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【24.5話】 リリアの街デビュー ※過去の話し※
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リリアは屋台が並ぶ商業区の一角で揚げパンを片手に、木箱に座って通りを眺めている、通りの向かいにはメルがお店を出している。
「すごいなぁ、人いっぱい」目を輝かせて、飽きることなく眺める。人種もいっぱい、物もいっぱい、何をやる人かわからないけど、色んな人が色んな恰好をして歩いていく。
誰もリリアを気に留める様子もない。村では、すぐにリリアがどこで何していたと話が立つがここではリリアが何をしていても誰も気にしないらしい。街って素晴らしい。
少し前までリリアはガウをマンマークしていた。ガウが街ですることは将来リリアがやるべき事でもあるのだ。徹底マーク、密着取材をしないといけない。
商人に村の野菜やお酒を買い取ってもらい、修理した防具、武器を武器屋で買い取ってもらい、廃品同然の物を引き取るようだ。剣も強く、演算も出来る父さんは凄い。
街に入ってリリアの受けた作戦指令は非常に完結なものだ。ガウからは短剣を渡され、
「衛兵だけは刺すな」と言われ、メルからは
「ギャンブルはダメだよ」と言われて、お小遣いをもらっただけ。
誰もリリアが迷子になるとか、人さらいに連れていかれるとか心配していないようだ。
「衛兵以外は刺していいの?」街ってそんなことろなのか?リリアは質問する。
「お前に刺されるような間抜けがいるか!」とガウは言い放ってガッハッハと笑っている。
“一体何のために持たされたのか?邪魔なだけじゃない“リリアは例のごとくジッとガウを見つめて思う。
ガウのマンマークを終えたリリアはメルを観察していた。
ちょこちょこ怪我人、病人がメルの出店に来ては治癒を受けお金を払って帰っていく。
さっきは衛兵が来て、“治癒術衛生士”と“往来出店”の許可書を見せろと言っていた。
商人ギルドの人も来て“商売ギルド証”と出店料を求めていった。
それから、ツルッパゲの若造三人が、何だかんだ言って、お金をとっていった。
“何だあいつら、若造三人でツルッパゲなんて絶対悪い連中よ”リリアのゴーストがそう囁くようだ。何であんな連中にお金を払うのか納得いかないけど、メルは淡々としている。街とはそういうものなのか?今度来たら、リリアがただじゃおかないわ、衛兵以外は刺して良いって父さんが言っていた、リリアは腰の短剣を確かめる。
メルは白地に赤い十字マークがついたフードを目深く被り、ちょっとうつむき気味に座っている。“治癒します・薬草あります・占星術始めました”と板に書いてある。
幼いリリアには詳しくわからないが、何となく占星術はついでっぽい印象を受ける。
メルはうつ向いて、家にいる時とは何か雰囲気が違う。
「ッよ」揚げパンを食べ終えると木箱から飛び降り、リリアはメルの隣の腰掛に座った。今はお客がいない。
「母さん、その赤い十字は?」質問するリリア。
「これはケガや病気を直す人の印だよ」メルが伏目がちに答える。
「… なんでフードを被っているの?」
「……… プリーストっぽいだろ」
「…… なんでずっと下向いてるの?」
「……… 病気を治す人間が景気の良い顔できないだろ」
「………… なんでさっきから小声なの?」
「………… 大声で愛想良くしゃべる占い師はいないだろ」
「…………… 母さん占い出来るの?」
「…… 母さんはリリアのためなら何でも出来るんだよ」
「……………… リリアも今度占ってよ」
「…… おまえ…… 母さんにも出来る事と出来ない事があるんだよ」
「………………………………」
“大人の言うことってなんでこんなに難しいのかしら”いや、メルは能力を使えるから難しく聞こえるのかな?筋力派のガウの方が単純明快な気がする。リリアも能力より筋力派だ。
魔法が使えないリリアには母の言うことは偉大過ぎると感じる。
「ねぇ、占星術だってぇ、見てもらおうよ!」楽器を持った、女性三人がメルの前に座った。バードカレッジの女学生らしい。キャッピキャピしている。
メルは伏目がちにボソボソと
「毎度あり、当店では料金分だけ精度の高い占星術を行います」と言うとカードを厳かな手つきで取り出した。
“占星?それカードじゃない…”リリアは思ったが、余計な事を言うより、この後の想像を絶する物語を聞くのが最優先と、ドキドキしながらメルの言葉を待っていた。
女学生はキャピキャピして雰囲気を楽しんでいるようだった。
「すごいなぁ、人いっぱい」目を輝かせて、飽きることなく眺める。人種もいっぱい、物もいっぱい、何をやる人かわからないけど、色んな人が色んな恰好をして歩いていく。
誰もリリアを気に留める様子もない。村では、すぐにリリアがどこで何していたと話が立つがここではリリアが何をしていても誰も気にしないらしい。街って素晴らしい。
少し前までリリアはガウをマンマークしていた。ガウが街ですることは将来リリアがやるべき事でもあるのだ。徹底マーク、密着取材をしないといけない。
商人に村の野菜やお酒を買い取ってもらい、修理した防具、武器を武器屋で買い取ってもらい、廃品同然の物を引き取るようだ。剣も強く、演算も出来る父さんは凄い。
街に入ってリリアの受けた作戦指令は非常に完結なものだ。ガウからは短剣を渡され、
「衛兵だけは刺すな」と言われ、メルからは
「ギャンブルはダメだよ」と言われて、お小遣いをもらっただけ。
誰もリリアが迷子になるとか、人さらいに連れていかれるとか心配していないようだ。
「衛兵以外は刺していいの?」街ってそんなことろなのか?リリアは質問する。
「お前に刺されるような間抜けがいるか!」とガウは言い放ってガッハッハと笑っている。
“一体何のために持たされたのか?邪魔なだけじゃない“リリアは例のごとくジッとガウを見つめて思う。
ガウのマンマークを終えたリリアはメルを観察していた。
ちょこちょこ怪我人、病人がメルの出店に来ては治癒を受けお金を払って帰っていく。
さっきは衛兵が来て、“治癒術衛生士”と“往来出店”の許可書を見せろと言っていた。
商人ギルドの人も来て“商売ギルド証”と出店料を求めていった。
それから、ツルッパゲの若造三人が、何だかんだ言って、お金をとっていった。
“何だあいつら、若造三人でツルッパゲなんて絶対悪い連中よ”リリアのゴーストがそう囁くようだ。何であんな連中にお金を払うのか納得いかないけど、メルは淡々としている。街とはそういうものなのか?今度来たら、リリアがただじゃおかないわ、衛兵以外は刺して良いって父さんが言っていた、リリアは腰の短剣を確かめる。
メルは白地に赤い十字マークがついたフードを目深く被り、ちょっとうつむき気味に座っている。“治癒します・薬草あります・占星術始めました”と板に書いてある。
幼いリリアには詳しくわからないが、何となく占星術はついでっぽい印象を受ける。
メルはうつ向いて、家にいる時とは何か雰囲気が違う。
「ッよ」揚げパンを食べ終えると木箱から飛び降り、リリアはメルの隣の腰掛に座った。今はお客がいない。
「母さん、その赤い十字は?」質問するリリア。
「これはケガや病気を直す人の印だよ」メルが伏目がちに答える。
「… なんでフードを被っているの?」
「……… プリーストっぽいだろ」
「…… なんでずっと下向いてるの?」
「……… 病気を治す人間が景気の良い顔できないだろ」
「………… なんでさっきから小声なの?」
「………… 大声で愛想良くしゃべる占い師はいないだろ」
「…………… 母さん占い出来るの?」
「…… 母さんはリリアのためなら何でも出来るんだよ」
「……………… リリアも今度占ってよ」
「…… おまえ…… 母さんにも出来る事と出来ない事があるんだよ」
「………………………………」
“大人の言うことってなんでこんなに難しいのかしら”いや、メルは能力を使えるから難しく聞こえるのかな?筋力派のガウの方が単純明快な気がする。リリアも能力より筋力派だ。
魔法が使えないリリアには母の言うことは偉大過ぎると感じる。
「ねぇ、占星術だってぇ、見てもらおうよ!」楽器を持った、女性三人がメルの前に座った。バードカレッジの女学生らしい。キャッピキャピしている。
メルは伏目がちにボソボソと
「毎度あり、当店では料金分だけ精度の高い占星術を行います」と言うとカードを厳かな手つきで取り出した。
“占星?それカードじゃない…”リリアは思ったが、余計な事を言うより、この後の想像を絶する物語を聞くのが最優先と、ドキドキしながらメルの言葉を待っていた。
女学生はキャピキャピして雰囲気を楽しんでいるようだった。
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