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2巻オマケ
サンタコス
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サクラ亭
「お前の趣味がたまによくわかんねぇんだが、あの、赤いもっさりした服を女に着せて何が楽しいんだ?」
ジグは本日、袋詰めになっていた幼馴染に素朴な疑問をぶつけてみる。
幼馴染は日本とこちらを行き来しているせいか、それとも元来の性癖なのか、日本の変な文化に被れているところがある。
まあ、馬鹿だと思うので止めないが、彼の妹がポソリと「アレはもう駄目だ」と結婚前にボヤいていたことを、こんな時なのに思い出した。
「お前の妹、お前のことを「アレはもう駄目だ」って言ってたぞ、昔」
「ちょ……! 何で今そんなこと言うの?」
「いや、なんか今、ふと思い出した」
妹にも駄目だしされている幼馴染は、それでも日本の雑誌を開きながら、
「ホラ、こういう風にすると凄くいいんだよ」
とサンタ服の女がいかに素晴らしいかをとうとうとジグに語る。
アレイ曰く、
「ワンピースでは駄目。普通のサンタ服で且つズボンは履かない方がいい」
「願い事は勿論、彼女」
「赤が白く汚れるのがいい」
とか、何だかジグにはちょっと分からない世界の話をしている。
(コイツ、童貞じゃない筈なんだけどなあ……)
どう考えても拗らせてそうな幼馴染に、
「今度、娼館でも行くか?」
と心配して聞いてやると、アレイは一瞬、「ぐっ」と息を詰まらせた。
「い……いいっ。バレたら嫌だし」
「いや、お前らつきあってねぇんだろ?」
「いやいやいや! もうすぐ付き合えるし!」
「でも、余裕ねえとガッつくんじゃねえか?」
あの警戒心は強く噛みつき癖のありそうなお嬢ちゃん相手に、蹂躙はいただけないと思うのだが。
そう言うと、
「じ、蹂躙っ……!!」
と言葉一つで悶える変態に、幼馴染は成り下がっていた。
いや、元々そうだったのかもしれない。
「……。マスター、コイツにツケといて」
ジグは頭に花を咲かせて悶える幼馴染を放置して、サクラ亭を後にした。
「お前の趣味がたまによくわかんねぇんだが、あの、赤いもっさりした服を女に着せて何が楽しいんだ?」
ジグは本日、袋詰めになっていた幼馴染に素朴な疑問をぶつけてみる。
幼馴染は日本とこちらを行き来しているせいか、それとも元来の性癖なのか、日本の変な文化に被れているところがある。
まあ、馬鹿だと思うので止めないが、彼の妹がポソリと「アレはもう駄目だ」と結婚前にボヤいていたことを、こんな時なのに思い出した。
「お前の妹、お前のことを「アレはもう駄目だ」って言ってたぞ、昔」
「ちょ……! 何で今そんなこと言うの?」
「いや、なんか今、ふと思い出した」
妹にも駄目だしされている幼馴染は、それでも日本の雑誌を開きながら、
「ホラ、こういう風にすると凄くいいんだよ」
とサンタ服の女がいかに素晴らしいかをとうとうとジグに語る。
アレイ曰く、
「ワンピースでは駄目。普通のサンタ服で且つズボンは履かない方がいい」
「願い事は勿論、彼女」
「赤が白く汚れるのがいい」
とか、何だかジグにはちょっと分からない世界の話をしている。
(コイツ、童貞じゃない筈なんだけどなあ……)
どう考えても拗らせてそうな幼馴染に、
「今度、娼館でも行くか?」
と心配して聞いてやると、アレイは一瞬、「ぐっ」と息を詰まらせた。
「い……いいっ。バレたら嫌だし」
「いや、お前らつきあってねぇんだろ?」
「いやいやいや! もうすぐ付き合えるし!」
「でも、余裕ねえとガッつくんじゃねえか?」
あの警戒心は強く噛みつき癖のありそうなお嬢ちゃん相手に、蹂躙はいただけないと思うのだが。
そう言うと、
「じ、蹂躙っ……!!」
と言葉一つで悶える変態に、幼馴染は成り下がっていた。
いや、元々そうだったのかもしれない。
「……。マスター、コイツにツケといて」
ジグは頭に花を咲かせて悶える幼馴染を放置して、サクラ亭を後にした。
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