JK LOOPER

猫乃麗雅

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3rd STAGE/海を越えねばならぬのです。

171.現状⑫

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「じゃあ、私は、新しいジョブを選ぶとするよ。」

[画面]を開いて、決定したるは、【剣士】であります。

[新・京都見廻組みまわりぐみ]に所属している“お団子ヘアー&細長インテリメガネさん”の戦闘を目撃した際に、興味を抱いていたので☆

宙には、レイピア/サーベル/ロングソードが、出現しました。

少し悩んだ私は、[レイピア]を手に取ったのです。

「“剣士”か…。」

呟いた父が、

「こないだ利勇りおが考えてくれたデザインを応用すればいいか。」

母に視線を送りました。

「ん?」

意味が分からない私が首を傾げたら、

「あー、……、穂積ほづみくんたちのお陰で、注文してくれる人が増えてきたからな。」
「いろいろと製作するようになったんだ。」
「商売として。」

父親が説明してくれました。

「俺らは、最神もがみさん達が作ってくださった防具を着て戦っているだけなんで、たいしたことはしていませんよ。」

「それが、いい宣伝になっているみたいなんだがら、うちとしては有り難い限りだよ。」

「いえいえ、こちらこそタダで提供していただいて、感謝しています。」

父と穂積さんが謙遜し合っていたところ、

「ねぇ、おじさん!」
「私も欲しいんだけど、頼める?」
「クレリック用の装備品!!」

穂乃歌ほのかさんが期待を込めて尋ねたのです。

「ああ、勿論だ。」
「生き返った祝いに、無料でプレゼントしてあげよう。」

微笑んだ父に、

「おおー、ありがとうございます!」

穂乃歌さんが頭を下げます。

そのタイミングで、

「おはよう。」

暁斗あきとくんが居間へと入ってきたのです。

「どうしたの??」
「何か用事?」

私が疑問を投げかけたら、

「暁斗と葵月はづきは、いつも八時前に、ここに訪れて、夕方の五時まで一緒に働いてくれているんだよ。」
「ちなみに、給料は“日払い”だ。」

父親が教えてくれました。

「へぇー。」

理解を示した私は、〝ハッ〟として、

「今って何時?!」

和室の柱に掛けられている“振り子時計”を確認したのです。

エネミーの登場まで、あと4分ぐらいとなっております。

「やばい!!」
月媛ひかりちゃんに、魔法の使い方を教えとかなきゃ!」

慌てて立ち上がった私は、

「取り敢えず、お庭に行こう!!」

このように促したのでした…。


紗凪さなさんたちを含めた計8名で外に出た我々は、[戦闘モード]に変更したのです。

その流れで、月媛ちゃんに、[魔法の杖]を上に向けてもらい、

「ファイア・ボール!」

と、発射してもらいました。

なお、タイムループしたことによって、【魔女】の職種は“LV.8”に戻っています。

「“ファイア・ボール”って、“火の玉”だよね?」

月媛ちゃんに聞かれて、

「うん、そうだよ。」

私が答えたところ、

「……。」

何やら考え始めたのです。

「月媛ちゃん??」

私が声をかけたのと殆ど同じタイミングで、

「火の玉ぁ――ッ!!」

魔法を空へと飛ばしました。

「え!?」
「日本語にも対応してるの?」

目を丸くした私の側で、

「へぇー、これは新発見だね。」
「子供は頭が柔らかいから、〝ならでは〟ってとこかな。」

感心した真守まもるさんが、

「けど、まぁ、“閃光”や“恩恵”とかは、国によって呼び方が異なるだろうし…。」
「いや、“神官”と“巫女”は、日本にしか存在していないのかな??」
「あ、でも、“シャーマン”がいるかも?」

といった具合に分析しています。

なにはともあれ。

(母国語がOKなんだったら、先に報せておいてほしかったんですけど。)
(“エクスプロージョン”あたりは、何度か途中で噛んだ事あるし。)
(“爆発”って言えてたら、どんだけらくだったことか。)

世界規模のデスゲームを開催した神だか魔王だか科学者だかのずさん・・・さに、改めて呆れる私でした―。
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