクロスボウで応戦する。
一人強者プリーストがいるらしく、ホーリーライトだかで強烈にゾンビに対抗しているが数が数だ、苦戦を強いられる。
「下がるな!踏みとどまれ!」
後衛の者から指示する声が飛びかうが、ゾンビの呪い、ゾンビ熱を警戒する前衛は後退してくる。教会で浄化して貰えるとは言え、誰だって呪われたくない。ゾンビの数に押されて各前衛が後退してくる。
「ダメだ!馬車を移動する!」
ゾンビの群れに押されて馬車が一台、道を逸れて丘を逃げ回り始めた。
路上を列になって戦っていた線が崩れると戦力も落ちる。
「数が多すぎる、逃げるぞ」
プレッシャー負けして次々と馬車が逃げ始める。
「おい!ウチの女4人組!俺達も逃げないと囲まれる」
「オフェリア!逃げるわよ!馬車乗って!」
リリア達の馬車も道を外れて、ゾンビの少ない方向へと野原を逃げ回り始めた。
十数両の馬車が思い思いに野原をグルグルとゾンビ群から逃げ回る奇妙な潰走状態が始まった。
「魔物がいない方へ逃げて、立て直すわよ」ペコが馬車手に言う。
「魔物だらけじゃないか!魔物がいない方向ってどっちだよ!」正論だ。
「あれ!あの馬車を追って!さっきすごいプリーストいたじゃない。あれと一緒に行こう!」リリアは強力プリーストの乗っている馬車を見つけた。生き残るには強いやつに頼るのが一番。
「よ、よし、あれだな!追っかけるぞ」馬車手の手綱に力が入る。
雲は多いが比較的快晴。緑の野原が平和な光景だ。が、その丘を馬車が勝手にウロウロ逃げ回り、その後ろをゾンビ群が追っている。
「オフェリア、あの馬車に通信しなさいよ。馬車に付いて行くから、適当な場所で共闘しようって伝えるのよ」ペコがリーダーのオフェリアに指示する。
オフェリアが通信すると、それを聞いて周囲にいた馬車数台が固まってきた。強力プリーストが目立ったおかげだろう。
一度、ゾンビ群を大きく振り切って体制を立て直して戦う準備に入るリリア達。
が、ここが大問題。
周辺で軍の衝突があったので、アンデッドの類が多い予想はしていた。
協力して緩衝地帯を抜けるため十数両から成る混成キャラバンだったが、道端でうろつくゾンビ、スケルトンを退治し始めると、たちまち四方の丘からゾンビ仲間がにじり寄り始めた。
小高い丘が連続する地形、丘からワラワラとゾンビ、ソールイーターが襲って来る。
先頭の馬車が足止めされ、キャラバンは道の上で長く伸びきった状態で交戦開始。
通信イヤリングからは混成護衛達の声が耳に届くが、好き勝手に指示を出し合うのでわけがわからない状態が続く。
「通信は無視して自分達で何とかするわよ」オフェリアが剣を振り抜きながら指示を出す。
「次から次に沸いてるじゃない、国民の危機よ、軍は何やってるの!」リリアは馬車の上から弓を射る。
「この地形では見えてないんじゃないの?見えてても軍が緩衝地帯に入ったら戦争になるわよ」ペコはファイアーボールで攻撃。
「オフェリア、沢山いるからあまり前に出ないで」アリスはターンアンデッドを使用。
こういった場合、馬車手等は扱いの簡易なクロスボウで応戦する。
一人強者プリーストがいるらしく、ホーリーライトだかで強烈にゾンビに対抗しているが数が数だ、苦戦を強いられる。
「下がるな!踏みとどまれ!」
後衛の者から指示する声が飛びかうが、ゾンビの呪い、ゾンビ熱を警戒する前衛は後退してくる。教会で浄化して貰えるとは言え、誰だって呪われたくない。ゾンビの数に押されて各前衛が後退してくる。
「ダメだ!馬車を移動する!」
ゾンビの群れに押されて馬車が一台、道を逸れて丘を逃げ回り始めた。
路上を列になって戦っていた線が崩れると戦力も落ちる。
「数が多すぎる、逃げるぞ」
プレッシャー負けして次々と馬車が逃げ始める。
「おい!ウチの女4人組!俺達も逃げないと囲まれる」
「オフェリア!逃げるわよ!馬車乗って!」
リリア達の馬車も道を外れて、ゾンビの少ない方向へと野原を逃げ回り始めた。
十数両の馬車が思い思いに野原をグルグルとゾンビ群から逃げ回る奇妙な潰走状態が始まった。
「魔物がいない方へ逃げて、立て直すわよ」ペコが馬車手に言う。
「魔物だらけじゃないか!魔物がいない方向ってどっちだよ!」正論だ。
「あれ!あの馬車を追って!さっきすごいプリーストいたじゃない。あれと一緒に行こう!」リリアは強力プリーストの乗っている馬車を見つけた。生き残るには強いやつに頼るのが一番。
「よ、よし、あれだな!追っかけるぞ」馬車手の手綱に力が入る。
雲は多いが比較的快晴。緑の野原が平和な光景だ。が、その丘を馬車が勝手にウロウロ逃げ回り、その後ろをゾンビ群が追っている。
「オフェリア、あの馬車に通信しなさいよ。馬車に付いて行くから、適当な場所で共闘しようって伝えるのよ」ペコがリーダーのオフェリアに指示する。
オフェリアが通信すると、それを聞いて周囲にいた馬車数台が固まってきた。強力プリーストが目立ったおかげだろう。
一度、ゾンビ群を大きく振り切って体制を立て直して戦う準備に入るリリア達。
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