JK LOOPER

ネコのうた

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4th STAGE/国を渡ってゆかねばならぬのです。

230.異国にて①

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黒髪ロングさん達の先導にて、我々は“九份カウフン”の[基山街チーシャンチェ]を歩いております。

お店の半分くらいは閉まっているものの、全ての“提灯ちょうちん”に明かりがついており、なんだかノスタルジックな雰囲気です。

「風情があるね。」

このような感想を口にしたのは、壱紀かずきくんであります。

「確かにねぇ~。」

〝うん うん〟と頷いて返す私でした…。


私たちは、とある飲食店の“テラス席”に案内してもらったのです。

そこからの眺めに〝おぉー☆〟と瞳を輝かせる[モガミーズ]であります。

何故ならば、ドラマや映画もしくはゲームのような“ファンタジックな夜景”に〝ワクワク〟させられたからです。

こうした我々に、台湾人の“赤髪ツインテールさん”が、

「ここら辺は、世界中で有名な“日本の某アニメ映画”の〝聖地の一つ〟とされているのよ。」
「主人公が名前を奪われたり、彼女の両親が豚の姿に変わってしまったり、白い龍などが登場する。」

そのように教えてくださいました。

「……、あ。」
「神隠し的な?」

ふと尋ねた陽斗はるとくんに、

「ええ、そうよ。」

赤髪ツインテールさんが〝ニッコリ〟します。

「さ、立ち続けてないで、座りましょう。」

こう“黒髪ロングさん”に促され、椅子に腰かけていく一同でした。

ちなみに、[自動通訳]で理解できるのは言葉のみ・・・・です。

そのため、文字までは分かりません。

要は、メニュー表になんと書かれているのか、我々には読めないのです。

結果、黒髪ロングさん達の“お薦め”を味わっていくのでした。


一時間が過ぎ、

「そろそろ泊まる所を決めておきたいね。」

こう述べたのは、聡真そうまくんであります。

「あー、だったら、評価が割と高めらしいホテルまで連れて行ってあげるわよ。」
「とりあえず、お会計を済ませましょう。」

そのように告げた黒髪ロングさんに、

「一人あたり幾らでしょうか??」

私が伺ってみたところ、

「いいわよ。」
「日本の現状とかを聞かせてもらったことだし…。」
「お礼に私たちが支払ってあげる。」

こう仰ってくださったのです。

「いいんですか?!」

確認した私に、

「ぜぇ~んぜん、オッケー。」

黒髪ロングさんが微笑みます。

それによって、「ありがとうございます」や「ごちそうさまです」と、お辞儀する我々でした……。


お外に出たところで、黒髪ロングさんが、

「あ、そうだ、コトハちゃん。」
「ちょっといいかしら??」
「リーダー同士、二人きりで話しておきたい事があるんだけど。」

このように声をかけてきたのです。

〝はぁ?〟と軽く首を傾げた私に、

「有益な情報なんだけれども…、できるだけ内密にしておきたくって。」
「だから、まずはコトハちゃんに判断してもらいたいの。」

そう伝えてきました。

(んん~、……。)
(おごってもらったし、宿泊先も紹介してもらえるから、まぁ、いいかな。)
(それに…、相手を騙すような悪い人じゃなさそうだしね。)

と考えた私は、

「分かりました。」
「構いませんよ。」

こう答えたのです。

それが誤りだとは思いもよらずに―。
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