92 / 121
2巻オマケ
待て
しおりを挟む
「店長は、甘いお菓子とかは好きですか?」
食後、コーヒーにミルクと砂糖を入れた俺に、ソラちゃんがさりげなく聞いてくる。
俺は何も気が付かないふりをしつつ、
「うん、好きだよ」
と笑顔で返す。ソラちゃんが「ふぅん」と何の気もない感じで言うから、
「チョコとか、結構食べるかな」
と追随すれば、ソラちゃんはハッとこちらを見てから、真っ赤に頬を染めた。
ヤバイ。どうして休みが今日だけなんだろう。
明日まで休みだったら、恥じらうこともなく彼女の実家に電話して、俺の部屋に掻っ攫うのに。
勿論、頭の中でそこから始まる妄想は、必死にコーヒーと共に流し込んで誤魔化す。
彼女の答えを待つと言ったのは俺だ。
待てるはずなのに、気が付くと余裕が擦り切れている。
(バレンタインは期待していいのかな?)
あわよくば、チョコを渡してくれる君事戴きたいところなんだけど、それを言ったら絶対引くことも分かっているので、黙っている。
「て、手作りとかは得意じゃないですから」
ポツリと呟かれた、拗ねたような声色に、俺の心はどうしようもなく弾んでしまう。
ああ、いつまで待てばいいのかな。
お上品に、よく躾られた犬の様に、我慢できる自分の限界まであと少し。
食後、コーヒーにミルクと砂糖を入れた俺に、ソラちゃんがさりげなく聞いてくる。
俺は何も気が付かないふりをしつつ、
「うん、好きだよ」
と笑顔で返す。ソラちゃんが「ふぅん」と何の気もない感じで言うから、
「チョコとか、結構食べるかな」
と追随すれば、ソラちゃんはハッとこちらを見てから、真っ赤に頬を染めた。
ヤバイ。どうして休みが今日だけなんだろう。
明日まで休みだったら、恥じらうこともなく彼女の実家に電話して、俺の部屋に掻っ攫うのに。
勿論、頭の中でそこから始まる妄想は、必死にコーヒーと共に流し込んで誤魔化す。
彼女の答えを待つと言ったのは俺だ。
待てるはずなのに、気が付くと余裕が擦り切れている。
(バレンタインは期待していいのかな?)
あわよくば、チョコを渡してくれる君事戴きたいところなんだけど、それを言ったら絶対引くことも分かっているので、黙っている。
「て、手作りとかは得意じゃないですから」
ポツリと呟かれた、拗ねたような声色に、俺の心はどうしようもなく弾んでしまう。
ああ、いつまで待てばいいのかな。
お上品に、よく躾られた犬の様に、我慢できる自分の限界まであと少し。
0
お気に入りに追加
224
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。