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3巻オマケ
父の心
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「藤森さんは、本当に怒りませんねぇ」
感心したような部下の声は、営業先で散々辛苦を舐めた後、言われた言葉だった。
営業職をしていれば、人を人とも思わない輩ともたまに遭遇することがある。
それでも頭を下げ、これが人間のする仕事か、と内心血反吐を吐きつつ、家族の為、自分の為に勤めてきた。
生来、そういう気質なのだろう。
人に手を上げたことが本当になかった。
なかったはずなのに──
「ご無沙汰しています」
帰宅した折、深々と頭を下げる青年が家の中にいた。
気が付いたら、軟弱な拳を振り上げていた。
「お父さん……!!」
愛娘の奏楽の酷く驚いた声。
自分より体格もよく、力も強いであろう男は、避けることなく、自分の拳をその頬に受けた。
「人の娘を何だと思ってる!」
怒らない人間なわけではない。
いつも、怒りをうまい具合に流すことを覚えてきただけだ。
だけど、今は無理だった。
1年半、その男と別れた後の娘を見てきた。
自分の娘がどれだけ悲しんでいたか、どれだけ傷ついていたか、言わずともうかがい知れた。
暴力は好きではない。
滅多なことでも怒らない。
だけど、父として、怒らなければならない時もある──そう思った。
※※※※※※
奏楽の父「泊まるところがない? ……勝手にしろ」
ソラ「ごめんね、アレイ……。お父さんが……」
アレイ「仕方ないよ。殴られて当然だから」
奏楽の母「アレイさん、お布団、ここでよかったかしら?」
アレイ「ああ、すみま──」
ソラ「……」
階段下収納に突っ込まれた布団。
奏楽の母「ここで、いいわよね?(^^)」
アレイ「:(´◦ω◦`): (この人が一番、怒ってた──!!!)」
感心したような部下の声は、営業先で散々辛苦を舐めた後、言われた言葉だった。
営業職をしていれば、人を人とも思わない輩ともたまに遭遇することがある。
それでも頭を下げ、これが人間のする仕事か、と内心血反吐を吐きつつ、家族の為、自分の為に勤めてきた。
生来、そういう気質なのだろう。
人に手を上げたことが本当になかった。
なかったはずなのに──
「ご無沙汰しています」
帰宅した折、深々と頭を下げる青年が家の中にいた。
気が付いたら、軟弱な拳を振り上げていた。
「お父さん……!!」
愛娘の奏楽の酷く驚いた声。
自分より体格もよく、力も強いであろう男は、避けることなく、自分の拳をその頬に受けた。
「人の娘を何だと思ってる!」
怒らない人間なわけではない。
いつも、怒りをうまい具合に流すことを覚えてきただけだ。
だけど、今は無理だった。
1年半、その男と別れた後の娘を見てきた。
自分の娘がどれだけ悲しんでいたか、どれだけ傷ついていたか、言わずともうかがい知れた。
暴力は好きではない。
滅多なことでも怒らない。
だけど、父として、怒らなければならない時もある──そう思った。
※※※※※※
奏楽の父「泊まるところがない? ……勝手にしろ」
ソラ「ごめんね、アレイ……。お父さんが……」
アレイ「仕方ないよ。殴られて当然だから」
奏楽の母「アレイさん、お布団、ここでよかったかしら?」
アレイ「ああ、すみま──」
ソラ「……」
階段下収納に突っ込まれた布団。
奏楽の母「ここで、いいわよね?(^^)」
アレイ「:(´◦ω◦`): (この人が一番、怒ってた──!!!)」
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