JK LOOPER

猫乃麗雅

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3rd STAGE/海を越えねばならぬのです。

191.勇者さん達との旅路⑦

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我々が、一軒家ふうCAFEカフェの玄関付近にテレポートした約1分後。

駐車場にマイクロバスが入ってきました。

停まった車からアケミさん達が降りてきます。

その流れで、

「今度は“男の子”だね。」

【調理士】たるライトブラウンショートのユミさんが、気づいた模様です。

「あ、はい。」
「従兄妹の“陽斗はるとくん”です。」

私の紹介に続き、

「初めまして。」

本人が、[勇者さんパーティー]に会釈します。

彼の挨拶に、

「うむ、よろしくな!」

笑顔で返すアケミさんでした。


店内にて。

各自、コーヒー・紅茶・バナナジュース・ジンジャーエール・フレーバーソーダ・スムージと、プリンやチーズケーキなどを、口に運んでおります。

「それで?」
「今度は、どのような理由でループしたんです??」

青髪ロングのカズヒコさんに問われた私は、これから起きる出来事を、皆さんに知らせていきました……。


【機工士】の先輩にあたるユウジさんが〝ふぅむ〟と少し考え込んで、

「“挟み撃ち”のうえに、横からも攻撃してきたとなると、なかなか厄介だね。」
「一番いいのは敵を分散させる事だと思うけど…、まぁ、まだ時間に余裕があるから、明日の朝までには対策を打ち立てよう。」

このように提案したのです。


PM15:30頃に、お店を出た我々は、マイクロバスで西へと進んでいます。

30分後には、人外が登場したので、“戦闘職”と“ユニーク職”とがバトルになっていきました。

陽斗くんは、【剣士】のスキルである[身かわし]と[刺突しとつ]を何度となく発動して、扱いかたを確かめています。

一方、私はというと、ユウジさんや、【魔女ウィッチ】の月媛ひかりちゃんと共に、空中のエネミーを攻撃していきました。

〝他のメンバーが地上の敵に集中できるように〟との措置ですが、宙の人外が多いときは、三人だけでは厳しくなるので、カズヒコさんに琴音ことねが協力してくれています。

そんなこんなで、PM17:45あたりに、広島県竹原市の旅館に到着したのです。


翌日――。

AM08:00になったところで、お宿の周辺に現れたエネミーを殲滅しました。

その結果、昨日からの合計で、私のレベルは“7”となっています☆

AM08:35ごろにチェックアウトして、車へと向かう途中に、

「あ!!」
「そう言えば。」
「エンジンが掛からなくなっていて、ユウジさんが修理していました。」

私が伝えたところ、

「そうなの?」
「じゃあ、直すとするよ。」

ユウジさんが応じたのです。

「あの!」
「見学させてもらっていいですか??」
「“機工士”のこと、あんまりよく分かっていないので。」

こう尋ねた私に、

「勿論、いいよ。」

快諾してくれるユウジさんでした。


マイクロバスの真横にて。

「まず、右でも左でもいいから手を車に添えてみて。」

ユウジさんに従い、左のてのひらで触れてみたら、

『バッテリーが上がっているようです。』
『繰り返します。』
『バッテリーが上がっているようです。』
『繰り返します。』

との女性の声が、私の脳内に幾度も聞こえてきたのです。

「これって、レベルアップした時のアナウンスみたいな……。」

呟いた私に、

「うん、そうだね。」

ユウジさんが頷き、

「それじゃあ、やっていこう。」

“腰道具スタイル”となりました。

その袋から、直径10㎝×厚み5㎝ぐらいの“銀の缶”を取り出しつつ、

「一般的には“ジャンプスターター”あたりが有名だけど…。」

説明しながら、マイクロバスの側部と、缶のふたを、開けて、

「ちょっとした故障であれば、これ・・を、指とかで塗れば、元に戻るんだ。」
「完全に壊れているなら、もっと本格的な作業が必要になるけどね。」

実際にやってみせてくれます。

まるで、[NIV●A]の“スキンケアクリーム”かのような代物が、バッテリーに〝スゥ―〟と浸透していき、

「…………。」
「よし、OK!」

このようにユウジさんが告げたのです。

「使い切ったら、もう入手できないんですか?」

私が伺ってみたところ、

「いや、弾丸と同じで、そのときは自動的に補充されるって、書いてあった筈だから、あとで“アイテムBOX”から確認してみなよ。」

と、笑顔で教えてくださったのでした―。
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