JK LOOPER

猫乃麗雅

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3rd STAGE/海を越えねばならぬのです。

177.プロジェクトB

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「ま、そういう事だから、俺たちだけで、進むとしよう。」

【侍】のジュンヤさんが述べたところ、

「構わへんけど…、これも“即席”になるんとちゃうん?」

黒髪セミロングソバージュの男性が疑問を呈しました。

「ええ、その通りです。」
「そこで、前衛と後衛に分かれましょう。」

こう告げたのは、【神官】のカズヒコさんです。

「ぜんえー? こーえー??」

首を傾げた金髪リーゼントさんに、

「前のほうで戦うんか、後ろから支援すんのか、ちゅうことやろ。」

黒髪ソバージュさんが意味を簡単に説明します。

「なるほど。」

理解した金髪リーゼントさんが、

「せやったら、うちらが前で、ええか?」

そのように訊いてきたのです。

「ええ。」
「地元の方々が前線に立つのが一番いいと思いますので、そうしましょう。」

カズヒコさんが納得する流れで、

「いいですよね??」

私達に確認してきました。

それに対して、誰もが頷きます。

というか、まぁ、ほぼほぼ打ち合わせどおりなんですけどね☆

まず、〝大阪城の各門を担当している人々が強虎嵐武きょうこらんぶ虎超乱こちょうらんのメンバーであれば統率が取れるだろうから、全員で本丸に突入しよう〟といったのがA案です。

〝もし、寄せ集めだった場合は足並みが揃わないだろうから、ループする前と同じ面子で天守へ向かおう〟というのがB案でした。

更に、〝東京組のほうがレベルが高いみたいなので、なるべくボスキャラに集中したいです〟との私の意見によって、勇者さんパーティーが考えてくださったのが、先程の作戦であります。

要は、〝全体が見渡せる後衛に、我々が回る〟といったものです。

前衛だと、“仏の兵隊”と乱闘になってしまい、ボスへの意識が散漫になってしまいかねないので。

こうして、[京橋口]を歩いてゆく一同でした……。


前回みたいに、あと少しで[天守]に差し掛かろうかという所で、建物の反対側から80数の仏が走ってきたのです。

足を止めた全員が構え、あちらこちらで【閃光】と【恩恵】が発動されました。

「返り討ちにしたらぁあッ!」

金髪リーゼントさんを先頭に、暴走族グループが突撃していきます。

アケミさんチームと、最神もがみ親族とが、後方から[スキル]や[魔法]を飛ばし、戦況を優位にしていくなかで、〝ヒュゥ――――ッ!!〟という風を切る音が聞こえてきたのです。

空を見上げた私が、

「来ました!」

そう知らせたところ、近くのユウジさんが[ピストルグレネードランチャー]を発砲しました。

これ・・が、左肩にヒットした“6M級の仏”がバランスを崩します。

「ごめん、頭を狙ったのに、距離があって、外した!!」

謝った【機工士】のユウジさんに、いくらか前に居る勇者さんが、

「いや、全然OKだ!」

そのように答えて、

「ストラァ―ッシュ!!」

剣を右斜め下から左斜め上へと払いました。

どうやら、私がボスの登場を伝えた時点で、ソードに“白い雷”を纏わせていたようです。

いずれにしろ、幅10㎝×長さ4Mくらいの[弓なりの雷]によって、左脛から右腹部に掛けて〝ズブシュッ!〟と負傷した敵が、

ビリビリビリビリィ――ッ!!

おもいっきり感電して、墜ちてきます。

この事態に、

「やば!」

焦ったアケミさんが、

「皆、けてくれ!!」

暴走族の方々を促したのでした―。
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