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2巻オマケ
サンタコス、再び
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カラカラカラカカラン!
いつもより乱暴に開けられたサクラ亭のドアに。ドアべルも勢いよく反応する。
顔を上げたジグは、高揚した顔で現れた幼馴染に、嫌な予感を禁じ得ない。
「ジ、ジグッ!」
「……」
「聞いてよ、ジグ!」
できれば聞きたくない、という言葉は飲み込んだ。
見ると幼馴染は、赤い布きれを胸に抱きしめている。いつもならそれに関して指摘すべきだが、今日はしない。というより、したくない。しかし、幼馴染は勝手にその布きれを広げて説明をし始める。
「こ、これ! サンタの衣装! 女の子風なんだよ! それが俺のロッカーに入ってたんだ! きっと、ソラちゃんがいれたんだよね!? これってどういう意味だと思う?」
「ゴミ捨て場と間違えたんだろう」
心から思ったことを言ったにもかかわらず、幼馴染はジグの答えなど聞いてやしない。
「きっと、今年のクリスマスはこれを俺の為に着てくれるってことだよね?!
どうしよう? プレゼントがソラちゃんだなんて言われても、俺、困るよ!」
「どういう意味で困るか知らないが、間違いなく違うな」
「サンタの衣装を着て、俺の部屋とか──。トナカイさん、頑張っちゃうよ! トナカイだけに!」
興奮気味の幼馴染は肝心なことを忘れているようなので、冷静にジグは突っ込む。
「プルナスシアでつくったものは、日本にはもっていけないだろうが」
「……( ゚Д゚)」
その日、サクラ亭ではクローズまで、赤い奇妙な衣装を片手にカウンタで管を巻く男の姿が見受けられたが、その横にいつもの顔なじみの姿はなかったと言う……。
*****
ジグ「ソラ、あの服、持って帰れないから突っ込んどいたんだろう?」
ソラ「何かフラレ男(※王子)の怨念がまとわりついてそうだったので、店長のロッカーに突っ込んどきました」
ジグ「まあ、そういう意味でしかないよな」
ソラ「はい。そういう意味です。寧ろ、それに対してよからぬ妄想しか出てこない男の人って、どうかと思う(※王子とか店長とか)」
いつもより乱暴に開けられたサクラ亭のドアに。ドアべルも勢いよく反応する。
顔を上げたジグは、高揚した顔で現れた幼馴染に、嫌な予感を禁じ得ない。
「ジ、ジグッ!」
「……」
「聞いてよ、ジグ!」
できれば聞きたくない、という言葉は飲み込んだ。
見ると幼馴染は、赤い布きれを胸に抱きしめている。いつもならそれに関して指摘すべきだが、今日はしない。というより、したくない。しかし、幼馴染は勝手にその布きれを広げて説明をし始める。
「こ、これ! サンタの衣装! 女の子風なんだよ! それが俺のロッカーに入ってたんだ! きっと、ソラちゃんがいれたんだよね!? これってどういう意味だと思う?」
「ゴミ捨て場と間違えたんだろう」
心から思ったことを言ったにもかかわらず、幼馴染はジグの答えなど聞いてやしない。
「きっと、今年のクリスマスはこれを俺の為に着てくれるってことだよね?!
どうしよう? プレゼントがソラちゃんだなんて言われても、俺、困るよ!」
「どういう意味で困るか知らないが、間違いなく違うな」
「サンタの衣装を着て、俺の部屋とか──。トナカイさん、頑張っちゃうよ! トナカイだけに!」
興奮気味の幼馴染は肝心なことを忘れているようなので、冷静にジグは突っ込む。
「プルナスシアでつくったものは、日本にはもっていけないだろうが」
「……( ゚Д゚)」
その日、サクラ亭ではクローズまで、赤い奇妙な衣装を片手にカウンタで管を巻く男の姿が見受けられたが、その横にいつもの顔なじみの姿はなかったと言う……。
*****
ジグ「ソラ、あの服、持って帰れないから突っ込んどいたんだろう?」
ソラ「何かフラレ男(※王子)の怨念がまとわりついてそうだったので、店長のロッカーに突っ込んどきました」
ジグ「まあ、そういう意味でしかないよな」
ソラ「はい。そういう意味です。寧ろ、それに対してよからぬ妄想しか出てこない男の人って、どうかと思う(※王子とか店長とか)」
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