JK LOOPER

猫乃麗雅

文字の大きさ
上 下
179 / 258
3rd STAGE/海を越えねばならぬのです。

179.大阪城奪還戦④

しおりを挟む
体勢を整え直そうとする“ボス仏”に、

ボンッ!!

ユウジさんが改めて[ピストルグレネードランチャー]を発砲しました。

“正面の顔”の額を狙ったみたいです。

「!」

ボスキャラは、咄嗟に、自分の左へと躱します。

しかし、反応が遅れてしまったようで、右顔の“左こめかみ”にヒットしました。

「ぎッ!?」

ボスは、痛がりながら、軽くふらついています。

この間に、カズヒコさんがパーティーメンバーへと新たに【恩恵】を施しました。

琴音ことねも、

「おんけい!!」

我ら“モガミーズ”のステータスを再び倍増させてくれます。

更には、妹が「せん」と唱えかけたところ、ボス仏が【ビーム】を放ってきたのです。

ただし、“右側”は機能を停止しているらしく、【光線】は合計で4本でした。

一本は誰も居ない場所に飛んでいったものの、一本はジュンヤさんの右肩に当たったみたいです。

他の一本は私に向かってきましたが、まだ【身かわし】の効果が失われていなかったので、余裕でけれました。

残りの一本は、壱紀かずきくんの腹部にヒットしています。

後方で、

「お兄ちゃん!」

月媛ひかりちゃんが血相を変えるも、

「回ふく!!」

我が妹が、すかさず傷を癒したので、安心したようです。

ジュンヤさんは、ご自身の[体力回復ポーション]を飲んでいました。

【神官】であるカズヒコさんの位置からでは、ボスキャラが邪魔で、お仲間であるジュンヤさんの状況が分からず、治癒魔法を使うには至らなかったみたいです。

何はともあれ。

「人間どもめがッ、許さんぞ!」

ボスが、またしても[巨大な両口ハンマー]を両手で振り上げます。

その近くには、アケミさんとハルカさんの姿が見受けられました。

ボス仏は、お二人にハンマーを叩き付けるつもりなのでしょう。

ですが、

「隙だらけね。」

こう指摘した【騎士】のハルカさんが、

風斬ふうざん!!」

[大剣]を左から右へと払い、最大幅27㎝×長さ2.7Mぐらいで三日月状の“風の刃”を発動したのです。

それ・・が、両方の太腿に〝ズブシャッ!〟と直撃して、負傷したボスキャラが、

「ぐあッ!?」

左右の膝を、地に着けました。

この流れで、勇者さんが、

バチ、バチバチッ、バチィッ!!

白雷びゃくらい”を纏わせた剣を、

「ストラッシュ!」

おもいっきり突き出します。

ズワッボゥッ!!

一直線に放たれた[雷]に〝ドシュッ!〟と心臓部を貫かれたボスは、本日二度目の“感電”に見舞われたのです。

「がッ、あ。」

ズドォンッ!!

ボス仏が、うつ伏せで倒れました。

「よし!」
「あとは、皆で、仕留めよう!!」

アケミさんの指示によって、痙攣しているボスキャラに、[東京組]が総攻撃を開始したのです…。


数十秒後――。

遂に、[6M級のボス]が消滅しました。

武器と防具に、40gほどの歪な“金の塊”を、遺して。

私の脳内に、

『あなたのレベルが上がりました。』
『あなたのレベルが上がりました。』
『あなたのレベルが上がりました。』
『あなたのレベルが上がりました。』

例の“女性の音声”が4連続で響きます。

ボス仏の絶命を認識した家来たちは、南へ逃げようとしていました。

しかしながら、そちらの方角より駆けつけた人々によって阻まれたのです。

数は、100人くらいでしょう。

この方々に、

「丁度ええとこに来た!」
「コイツラ、挟み撃ちにすんで!!」

金髪リーゼントさんが告げたので、きっと、お仲間に違いありません。

そんな光景を余所よそに、

「これ、どうする?」

【機工士】のユウジさんが、全員に尋ねてきたのです。

ご本人は、ボスキャラの装備品などの分配について、考えを求めていました。

「アケミさん達のお陰で勝てたので、全部お譲りします。」
「私たちは、名古屋城で獲得していますので、今回は結構です。」

このように伝えたところ、

「いいのかい?!」

勇者さんが、いささか驚いたのです。

「ええ。」

私が頷いたら、

「じゃあ、遠慮なく、そうさせてもらうとしよう!」

アケミさんが快諾してくれました。

「それにしても……、ここのボスは、どこに潜んでいたんだろうね??」

壱紀くんが疑問を口にしたことによって、誰もが空に視線を送ります。

「あー、おそらく、あれじゃねぇか?」
「今日は、大きな雲が割と在るからな。」
「そのどれかの、上か、あるいは、中にでも、隠れてたんじゃないか??」

【侍】たるジュンヤさんの意見に、皆が〝なるほどぉ〟といった具合に納得しました。

「ところで、あのボスキャラは、なんだったんでしょうねぇ??」
「顔が三つもありましたし…。」

私が首を傾げたところ、

「ありゃ、“三面大黒天”だろうな。」

【武闘家】のサトシさんが、そう教えてくれたのです。

まぁ、なんだかんだで、平穏を取り戻していく[大阪城]でした―。
しおりを挟む

処理中です...