JK LOOPER

猫乃麗雅

文字の大きさ
上 下
223 / 258
4th STAGE/国を渡ってゆかねばならぬのです。

223.初めての異国

しおりを挟む
「ところで、台湾のどこに渡航する?」
「て、言うか…、ピンポイントで選べるのかな??」

そのような疑問を投げかけてきた聡真そうまくんに、〝ん?〟と首を傾げる私です。

「あぁー、どう説明しようか??」
「……、そうだな。」
「日本で例えると〝高千穂神社のそば〟みたいな指定が可能なのかって意味なんだけど…。」

聡真くんに返されて、

「あ。」
「成程ね。」

理解した私は、開いた [画面]をチェックしていきます。

こうして、[転移の宝玉・改]に関する文章に目を通してみたものの、そこら辺の詳細は書かれていませんでした。

「つまり、〝細かい場所の選択肢は、こっちには無い〟てことか……。」
「作りが大雑把だな。」

軽く眉間にシワを寄せた聡真くんに、

「帰って来るときって、どうすればいいんだろうね?」

私が尋ねてみたら、

「それは“通常版”で大丈夫なんじゃない?? 多分、きっと。」
あっち・・・は、〝一度でも訪れたことのある場所にテレポートできる〟っていう条件だし…。」

このように推測したのです。

「あー、確かに。」

私が〝ふむ〟と頷いたところで、

「とりあえず、使ってみる?」
「新しいほうのやつを。」

興味津々で窺ってきたのは、陽斗はるとくんであります。

「まぁ、皆が構わないなら、出発するけど……。」

そう述べて、周囲を見渡す私でした。

誰もが沈黙に包まれていくなかで、

「難しく考えても、しょうがないんじゃねぇか??」
「こういうのは“出たとこ勝負”の要素が強いだろ。」

ふと告げたるは、暁斗あきとくんです。

これによって、

「うん、そうだね…。」
「よし。」
「あまり悩まずに、行ってみようよ、琴晴ことはちゃん。」

壱紀かずきくんが決意を固めました。

「分かった。」
「それじゃあ、移動しよう。」

私を筆頭に、立ち上がった全員が、お外へと向かいます。

ちなみに、パーティーメンバーの“忘れがちなコーディネート”は、それぞれにカジュアルな感じです。

月姫ひかりちゃんだけは、ワンピース系ですが……。

べ、別に紹介するのがメンド―で、手抜きしてる訳じゃないんだからねッ!

と…、ツンデレにすらなっていない私でした☆


玄関先にて。

私は、宙に出現させた[ライトブルーのジュエル宝玉]を、右手で掴みます。

この流れで、

「えぇ~っと。」
「……、台湾に渡りたいんだけど?」

[宝玉]に語り掛けてみたら、〝シュンッ!!〟と風景が変わったのです。

我々の眼前には、大きなモニターが設けられた“ビル”がそびえております。

「ここは…。」

左右と後ろを確認する聡真くんに釣られて、一同も〝キョロ キョロ〟しました。

人通りがまばらな街並みは、どこか日本のような雰囲気でありながら、明らかに違っていたのです。

「やっぱり、台北駅たいぺいえきの近くか。」

そう呟いた聡真くんに、

「知ってるの??」

私が不思議がったところ、

「ある程度はネットで検索しておいたからね。」
自分家じぶんちで。」

このように教えてくれたのです。

私などが〝おぉー〟や〝さっすがぁ~〟といった具合に感心していたら、

「まずは、このデパートに入ろう。」
「〝お金を台湾のものに替えられるのかを調べる〟のと、〝この国の蘇生術士にまつわる情報を得る〟ために。」

そう提案する聡真くんでした―。
しおりを挟む

処理中です...