JK LOOPER

猫乃麗雅

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3rd STAGE/海を越えねばならぬのです。

208.夜風のなかで・結ぶ

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どの人外も一体ずつではありましたが、女性陣はハチ&サソリに腰が引けております。

そこへ、〝プシュゥ――!〟といった音が聞こえてきたのです。

私が急ぎ確認してみたら、こっちへとキノコが向けている頭より[ピンク色の霧]を噴射していたのでした。

それ・・を、モロに浴びてしまったからなのか、或いは吸ってしまったからなのか、気づけば、私は……、“札束風呂”に入っていたのです。

バスタブいっぱいの“紙幣”に埋もれつつ、

「我こそは億万長者なりぃーッ!!」
「あははははッ!」

と、笑いが止まらない私であります☆

まさに“夢心地”となっていたところ、

「コトハ姉ちゃん?!」
「ねぇ、コトハ姉ちゃんてば!!」

陽斗はるとくんの声が聞こえてきました。

しかし、私は、お風呂から出たくありません!!

いえ、〝本当は脱するべきだ〟というのは理解しているのですが、体が全くもって動かないのです。

「仕方ない。」
「これを飲ませよう。」

壱紀かずきくんが喋ったと思った次の瞬間、私の口の中へと何やら液体を注ぎ込んできます。

ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ…。

〝ぷはぁ―ッ〟と息を吐いた私は、

「あれ??」
「大金は?」

現実へと帰ってきたのです。

「良かった。」

壱紀くんが〝ほッ〟と安堵し、

「とりあえず、他の人達が戦ってくれている今のうちに、残りの二人も元に戻そう。」

陽斗くんが伝えてきました。

ザッと見回したところ、ホテルの従業員さんなどが、エネミーとのバトルを繰り広げていたのです。

この流れで、私の目に映ったのは……、

「ヒカリーン!!」
「あたしも、まほー・・・つかえるようになったんだよ♪」
「いっしょに、あそぼぉー!」

嬉しそうにしている月媛ひかりちゃんであります。

「お前たちを、私の“げぼく”にしてやろう!!」
「ありがたく思えー!」

胸を反らして威張っている我が妹に関しては、どんな状況なのか全くもって分かりません。

「“幻覚”ってことだよね??」

そう尋ねた私に、

「間違いなくね。」

陽斗くんが頷きました。

「早いとこ対処しよう。」

壱紀くんに促され、

「じゃあ、私は琴音ことねを、月媛ちゃんは任せたよ。」

このように提案したのです。


出現させたる[透明の小瓶]を、妹の唇に押し付けつつ、

「琴音!!」
「飲んで!」

そう指示したら、

「ん?」
「どこからともかく、お姉ちゃんの声がする。」
「ここは、もしかして…、あの世??」

誤った解釈をしました。

「いや、そうじゃなく……。」
「今、幻を見させられているから、“異常回復ポーション”で正気になるように!!」
「それと…、私も琴音も、まだ死んでない!」

こう告げたところ、

「おおー。」
「なるほどぉ。」

合点がいったらしく、液体を飲み干していったのです。


ほぼ同時に、琴音と月媛ちゃんが“嘘の世界”から帰還しました。

「で?」
「どの敵から攻略していく??」

陽斗くんの質問に、

「厄介なのは、あの“キノコ”だよね。」

そのように答えながら、視線を送ったところ、我々とは異なるグループへと“サボテン”が全身から沢山の[針]を発射したのです。

これらは、2人程に刺さるなり消えたものの、

「てててててててッ!!」

誰もが痛がっていました。

そこへ、すかさず“キノコ”が[霧]を放った所為で、4人くらいが【幻覚】にさいなまれます。

お仲間さんが慌てるなか、

「おんけい!」

妹が唱えた流れで、私が〝ボンッ!!〟とった[ピストルグレネードランチャー]の弾丸が、キノコの“傘”にヒットします。

ダッシュした陽斗くんが、

刺突しとつ!」

〝傷の部分〟を貫いた事で、キノコが絶命したのです。

地走ちばしり!!」

「ライト・ボール!」

「カミナリの玉ぁー!!」

壱紀くん/琴音/月媛ちゃんによって、サボテンも消滅しました。

「あとは……、あっちを、どうにかしよう。」

壱紀くんが〝スッ〟と反転します。

次なる相手は、人型岩石と昆虫類です。

私などは、やる気が湧いてきません。

とはいえ。

ハチは【麻痺】を、サソリは【毒】を、扱うみたいで、あちらのチームでは、身体が硬直して動けなくなったり、膝を着いて咳き込んでいる人がいます。

こういった方々をターゲットにしたらしい“デカブツ岩石”が、右のこぶしを振り被りました。

「させない!」

私の射撃が右腰に当たり、一旦ストップした“岩石”が、向きを変えたのです。

パンチの邪魔をした私を新たなターゲットにするつもりなのでしょう。

「せんこう!!」

妹が発動してくれたものの、通用していないみたいです。

「ハル!」
「脚を削ろう!!」

壱紀くんと、

「りょーかいッ!」

陽斗くんが、駆け抜けて、

「デストロイ!!」

「刺突!」

右のすねに〝ビキビキビキビキィ~ッ!!〟と亀裂を生じさせました。

「あそこを狙おう!!」

私の号令にて、[ちびっ子コンビ]がスキルと魔法を使います。

我が【弾丸】や、琴音による【光の玉】に、月媛ちゃんの【アイス・ボール】が、悉く直撃し、〝ボォーンッ!〟と足が崩れた“人型岩石”が〝ズドォオンッ!!〟と仰向けになりました。

それによって、下敷きとなったサソリが、潰れた模様です。

一方で、ハチは〝ヒラリ!〟とかわしています。

「ファイア・ボール!!」

30代前半らしき[魔女]による直径30㎝あたりの【火の玉】にて、〝ボウッ!〟と羽が燃えた蜂が、ふらつきました。

この間に、

「ディスオーダー・リカバリー!!」

20代半ばとおぼしき[男性クレリック]が、【麻痺】や【毒】に苦しんでいる人達を助けたのです。

〝ムクリ〟と上体を起こした“デカブツ岩石”に、壱紀くん&陽斗くんが迫ります。

それを嫌がったらしい“岩石”は、手を払って牽制しました。

ここへ、ハチを倒した約10人が加勢してくれます。

その好機を逃がすまいと、奮闘する[最神家もがみけイトコーズ]でした―。
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