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【20.5話】 ギロチナー・ドン
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「わあぁ!わあぁ!」
リリアが夕刻に食事場に現れると、兵士達から歓声が上がった。
リリアは喧嘩でも始まったのかと思いながら、給食のラインに並んでいたが、後ろの男から
「お前のことだぞ」と肩をつつかれた。
“そうなの?あたしが射手を務める話がまわってるの?”リリアはちょっと手を上げてみる。
「わあああ!」歓声が一際大きくなり、テーブルがバンバン打ち鳴らされる。これは気持ちいい。
「いやぁ、どうもどうも、いやどうも」愛想笑いしながらちょっとの間手を振る。ちなみに夕食は全員に一口程度の鶏肉が出ていた。上層部は最低限の約束を果たしたかたち。
“さぁ、顔馴染み達とお食事ですよ”リリアは食事の盛られたトレーを手にいつもの顔ぶれを探し始めた。
リリアは食事をしている、顔馴染みは皆ちょっと離れた席からリリアを気の毒そうに眺めていた。
リリアが席に着くと、待ってましたとばかりに、ギロチナー・ドンと名乗る男が隣に座って来たのだ。皆気味悪がって席を移動する。この自らをギロチナー・ドンと名乗る男、縦にも横にもやたらでかい、大きな斧を持って、黒い袋?のような物を頭からすっぽりと被り、目だけ穴を空けている。何かと思えば、ドンは死刑執行人で首をはねる係りらしい。故にギロチナーらしい。皆が避けるわけだ。
それで、リリアに何用かと思えば、明日、処刑される場合は俺が綺麗さっぱり上手にやってやるアピールしてくるのである。飯が不味くなる、向こうに行って欲しいと思うリリア。
しかも、リリアは国の為に死ぬ気は全然ない。そもそもリリアには人事決定権はないはず。
ドン曰く
「下手な奴は3回に2回は失敗して首がぶらぶらするが、俺は5回に4回は成功させる」
“なんだよ、失敗するんじゃん”リリアは黙って聞いている。
自分の武勇伝を語りながら、その間に、二言目には「このマスクが暑くて」「マスクが邪魔で」と愚痴っている。
「脱いだら?」とリリアが言うと、「処刑人として人に顔を見せてしまったらプロとしてそれはどうか?」っと言われた。
「どうか?」って聞かれても知ったこっちゃないよ。プロなら愚痴るな、黙って好きなだけ被ってろ。
プロがどうのってわりには、飯を食う時にマスクを鼻の上あたりまで上げて、口に物を運んで食べる。
“顔、半分くらい見えてますよ”リリアは心の中で思う。こいつのプロ意識は顔の大きさの半分程度しかないじゃないか。そもそもこれだけ特徴のある体型ならマスク脱いで大衆に混ざっていてもリリアなら一発でドンだとわかるだろう。
自分の話しと武勇伝の演説を延々と聞かされ、自分はプロとして処刑人をやっていくために独身を貫くと語り、その合間に
「これが俺の相棒よ」とか言いながら時々、処刑に使っているであろう斧をランタンにかざして眩しそうにするのである。なんか不気味。
“何が独身を貫くだ、リリアちゃん程の女性を目の前に酒の一杯も勧めず、自慢話と武勇伝ばかり語る男なんてモテやしないわよ”リリアはウンザリしながら聞いている。
「ねぇ、ギロチナーじゃなくて、ギロチニストじゃだめなの?」ふと気になってリリアは聞いてみた。
「俺はギロチナーだ!」とか適当に即答すると思っていたら、意外に悩み始めてしまった。
“……… けっこう真面目な人なのね…”目標沈黙。
「ねぇ、さっきからの話しだと4連続成功してるんでしょ?5回に4回成功なら次は失敗する番よ」リリアは押し込んでみた。
ドンは目を白黒させて口をつぐんでしまった。
「あたし、向こうで食べるから」さっと席を立つと皆のいる席に飛び込んだ。
皆、笑顔でリリアを迎える。
ドンを見ると完全に頭を抱えて悩み中だった。
リリアが夕刻に食事場に現れると、兵士達から歓声が上がった。
リリアは喧嘩でも始まったのかと思いながら、給食のラインに並んでいたが、後ろの男から
「お前のことだぞ」と肩をつつかれた。
“そうなの?あたしが射手を務める話がまわってるの?”リリアはちょっと手を上げてみる。
「わあああ!」歓声が一際大きくなり、テーブルがバンバン打ち鳴らされる。これは気持ちいい。
「いやぁ、どうもどうも、いやどうも」愛想笑いしながらちょっとの間手を振る。ちなみに夕食は全員に一口程度の鶏肉が出ていた。上層部は最低限の約束を果たしたかたち。
“さぁ、顔馴染み達とお食事ですよ”リリアは食事の盛られたトレーを手にいつもの顔ぶれを探し始めた。
リリアは食事をしている、顔馴染みは皆ちょっと離れた席からリリアを気の毒そうに眺めていた。
リリアが席に着くと、待ってましたとばかりに、ギロチナー・ドンと名乗る男が隣に座って来たのだ。皆気味悪がって席を移動する。この自らをギロチナー・ドンと名乗る男、縦にも横にもやたらでかい、大きな斧を持って、黒い袋?のような物を頭からすっぽりと被り、目だけ穴を空けている。何かと思えば、ドンは死刑執行人で首をはねる係りらしい。故にギロチナーらしい。皆が避けるわけだ。
それで、リリアに何用かと思えば、明日、処刑される場合は俺が綺麗さっぱり上手にやってやるアピールしてくるのである。飯が不味くなる、向こうに行って欲しいと思うリリア。
しかも、リリアは国の為に死ぬ気は全然ない。そもそもリリアには人事決定権はないはず。
ドン曰く
「下手な奴は3回に2回は失敗して首がぶらぶらするが、俺は5回に4回は成功させる」
“なんだよ、失敗するんじゃん”リリアは黙って聞いている。
自分の武勇伝を語りながら、その間に、二言目には「このマスクが暑くて」「マスクが邪魔で」と愚痴っている。
「脱いだら?」とリリアが言うと、「処刑人として人に顔を見せてしまったらプロとしてそれはどうか?」っと言われた。
「どうか?」って聞かれても知ったこっちゃないよ。プロなら愚痴るな、黙って好きなだけ被ってろ。
プロがどうのってわりには、飯を食う時にマスクを鼻の上あたりまで上げて、口に物を運んで食べる。
“顔、半分くらい見えてますよ”リリアは心の中で思う。こいつのプロ意識は顔の大きさの半分程度しかないじゃないか。そもそもこれだけ特徴のある体型ならマスク脱いで大衆に混ざっていてもリリアなら一発でドンだとわかるだろう。
自分の話しと武勇伝の演説を延々と聞かされ、自分はプロとして処刑人をやっていくために独身を貫くと語り、その合間に
「これが俺の相棒よ」とか言いながら時々、処刑に使っているであろう斧をランタンにかざして眩しそうにするのである。なんか不気味。
“何が独身を貫くだ、リリアちゃん程の女性を目の前に酒の一杯も勧めず、自慢話と武勇伝ばかり語る男なんてモテやしないわよ”リリアはウンザリしながら聞いている。
「ねぇ、ギロチナーじゃなくて、ギロチニストじゃだめなの?」ふと気になってリリアは聞いてみた。
「俺はギロチナーだ!」とか適当に即答すると思っていたら、意外に悩み始めてしまった。
“……… けっこう真面目な人なのね…”目標沈黙。
「ねぇ、さっきからの話しだと4連続成功してるんでしょ?5回に4回成功なら次は失敗する番よ」リリアは押し込んでみた。
ドンは目を白黒させて口をつぐんでしまった。
「あたし、向こうで食べるから」さっと席を立つと皆のいる席に飛び込んだ。
皆、笑顔でリリアを迎える。
ドンを見ると完全に頭を抱えて悩み中だった。
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