56 / 517
【28.5話】 リリアは床上手
しおりを挟む
「おい、お前明日は予定あるのか?」男が女に聞く。
夜更けになり食堂も静かになってきた。
宿屋の一室では男女がベッドにあられもない姿で転がっている。先ほどまでどってんばったんと騒音公害を引き起こしていたが、今しがた静かになったところ。男も女も汗ばんで上気した体のクールダウン中だ。
「おい、明日何か予定あるのか?」
同じ質問が来た。が、リリアは今、とても満足気分だ、このまま眠りに落ちていきたい。夕食を済ませ、適当にお酒も入り、ちょっと気の利いた口説き文句で誘われ、今心ゆくまでどってんばったん楽しんだところだ、寝落ちの条件は整った、これ以上人は何が必要だろうか。
「… んん…」リリアは目をつぶって顔を男の胸に寄せる。リリアはこのまま寝落ち希望。
「おい、お前しばらく俺と一緒になれよ」
一晩だけじゃなく、リリアと毎晩過ごしたいのね?まぁ無理はない、リリアは頑張りましたからね。
「… んん…」リリアは少しだけ片目をうっすら開けて、相手と視線を合わせてあげる。気の利いた口説き文句なら聞いてあげてもいいわよ合図。
「どこか町を移動するのか?明日からどうするんだ」
「… ふぅん…」やっぱり目を閉じますね。口説きではないのね。どちらにせよリリアは今のところ誰かに所属する気はないのよね。
「おい、俺達上手くいくと思わないか?」
町中で石を投げたら2回に1回は異性に当たるのよ、お互いわざわざ相手を限定する必要ないじゃないねぇ。リリアはコロっと寝返りを打つと男と反対方向に向く。もう寝ましょう。
「おい!」男はちょっと強引にリリアを掴んで自分の方に向ける。
「ぁ… ぅぅん…」ちょっと声がでる。さっきまで大暴れしていたので、まだ体の細胞がざわついているよう。
そうねぇ… 男は見栄っ張りでちょっと自信過剰でちょっと強引なくらでないとねぇ。
リリアもそういうの嫌いじゃなわ。リリアは腕を相手の腰にまわして頭を胸につけながら、足でベッドの冷たい場所を探る。体がポカポカなのだ。
「俺が守ってやるぜ、しばらく一緒に町を巡ろう」
“守ってやる”ですか… 口説きとして良いじゃない?リリアは重い瞼をゆっくりと押し上げて相手をうっすらと見る。切れ長の目、長いまつ毛の間から覗かせる、輝く瞳。ゆっくりと瞬きするリリア。その先を聞いてあげますよ。
「お前、弓士なんだろう、俺の剣盾と組めば遠距離も接近も最強だ」
「… んん…」最強かどうか知らないけど、戦術的に相性はいいわよね。でも、リリアには戦術的相性とかどうでもいいの。リリアちゃんをゲットするにはもっと違うことなのよ。リリアはちょっと顎をあげて、相手と視線を合わせる。もう一度チャンスよ、リリア獲得のラストチャンスなのだ。
「俺はここから西に行く予定だ。お前も一緒に来いよ」
「…………ふぅ…」リリアは大きく呼吸する。豊かな胸が弾む。残念ね、時間切れ。リリアは誰にも属さない。
「残念ね、あたしは東よ」リリアはベッドから身を起こして、コップを手に乾いた喉を潤す。
「日の出前にはお別れね… 気に入ってくれたのなら、もう一回?」ちょっと悪戯っぽく笑うリリア。
男は無言でリリアの腕を引き込んだ。
大柄な男女が暴れるので、声が、ベッドの軋みが部屋いっぱいに満ちていく。
リリアは17歳だ、計算でないのなら弓とベッドは天性の素質としかいいようがない。
夜更けになり食堂も静かになってきた。
宿屋の一室では男女がベッドにあられもない姿で転がっている。先ほどまでどってんばったんと騒音公害を引き起こしていたが、今しがた静かになったところ。男も女も汗ばんで上気した体のクールダウン中だ。
「おい、明日何か予定あるのか?」
同じ質問が来た。が、リリアは今、とても満足気分だ、このまま眠りに落ちていきたい。夕食を済ませ、適当にお酒も入り、ちょっと気の利いた口説き文句で誘われ、今心ゆくまでどってんばったん楽しんだところだ、寝落ちの条件は整った、これ以上人は何が必要だろうか。
「… んん…」リリアは目をつぶって顔を男の胸に寄せる。リリアはこのまま寝落ち希望。
「おい、お前しばらく俺と一緒になれよ」
一晩だけじゃなく、リリアと毎晩過ごしたいのね?まぁ無理はない、リリアは頑張りましたからね。
「… んん…」リリアは少しだけ片目をうっすら開けて、相手と視線を合わせてあげる。気の利いた口説き文句なら聞いてあげてもいいわよ合図。
「どこか町を移動するのか?明日からどうするんだ」
「… ふぅん…」やっぱり目を閉じますね。口説きではないのね。どちらにせよリリアは今のところ誰かに所属する気はないのよね。
「おい、俺達上手くいくと思わないか?」
町中で石を投げたら2回に1回は異性に当たるのよ、お互いわざわざ相手を限定する必要ないじゃないねぇ。リリアはコロっと寝返りを打つと男と反対方向に向く。もう寝ましょう。
「おい!」男はちょっと強引にリリアを掴んで自分の方に向ける。
「ぁ… ぅぅん…」ちょっと声がでる。さっきまで大暴れしていたので、まだ体の細胞がざわついているよう。
そうねぇ… 男は見栄っ張りでちょっと自信過剰でちょっと強引なくらでないとねぇ。
リリアもそういうの嫌いじゃなわ。リリアは腕を相手の腰にまわして頭を胸につけながら、足でベッドの冷たい場所を探る。体がポカポカなのだ。
「俺が守ってやるぜ、しばらく一緒に町を巡ろう」
“守ってやる”ですか… 口説きとして良いじゃない?リリアは重い瞼をゆっくりと押し上げて相手をうっすらと見る。切れ長の目、長いまつ毛の間から覗かせる、輝く瞳。ゆっくりと瞬きするリリア。その先を聞いてあげますよ。
「お前、弓士なんだろう、俺の剣盾と組めば遠距離も接近も最強だ」
「… んん…」最強かどうか知らないけど、戦術的に相性はいいわよね。でも、リリアには戦術的相性とかどうでもいいの。リリアちゃんをゲットするにはもっと違うことなのよ。リリアはちょっと顎をあげて、相手と視線を合わせる。もう一度チャンスよ、リリア獲得のラストチャンスなのだ。
「俺はここから西に行く予定だ。お前も一緒に来いよ」
「…………ふぅ…」リリアは大きく呼吸する。豊かな胸が弾む。残念ね、時間切れ。リリアは誰にも属さない。
「残念ね、あたしは東よ」リリアはベッドから身を起こして、コップを手に乾いた喉を潤す。
「日の出前にはお別れね… 気に入ってくれたのなら、もう一回?」ちょっと悪戯っぽく笑うリリア。
男は無言でリリアの腕を引き込んだ。
大柄な男女が暴れるので、声が、ベッドの軋みが部屋いっぱいに満ちていく。
リリアは17歳だ、計算でないのなら弓とベッドは天性の素質としかいいようがない。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
女神様の使い、5歳からやってます
めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。
「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」
女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに?
優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕!
基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。
戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。
転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件
桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。
神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。
しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。
ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。
ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。

婚約破棄を申し込まれたので、ちょっと仕返ししてみることにしました。
夢草 蝶
恋愛
婚約破棄を申し込まれた令嬢・サトレア。
しかし、その理由とその時の婚約者の物言いに腹が立ったので、ちょっと仕返ししてみることにした。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる