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4th STAGE/国を渡ってゆかねばならぬのです。
232.相容れないもの・こうへん
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〝ふむ〟と頷いて、
「お断りします!」
キッパリと伝えたら、
「本当にいいの? それで。」
眉を軽く段違いにした“黒髪ロングさん”が、
「もし仮に、これからもステージが進んでいくとするならば、その都度、より強力なボスキャラが登場するはず。」
「そうなったら確実に生き残れる保障なんてないわ。」
「〝自分は大丈夫〟なんていう過信は、精神的に未熟な証拠よ。」
「今のうちに助かる可能性が高いほうを選ぶのが賢明でしょ。」
こう諭してきました。
「それが〝大人になる〟ということなのであれば、遠慮させていただきます。」
「“悪の手先”になり下がるつもりはありませんので。」
珍しく毅然とする自身に驚きです。
私も少しは成長しているのでしょう。
……、うん、やれば出来る子、内気な子!!
そんな私に、
「同じ日本人だからと思って、せっかく声をかけてあげたのに、残念ねぇ。」
〝ふッ〟と息を吐いた黒髪ロングさんが、私の方へと軸足を移すのと共に、[短剣]を抜きつつ振り上げてきます。
咄嗟に反応した私は、上体を反らして躱したものの、[時空のネックレス]が〝ふわり〟と浮いてしまい、偶然にも短剣で“チェーン”が切れてしまったのです。
私の後ろへと転がるネックレスが気になるところではありますが、黒髪ロングさんから目を離す訳にはいきません。
「あなた、“弓使い”だったわよね??」
「それにしては、いい身のこなしをしているじゃない。」
首を傾げた黒髪ロングさんが、
「〝伊達に場数を踏んでいない〟って事かしらね。」
勝手に納得してくれました。
まぁ、こちらとしては、何度か“タイムループ”しているので、他の人たちよりバトルの経験があるのは否めません。
それは置いといて…。
この状況を打破するために“モードチェンジ”を行なうべく、「戦闘モ」と口にする私より速く、
「俊足!」
黒髪ロングさんが【スキル】を発動したのです。
(やばい!!)
焦った私はバックステップで回避しようと試みるも、スピードが二倍になっている黒髪ロングさんによって簡単に間合いを詰められ、喉元を〝シュパッ!〟と斬られてしまいます。
いくらなんでも完全には対応しきれず、血が噴射する私は、夜空を仰いで倒れました。
意識が朦朧とするなか、〝過去に戻ろう〟と、うつ伏せに変わり、ネックレスへと這いずる私です。
その背中を〝ドンッ!〟と踏み付けた黒髪ロングさんが、
「逃がさないわよぉ。」
「いろいろと知られてしまったからには、死んでもらうしかないからね。」
「大丈夫、心配しないで。」
「あなたの妹や親戚達も、すぐに送ってあげるから、向こうで淋しがる必要はないわ。」
「あぁー、それと……。」
「〝台湾の蘇生術士を捜している〟て言ってたけど、無駄よ。」
「ついこないだ、私たちが殺しちゃったから。」
「エネミーにとっては邪魔な存在らしくてね…、その件もボスに命令されていたの。」
どこか愉快そうに喋ります。
こうした流れで、目が霞ゆく私へと、
「じゃあ、さようなら。」
冷酷に別れを告げてくる敵でした―。
「お断りします!」
キッパリと伝えたら、
「本当にいいの? それで。」
眉を軽く段違いにした“黒髪ロングさん”が、
「もし仮に、これからもステージが進んでいくとするならば、その都度、より強力なボスキャラが登場するはず。」
「そうなったら確実に生き残れる保障なんてないわ。」
「〝自分は大丈夫〟なんていう過信は、精神的に未熟な証拠よ。」
「今のうちに助かる可能性が高いほうを選ぶのが賢明でしょ。」
こう諭してきました。
「それが〝大人になる〟ということなのであれば、遠慮させていただきます。」
「“悪の手先”になり下がるつもりはありませんので。」
珍しく毅然とする自身に驚きです。
私も少しは成長しているのでしょう。
……、うん、やれば出来る子、内気な子!!
そんな私に、
「同じ日本人だからと思って、せっかく声をかけてあげたのに、残念ねぇ。」
〝ふッ〟と息を吐いた黒髪ロングさんが、私の方へと軸足を移すのと共に、[短剣]を抜きつつ振り上げてきます。
咄嗟に反応した私は、上体を反らして躱したものの、[時空のネックレス]が〝ふわり〟と浮いてしまい、偶然にも短剣で“チェーン”が切れてしまったのです。
私の後ろへと転がるネックレスが気になるところではありますが、黒髪ロングさんから目を離す訳にはいきません。
「あなた、“弓使い”だったわよね??」
「それにしては、いい身のこなしをしているじゃない。」
首を傾げた黒髪ロングさんが、
「〝伊達に場数を踏んでいない〟って事かしらね。」
勝手に納得してくれました。
まぁ、こちらとしては、何度か“タイムループ”しているので、他の人たちよりバトルの経験があるのは否めません。
それは置いといて…。
この状況を打破するために“モードチェンジ”を行なうべく、「戦闘モ」と口にする私より速く、
「俊足!」
黒髪ロングさんが【スキル】を発動したのです。
(やばい!!)
焦った私はバックステップで回避しようと試みるも、スピードが二倍になっている黒髪ロングさんによって簡単に間合いを詰められ、喉元を〝シュパッ!〟と斬られてしまいます。
いくらなんでも完全には対応しきれず、血が噴射する私は、夜空を仰いで倒れました。
意識が朦朧とするなか、〝過去に戻ろう〟と、うつ伏せに変わり、ネックレスへと這いずる私です。
その背中を〝ドンッ!〟と踏み付けた黒髪ロングさんが、
「逃がさないわよぉ。」
「いろいろと知られてしまったからには、死んでもらうしかないからね。」
「大丈夫、心配しないで。」
「あなたの妹や親戚達も、すぐに送ってあげるから、向こうで淋しがる必要はないわ。」
「あぁー、それと……。」
「〝台湾の蘇生術士を捜している〟て言ってたけど、無駄よ。」
「ついこないだ、私たちが殺しちゃったから。」
「エネミーにとっては邪魔な存在らしくてね…、その件もボスに命令されていたの。」
どこか愉快そうに喋ります。
こうした流れで、目が霞ゆく私へと、
「じゃあ、さようなら。」
冷酷に別れを告げてくる敵でした―。
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