101 / 121
3巻オマケ
愚者か賢者か
しおりを挟む
「ラフレ姫に結婚の話が決まったそうです」
ナシカの言葉に、一瞬、彼の主であるハクサ殿下は返す言葉を失ったようだった。
だがすぐに立ちあがると、出かける支度を始める。
「どちらへ?」
「コンビニだ。ラフレ姫に求婚する」
堂々とそんなことを言うハクサに対し、ナシカは何も言わない。
入口のところで黙って見ているであろうジーストもだ。
きっと、自分たちでなければ止めに入るだろうことは分かっている。
既に破談になっている結婚相手に、求婚したところで意味はない。
そして今の時期に名を名乗ったところで、春祭り開催中は求婚にならない。
この期間の【名乗り】は、最終日のダンスパートナーの申し出として取られるからだ。
それを分かっているだろうに、敢えて【求婚】だと言うハクサは、
本当にただの馬鹿なのか――
それとも――……
ハクサの後を付き従いながらチラリとジーストを見れば、彼は真っ直ぐにハクサの背中を見ていた。
自分たちの主君は国中から笑われる【愚か者】だ。
「ラフレ姫……私の名前はナニーエ・ファ・キザク・ハクサです。どうか私に舞踏会で共に踊る許可を与えてください」
コンビニの店内で、自分の主は、求婚と言っていたはずなのに、迷うことなくダンスパートナーの申し込みを、彼の意中の相手でもあるラフレに申し込んでいた。
(我が主は、本当に愚者なのか……)
ジーストは相変わらずハクサの背中見ている。
その目は常に真っ直ぐだ。
自分の主が愚者か賢者かなど、見極める気はないのか。
いや、どちらであっても、彼は自分の主であるハクサを好ましく思っているのだから、例えどんなことになってもついていくのだろう。
(さて、私はどうすべきですかねぇ……)
ジーストのようにナシカには立ちまわれないが、それでも薄らと何かの気配をナシカは感じ取っていた。
自分の主は愚者か、賢者か。
その見極めの時を、自分は決して間違えてはならない――
ナシカの言葉に、一瞬、彼の主であるハクサ殿下は返す言葉を失ったようだった。
だがすぐに立ちあがると、出かける支度を始める。
「どちらへ?」
「コンビニだ。ラフレ姫に求婚する」
堂々とそんなことを言うハクサに対し、ナシカは何も言わない。
入口のところで黙って見ているであろうジーストもだ。
きっと、自分たちでなければ止めに入るだろうことは分かっている。
既に破談になっている結婚相手に、求婚したところで意味はない。
そして今の時期に名を名乗ったところで、春祭り開催中は求婚にならない。
この期間の【名乗り】は、最終日のダンスパートナーの申し出として取られるからだ。
それを分かっているだろうに、敢えて【求婚】だと言うハクサは、
本当にただの馬鹿なのか――
それとも――……
ハクサの後を付き従いながらチラリとジーストを見れば、彼は真っ直ぐにハクサの背中を見ていた。
自分たちの主君は国中から笑われる【愚か者】だ。
「ラフレ姫……私の名前はナニーエ・ファ・キザク・ハクサです。どうか私に舞踏会で共に踊る許可を与えてください」
コンビニの店内で、自分の主は、求婚と言っていたはずなのに、迷うことなくダンスパートナーの申し込みを、彼の意中の相手でもあるラフレに申し込んでいた。
(我が主は、本当に愚者なのか……)
ジーストは相変わらずハクサの背中見ている。
その目は常に真っ直ぐだ。
自分の主が愚者か賢者かなど、見極める気はないのか。
いや、どちらであっても、彼は自分の主であるハクサを好ましく思っているのだから、例えどんなことになってもついていくのだろう。
(さて、私はどうすべきですかねぇ……)
ジーストのようにナシカには立ちまわれないが、それでも薄らと何かの気配をナシカは感じ取っていた。
自分の主は愚者か、賢者か。
その見極めの時を、自分は決して間違えてはならない――
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
219
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。